IS ~銀色の彗星~   作:龍之介

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投稿削除をしてしまい申し訳ありませんでした。

改めて投稿します。



第16話

職員用食堂で3人分を用意して席に座って千冬達を待っている。

 織斑一夏は織斑千冬の弟で世界で初のIS操縦者だ。今回の俺の護衛対象者でもある。性格はまだ会っていないから何とも言えないが、恐らく千冬と一緒で我慢強い性格なのだろう。千冬の弟という事で楽しみだ。

「マツナガさん。織斑先生待ちですか?」

後ろから山田先生が声を掛けてきた。

「山田先生。そうですよ山田先生は?」

「織斑先生と7時15分に約束に約束していたんですがなかなか来なくて…」

千冬は山田先生とも約束していたのか…。

原因は俺にもあるから千冬を責めることはできない。

「もうすぐ来ますよ。今、一夏君を迎えに行ってますよ。そこに座って待っていてください」

「そうですか。食事を温め直して来ます」

山田先生は別の席に置いてある食事を取りに行った。

 

入口を見ていると千冬が男性を連れてきた。

黒い髪に黒い眼で背丈は少し千冬より高い。

千冬は俺を見つけると照れくさそうな顔をしながらこちらに向かってくる。

俺は席を立って千冬たちを迎えた。

俺の前に立つと千冬は笑って一夏を紹介してきた。

 

「すまなかった。これが弟の一夏だ。一夏、この人が2人目の操縦者のマツナガ・トウヤさんだ」

「初めまして一夏君。私がマツナガ・トウヤです。明日から一緒の学年で勉強をする。宜しく頼むね」

俺は右手を差し出すと一夏も右手で握手をしてきた。

「初めましてマツナガさん。一夏です。千冬姉がお世話になっています。これからよろしくお願いします」

なかなかの好青年だ。

体つきを見てみると一言で言うならば中途半端だ。筋肉はあるが鍛錬をしている訳ではない。千冬と剣道をやっていたがやめたのかもしれない。

「トウヤで良いよ。一夏君は16歳で良いのだよね?」

「はい。高校受験の為に試験会場に行ったら間違えてISに触れてしまいISが動かせる事が分かったんです。俺の事も一夏って呼んでください」

なぜ?間違えてISに触れるって…

「面白い事するね?とりあえず座って食事にしないか?ち・・織斑先生もそれでいいですよね?」

危ない…千冬と呼んでしまうところだった。

「ああ。ところで山田先生はいなかったか?彼女とも約束していたんだが…」

「今は食事を温め直しに行ってますよ。もうすぐ戻るのではないでしょうか?」

俺達は席に着くと山田先生を待つ。

「トウヤさんの歳はおいくつですか?束さんの護衛をやっていたと聞いてますが」

「私は20歳だよ。高校に通うにはかなりおっさんだけどね」

「じゃあ千冬姉の一つ下なんですね」

「そうだね。少し前からここにいるけど織斑先生にはとてもお世話になっているよ」

一夏と話をしていると山田先生が戻ってきた。

「お待たせしました。織斑先生酷いですよ!!」

山田先生は頬を膨らませている。

「本当にすまない」

千冬が頭を下げている。

山田先生は席に着き笑っている。

 

みんなで食事を始めた。

 

「織斑先生は明日からは担任を持つのですか?」

俺は千冬に聞く。

「ああ。私は1年1組の担任だ。マツナガと一夏は私のクラスだ。そして1学年の寮長もやる事になっているぞ。山田先生は1組の副担任だ」

おお!俺の担任か!千冬を見ると微笑んでいた。

俺も微笑んでしまうと千冬の顔が少し赤くなったような気がした。

 

「マツナガさん、織斑君、明日からよろしくお願いしますね」

山田先生も笑顔でになっていた。

 

「そうだ。織斑先生と山田先生。今日、携帯を契約してきたのであとで番号とアドレスを交換してくれませんか?あと一夏もね」

そういうと俺はポケットから携帯を取り出して見せる。

 

「おお!最新機種じゃないですか!すごい!」

一夏が形携帯をみて興奮している。

なんだ?そんなに珍しい機種なのか?

「そんなに珍しい機種なのか?」

俺は頭に浮かんだ疑問を一夏に聞いてみた。

 

「これは今年の冬に発売された一番高性能な機種なのですよ。あまりに高くて学生では手が出せないって有名なんですよ」

ああ…学生憧れの高位機種ってやつか。

 

「後でいじってみていいから番号とアドレスを入れておいてくれないか。まだ全然いじってないから使い方が分からなくて困っていたんだ。

「良いんですか!?ありがとう!」

 

一夏は目を輝かせて携帯を見ていた。

 

俺達は楽しく会話をしながら食事をした。

山田先生と千冬は代表候補生の時に一緒に訓練をした仲で千冬は近接格闘戦、山田先生は中遠距離の射撃戦が得意だったそうだ。

結局は日本代表は千冬に決まったそうだ。山田先生いわく『織斑先生はどんなに距離をとってもこちらの射撃を避けて懐に入ってくるから勝てませんでした』との事だ。確かにあの接近は本当に怖かった。

けどその千冬に勝ってしまった…

まぐれだけどね。

 

「でもマツナガさんは織斑先生に勝ちましたからね。これで日本最強はマツナガさんですよ。本当にあの模擬戦は凄かったです!あんな短時間んで織斑先生に勝っちゃうなんて今思い出すだけでも興奮しちゃいます」

山田先生が光芒とした顔をしている。

 

「え!?トウヤさんは千冬姉に勝ったんですか!?」

一夏も驚愕の顔を浮かべて椅子から半立ちになった。

「そうだぞ一夏。マツナガは私を倒した。殆ど無傷でな」

千冬が自慢げに言っている。

千冬さん…今のは自慢するところではないでしょう。

「たまたまだよ。たまたま作戦がうまくいった。ただそれだけだよ。あの模擬戦は織斑先生が俺のエステバリスの特徴、武装、俺の機動の癖を知らなかったからあの結果になったんだよ。また戦ったら次は恐らく織斑先生が勝つよ」

 

戦いとは情報だ。相手の数、武装、目的、補給状況、指揮官の癖、性格などが分かれば例えこちらの戦力が半分以下でも勝つことができる。これは軍でも教えていることだ。

千冬との模擬戦では俺は千冬の武装、戦い方、目的を知っていた。だから勝てた。

 

「謙遜するな、マツナガ。私はあの時は本気でお前を倒しに行った。だが勝てなかった。だからお前の勝ちなのだ」

 

話がループしそうなのでこれ以上はやめておこう。

 

「わかりました。では私の誇りにします」

俺がこう言うと千冬は嬉しそうに頷いていた。

 

 

食堂で解散をして俺と千冬と一夏は寮に向かっている。

一夏の部屋は俺の隣の1025室だそうだ。

護衛の件があるのでとても助かる。

 

 

「それでは明日は8時30分に一組の教室に集合だ。初日から遅刻などするなよ」

それだけ言うと寮長室に戻っていった。

俺と一夏はエレベーターを待っている。

「トウヤさん、千冬姉がやたら優しくなった様な気がするのですが何か知ってますか?」

 

絶句してしまった。

余裕が出来たのかも知れないな…原因は多分俺。

言えない…

 

「そうなのか?俺には分からないな」

「男でもできたのかなぁ…それならそれで安心なんだけど」

「どうしてだい?」

「いや…俺が言うのもなんだけど、俺を千冬姉が一人で育ててくれたから無理していたんじゃないかと思って。俺も家計を助けるためにバイトとかをしてたけど結局俺は千冬姉に助けられてばかりだったし、それどころか仕事の邪魔もしてしまったし」

最後のはモンドグロッソの事か。あれは仕方がない。

 

「あまり気にしなくていいんじゃないか?織斑先生が一夏の事を喋っている時の表情は自慢げだったぞ。どこぞのブラコンだよって思うぐらいにね」

 

ごめん、千冬…

一夏の為にブラコンにしちまった。

 

エレベーターを降りて看板にしたがって進む。

 

「そうなのかな。でも俺はこのIS学園で強くなって千冬姉を守れるようになりたいんだ」

…強くなりたいか。

「そうなのか。じゃあ明日から一緒に頑張ろう」

「ああ!よろしくトウヤさん」

「それじゃあおやすみ」

「おやすみ、トウヤさん」

 

俺達は自分の部屋に入っていった。

 

 

 

部屋の中はとても静かで生活感がなくてとても寂しい感じがする。

俺はシャワーを浴びるために服を脱いでバスタオルをもってシャワー室に入った。

 

明日からは2年振りの学生生活だ。なんだか妙な気分だ。俺はハイスクールを卒業したからまた同じことを繰り返すのだ。入学案内に書いてあったカリキュラムだとハイスクールよりかなり難しい事を教えるようだ。

IS学園は操縦者の育成とうたっているが他にも整備士と研究者も育てるらしい。実際に2学年からは操縦課、整備課、研究開発課と別れる。

IS学園を卒業後は企業、軍に就職する様だ。他にも軍の大学に進み幹部になる者もいる。

確かに今この世界を支配してるのはISといっても過言ではない。

どこの軍もISの開発の為の予算を膨大につぎ込んでいる。そのために航空戦力、陸上戦力の削減を行っている。

その為に軍内部での女性の比率も上がっているようだ。

 

女尊男卑。

 

間違った言葉だな。

 

 

 

シャワーを浴び終えて部屋に戻ると携帯の着信音が鳴っている。

千冬からだ。

 

「もしもし?」

「トウヤか?今大丈夫か?」

「問題ないよ」

「そうか。今日のお礼をもう一度言いたくてな。本当にありがとう。とても嬉しかった。一生大事にする」

「気にしなくていいんだよ。あれはお礼なのだから。大事にしてくれるとうれしい」

「それでもだ。ありがとう」

「うん」

「「………」」

無言になってしまった。

話題を考える。

束さんからの電話の事を話そう。

「そうだ。千冬が寝ている間に束さんから電話が来たんだよ」

「束から?なんであいつがトウヤの番号を知っているんだ?」

「俺もそう思ったら簡単な事だよって言っていたよ」

「あいつはまた危険な事をやっているな」

「やっぱりハッキングだよね?」

「恐らくはな」

「束さんは恐ろしい事が出来るな」

「あいつを敵に回すと大変だよ」

「みたいだな」

「「……」」

また無言だ。

気まずい。

 

「それじゃあ明日教室でな」

「わかった。宜しく頼みます。千冬先生」

「ああ。千冬先生もなかなか悪くない響きだな」

そう言って電話は切れた。

 

携帯を机の上の充電ホルダーに差し込みベッドに横になる。

 

 

 

 

明日に向けて早めに寝る事にしよう。

きっと大変な1日になるんだろうな。

 

 

 

 

 

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