青ずきんは感想中毒なので、どんどん感想くださいお願いします(切実)
ついでに、怪人の元ネタについて喋った方がいいかもお聞かせください。
青ずきんは怪人の方が好きなので。
「なあ京太郎」
「んだ〜?」
「お前さ、明後日提出のレポート終わってる?」
「…」
「…」
「なあ凱、ハワイ旅行って興味無い?」
「ハワイに逃亡しようとするな」
「なあ凱、ハワイに行くためのお金持ってない?」
「お前金も無しに行こうとしてたのかよ…」
「なあ凱、俺の代わりにレポートをやるって仕事に興味無い?」
「おいしれっと俺にやらせようとするんじゃねえ」
「…」
「…」
「も〜やだよぉ…無理だよぉ…」
京太郎は机に顔を埋めて泣き言を垂れる。
「なーんかレポートの話出た時『うおっしゃ!得意なやつ来た!最高すぎるだろ!』とか言ってた人が居た様な気ィするんだけどなー」
「そいつ土星人じゃね?」
「お前のことだよ」
大学近くに点在する洋菓子店。シックな雰囲気がとても落ち着く。そこには、この世の終わりかの様な顔をした青年と、それに呆れる青年の姿があった。
まだ手のつけられていないチョコレートケーキが少しずつ溶け始める。
凱は、それを大量の砂糖が入ったコーヒーを口に含みながら眺めていた。
「…お前さぁ、いくら得意な分野からレポート出たっつっても計画的にやるってことをな…」
『速報…す。現在、美桜……方…………現…ている、』
「んん?」
遠すぎてよく聞こえないが、何やら外でニュースが報道されているらしい。
京太郎は席を立ち、代金も払わないまま店の外に出ていった。
「ちょ、おい待て馬鹿!」
凱はチョコレートケーキを一口で丸呑みにし、二人分の支払いを済ませて急ぎ足で京太郎を追いかけていった。
ビルの5、6階ほどの高さに取り付けられた巨大なスクリーンにて、女性アナウンサーが報道をしていた。
『件のヒーローと思しき存在は、現代科学では解析不明な、超常的な能力を使用していると思われる部分があり、各機関は正体の究明を急いでいます…』
「おい、あれって…!」
そのニュースで使われていた監視カメラの映像には、確かに仮面ライダーエルフが映っていた。
「なんか知ってんのか?」
凱はスクリーンを見上げたまま聞いてきた。
「…間違いねぇ。あれは…ビオラだ」
「…あの子か」
凱が視線を向けた先には、なんとビオラが立っていた。
腰まで届きそうな長髪を靡かせ、何処かに歩いていった。
「うっそだろあいつ…!」
俺は走ってビオラを追いかけようとしたが、すぐに凱に襟元をつかまれて引き戻された。
「ちょ、痛ぇって!」
「お前アホだろ」
「はあ?」
「どうせあの子んとこ行って、『お前ニュースで報道されてるぞ! 気をつけろ!』とか言うつもりだったんだろ?」
「俺そんな声してねぇし!」
凱は中途半端に声を高くして馬鹿にしてくる。
「ともかく、街中で堂々とそんなこと叫んでみろ、すぐにでも怪しい実験施設行きだぞ」
「はああ? 何でだよ!? 説明してみろ10文字以内で!」
「変な制限つけんなよ…いいか、まずだな、」
「はいアウトー多分10文字越したー!」
「うぜえなそれ! あと「多分」で判断してんじゃねぇ!」
「いいからさっさと説明してくれよ」
(コイツ…殴りてぇ…!)
凱は拳を握り締めたものの、なんとか怒りを堪えた。
「…あのな、もしあの子がー」
「あっ、やべぇ! ビオラ見失ったかも!」
京太郎は話を聞かずにビオラが居た方へ走っていった。
(これはキレてもいいよな…?)
凱は京太郎の後ろからとんでもない殺気を放っていたが、京太郎がそれに気づくことは無かった。
「くっそー…どこ行ったビオラのやつ…」
京太郎はビオラを追いかけて森の中まで来ていた。ビオラが森の中に入って行ったのを見ただけなので、明確な居場所は分からない。既に京太郎は、陽も通さない程木々が生い茂っている森の奥の更に奥まで来てしまっていた。迷ってしまったが故、後戻りも出来ない状況。そんなことを考えもしなかった京太郎は、只管に前に進み続けていた。
……後ろから跡を辿って来る足音には気付かずに。
まだ陽が照っているのにも関わらず、此処は明かり一つない真夜中の様な恐怖感を醸し出していた。
小さな枝を掻き分けながら進んでいると、京太郎は足の爪先の方に、地面としての感覚が存在しないことに違和感を覚えた。
「ん? 何だこ…こおおおおおおおおお!?」
京太郎が右足で踏み込むと、その勢いで地面が抜け、そのまま落とし穴の要領で落ちていった。
「うおおおおおおあああああああああ!!?」
「…おおお……あああ…」
「…なんかうるさいね」
「…うるさいね」
「…でも、なんかちかくなってきてない?」
「…ほんとに?」
「…ほんとに。」
「おおおおああああ!!!」
「「わあっ!!」」
直後、京太郎は落とし穴(?)の下に作られていた泉に落下した。幸い怪我は無かったが、服がずぶ濡れになってしまい、おまけとして「里」の住人の注目を浴びることとなってしまった。
エルフの里。森の奥深くまで来ているはずなのに、此処は木漏れ日が差していた。
「痛ってぇー…」
腰をさすりながら立ち上がる京太郎に、幼い双子が尋ねる。
「…おにいちゃん、だれ?」
「…おにいちゃん、にんげん?」
「お、お兄ちゃん!?」
鋭い目つきをした赤髪サイドテールの幼女。対して同じ髪色のツインテールの娘は穏やかな目つきをしている。ボロボロなワンピースを召しているが、あまり裕福でない家庭の子なのだろうか。京太郎は恋人繋ぎをしている幼女二人のお兄ちゃん呼びに困惑しながらも、冷静に状況を整理して質問に答える。
「あーえっとな、俺…いや僕? 僕の方がいいか…?」
「おにいちゃん、『おれ』でいいよ」
榛色をした眼を輝かせながら、双子の内の一人が発言した。
「…そっか、俺は京太郎。横屋京太郎。呼び捨てで良いよ。」
「わたしはてぃえら。こっちはおねえちゃんの…」
「…てぃえら、なまえ、かんたんにいっちゃだめってままにいわれたでしょ。てぃえらだけじゃなくて、しえらまでこまるんだよ?」
「おねえちゃん、なまえ、いっちゃってる。」
「…あ」
姉の方のシエラは、明らかにしまったという顔をしている。
「まあまあ…それよりさ、ここって……どこ?」
「…ここはえるふのさと。むかしは、きれいだったんだけどね…」
「え…?」
ここまで来て漸く、京太郎の目がエルフの里の景色を捉えた。その光景は、お世辞にも美しいとは言えない、惨憺たるものであった。
崩れ去ったままの家。何かの焼け跡。血腥い臭い。
一体ここで何があったのか、京太郎の頭では想像も付かなかった。考えることを諦めた京太郎は、双子に聞くことにした。
「…ここでさ、一体何があったのか…教えて……くれないかな?」
「うん、いいよ。」
ティエラは元気良く頷いた。しかし、シエラはそれを良しとせず反駁した。
「…よくない。…にんげんはてき。てぃえらもみたでしょ。……ままとぱぱがしんじゃうとこ。」
「えっ……?」
俺は驚愕した。確かに、ビオラに関して気になることはいくつかあった。
初対面の時、それまで一切関わりの無かったはずの俺に対し、『死にたくなかったらこの場から消えろ』と発言していた事。
俺が『エルフに興味が出てきた』って言った時に、怯えた様な顔を晒していた事。
そして目の前の幼女が語った、『ままとぱぱがしんじゃうとこ』……即ち、両親の死。そして、『むかしはきれいだった』という言葉。
加えて、エルフの里のこの惨状。
ここまでくれば、エルフの里、そしてエルフたちに何があったのか、俺でも分かる。
……あの、ビオラの異常な人間嫌いも。
ーきっと、ビオラたちは───────
「…何で此処にいるの?」
「うれわあぁ!!!」
「腕輪?」
「違ぇよ! いつの間にか後ろに立ってんじゃねぇ!」
「じゃあ私がいつの間にか里に入ってんじゃねぇ! ってツッコんでも良いよね?」
後ろからビオラが急に声をかけてきた。ホントにびっくりするからこういうのマジでやめて欲しい。あーホントにビビった…マジで口から心臓がまろび出るかと思った……
「…で、本当に何で此処にいるの?」
「…それに、シエラとティエラも」
「…おねえちゃん。」
「…おねえちゃーん。」
「…! 知り合いか?」
「そりゃあね。私たちは少数で集団作って生きてるし」
「……尤も、アンタら人間の所為でもっと少なくなったけど…」
「………」
「…今度は邪魔しない。…何で、此処にいるの?」
「うえっと…町でニュースやってる時にビオラが遠くに見えて、ニュースの内容がアレだったから、ビオラに危ねえぞって言おうとして、そしたら凱に止められて、」
「長い。もっと短く説明出来ないの?」
「落とし穴に落ちたら此処に居た!」
「…ごめん、私が悪かったから丁寧に説明して。」
「えっとな、ビオラ追いかけてたら迷って、でなんか落とし穴があって、それに落ちて此処に…って感じだな」
「…落とし穴?」
「そうそう」
そう答えると、ビオラはうーんと深く考え込んでから、
「…人間一人分くらいの?」
と尋ねてきた。それに対して俺は、
「そうそう、ちょうど俺一人入るくらいの」
と返した。
「……なるほどね。どうせ碌に隠したりしてなかったんでしょ、
そう吐き捨てるビオラを気にも留めず、俺は自分の疑問を投げかけた。
「…なあ、此処ってさ、落とし穴に落とされた以上地下だよな? それなのに何で木漏れ日が差してんだ?」
「…意外。木漏れ日って言葉知ってたんだ。」
目を見開いたままビオラが言う。
「流石にそれはバカにしすぎじゃないですかね…?」
「…ま、それは置いといて」
「置いといてんじゃねぇよ」
「うるさい。説明出来ないでしょ。此処の景色が違うのは…」
「それわたしがせつめいしたい!」
ティエラが元気良く左手を挙げた。
「…てぃえら。」
「これくらいならいいでしょ。おにいちゃんはわるいにんげんじゃなさそうだし。」
「ちょ、ティエラちゃん、ここで『お兄ちゃん』呼びはちょっと…!」
「…大丈夫。シエラもティエラも、二人より大きかったらそう呼ぶ子たちだから」
「あ…そうなのか、ビックリした…」
「…もういい? じゃあせつめいするね! あのね、じつはここ、たぶんおにいちゃんのしらないところなんだよ!」
「…知らないとこ? …まさか異世界転生!?」
「バカなの?」
冷めた声でビオラがツッコむ。
「えっ…じゃあどういう事なんだよ!」
「おにいちゃん、『おとしあなにおちた』っていってたでしょ? そのおとしあなってね、ちがうばしょをつなぐまほうがかけてあるの!」
「…違う場所? どういう事だ?」
「…後は私が説明する」
ビオラは仕方なさそうにため息を吐く。
「私を追いかけたって事は、私が森に入ってったのも見てたんでしょ?」
「…そうだな」
「
ビオラは『里だった場所』に目を見やる。
「……」
予想は当たっていた。
──当たって欲しくなかった、予想が。
「…そういえば、シエラちゃんは?」
近くに姿が見えない。何処かに行ったか?
「…おねえちゃん、たすけて……!」
「「「…!」」」
「ラクケエ…!」
俺たちの後ろには、かなり長い羽を背負い、イカの足みたいに白くて長い触手の様な何かを携えた怪人が、シエラを抱き抱えて…いや、人質……エルフ質?にしていた……!
「京太郎といいアンタといい…簡単に特定してくるのやめてくれる…?」
ビオラはベルトと青い球体を出現させ、変身する。
【ウンディーネ!】
【セットアップ!】
「変身!」
【サモン!】
球体からネディンが現れる。
(やっほー!お呼びー?)
「ネディン、アイツぶっ飛ばすから力を貸して」
(はーい!ネディえもん、参りまーす!)
【その淑女、泡沫の様に儚く散りゆく小さき命。荒波の如く激しく在れ!】
【スプラッシャーーーー…ウンディーーネッ!!】
「さあ、来なさい。人智の先を見せてあげる」
「なあ、思ってたんだけどさ、その実況みたいな変身音どうにかなんねぇの?」
「…うるさい」
その一言だけ発し、ビオラは「ワックスアクサー」に突撃していった。しかし……
「イアラッ!」
「なっ…!」
あろうことか、そのアクサーはシエラを盾かの様に突き出してきた。
エルフが迂闊に手を出せないでいると、ワックスアクサーは尻尾(?)を伸ばして攻撃してきた。
「ぐうっ…」
エルフは猛攻をなんとか防ぎながら、左手から水流を噴射してみせた。
「ルガッ!」
しかし、それすらも他の触手に防がれてしまった。
ワックスアクサーはこの隙を突き、触手を絡めて太くし、薙ぎ払いでエルフを吹き飛ばす。
「うあっ!」
吹き飛ばされたエルフはダメージによって変身解除を余儀なくされた。
「く…」
地に伏しても尚強く睥睨するビオラに、ワックスアクサーはトドメと言わんばかりの触手による猛攻撃を繰り出して来た。
「……!」
ビオラが覚悟を決めた、正にその時。
風の様に颯爽と、その救世主は現れた。
「……ビオラに、手は出させないよ…!」
ティエラたち程の低い背丈をしたワンピースの少女は、そう言葉を紡いだ。
回を重ねるごとに長くなってますね、嬉しい。
でも、これそのうち絶対また短くなるよ……次回短くなりそ。
今回少し危ないネタ出てきてますよね、気付いた人居ました?
まあ、気付いた人を探すことより、読んでくださる方を探すことからですね。
因みにですが今(2020/04/02)流行ってる「鬼滅の刃」は青ずきんも好きな作品で、1話がジャンプに載った時から見てました(唐突な古参アピール)
好きなキャラは零余子(下弦の肆のあの子)です。
同志と仮面ライダーエルフを読んで下さる方、そして感想募集中です(2回目)