それなのに書き始めてるので、凄く短くなると思います(いつも短い)。
正直な話、長編物語を創るより短編を量産する方が得意なので。
「…は、『仮面ライダー』と思われる存在の、新たな画像を入手した事を発表しました。特徴として、………」
「…またやってるな、『仮面ライダー』のニュース……」
凱はテレビを見ながらボソッと呟く。俺、京太郎と凱は今、凱の家でニュースを視聴していた。部屋がきちんと整理整頓されているので、くつろぐ空間が十分にある。
凱の家はアパートの一番上の階。でもって、入り口から一番遠い位置にある、端っこの部屋で一人暮らしだ。
遠い位置にした理由は、凱曰く『もし俺が殺された時、部屋が端っこなら俺が目的である、つまり犯人や目的の特定が少ししやすくなるって事だ。単に強盗するのが目的なら出口に一番近い部屋でやるはずだろ?逃げやすいからな。わざわざ奥まで来て殺すなら、それは俺に恨みを持ってる奴って事だし。ま、そんな意味ない気するけどな』とのこと。
「…なあ、京太郎」
凱は神妙な面持ちで話しかけてくる。
「……何だ?」
「今も、あの子……ビオラちゃんだっけ。まだあの子と関わってんのか?」
「関わってる? どういうことだ…?」
「言葉通りだ。『仮面ライダー』ってのはビオラちゃんの事だろ。……もう、あの子に関わるのは……近づくのは、やめた方がいい。」
「はあ? どういうことだよ…!」
「あの子が仮面ライダーなら」
凱は俺の両肩を掴み、語気を強めて言う。
「戦えないお前は邪魔になる筈だ。…それに、あの子は人間を嫌っている様にも見えた。何れ人類に本気で牙を剥く日が来るかもしれない。今はまだ」
「凱、聴いてくれ」
俺の右肩を押さえている凱の左腕に手を添えて言う。
「確かにあいつは意地っ張りだ。それに、人間も大っ嫌いだそうだ。でもな、あいつには、…あいつらには、大切なものを失った過去があるんだ。だからこそ、奪われる悔しさ、怒り、悲しみを誰よりも知っていると思うんだ。俺には、そんなやつらが本当に人間の命を取れるとは思えない。取れる筈が無いんだ」
「……お前、いつかとんでもないモノに巻き込まれるぞ」
この凱の忠告を、おそらく未来の俺は忘れ去っているのだろう。
ーエルフの里
「…おい、待てよビオラ」
「…?」
私は誰かに呼び止められる。誰かと言っても、誰なのかは分かる。エルフの里にふたり(ウィルをひとりと数えて良いのだろうか?)しかいない男の声。それでいてウィルより低い声。………アゼルだ。
「また人間の町に行く気だろ。……お前、いつかエルフなのがバレて捕まるぞ」
真っ赤な天然パーマを弄りながら、しかめっ面のまま言い放つ。
アゼルは両親と弟ふたり、妹ひとりを人間に殺されている。長男として生まれて来た為、『ヒューマレジスタンス』が起きてからは私達エルフの里に住まう者の兄貴分になっている。だからこそ、「リセラさん」みたいに残ったエルフを失う事を恐れている。
……いや、リセラさんとアゼルだけじゃない。私もだ。おそらく、シエラとティエラも。100にん近く居たこの里で、生き残ったのは私含めエルフ5にん、ウィル、そして精霊の面々だけだ。ただでさえ、沢山の同じ里のエルフを亡くしたんだ。
ーこれ以上、あんな悲しい想いをしたくない。
…でも、どんな危険を払っても京太郎には注意を割かなくてはならない。私の素性も知られているし、まがりなりにも「人間」の一人だ。アイツの動向によってはまた反旗を翻されかねない。
「…でも、
「男…か。………ホの字とかねぇよな?」
「は?死んでもあり得ないんだけど」
「……だな。俺だって、例えどれだけ別嬪でも人間相手ならお断りだ」
「…同じく」
それだけ言ってから、私はアゼルに背を向け歩き始めた。
「はあぁ……凱のやつ分かってねぇんだなー…?」
凱の家から帰宅する道中、俺は虚空に向かって文句を垂れる。確かに、言い分としては分かる。あいつの性格上、いざとなれば俺は何かの攻撃に巻き込まれたりして殺されかねない。でも、あいつはとんでもなく大切なモンを亡くしてる。だから、殺して奪うだなんて、出来るはずが無いんだ……
「カルル…!」
「うおわっ!?」
後ろからどつかれた。俺の体が勢いよくコンクリートの地面に打ちつけられる。徐に後ろを振り向くと、蝉の様な翅と体、口吻、そして額に枯れた木の様な、傘の骨組みの様な……葉っぱの無い枝垂れ桜の様な角を携えた怪人が立っていた。
「おいビオラ…出番だぞ、出てこいよ…」
当然だが、そんなに都合良くビオラが現れたりはしなかった。
「おいおい、マジかよ…!」
急いで立ち上がり走り出す。だが、それに対しアクサーは焦りもせず翅を動かし空を飛ぶ。そのまま苦もなく触肢を使って俺を掴み上げる。
「おい! 離せ! まさか二話連続でおんなじ展開にする気か!? やめとけ! 離せって……」
俺の声はアクサー、そしてビオラに届くことは無く、そのまま何処かへ連れ去られてしまった。
「…ヤバそうだね、色々と。」
京太郎が連れ去られる様子を見届けてから、ウィルは文字通り飛んでビオラの元に向かった。
…ウィルと共に眺めていた老婆も、行動を開始した。
「京太郎が連れ去られたぁ?」
「そうそう、あっちの方にね」
ビオラの面倒くさそうな声にウィルは動きで位置を示す。
はあ、とため息をついてから、
「…なら別に放っといても良いんじゃ無いの?」
と椅子にふんぞり返ったまま吐き捨てる。
「…いいの?多分京太郎待ってるよ?」
「そんなの私の知ったことじゃないし。殺されるなら殺されるで、油断したアイツの責任ってことでしょ」
「えー…助けに行ってあげない?」
「助けたとしてもデメリットしかないでしょそれ」
「じゃあ『恩を売る』と考えようよ。助けてもいいかもよ?」
「その通りだ。後悔しない選択をすることだな」
「後悔しないもなにも…って、アンタ誰…?」
ウィルのでも自分のでも無い声を聞き、ビオラははじめてアクサーの接近に気付いた。
「態々人気の無い夜を狙ったのだ。感謝してほしい」
鋏角類の鋏角の様な頭をしているアクサーは、いきなり背中から触肢を出してビオラ目がけて殴りかかってくる。
ビオラはそれをジャンプで躱し、着地と同時にエルフドライバーを出現させる。
【シルフィード!】
【セットアップ!】
「変身」
【サモン!】
ベルト左側のレバーを倒すと同時に、オーブからフィルが現れる。その直後、ビオラの体を螺旋状の光が包み込む。弾け飛び、プロ実況の様な変身音が流れる。
【刹那の突風、淡き恋心と共に漸増していく! この嵐、いざ赤口に轟かせ!】
【ブラスターーーー…シルフィーードッ!!】
「…人智の先を見せてあげる」
その言葉と共に、エルフは猛スピードでキャメルアクサーに接近し、風の刃で斬りつける。キャメルアクサーは、それを触肢でいとも容易く防いで見せた。
「アンタ…何者…?」
「私はキャメルアクサー。貴様に選択を強いるためにここまで来てやった」
オーケストラでのアルトの様な声を響かせる。
「選択を強いるため…ね。後悔しない選択をーとか言っておきながらその実選ばせる気はないと」
「そういう事だ。奴が死にそうにでもなれば、情報を吐くかも知れない。早く行った方が良いと思うが…」
「……」
エルフは一言も発さず、地を蹴って京太郎の元に向かった。
「…あの戦闘狂、ちゃんと託斗様の命令覚えているだろうな……」
「…なあ、本気か?マジで前回と同じ展開だぞ?」
「知るかよ。ってか展開ってどういう事だ?」
「あー話通じない系かぁ……」
両手足を拘束されているにも関わらず、京太郎はビネガーアクサーにメタ発言を繰り返す。
京太郎は洞窟に拘束されていた。いや、サイズ的に洞穴と表現した方が正しいだろうか。隅の方に黄色い球体が落ちている事以外は至って普通の洞穴だ。
若干宙に浮くよう固定された京太郎を、ビネガーアクサーと「ボーンアクサー」が監視していた。
「ンなこたどうでもいいんだ。俺らの作戦が成功すればな」
「作戦?」
「そう、お前を囮に仮面ライダーエルフを誘き出して、お前と変身アイテムを交換するっつう作戦だよ」
「おう、わざわざ喋ってくれてありがとな、もしビオラ来たら交換に応じないよう叫んどくわ」
「…やっべ、今殺せば間に合うか…?」
「いやここで殺したら作戦失敗だろ」
「……テメェ、嵌めやがったな!?」
「いや知らねえって!お前が勝手に嵌まったんだろ!?」
「んだとコラ!!」
「いや100パーお前の…」
「…はあ。急いで損した…」
「「!」」
京太郎とビネガーアクサーは声のした方に顔を向ける。そこにはシルフィードスレイヴとなった仮面ライダーエルフが立っていた。
「さ、面倒なことになる前にソイツ返して。ソイツ生きてると面倒臭いから」
「お前まで俺を殺す気かよ!?」
「ああもううるさい。ちょっと黙ってて」
「ええ…(困惑)」
京太郎の叫びを意に介さず、エルフは凛としたまま返答を待つ。
ビネガーアクサーが一歩前に出て答える。
「ああ良いぜ。ただし…」
「…お前が今持ってるオーブを残らず俺に渡せ。そしたら返してやるよ」
その言葉に、エルフは暫くの間黙りこくってしまった。
7話でした。やっぱり短くなっちゃった、ごめんなさい。
土の精霊さんは次回ちゃんと登場します。…と見せかけて、実はもう登場してます。ま、バレバレでしたね。
それはともかく、次回も短くなりそうです。重ねてごめんなさい。