ドラゴンを育てていたら いつのまにか私も強くなっていた   作:美味ケーキ

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第18話 刺客

〜〜〜〜水刻の城〜〜〜〜

 

所々に水が揺蕩う薄暗い城内には多くの魚が泳ぎ、木々の上で鳥達が囀っている。

「あのお方は、古に封じたドラゴンの復活を危惧されているが、そこまで気にする存在か? どう思う婆よ?」

 

「ヒッヒッヒッ、最も底辺のドラゴンマスター達とはいえ、無所属の少女と幼竜に一刀両断されたなど、あのお方の耳に入ったら…放っておくべきではないと思うがのぉ」

 

「そうか…ならばおまえが行け。生捕りにしてあのお方へ献上し、この世界からデリートして頂くのだ」

 

「御意」

 

 

〜〜〜〜王都近くの平原〜〜〜〜

 

「王都なんて楽しそ〜、きっと多くの人達と強いドラゴンマスターさん達も集まっているよね!」

 

「ああ、きっとね。おれも田舎の小さな村から出たことなかったから、これまでの街はもちろん、王都なんて想像も付かないよ」

 

「王都タワー!…なんてあったりして!エチカは王都に行ったことある?」

 

「……私もない。お母さんが居なくなってからは、あの街に籠もりきりだったし」

 

「そっかぁ…。あ、でもすっごく多くの人がいるから、お母さんを探すいい手掛かりもあるかもね」

 

「それはどうだろう…十年間も見つかっていないから簡単には見つからないと思う…」

 

とその時、遥達の上空を何かが通り過ぎたかと思うと、目の前に鋭い目つきのドラゴンに跨った紫頭巾の老婆が現れた。

 

「な、何⁉︎ 何⁉︎」

遥は背中の大剣の柄を握り、エチカとピートも武器を構える。

 

「ヒッヒッヒッ、本当にこんなガキと幼竜が…バインド!」

と言って老婆が指を打ち鳴らすと、ドラゴンの首が異様なまでに膨れ上がり、口から黄色いゴムのような輪が現れた。

 

(な、なんなの…気持ち悪い〜〜〜)

 

「オェーーーーーーー!」

とドラゴンは遥たち目掛けていくつもの輪を吐きかけてきた。

 

エチカはドラゴンに向かって構えていた弓を放ち、遥は指を打ち鳴らし「キルト!炎!」と叫びながら大剣を振り下ろす。すごい風圧と共に遥の剣がドラゴンの首元を襲う。

(こ、この風圧は⁈)

ドラゴンは素早く身を翻し、炎と遥の一振りをかわすと再び遥たちに向かって輪を放った。

 

バシッ! バシッ!

まるで浮き輪を付けたかのように無数の輪が遥たちの身体を締め付けた。

 

「な、何これ⁉︎ 身体が動かない!」

「くっ!うぉぉぉー!」

ピートは全力で輪を千切ろうとするがビクともしない。

キルトやラル達も翼ごと締め付けられ動けないでいる。

 

「ヒッヒッヒッ!その輪はドラゴンの胎内で分泌される特殊な物質で生成されたもの。普通の者では解くことはもちろん動くことすらできぬ」

 

「いったいあなた何者で、何が目的なの⁉︎」

 

「細かいことは知らなくていいのじゃ。これからおまえらを無刻様の所へ連れていくからのぅ…」

 

「無刻? 誰だそれ…」

 

「よし、回収じゃ!」

と言って老婆がドラゴンに首で合図したその時。

 

更に巨大な影が遥たちと老婆を覆う。

遥が空を見上げると、見たこともない大きなドラゴンが降下してきた。

 

「神鋭!」

ドラゴンに乗った男が剣を一振りすると、遥たちを締め付けていた輪が弾け切れた。

 

「むっ!あ、あのネックリングは…暁のドラゴンマスター⁉︎

…しまった、ここは王都の近くじゃったか」

 

その男は老婆の方に剣を向けると

「無刻に伝えろ、何があろうと王都民は全力で守るとな」

 

(こ、これが暁のドラゴンマスター…かっこ良い)

 

「くそっ…引くことにするわい!」

老婆はドラゴンの手綱を一振りし、飛び去っていった。

 

 

 

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