抱きしめたいな、ガンプラ!【完結】   作:高々鷹々

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そろそろ本当にタイトルのネタがなくなってきました。マズいです。
それと、前書き後書きでの話題もなくなってきました。かなりマズいです。


愛を超越すれば、それは憎しみとなる!

 ガンプラバトル選手権世界大会第一ピリオド。その内容は、四人一組による勝ち抜き戦だ。

 

 私の出番は第四試合。対戦相手の三人―――否、三組だな。レナート兄弟という二人一組の選手達がいる―――の中に特に有名なファイターはいなかった。しかし、予選を勝ち抜いてきた猛者達だ、油断はできない。

 

 開会のアナウンスが終わり、六つあるバトルシステムが一斉に起動する。私もその一つにGPベースをセット。『Masked Ham』の名前が表示される。

 

《Battle Start》

 

「サキガケ、出陣する!」

 

 カタパルトから私の新たなガンプラ、サキガケが発進する。これはアヘッドを改良した機体で、原作の機体を再現するだけでなくいくつか改造を施してある。

 

 フィールドは森林。まず様子を見ようと地上に降り立つと、容赦なくアラートが鳴った。

 

『ハッ、アヘッドごとき!』

 

 リック・ドムのジャイアント・バズだ。一つ舌打ちしながらロングビームサーベルを抜刀し弾丸を切り裂く。

 

『クソッ!』

 

 髑髏マークの付いたドムが悪態をつき、次弾を撃ち込もうとすると、細いビームがその機体を貫いた。

 

『上方不注意、ってな』

 

「次から次へと・・・・・・」

 

 上を見ると、まだキットが発売していないはずのケルディムガンダムサーガがビームライフルを撃った後だった。ドムの装甲を貫くために、圧縮型のライフルを使ったのだろう。

 

『次もいただきだぜ!』

 

「そうはさせん!」

 

 幸い、ドムは機能停止したものの大破には至っていない。私はサキガケに行った改造の一つ、ワイヤーフックをドムへ放った。これは遠距離武器の代わりとして右腕に装備させたもので、フックからは任意でビームサーベルを出せるようにしてある。

 要は、GNフラッグでのケーブル付きビームサーベルの改良版だ。それを使って髑髏マークのドムを掴み、スラスターをふかして後退しながら凧揚げの要領でドムを銃をこちらに構えたケルディムにぶつける。

 

『のわっ!?』

 

 まさかあちらもこんな手は予想していなかったのだろう。そのままロングサーベルを構えて飛翔し、斬りかかる。

 

「おおおお!」

 

 しかし、体勢を立て直したケルディムもサーベルを抜刀しこちらに対応した。射撃だけではないということか。

 

『俺に(けん)を使わせるとは!』

 

 まるでロックオンのようなセリフだ。ならばこちらもグラハムで返そう。

 

「身持ちが堅いな、ガンダム!」

 

 そのまま押し切り、ケルディムのバランスが崩れたところで蹴り飛ばす。ええい、こんなことならフラッグで来ればよかった! 原作再現ができる機会だったというのに!

 

『蹴りを入れやがった!』

 

 反撃に連射されるビームピストルをシールドのディフェンスロッドで弾き、再度接近してサーベルで切りかかる。

 

『チィ!』

 

 再びサーベル同士での鍔迫り合い。私はシールドを捨て、左腰に手を伸ばす。

 

「刀が一本のみだと思うな!」

 

 右手に持ったのはショートビームサーベル。それを逆手にしてケルディムのコックピットへ突き立てる。

 

『クッソォ!』

 

 一拍置いて爆発。だがこのバトルは四人一組。まだ敵はいる。

 

「ッ、捉えた!」

 

 回転しながらショートサーベルを投擲する。スナイパーライフルによる狙撃と入れ違うように、ショートサーベルがライフルに突き刺さる。

 

『何!?』

 

 グリーンに塗装されたジムスナイパーⅡだ。恐らく、ずっと身を隠していたのだろう。ケルディムと戦っているときに撃って来なかったのは、確実に勝利するためか、居場所を知られることを忌避してか。恐らく前者だ。

 

「もらった!」

 

 そのまま接近し、ロングサーベルを振るう。ジムスナイパーの迎撃は間に合わず、その身体は上下に分かれた。

 

《Battle Ended》

 

 会場に歓声が起こり、そして私の勝利がアナウンスされる。新鮮な感覚だ。地区予選では歓声を浴びることなどなかったからな。

 

 しかし、それに酔いしいるほどの余裕は私にはない。勝利に安心しきった身体を律し、機体を回収し控え室に向かった。

 

 

 三代目メイジン・カワグチ。試合を終え、イオリ・セイ、レイジらに素顔を明かした彼が部屋へ戻ろうとすると、その通路に一人の男が待っていた。

 

「初めましてだな、メイジン」

 

 黒い仮面に和風の装束、そして目立つ金髪。メイジンが足を止めるには十分な変人であった。

 

「・・・・・・君は?」

 

「ハム仮面。君の存在に心奪われた男だ!」

 

 そう名乗る変人に、メイジンはほう、と興味深そうに呟き、アランは警戒を強める。先程の少年達のこともあって、彼は少し気が張っていた。

 

「どこの誰か知らないが、メイジンに何の用だ?」

 

 眉を釣り上げ睨むアランに、変人はまるで動じず答える。

 

「フッ、同じ仮面のファイター同士、挨拶でもするべきかと思ってな」

 

 それだけだ、と変人は身を翻し、彼らの横を通って去った。自分勝手な男だ、とアランはその後ろ姿に思う。

 

「メイジン、彼は・・・・・・」

 

「どうやら私は、同性からの好意を集めやすいらしい」

 

 アランを気遣って放ったメイジンの冗談は、アランをかなり動揺させたとか。

 

 

 部屋に戻り、仮面を外す。まさか()()()()()先でメイジン(ユウキ先輩)に出会うとは。不幸中の幸い、というヤツだろうか。

 

「やはり彼と私は運命の赤い糸で結ばれているようだな」

 

 そう、戦う運命にある。そうほくそ笑み、世界大会に出場することになった経緯を思い出す。

 

 隊長とのバトルの後、彼から二代目メイジン・カワグチが倒れたと聞いた。ユウキ先輩がメイジン候補の筆頭だ、とも。そのため、ユウキ・タツヤとしてではなくメイジンとして世界大会に出場すると断言した隊長に、私も世界大会に出るチャンスを与えられたのだ。

 

 他地区での予選参加。それが、隊長が示した抜け道だった。別段、禁止されていることではないらしい。その辺り緩いことについては、PPSEを憂うべきか感謝するべきか判断に迷う。

 そして『ハム仮面』として予選に出場し、優勝。元々、ユウキ先輩やイオリ少年達が規格外なだけで、隊長によれば私には十分世界でも戦える技術があるらしい。リカルド・フェリーニやジョン・エアーズ・マッケンジー卿、カルロス・ガイザーを下したアイラ・ユルキアイネンなどを見ていると、本当かと疑いたくなるが。

 

 私は、彼が『全力を尽くす』という約束を破ったことが許せないわけではない。それに関しての怒りは感じているが、それだけならば文句を言えばいいだけだ。

 そこまでして彼は一体ナニを求めているのか、ナニをしたいのか。それを知りたいのだ。

 

 かくして、私の戦いは再び幕を開けたのだ! 全てはユウキ・タツヤとの再戦のために!

 

「一人でなに盛り上がってるんですかー、先輩?」

 

 回想が終わったタイミングで丁度聞こえた声にギクリとしながら、悟られないようにポーカーフェイスで振り返る。

 

「シグレか。次の試合に向けて士気を高めていたのだよ。ファイターには大事なことだ」

 

 ふーん? とこちらへジト目を向けてから部屋に彼女が入る。別段やましいことをしていたわけではないのだが、何故こうも焦っているのだろうか私は。

 

「それで、どうかしたのか? 約束の時間には、まだ早いと思うが」

 

 バトルを教えるのは大抵夜になる。大会が午前中にあり、機体の改修やメンテナンスに夕方までかかるため、その時間にしてもらったのだ。

 

「用事がないと部屋に来ちゃいけないんですか、ケチ先輩」

 

「いや、そんなことはないが・・・・・・」

 

 大会に出るに当たって両親に毎日連絡するように言われ、昨日のことを話したら色々聞かれたのだ。そして、年頃の少女が男の部屋に入るというのがあまり良くないとも言っていた。私にはその辺りの感覚がよくわからないのだが。

 

 ベットに寝転び、雑誌を読んでいるシグレへ目を向ける。本人がいいなら別に問題ないだろう。

 私はサキガケを取り出し、今日のバトルで傷付いた部分の修復を始めた。

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