遊戯王があれば幻想郷でも生きていけるのでは? 作:てばれもん
「夜になってしまった……」
今日の晩飯をこしらえるため、食材を買いに出かけたのはいいが……まさか、新しい家からこんなに遠いとは思わなかった。
最初は、近いだろうと思って人里の探索も含めて歩き回っていたが、気がついたら夜になっていた。
「まぁ、材料買えたし……良しとするか」
俺が店を見つけた時はすでに閉店間際だった為、急いで買い物を済ませた。
店を出る時、会計をしてくれた叔父さんから「今度は早めに来てくれ……頼むよ」と釘を刺された。
本当に申し訳ないと思っている。
だが、時間を費やしたおかげで人里の全体像を見る事が出来た。もう道に迷う事はないだろう。
しかし、暗い……昼間とは全然違うな……
食材を入れたビニール袋を持って自宅へ帰る道中を見てみると……夕方頃まで開いていた店は全て閉まっており、活気があった通りも今では、人を何人か見かける程度で活気ずいてはいない。静寂そのものだった。
夜のここってこんなに静かなのか……
そんな事を思っていると、夜である筈なのに前方から明かりが見えた。
「こんな時間に……何だろ?」
俺は好奇心が抑えられず、その明かりの方へ向かった。
「やきとり……て事は居酒屋なのか?」
明かりの方へ向かっていると「やきとり」と書かれた提灯と暖簾をかけた屋台が止まっていた。
まぁ、居酒屋だし夜にやってるのは当たり前か……ちょっと覗いてみるか……
「いらっしゃい」
暖簾をくぐり中に入ると、青いバンダナを頭に巻き、茶色の服に身を包み、背中に鳥のような羽を生やした。人間では無さそうな女将がウナギ?の串焼きのような物を焼いていた。
俺は屋台の椅子に座り、机に置かれていたメニュー表を見ていた。
目の前でウナギ?の串焼きを焼くのに集中していた。女将が改めて俺の顔を見ると、
「あら? 常連かと思ったけど、違ったわね。」
ふーん……常連がいるのかこの屋台は
と俺がメニュー表を見て考えていると、
「ねぇねぇ、お客さん……名前は?」
女将が、常連じゃないのを不思議に思ったのか、俺の名前を聞いてきた。
「黒木……黒木潤、年は21歳、昨日ここに来たばかりの……ここで言う外来人だ。」
俺は手短に自己紹介をした。女将は「へー……外の世界の……」と小声で言っていた。
そして、俺の紹介が終わると女将自身も自己紹介してきた。
「じゃあ私ね、私は『ミスティア・ローレライ』この屋台の女将、みんなからは『ミスチー』って呼ばれているわ。どっちでもいいけどね。」
へー、女将さん 外国の人みたいな名前してるんだな。なんかこの世界、名前が特殊な人が多いな……
「いや、ここでは『女将さん』と呼ぶよ」
「『女将さん』ね……じゃあ私はあなたの事を『黒木さん』と呼ぶわ」
うーん……さん付けか……まぁ、客とオーナーの関係だからな……仕方ないか。
腹が空いた俺は、この屋台で少し食べてから帰る事にして、俺はとある事をミスチーに聞いた。
「なぁ、女将さん……この屋台で人気のある食べ物ってなんだい?」
せっかくこの屋台に来たんだから、何か名物があるだろうと思い、聞いた俺。
それを聞いた女将は「これかしら?」と言って、今焼いているウナギ?の串焼きを手元に置かれていた皿に乗せ、俺の前に置いてきた。
「これは?」
「それは、『八目鰻』の串焼き、ここの名物よ 美味しそうでしょ?」
八目?……あぁ、たしかに目の横に点があるな
焼かれていた時はよく見えなかったが、今改めて見ると点があるのがわかった。
「……いただきます。」
「よく味わってね、」
俺は前世の記憶にも無い、八目鰻の串焼きを初めて食べた。
うまい!!テーレッテレー!
俺の後ろが光るくらい美味しかった。もうこれ、商品化して良くね? 冷凍食品として……
「すごく美味いな、これ」
「でしょー? 一本200円だからね、良心的でしょ?」
そういう感じに女将さんと俺が話していると……
「おーい、やってるかぁ?」
暖簾をくぐってここの常連らしき人が現れた。
俺が声の方を見ると、目が紅く白の長髪で、赤いもんぺを着ている、世間で言うイケメン女子が居た。
うわー、すごいイケメンな方……
俺がその女性に魅入っていると、俺の方を見て、
「あんたの隣いいか?」
と聞いてきた。俺は「いいよ」と言い、少し席を開け、女性がそこに座った。
「ミスチー、酒を一杯」
「はいよ、」
隣の女子がミスチーに注文した。ミスチーはグラスを用意し、近くの棚から酒を注ぎ、女性の前に出した。
「ありがとう」
隣の女性はゴクゴクと喉を鳴らし、まるでお酒をジュースのように一気に飲み干した。
「ぷはー!! 上手い!!」
女性は酒を飲み終わると、仕事終わりのサラリーマンのような事を言っていた。
「妹紅さん、相変わらず呑みますね……」
「当たり前よ!これが週一の楽しみなんだから!」
この女性は『妹紅』と言うらしい、それにしても週一ってすごいな……常連なのだろう
と思いつつ、食べかけの八目鰻を食べていると
妹紅が俺の方をじっと見て、
「もしかして………お前が、慧音の言っていた『黒木』って奴か?」
「ブッ!…………ゴホッ………ゴホッ……………………なんで俺の事を?」
急に聞かれた上に、慧音先生の名前が出てきたのに驚き、さっきまで食べていた部分を少し吐き出してしまった。
「いやー……慧音がな……「面白い奴が来た」って言ってな、私が「どんな奴?」って聞いたらさ、「黒い服で腕に機械を着けて髪が黒茶の男性」って言うからよ、一度会ってみたいなーって思ってたんだ!……まさか、こんなとこで会えるとは!」
マジかよ……慧音先生と面識あんのか……
「悪い悪い、急に聞いてしまった。私は『藤原妹紅』慧音とは古くからの友人だ!」
「……俺の事は「知ってる」………だよな」
おそらく……慧音先生が全部喋ってくれたのだろうと、俺は考えた。
「ミスチー!もう一杯!」
妹紅は気分が良くなったのか、その後も酒を追加で注文していき………
「……うっぷ…………ううっ……呑みすぎた……気持ち悪」
妹紅はさっきより顔が赤くなり、完全に酔っている事がわかる。あの後妹紅は9杯も呑んだのだから。
「あー……妹紅さん?大丈夫ですか?」
ミスチーは10杯も呑んだ妹紅を心配していた。それもそうだ、普通なら10杯も呑めば体がおかしくなってしまうからだ。
「女将さん、いつもこんな感じなのか?」
「まぁ、そんな感じかな……後は酔った妹紅さんを『迷いの竹林』にある家に届ける感じ」
ミスチーも大変なんだな…………俺もそろそろ帰るか……
「女将さん、会計を」
俺は八目鰻を5本食べただけだ。……ちょっとだけのつもりが……美味しくて、つい食べてしまった。
「八目鰻が5本でそれ以外は……頼んで無いね……1000円ね」
俺は既にさっきの店で2000円を使用し、ここで1000円を払うから‥…残り17000円か、痛いな……
俺はミスチーに1000円を渡して家に帰ろうとした。
「妹紅さーん、妹紅さーん! 起きてください!」
「………………………………………………………」
ミスチーの呼びかけに反応しない、机に伏せて眠る妹紅……どうやら酔い潰れたみたいだ。
「困ったな……いつもならここで慧音先生が代わりに会計してくれるのに……」
二人のやりとりを見ていた俺は放っておく訳にもいかず……
「はぁ……仕方ねぇ……女将さん、俺が払うよその金」
妹紅の代わりに代金を払う事にした。妹紅に後日に払ってもらうか……
「いいんですか?……妹紅さんは酒を10杯呑んだので……2000円ですね」
ぐう……耐えろ! 可愛いイケメン女子のための一時的な出費だ! 後から取り返せる!
と自分に言い聞かせ、ミスチーに2000円を手渡した。
15000……今日で4分の1を失ったのか……とほほ……
俺は居酒屋を後にして夜道を歩きながら、これも経験だ、と自分を励まし自分が帰るべき所へ向かった。
?「妹紅さん…………………………………本当は起きてるんでしょ?」
?「………………………………………………………………バレたか」
?「いい加減にしてくださいよ?」
?「悪い悪い……いっつも手ぶらで来てしまうんだ。」
?「……頭大丈夫ですか?」
?「大丈夫だ問題ない……」
?「いい装備なんて無いですよ……」
?「何言ってんだお前……」
?「あ゛!?」
?「すいません……もう馬鹿にしません……」
酒を10杯も呑んだら、アル中になるんですかね?