ドラゴンを育てていたら いつのまにか私も強くなっていた 作:美味ケーキ
のんびり屋の遥は、急いで暗闇に包まれた。
「いただきます!」
目を瞑ってルーティーンの感謝の言葉を唱えると、いつものバタートーストと卵を食べ始める。
卵を一口に頬張ると、テレビからお気に入りの占いが流れてきた。
「今日1番残念なのは、双子座のあなた。何をやってもやる気が出ず、退屈な1日になってしまうかも。。でも大丈夫、何か新しいことにチャレンジすれば運気が巡ってくるでしょう。」
「はぁ〜、朝からテンション下がる」(テレビの時間に目をやる)
「やば、もう出なくちゃ」
遥は、急いでトーストを口に加えると、パン食い競争でもしているかのように玄関を飛び出した。
〜〜〜〜授業中〜〜〜〜
(はぁ〜、昨日も退屈、今日も退屈、明日も退屈、、なんで授業ってこんなに退屈なんだろう)
そう遥が思っていると、チャイムが鳴った。
「よっしゃ、終わり終わり!帰って昨日買ったVRMMOやーろお!」
「お、おまえそれってもしかして、『暁のドラゴンマスター』?」
「そうそう、待ちに待ってたやつ!」
「おー、それならおれも買った、ゲームの中で会おうぜ!」
「よし、フレンドなフレンド!」
「あ、おれもおれも!まっぜろ!まっぜろ!」
遥は男子生徒達の会話を聞いて、ふと朝の占いを思い出した。
(でも大丈夫、何か新しいことにチャレンジすれば運気が巡ってくるでしょう…)
(これだ!ゲームにはあんまり馴染みはないけど、新しいチャレンジ、、早速学校帰りにタナカ電機寄っていこ!)
遥は1人鼻歌を唄いながら学校を出た。
〜〜〜〜タナカ電機〜〜〜〜
「あった!これか男子が話していたゲーム。どんなゲームなんだろ」
パッケージの裏を見ながら、「なになに」
[あなたが体験するのはドラゴンと人間が共生する世界。相棒のドラゴンを育てながら、世界を制する力を持つと言われる『暁のドラゴンマスター』を目指そう!]
「…なんだか、カッコよ!」
遥は家に着くと、リビングに脇目も振らず、そのまま階段をかけ上がり、自分の部屋に入った。急いでパッケージを開けると、中に入っていたゴーグルを手に取り、
「うわぁ〜、これが最新のゲームかぁ」
「小さい頃に近所の男の子の家でやらせてもらったけど、今は大分進化してるんだろうなぁ」
遥がゴーグルを付けると、ヘッドホンから自動で音声が流れてきた。「これからあなたが体験する世界はめくるめく冒険の世界。冒険に疲れたら現実世界で休むことも、現実世界に疲れたらいつでもここに戻ってくることができます。さぁ、ゆけ!ドラゴンマスターよ!」
ドッシーーーーン!!
「いった、いたたたた。な、何何?もう始まったの?」
遥は気付くと、両手に大きな卵を抱えていた。
そして、遥が顔を上げ辺りを見回すと、、
ギャーギャー、ウーキッキッキ、ホーホー、、、
「み、密林ーーーー!?」