抱きしめたいな、ガンプラ!【完結】   作:高々鷹々

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YouTubeでBF全話見たら書きたくなったので書きました。
そして、やっぱりトライ以降は性に合わないなと思いました。

タイトルとかあらすじとか、考えるの苦手なんですorz


本編
あえて言わせてもらおう、グラハム・エーカーでないと!


 飛ぶ。どこまでも続いていそうなこの雄大な空を、私のガンプラ、ユニオンフラッグが飛んでゆく。

 

 地上に見えるのは砂漠。遮蔽物が少なく、砂によって動きを阻害される面倒なフィールドだ。

 

 そしてつんざくように響く発砲音。正面に出現したアラートを煩わしく思いながら、私はフラッグを旋回させる。飛行形態の今ならば回避はギリギリだが間に合う。

 

「ちぃ、どこから!」

 

 続けて発砲される弾丸を躱しながら、敵機の方向を予測しそちらへ目を向ける。

 

 いた。ザクアメイジング。MSVの高機動型ザクを武装を追加しチューンアップした機体。私の塗装しただけのフラッグとは異なり、隅々まで手が加えられた機体だ。ガンプラの作り込み具合によって性能が左右されるこの戦いにおいて、こちらは圧倒的に不利。

 

「だが、モビルスーツの性能の差が、勝敗を分かつ絶対条件ではない!」

 

『そうだ。さあ見せてみろ、君のガンプラの力をッ!』

 

 相変わらずバトルの時だけ急変するキャラに苦笑をこぼし、私は当たらないとわかっていながらもリニアライフルを撃つ。

 

 砂に足を取られないホバー移動で回避されると、ロングライフルが通用しないと見たのかザクは両肩のミサイルポッドを使った。

 

「点で駄目なら面で、か。だが、私にその程度の攻撃が通じるとでもッ!」

 

 フラッグを傾け、ミサイルとミサイルの間を通り抜ける。背後で爆発が起きたが、それは私にとって追い風でしかない。

 

 だが直後、またも正面にアラート。ミサイルを躱すことを予測して、そこにロングライフルを撃ったのか!

 

「ぬぅう!」

 

 被弾は避けられない。ならばと機体を強引にひねり最小限の被害に抑える。

 

 高性能な機体ならばこの程度の攻撃かすり傷で済むが、生憎私のガンプラ製作技術は並程度。彼のザクアメイジングの攻撃となれば、全てが致命傷になり得る。

 

 右肩に被弾し、翼が根元から吹き飛ぶ。黒煙が巻き上がり、フラッグが墜落していく。

 

 追撃しようと両手にヒートナタを持ち替えたザクがこちらに接近するのを見て、私の脳裏にあるビジョンが浮かんだ。何度も見返した、あのシーン。

 

「ガンダムではないが・・・・・・抱きしめたいな、ガンダム!」

 

 柔らかい砂に機体がこすった瞬間、わずかに浮き上がる。そのタイミングで人型に変形し、勢いのまま迫っていたザクの顔面に膝蹴りを一発。

 

『くっ、その程度!』

 

 反撃として振るわれたヒートナタを、蹴りの反動を利用して回避。ついでにリニアライフルを数発食らわせる。

 

「ッ、やはり大したダメージは与えられんか・・・・・・」

 

 ユウキ先輩のザクの装甲は厚い。せめてビーム兵器か、もっと威力の高いライフルが欲しいところだ。変形機構との兼ね合いでリニアライフルのままにしていたが、改良の必要があるな。

 

『バトルの最中に考え事とはッ!』

 

 ヒートナタから持ち替えたビームハンドガンが火を噴く。翼が損傷しているため、回避が難しいと判断し、右腕のディフェンスロッドで弾く。

 

 流石にグラハム・エーカーのように全て弾くことはできず、二発ほど当たり、右腕が吹き飛び爆発。

 

「そこだッ!」

 

 爆発による紫煙の中に、フラッグを突撃させる。リニアライフルを捨て、プラズマソードを抜刀。

 

「切り捨て、ゴメェェェン!」

 

 紫煙を抜け、距離を取ろうとしていたザクに斬りかかる。

 

『チッ、だが!』

 

 しかし、攻撃が当たったのはハンドガンだった。翼が損傷していたため速度が出ず、距離が足りなかったのだ。

 

 即座にハンドガンを手放したザクは、それらが爆発するのと同時にヒートナタを抜きこちらに急接近。突進の直後で後退も間に合わず、機体を回転させて避ける。そして、ザクが振り向きざまに薙いだナタによって左足が斬られた。

 

『・・・・・・勝負あったな』

 

 そのまま倒れ込んだフラッグの首元に、ナタが突きつけられた。

 

《Battle Ended》

 

 システムのメッセージが流れ、同時にプラフスキー粒子が収束していく。戦場だったものが、宙へ溶けていく。

 残ったのは、無残に倒れた私のフラッグと、目立った外傷のないザクアメイジングだけだ。

 

 GPベースのディスプレイに私の戦歴が表示される。

 

《エイカ・コウスケ ユウキ・タツヤとの対戦成績3戦0勝3敗

 トータル命中率78% トータル回避率63% トータル防御率57% 地形対応評価B 交戦対応評価B》

 

 その数値に己の未熟さを痛感しながら、端末を筐体から取り外した。

 

「流石、いい動きだったよ、エイカ君」

 

 髪を下ろしながらユウキ先輩。

 ありがとうございます、とだけ言って、私はフラッグを回収する。こちらを待っていてくれたのか、バトルを観戦していた模型部の面々がユウキ先輩に群がり、彼を褒め称える。

 

「いいバトルだったぞ、エイカ」

 

 唯一私に話しかけてきたのは、同じクラスのゴリラ顔、ゴンダ・モンタだけだ。

 

「ありがとう、とだけ言っておこう。やはり私では彼に敵わなかった」

 

 そう言って、手の中のフラッグを見る。右腕は大破し、他にもいくつか細かい傷が付いている。背面も、恐らくミサイルの破片によってダメージがあるはずだ。バトル中は追い風だのと言ったが、ただの強がりだ。

 

「しかし、バトルの時のあの口調はなんとかならんのか? 同学年のオレにまでとは言わんが、先輩であるユウキ会長には敬語をだな・・・・・・」

 

「一年間の付き合いで察して欲しいものだな。私のこの口調は、どうにもできんよ」

 

 私のこの口調は、機動戦士ガンダム00に登場する、グラハム・エーカーのものだ。尊敬する彼の真似ばかりしていたら、自分の口調と混ざってしまった。モノマネとしてもクオリティが低いので直したいと思うことはあるが、今更どうにもできない。

 

「先輩、今日のバトルは中々でしたね。褒めてあげます」

 

 どこか上から目線な言葉遣いで私に話しかけてきたのは、一年の後輩であるシグレ・アサヒだ。私と同じようにどこかこじらせているようで、誰に対してもこの口調である。

 

「ああ、ありがとう」

 

 そう言って、私は軽く微笑んだ。褒められて悪い気はしない。

 

「さ、バトルはこの辺にして部室に戻ろう」

 

 ユウキ先輩の声に返事をして、彼らが体育館から出て行く。私とユウキ先輩はバトルシステムの筐体の片付けだ。ゴンダは生徒会でやることがあるらしい。ユウキ先輩は何もないのは恐らくもう終わらせているからだろう。

 

 今日はこの聖鳳学園にバトルシステムを設置するというので、そのテストバトルをしていたのだ。ユウキ先輩の父が学校に寄付したそうだ。

 

「しかし、あのミサイルをよけるとは思わなかったよ。前から思っていたが、その操縦技術、日頃からバトルをしているのかい?」

 

「いえ、以前戦闘機を操縦する類いのゲームにハマっていましてね。それで感覚をつかみました」

 

 ゲーセンなどにある、レースゲームの亜種だ。ガンプラバトルがまだ普及する前は、私はアレでフラッグファイターとして戦ったものだ。

 

「なるほど。それで」

 

「私からも質問、よろしいでしょうか」

 

 筐体を六角形のものに分割しながら、ユウキ先輩は頷いた。

 

「先輩は何故ザクを? 確かにバリエーションは豊富ですし、カスタマイズもしやすい。ですが、他にもいい機体は沢山あるというのに」

 

 例えば、ガンダム。ユウキ先輩ほどのファイターがガンダムを駆り、私と戦ってくれたならば、どれほど素晴らしいだろうか。

 ユウキ先輩は逡巡した後、手を再び動かしながら口を開いた。

 

「そうだね・・・・・・イオリ・タケシというビルダーを知っているかい?」

 

「ええ。第二回ガンプラバトル選手権の選手ですよね。ガンダムを使う」

 

 RX78-2ガンダム。ファーストガンダムとも呼ばれるその機体で選手権に出場するだけでも凄まじいというのに、彼は準優勝という結果を残した。恐らく、純粋な作り込みで。

 

「僕はその人に憧れていてね。だから、ガンダム()のライバルでありたいという思いを込めてザクを使っているんだよ」

 

 なるほど、それでザクを。確かに先輩のザクアメイジングならば当時のイオリ・タケシに勝るとも劣らないだろう。

 

「ありがとうございます。教えてくださって」

 

「別に隠すことでもないからね。

 それより、君は出るのかい? ガンプラバトル選手権」

 

 その問いに、今度は私が思わず手を止める。

 私はガンプラバトルが好きだ。無論ガンプラも、ガンダムシリーズそのものも。

 しかしそれが選手権への出場に直結するかと言えば、答えは否だ。

 

「・・・・・・まだ、考え中です」

 

 それだけ返して、私は作業に戻った。

 

 ユウキ先輩は私の思いを察してくれたのか、それ以上聞かずにいてくれた。

 

 

 片付けを終えた頃にはすでに日が傾いていた。部室へ歩いていると、向かいの廊下から仕事を終えたらしきゴンダがやってきた。

 

「お疲れ様です、会長。エイカも」

 

「ありがとう、ゴンダ君」

 

 ユウキ先輩が扉を開き、部室に入る。私とゴンダもそれに続いた。

 

「あ、おかえりなさい部長!」

 

 部員の一人の声に応えながら、ユウキ先輩は自らの席についた。

 

「ゴンダ、君は今日は何をするんだ?」

 

「先ほどのバトルを見て、スモーの改良案を思いついてな。それを試す予定だ」

 

 ニィ、とゴリラ顔を歪める彼に苦笑しながら、私は自分の机にボロボロのフラッグを置いた。

 

「それ、直すんですよね。なんだったら、私が手伝ってあげてもいいですけど」

 

 席の近いシグレが椅子を傾け、こちらに話しかけてくる。

 

「いや、遠慮させてもらおう」

 

 彼女の申し出はありがたかったが、自分のガンプラは自分で直す主義だ。私のような凡百なファイターでは、他人の手が加わったガンプラでは上手く動かすことができないのだ。

 

「ふーん、そうですか」

 

 どこか拗ねた様子のシグレには疑問だが、まあいいだろう。

 

 しかし、ユウキ先輩のザクアメイジング。あれはすさまじい。まさしくアメイジングだ。

 

 普通、バトル用のガンプラを改造するとすれば、武器の換装やミキシング、ディテールアップ程度だ。というのも、下手に改造すれば完成されたバランスを崩してしまい、弱体化する結果となる。そのため、あそこまで手を加えて機体の出力を改造前よりも上げるというのは、それこそ世界大会レベルだ。まあ、当然だろう。ユウキ先輩は、文字通り世界大会出場者なのだから。

 

 観賞用のガンプラならば、私でも作ることはできる。それこそ、模型部部室の展示棚には私の作った『GNフラッグ』が飾ってある。

 だが、それではバトルできない。もし戦わせようものなら疑似太陽炉に機体が耐えきれず、十秒と経たずに爆発する。

 

「・・・・・・難しいな」

 

 やはりガンプラは、ガンプラバトルは難しい。だが、だからこそ楽しいのだ。

 

 私は頬を三日月にしながら、フラッグの改修を進めた。




エイカ・コウスケ
聖鳳学園高等部二年で、ゴンダとは同じクラス。
模型部に所属し、フラッグを始めとした飛行形態を持つ機体を好んで作る。
バトルの腕前はそこそこ。しかしバトル用のガンプラを上手く作れずにいる。
幼少期にグラハム・エーカーにハマり、彼の真似をし続けたことで本来の口調と混ざった独特な口調となっている。
アメリカ人のクォーターであり、金髪。学校でも目立つが口調がアレなので友達は少ない。


ガンプラを改造するのは簡単でも、それをバトルに使えるかって言われると微妙だと思うんです。完成された機体をいじっているわけですし、極論塗装だって塗料が均一に塗られていないと重量バランスが崩れますし。
劇中でモブのガンプラが色だけ変えた機体だったりしたのは、そういう事情があるのかな、と解釈しました。
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