ダンジョンのある世界でチート無し縛りプレイ   作:就活失敗しました

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幼女誘拐から始まる異世界生活

 迷宮都市オラリオ。世界で唯一ダンジョンを擁し、この世界で最も活気のある都市と言っても過言ではない、ダンジョンと冒険者、そして神様の住む冒険の街。

 

 人口の多いこの街は、加えて荒くれ者が多い冒険者が多く滞在している関係もあって、今日も今日とて街の至る所で騒ぎが起きている。酒を飲み交わす子供の格好をしたパルゥムやヒューマン、ダンジョンに向かう獣人達、労働に勤しむドワーフやエルフ達。

 

 日の光に照らされて、誰も彼もが輝いて見える。

 

 そして、俺もまた、そんな街の熱に圧倒されている最中であった。

 

「今日も空が青いなあ。はは、ははははは」

 

 本当に、いろんな意味で、だが。

 

 …どうしてこうなった?俺は街の片隅の、人があまりいない場所で、空を仰ぎ見ながら、俺の目の前に広がる人生の迷路っぷりにただただ脱力して座り込んでいた。

 

 俺は、ただの高校生だ。日本生まれの日本育ち、普通に生きて普通に生活し、普通に今まで暮らしてきた一般男子高校生。それが俺だ。

 

 そんな俺だが、ある日目が覚めたら全く見知らぬ世界にいた。

 

 その世界は、神がいて、その神の眷属が冒険者を名乗り、そして都市の中央にそびえ立つバベルの地下に眠るダンジョンを攻略するべく日々挑み続けているという、ザ・ファンタジーな設定の世界だった。

 

 うん、何も言うな。わかってる、わかってるんだよ。

 

 ここが異世界で、しかも俺にとっちゃ紛れもなく現実で…ウェブ小説やアニメでよくある、異世界転生って奴を経験してしまったらしい、ってことくらい、俺はわかってんだよおおお!

 

 でも納得できるか!?なぜにホワイ!?俺が一体何をした!?

 

 俺は何もしていない。ただ日常生活を送っていただけだ。なんのドラマ性もアニメ的展開も映画的キャラ設定もなく、ただ毎日を漠然と生きていただけの凡人。それが俺。ザ・普通人間なのだ。

 

 そんな俺が異世界にきてどうしろと?何をしろと?俺を送り込んだ存在は、俺に一体何を期待していらっしゃるの?

 

 …わからん。なぜ、なぜ俺がこんな目に遭わなきゃいけんのか、全くわからん…。

 

「…どうしよ」

 

 しかも、俺は現状完全に詰んでいた。

 

 俺は完全に俺のままで目が覚めた。つまり、見た目も服も何もかも変化無し。服も脱ぐの面倒くさくて着替えずに寝たから制服姿のままだし、身体能力が上がってる感じは一切ない。魔法も少しは期待したけど全く使えなかった。

 

 勉強も運動も悪い意味で文武両道なただのガキが、なんのチートもないまま異世界でサバイバル生活とか…はい。控えめに言って、詰みです。

 

「どうしようかな〜〜…」

 

 とにかく働き先を探す?まず金が必要だろうし。いや、でもその前に身分の証明とかどうすれば良い?そもそも言葉とか通じる?よしんば通じたとしても、文化の違いとかで排斥されたり、差別されたりしたら後ろ盾がない俺はすぐに死ねるんだが?

 

 ぐ、ぐぐぐ…だめだ、良い案が全く浮かばない。本当にどうしよう。こう言う時って小説の主人公だったらどうしてたっけ?

 

 あいつらは…なんか、真っ先に冒険者になりにいくんだよな。

 

 いや無理でしょ(悟り)。俺、ただの坊主。喧嘩したことない。OK?

 

「…空は青いのに、俺のお先は真っ暗…不幸だ…」

 

 とあるラノベの主人公の言葉を借りて、現状を嘆いた。涙が出た。

 

「…」

「…ん?誰だ、君?」

 

 遠い目をして空を眺めていると、ふと視線を感じて振り返った。そこには8歳くらいの子供がいて、俺のことをじいっと見つめてきているではないか。

 

「どうしたの、君。迷子かな?実は俺も迷子なんだ。…人生の」

「…」

「…ごめん、聞かなかったことにしてください」

 

 精一杯のボケが黙殺された。恥ずかしいと言うよりも普通に精神にダイレクトダメージが来た。辛い。さっさとこっから立ち去ろう。死のう。

 

 立ち上がって、歩き出した。その時、くい、と制服の裾を引っ張られて、俺は足を止めることになった。

 

「…」

「…俺に何か用なのかな?」

 

 呼び止めたのは、案の定少女だった。

 

 なんの用かは知らないが、呼び止められてしまっては大人として無視する訳にはいかない。かがみ込んで視線を合わせてそう尋ねると、少女は自分の背中を見せて「ん、ん」と言いながらジェスチャーを始めた。

 

「…えっと…?」

「ん…」

 

 次は俺を指差す。俺はなんとか少女の意図を汲み取ろうと頭を捻って、そして恐る恐る尋ねる。

 

「…俺の背中を見せろってことで良いのかな?」

「ん」

「えっと、これでいい?」

 

 俺は言われた(?)通りに少女に背中を向けた。すると、少女はなぜか俺の服をめくり上げてこちょこちょと指で突いてきたではないか。悪戯がしたかったのかな?と状況を忘れてほんわかとした気分になりつつ、少女のするままに任せること数秒。

 

 ぱあ、と背後が光り輝き、俺の背中に急に熱が走った。

 

「…えっ?」

 

 思わず振り返る。すると、そこには光り輝く俺の背中と、光った指を離して、ふう、とやり遂げた顔を浮かべる少女の姿があった。

 

「ん」

「え、ちょ、今何をしたの…?っていうか、何これ?紙…?」

 

 なんか手渡されたので、それを見る。

 

 

ーーーーー

名前:クロキ・スズハラ

所属:ツクヨミファミリア

Lv.1

力:I−0

耐久:I-0

器用:I−0

敏捷:I-0

魔力:I-0

《魔法》

 

《スキル》

 

PS:お前はすでに私の眷属になった。逆らわずついてきてもらおうか

ーーーーー

 

 俺は、恐る恐る少女を見上げた。

 

「…えっと…なに、これ…?」

「ん」

 

 疑問の声は黙殺され、そして俺はそのまま幼女に誘拐されたのだった。

 




・ツクヨミ様
容姿はグラブルのツクヨミで想像してます。ただし設定まで模倣するとは言っていない。
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