ドラゴンを育てていたら いつのまにか私も強くなっていた   作:美味ケーキ

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第16話 Help me! God!

夕食を食べ終えた遥とピートは、料理屋の並びにある宿屋に泊まることにした。

 

〜〜〜〜宿屋の部屋〜〜〜〜

 

「わぁ、ここのベッドもフッカフカ!現実世界の私のベッドより全然気持ちいい〜」

と遥はベッドに飛び込み、枕を抱きしめながら足をバタバタさせた。

 

「現実世界?…」

「あ、何でもない!現実は世知辛いな〜ってさ、ははっ」

「…変なの、でも宿屋にいた俺からすると、人が用意してくれた

ベッドってだけで、確かにフカフカで気持ちよく感じる。」

と言ってピートはベッドから起き上がり、リュックからさっきの料理屋で貰った残り物を取り出した。

 

「ほら、ラル、キルト、食べな」

ピートが両手に肉を乗せ、同時にラルとキルトの口に近付けると、2匹は一瞬で平らげた。

「いつもいい食べっぷりだね」

 

「そろそろ寝るか…」

「そうだね、お休み」

 

こうして街の夜は老けていった。

 

 

〜〜〜〜夜中〜〜〜〜

 

「くぅーーー…すぴーー…」

 

「がぁーー…むにゃむにゃ」

 

 

ボォ …

 

ボォォ …

 

 

ガシャン

 

「キャーー!」

 

遥は窓の外の音に飛び起きた。

急いでカーテンを開けると、夜空に流れ星のような火の粉が幾重にも流れている。

 

「大変!ピート、起きて!」

「ん?何だよこんな夜中に、まだ眠いんだけど…」

「窓の外!誰かが街に火を放ってる!速く外に出よう!」

「え?わ、分かった!ラル、キルト、起きて!」

 

遥は急いで大剣を背負い、キルトの手綱を引き階段を駆け下りる。

宿屋を出て街の方を見ると、教会を中心に周りの家々は炎に包まれ、沢山の人々が逃げ惑っている。

 

「襲撃だ!逃げろ!」

「キャーー!助けて!」

「おい、あんた達!ここから速く離れるんだ!」

遥とピートは火の手の方に向かいながら、多くの人々とすれ違う。

 

「ダメだ!遥、火の勢いが強過ぎる、俺たちも逃げよう!」

遥は燃えている家々の中心を見ながら

 

「待って!」

 

 

〜〜〜〜炎の中心部〜〜〜〜

 

(ダメだ…身体が動かない…)

(今度襲撃を受けたら、必ず…必ず仇を取るって決めていたのに…)

エチカは燃え盛る炎の中心で、震えながら動けないでいた。

 

「グヘヘヘヘッ、今晩の飯は随分と美味しそうだなぁ」

エチカは片手で側に落ちていた弓を握るが、手が震えて構えることができない。

(これじゃ……お母さんと変わらないじゃない……)

 

「遥!俺が風を送って入口の炎を弾くからその隙に!」

と言ってピートは指を打ち鳴らし、ロッドで風を送りアーチ状の穴を開ける。

遥はすかさず、指を打ち鳴らしながらアーチの中へ走り始める。

キルトが遥を上空から追う。

 

遥は走りながら

「キルト!炎に…炎を吹きかけて!」

 

キルトが炎を吐くと、その勢いは周りの炎を凌駕し、吹きかける度に炎が消し飛ぶ。

遥の行く手を阻むかのように、火の粉が飛び交い、焼けた木材が幾重にも倒れかかる。

 

「な…何あれ!? ライオン?」

(ドラゴンマスターって人間だけじゃないの?)

遥が炎の中で目にしたのは、半獣半人のライオンの様な生き物とドラゴンだった。

 

 

(あれだけ訓練をして、攻撃魔法や弓だって引けるようになった…でもこれじゃ…)

 

 

「キルト!こっち!」

 

 

(あ、あれは……)

エチカは火の粉の中を進む遥を目にした。

 

遥は走りながら、背にある大剣の柄を握る。

 

「ん?何だ?おやおや、こっちにも美味しそうな…」

とゆっくり振り向く半獣半人に向かって、遥は地面を思いっきり蹴り上げ高く飛んだ。

 

 

……ズバッ!

 

 

遥が着地すると、その後ろで真っ二つになった物体が崩れ落ちる。

 

 

エチカは、遥を見つめながら暫く動かなかった。

 

 

〜〜〜〜広場〜〜〜〜

 

遥は顔に付いた煤を片手で拭いながら

「いや〜でもびっくりした。私があんなに剣を振り回せるだなんて」

「そして、ライオンみたいな化け物を倒したのよ!」

(現実世界じゃ考えられない…パンを片手に全速力で登校する普通の女子高生だもん。これをクラスメイトが見たら…ふふ、想像するだけでワクワクしちゃう)

 

「でも、エチカが助かってよかった。遥すごいね」

 

「あ…まぁ…その……ありがと…」

 

遥は少し間をおくと、笑顔で

 

「うん、当然!」

 

「寝るところ無くなっちゃったろうし、今日は俺たちと一緒に宿に泊まろうよ」

「うん、たくさんお話ししよ!」

 

 

〜〜〜〜翌朝〜〜〜〜

 

街の石畳を朝陽が眩しく照らしている。

「よいしょ」

ピートは靴紐を結び、遥は大剣をキルトの背の上に乗せた。

「じゃ、そろそろ出発しよっか」

 

エチカは黙って荷造りをする2人を見ながら

 

「………あのさ」

 

遥は行く先の朝陽を見たまま

「何してんの?早く行くよ!」

 

エチカは一瞬驚いた顔をした後、笑顔で弓を背負った。

 

 

(よし、セーブっと)

 

 

 

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