仮面ライダーエルフ   作:青ずきん

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やる事が無いッ!!
……さあ、今回どうしよう(焦)
因みに、サブタイトルは『きょうおくのいくさまつり』と読みます。


第11話 Partyー怯臆の戦祭

 大学の講義から帰り、俺こと京太郎はマイホームに転がり込む。割とオンボロなアパートだが、俺のバイト代でも何とか払えるくらい安くて正直助かってる。

 ドアを開け、俺一人しか居ない家に帰宅を知らせる声を響かせる。

「あー疲れた…ただいまー……」

「お帰り〜」

「お〜ただい…待て!!」

 キッチンの方から何故か声がした。泥棒の可能性を危惧し、廊下を走る。

「誰だ!!?」

 勢いよくドアを開ける。ドアは衝撃によって大きな音を立てるが、そんな事を気にしてはいられない。

 そこで、俺が目にしたのは………

 

 

「や、今日の晩ご飯はオムライスだよ」

「!?」

 

 

 そこには、腰を超えるほど長い銀髪をした女性が料理をしていた。端正な顔つきが一瞬こちらに向けられるが、すぐに料理の方に意識を戻した。一応必要かと思って買ったが一度も使うことの無かったフライパンを器用に使いこなす。

「ちょちょちょ、待てって! 何で平然とうちに入り込んで勝手に料理してんだお前!?」

「えー…勝手に入ったのは悪いとは思ったけどさ、京太郎って僕の想像通りすんごい栄養偏った食生活してるじゃん」

「人の食生活に口出ししてくれるなよ! ていうか何で俺の名前知ってんだよ!」

「…? あ、そっか。そういえば、この姿(・・・)だと京太郎ははじめましてだよね」

「何が!?」

「ちょっと待ってね〜」

 女性は完成させた料理を皿に乗せるやいなや、みるみる体を縮ませていった。そして………

「嘘だろ!? お、お前っ……!」

「これで分かるかな?」

 女性は、白い人魂の様な姿に変貌した。思えば、聞いたことのある声だった。だが、姿が違いすぎる。その事から、京太郎はあり得ないと思っていた。というより、想像もしていなかった。まさか、その声の主が……

 

「ウィル……かっ………!?」

 

 あの人魂、ウィルであるということを。

 

 その事を理解した京太郎は、途端に質問責めを始める。

「待て待て待て、ちょっと待て、落ち着け俺」

「そうだよ京太郎、一旦落ち着いた方が良いよ?」

「るせぇ! お前のせいで落ち着かねえんだよ! 何ださっきの体! どうやって家に入ってきた! 何で俺の家知ってんだ! 何で料理してんだ!」

「質問は一個ずつにしてよ」

「一度に幾つも疑問作った奴の台詞じゃねぇだろそれ! まずさっきの体なんだったのか教えろ!」

「あ、一個にしてくれるんだ。ありがと〜」

「いいから答えろ!」

 

「…そうだねぇ。さっきの体は……『本当の僕』……って言ったところかな」

「『本当の僕』……? どういう事だ?」

「えっとねー、元々さっきの体でずっと生活してたんだよ。その時はさっきの体にも、今のこの体にも自由に変われたんだけどね、『ある奴』と出会ったせいで偶にしかさっきの体になれない様になっちゃったんだよね」

「『ある奴』……やべぇ、次から次に疑問が出てくる……」

「ま、僕の過去は色々あるんだよ。話そうとするとすっごく長くなるし、先にオムライス食べちゃいなよ」

「えっ、あぁ……」

 

 京太郎は動揺しながらもオムライスをテーブルまで運び、手を合わせてから口に運び始める。

「……割と美味ぇなこれ」

「そう? ならよかった」

 ウィルは安堵の言葉を零す。人魂であるが故に、その表情を窺う事は出来ないが。

 

 

「……そういやさ、ビオラ大丈夫だったか?」

 暫しの沈黙を破ったのは京太郎だった。昨日ヒューマに敗北した後、気絶したまま倒れ伏していたビオラは、京太郎とウィルによってエルフの里まで運ばれていた。数時間近くに居たが、ビオラが一向に目を覚まさないため、講義を控えていた京太郎は家へと帰っていった。京太郎は、その後の情報を欲していた。

 

「…大丈夫……って言えるのかな。一応目は覚ましたし、精霊達がついてるから問題は無い筈だけど……」

 言いにくい事なのか、ウィルはごにょごにょとその先の言葉を濁す。オムライスを完食した京太郎は、それを訝しげな目で見ていた。

 

 

 

ー夜 エルフの里

「はあっ、はあっ、はあっ………!」

 天井が崩れ去った民家にて、ビオラは胸を押さえて苦しんでいた。呼吸は酷く乱れており、傍から見ていてとても気持ちの良い物とは言えなかった。近くにいる精霊達は、やるせなさそうな顔でビオラを囲む。

(仮面ライダー……ヒューマ。人間の、仮面ライダー。私はアイツに、負けた?あんな………人間如きに。……あり得ない。私が、負けるなんて事………)

〔事実、負けたでしょ?〕

(…ッ!?)

 真っ暗闇の中、もうひとりの自分が語りかけてくる。ヒューマに負けたという事実を、冷静に受け止めているもうひとりの自分が。

〔アイツは人間だったけど、確かに私達より強かった。だから私達は負けた。そうでしょ?〕

(違う……違う、私は、負けてなんか………)

〔いいえ、私達は負けた。負けを認めたくない……それはプライドから?それとも………〕

 

〔恐怖から? 戦う事でしか里のエルフ達(みんな)に貢献出来ない自分が、捨てられる恐怖から〕

「うるさいッッッ!!」

 ビオラは声を大にして叫ぶ。あまりの大声に、周囲の精霊達はビクッと体を反応させる。

「違う、私は……負けてない…!」

「ビオラちゃん……?」

 廃れた民家に、ビオラでも、精霊の面々でもない声が響く。ビオラが後ろを振り向くと、そこには人間年齢で30代ほどに見える女性が佇んでいた。しかし、真っ白なオフショルダーのドレスに身を包むその様は、さながら下界に降り立った天使に見紛うほどの美しさであった。

 

「リセラ…さん…」

「こんな所で何をしているの? それに、精霊の皆も……」

「えっと……見ての通り、ビオラ、すごく落ち込んでるみたいで。だから、私達で元気づけようと……」

 フィルが弱々しく答える。それは、自分達では元気づけることが出来なかったという事を示唆しているかのようだった。

「そんなの誰も頼んでなんか無いッ!!」

「…っ!」

 ビオラは右手を握りしめて床を殴りつける。拳と木材がぶつかる音に怯えたフィルが少し後退りする。

「私はッ! 私は……」

 

「負けてなんか………無い……!」

「おいおいおい! 待てって!」

「……」

 サララの制止も聞かず、ビオラはリセラのすぐ横を通り抜けて民家を後にした。その様子を、リセラはただ黙って見送ることしか出来なかった。

 

 

 

「……『平和な世界』…か」

 晴天が広がる高層ビルの屋上で、その怪人は町を俯瞰していた。交通が途絶える事の無い道路。こちらの耳朶に触れるほど大きな若者達の喧騒。何も無いこの日常こそが平和なのではないか、自身の組織がしている事は、果たして本当に世界を平和に出来るのか。

 目を閉じ、一瞬だけ逡巡する。怪人の答えは変わらなかった。

「『抑圧』は『秩序』でも『正義』でも無い。…真に求められているのは、『解放』……という事だな」

自問自答を終えると、その怪人はビルから飛び去っていった。

 

 

「うーん……ぬうぅ〜……」

「んだよさっきからずっと唸りやがって。どっか痒いとこあんのか?」

「そうじゃねぇんだよぉ〜……」

 大学までのこり数百メートル。その道中、京太郎はひたすら唸っていた。それに対し、凱は絶対に面倒臭いやつだと言わんばかりの目をしている。

「ビオラが負けちゃったんだよぉ〜……」

「…! 嘘だろ!? あの子が負けた!? どんな奴に!?」

 ビオラの敗北を伝えられた凱は、まるで結婚したい人が出来たと言って来た娘に彼氏の事を問い詰める父親の様に焦りを見せた。あの能天気な京太郎が唸っているのだ。考えられる最悪のケースが、凱の頭をよぎる。

 

「その怪人がどういう能力持ってんのかとか分かるか!? あの子はどこで負けた!?」

「ちょ、待てって! 質問は一個ずつにしてくれ!」

「そんな事言ってる場合じゃねぇだろ!? そのアクサーがこっちまで攻めて来るかもしんねぇんだぞ!?」

「違ぇんだって! 話を聞け! ビオラが負けたのは『人間』だ!」

「はあっ……?」

 凱に新たな疑問が生じる。てっきり、凱はビオラがアクサーに敗れたものだと考えていた。だからこそ、『人間』という単語の登場に頭を混乱させられていた。

「いいか、よく聞けよ。今日はエイプリルフールじゃねえからこれから喋ること全部ホントの事だかんな」

「…分かった。でも、講義もあるし手短に、そんでもって分かりやすく頼む」

「了解。ちゃんとついてこいよ」

 それから京太郎は、一昨日に起こった出来事を出来るだけ簡潔にして凱に話した。人間側の仮面ライダーという存在に、凱は動揺と疑念を隠せずにいた。

 

「…にわかには信じ難い話だな……ビオラちゃんは理由こそ立派だとは言い難いが、それでも人間達を守って来た筈だろ? 怪物を倒すついでだったとしても、俺達は知らず知らずのうちに守られて来たわけだ。なのに何故捕らえる必要がある? 無理矢理にでも協力して怪物共を倒せば良いものを……何故なんだ……?」

「…俺に聞くなよ。どうせその怪物と共犯(グル)とか、そんなオチだろ?」

「……お前の意見にしては珍しく説得力があるな、誰かが言ってたのか?」

「ちっげーよ!純度100%俺の意見だっつーの!」

「…それも信じ難い話だな……」

「何でだよ! あのド変態チャラ男の話より信憑性あるだろ!?」

「凄ぇなお前、信憑性って言葉知ってたんだな」

「よーし、あのド変態チャラ男の前にお前を始末する必要があるみてぇだな…」

「別にそれは良いが、今から全速力で席に着かねーと俺を始末する前にお前が教授に始末されるぞ」

「………は?」

 京太郎は左腕に取り付けた腕時計に目を見やる。

「うっっっっそだろお前! あと5分しか無ぇじゃねぇか! 何で言ってくんなかったんだよ!!」

「だから手短にっつったんだよ! いいから走るぞ!!」

「「うおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」」

 その数分後、2人はなんとか遅刻を免れたものの、かなり大きな音を立てながらドアを開けた為に講義室中の注目を集めることとなってしまった。

 

 

「私は……負けて無い………」

 うわ言の様に呟きながら、ビオラは青ざめた顔で八つ当たりの相手を探していた。森の奥深くは木々が鬱蒼としており、光一つも通していなかった。そんな暗闇にアクサーを求め、森を練り歩く。アクサーの存在を肯定し望んだわけでは無いが、今はとにかく自分が必要な存在である事の証明をしたかった。

 

 

 そんな彼女の目の前に、男は急に姿を現した。

「こんにちは、ビオラさん、お元気でしたかね?」

「アンタ…一昨日の……!」

「はい…あ、連絡先見ていただけました?」

「……その連絡先とやらなら、昨日破り捨てたけど……」

「……そうですか。残念です。なら、ここで改めて自己紹介を致しましょう」

 男は肩をがっくりと落とし、疲れた様に暗い声で自己紹介をし始める。

 

「それでは、改めてはじめまして、僕は犬童託斗(いんどうたくと)と言います。ぜひ、お見知り置きを」

「……その名前を覚える必要は無い。ここでアンタを倒せばね……!」

【シルフィード!】

「そう来てしまいますか。貴重な標本なので、出来れば傷付けたくは無いんですけどねぇ……」

【Transform】

「「変身」」

【サモン!】

【Authentication.】

【刹那の突風、淡き恋心と共に漸増していく! この嵐、いざ赤口に轟かせ!】

【Now loading...】

【ブラスターーーー…シルフィーードッ!!】

【Humanity will continue to evolve from now on.】

 

 両者は互いに変身を完了させて睨み合う。ゆっくりと距離を詰め、数秒後に同時に駆け出してそれぞれの胸部にストレートパンチが繰り出される。

 直後にヒューマはノックバックして距離を取り、武器を手に取る。

【Option】

【Weapon】

【Authentication.】

 文字達が下から上へと溢れ、プログラムアクターを造り出す。剣の様なアイコンに触れて準備を整える。

【Blade】

【Authentication.】

「はあっ!」

 ヒューマはエルフの元へ飛び込み、プログラムアクターで斬りつける。エルフはそれを仰け反りで回避し、空へ飛び上がる。

「はっ!」

 空中を縦横無尽に駆け回り、風の刃をヒューマに向けて放つ。ヒューマはそれを斬りつけ、対応しきれない物はすんでの所で回避していた。

「…全く、はしゃぎたがりな方ですねえ……」

【Option】

【Thunder】

【Authentication.】

 ヒューマがプログラムアクターを軽く振ると、その刀身は雷を纏い始めた。右腕を自身の左肩まで持っていき、力を込めて横一直線に薙ぎ払う。

「ふっ!」

 すると、薙ぎ払った軌跡を辿る様に雷が発生し、エルフを地面に叩きつけた。ヒューマは今がチャンスとばかりに近づき、数回エルフを軽く斬りつけ、最後に重く振り下ろして遠くへと飛ばす。

「っく……」

(ビオラ!無理しないで!)

「…うるさい」

 エルフはフィルの気遣いを蹴って立ち上がり、巨大な衝撃波をヒューマに飛ばす。ヒューマは左手を峰に添えてなんとか衝撃波を受け止める。その隙を突いてエルフはヒューマに近づき、衝撃波ごとヒューマを蹴っ飛ばす。

 

「ぐっ…! なかなかやるじゃあありませんか……ならば…!」

 吹き飛ばされたヒューマは、膝を突いたままプログラムアクターを操作する。並べられた6つの四角の中から、上段中央の銃の様なアイコンに触れる。

【Magnum】

【Authentication.】

 認証された瞬間、プログラムアクターから無数の文字が現れ、プログラムアクターを大口径のピストルへと変貌させた。

「これならどうでしょう?」

 ヒューマはその銃口をエルフに向け、数回引き金を引いてエルフを撃ち抜く。

「うぐっ、ぐあっ!」

 銃撃に対する明確な防御手段を持たないエルフ シルフィードスレイヴは、その銃弾を全て体で受け止めてしまう。その様子に自らの勝利を確信したヒューマは、わざとらしく『マグナム』のアイコンにゆっくりと触れる。

【Finish brake】

「さて、これで戦績は2ー0……ですね」

【Authentication.】

 一度プログラムアクターを天高く掲げ、それを徐にエルフに向ける。

 そして、その引き金は引かれた。

【Fire.】

 幾つもの文字が極太のレーザーへと変化し、エルフを襲う。エルフが居たであろう地点が爆発し、視界を煙らせる。

「…っ、うああああああああッッ!!」

 エルフの甲高い悲鳴が森に響く。ヒューマはビオラを回収しようと、爆発した地点に近づいていく。念願の実験対象の入手に、ヒューマはウキウキ気分でビオラに近づく。しかし、そこには………

「……? 居ない…!?」

 ビオラの姿は無かった。ヒューマが驚愕した、その刹那。

 

 

「……残念でした」

 エルフが後ろから現れ、ヒューマの背中を斬りつける。だが、その刃がヒューマへ届くことは無かった。

「…無礼者。託斗様を相手に、不意打ちなどと言う小賢しい手を使うな」

「なっ……!」

 突然、どこからともなく現れたキャメルアクサーがその刃を触肢で防いでいた。

「…アンタ、アクサーと共犯(グル)の人間なの!?」

「…託斗様。一般アクサーの培養液に不備があったと、ボスから仰せつかっています。可及的速やかにご帰還を」

「えっ? 嘘でしょう?……そんな都合良く僕がミスるなんて事ありますかねぇ……」

「ちょっと! 聞いてるの!?」

「あーはいはい聞いてますよ、そうです共犯(グル)です、これで満足でしょう?」

【Option】

 『+』の部分に触れてから、ヒューマは液晶画面を上方向に強くスワイプする。物凄い勢いでアイコンが上へと流れていく。あっという間に一番下までたどり着き、ヒューマはその一番下のアイコンを選択する。

【Abduction】

【Authentication.】

 その音声が流れた瞬間、天から光が現れてヒューマとキャメルアクサーは吸い込まれる様にデータ化し、何処かへ消えていった。




課題が終わらないッ!(泣)
……ごめんなさい、11話でした。
なーにが「戦祭」だよ、殆ど戦ってねぇじゃん今回!サブタイトル詐欺もいいとこだよ!
…さて、最後に出てきた『アブダクション』、宇宙人が人間とかをUFOに吸収する時のアレなわけですが、青ずきんはスペルを調べるまでこれのことを『キャトルミューティレーション』だと勘違いしていました。恥ずかしい。
『キャトルミューティレーション』は内臓や血液などが存在しない状態で動物の死体が見つかる怪現象の事なんだとか。そんな事あるんですねぇ。
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