抱きしめたいな、ガンプラ!【完結】   作:高々鷹々

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とうとう題名に困って小説版を購入しました。グラハムの地の文という最高の文章があったのでそこからも名言を使っていこうと思います。


サキガケの力で勝ち取ったものは私の物!

 宿舎で朝食を食べながら、昨日行われた第一ピリオドの最終戦、メイジンのバトルを思い出す。

 

 彼の機体はザクではなく、新型のケンプファーアメイジング。機動性が高く、黒煙の中でも陸戦型ガンダム(ジム頭)の位置を把握していたことから索敵能力も高い。

 武器はビームライフルとヒートダガー。ライフルは複数のパーツで構成がされており、恐らくあのグリップ部分は別の銃器になっている。形状からしてビームピストルだろうか。そして銃身も取り替えられると思われ、戦局に合わせて組み替えて戦うのだろう。と考えれば、あのバックパックのバインダーは差し替えパーツが入っているのか?

 

 うむ、と唸り、味噌汁をすする。ここの朝食はバイキング形式で、私は白米に味噌汁、焼き鮭、漬物と和食ラインナップだ。やはり朝食はこうでなければ、と私が一人感慨にふけっていると、向かいの席に座る者がいた。何故か私の席には私しかおらず、誰も寄りつかなかったのだ。

 

「よう。お前、隊長んところで鍛えられたんだって? 昨日のはいいバトルだったぜ」

 

「リカルド・フェリーニ・・・・・・」

 

 まさかイタリアの伊達男に興味を持たれるとは。隊長の名に泥を塗らぬよう、精進せねばな。

 

「そちらこそ、二日酔いの状態であっさり勝ち上がるとは、驚きでした。やはり、世界で戦うファイターはいかなるコンディションでも戦えるということか」

 

「あ、ああ。まあな」

 

 なるほど、やはりか。隊長も二日酔いの状態で特訓してくれたこともあったので、もしやと思ったのだが、世界レベルともなれば体調不良は障害にならないらしい。どこか歯切れが悪いのは気のせいだろう。

 

「しかし、何故私の席へ? 貴方ならばまたナンパでもするかと思ったが」

 

「そうしたいのは山々だが、今は大会期間中だ。ナンパ用のガンプラを作る暇もねぇし、自重して・・・・・・」

 

 フェリーニの視線がとある女性を捉えた。そして流れるような動作で立ち上がり、歩み寄る。

 

「ごきげんよう、麗しのセニョリータ。昨日のバトル、素晴らしいものでした」

 

 確か、デンマーク代表のルイーズ・ヘンリクセンだったか。第一ピリオドではゲーマルグを駆りイオリ少年達と戦っていた女性ファイターだ。

 しかし、リカルド・フェリーニ。舌の根も乾かぬうちに、とは言うが、彼の手のひらはドリルか何かか? 英雄色を好む、とも言うし、世界レベルのファイターともなれば美しい女性を口説くのは当たり前なのかもしれない。

 

「なら、邪魔するのも野暮というものだろう」

 

 と、立ち上がって食べ終えた食器を片付ける。大会は十時からだ。時間的にまだ余裕はあるが、サキガケの調整をしておいて損はないだろう。

 私は談笑しているフェリーニとヘンリクセンを視界から外し、部屋に戻った。

 

 

 会場に集まったファイター達は、驚愕していた。数百基ものバトルシステムが連結され、いくつものジオラマを形成しているのだ。

 アナウンスによる説明によれば、第二ピリオドの内容はバトルロワイヤル。80を超えるファイター達全員でバトルを行い、三分の一に減るまで戦うというものだ。

 

「ふむ、ならば数が減るまで身を隠すのが得策、か」

 

 しかし、隠れてやりすごすつもりは毛頭ない。私はファイターだ。自ら戦い、勝利を手に入れずして何が戦士(ファイター)か!

 

 筐体にGPベースをセット。スクリーンが投影され、コンソールが浮かぶ。サキガケを置くと、粒子によって機体が読み込まれモノアイが光った。

 

「サキガケ、出陣する!」

 

 カタパルトを出た先は、峡谷。まず水中でなかったことに安堵しながら、その谷間に降り立つ。

 このサキガケもGNフラッグと同じようにどんな環境でも戦えるようにはしてあるが、それぞれに適した機体、例えばズゴックやゴックには適わない。そのため、ベストは大気圏中のステージだった。

 

「私は運が良い・・・・・・」

 

 峡谷は悪くないステージだ。砂漠のように砂に動きを取られることはなく、森林のように遮蔽物が多くなく、平原のように少なすぎない。欲を言えば空で戦いたいが、地上からの射撃で墜ちることは目に見えている。

 

 幸運を喜んでいる私の視界にアラートが出現する。回避して見れば、第一ピリオドで戦ったケルディムサーガだ。

 

『昨日の借り、返させてもらうぜ!』

 

 GNスナイパーライフルによる狙撃だ。しかし、狙撃手が自分の居場所を教えるなど、愚策!

 

 狙撃を回避していれば、隠れていたウィンダムがケルディムをサーベルで切り裂く。

 これはバトルロワイヤル。敵は複数いる。

 

「もらった!」

 

 そのウィンダムに向かってワイヤーフックを飛ばし、内蔵サーベルを起動してコックピットを貫く。そのまま懸架されていたビームライフルをフックに引っかけ頂戴する。隊長との特訓でザク達と戦った時の経験上、こういった手合いはどれだけ消耗を抑えて戦うかが重要だ。特に武器は奪って使うのが理想的。

 

『後ろがガラ空きだぜ!』

 

 背後からハイパージャマーで姿を消していたデスサイズガンダムが斬りかかってくる。しかし、姿は消せても駆動音でいることはわかっていた。

 ロングサーベルを逆手に持ち替え、コックピット部分にそのまま突き立てる。

 

『なっ、背中に目でも付いてんのか!?』

 

 手応えが軽い。とっさに後退したらしく、致命傷は避けたようだ。

 

「フ、心眼は鍛えてある」

 

 振り返り、バーニアやスラスターの音と直感から位置を割り出し奪ったライフルを三発放つ。二発着弾し、デスサイズが黒煙を上げ大破した姿を見せる。一発外したか。まだまだ訓練が必要だな。

 

『な、なんだよコイツ!?』

 

『クソ、こんなのがいるなんて聞いてないぞ!』

 

 周囲にいたファイター達の声が回線に乗って聞こえる。私程度の若輩者を恐れるか。

 

「ならば、斬る価値もなし!」

 

 湧いてきた不快さを、血を払うようにサーベルを振るうことで紛らわす。そのまま納刀し、代わりにデスサイズのビームサイズを拾おうとして、やめた。鎌を扱うのには慣れていない。そんな武器を使っても、扱いきれずやられるだろう。ウィンダムのライフルも、自分で作ったものとは銃口の位置も反動も違うため完全には使いこなせていない。

 

 と、どこからか地鳴りがした。サキガケを浮上させ峡谷の上まで上がると、遠目に見えるほど巨な大ザクがいた。

 

「あれは・・・・・・PG? 否、メガサイズモデルか!」

 

 1/48スケールのガンプラだ。しかし、選手権の規定では1/144スケールのガンプラしか認められていないはず。一体誰が・・・・・・。

 

「そこか」

 

 突っ立っているこちらを狙おうとした機体がいたため、ショートサーベルを投擲する。振り向くとガンタンク初期型だった。運良く砲身に刺さったようで、弾が暴発し誘爆した。いるのは駆動音でわかったが正確な位置まではわからなかったため、かなり適当に投げたのだが。

 

 ショートサーベルを失ったのは痛いな、と思いつつ、メガサイズザクへ視線を戻す。

 戦っているのはイオリ少年達のスタービルドストライク、ヤサカ少年のガンダムX魔王、リカルド・フェリーニのウイングガンダムフェニーチェのようだ。というか、狙われているスタービルドストライクを二機が援護している、らしい。距離が遠いため、愛でなんとなくわかる程度だ。

 

「ザクでバトルを妨害するなど・・・・・・!」

 

 隊長の弟子として、怒りを感じる。例えロワイヤルに関係のない機体だとしても、見過ごせない。

 私は我慢弱く、落ち着きがない男だ。しかも、姑息な真似をする輩が大の嫌いときている。ナンセンスだが、動かずにはいられない!

 

 サキガケの粒子残量が問題ないことを確認し、峡谷から飛び立つ。このライフルでは接近しないと届かない。彼らの味方をするわけではないが、あの機体は気に食わない。

 

『爆熱! ゴッドフィンガー!』

 

『なんの! シャイニング・バンカァァァアア!』

 

「えぇい、邪魔だ!」

 

 戦闘していたゴッドガンダムとエクストリームガンダムを叩っ斬りながら進む。砂漠のど真ん中でガンダムファイトとは、少し羨ましいではないか! しかし、迂回するよりも倒した方が早かった。不意打ちとなってしまったことは申し訳なく思う。

 

 そうして他のガンプラを倒しながらしばらく進み、近くから聞こえた射撃音に前方を見れば、スタービルドストライクが極大のビームを放っていた。あれほどの威力の攻撃、初めて見た。

 思わず足を止める。あの光の翼といい、今回のビームといい、どれほどのギミックが詰まっているのだ、あの機体は。

 

『クソ、なんでメイジンがこんな所に!』

 

 声のした方向を見ると、イナクトが逃げるようにこちらへ来ていた。後ろを気にしているようなので、ライフルを向けてトリガーを引く。

 

『なっ、嘘だろぉ!?』

 

 声がコーラサワーに似ていたが、気のせいか・・・・・・?

 急に爆風がサキガケを襲い、再びザクへ視線を戻すと、どうやら先ほどのビームで破壊したらしい。私が出るまでもなかったか。

 

 ここで、第二ピリオド終了のブザーが鳴った。ようやく規定人数まで減ったらしい。ということは、さっきのイナクトが最後のガンプラだったのか・・・・・・? 真相はわからないので、考えるのは止めておこう。

 

 粒子が収束し、コンソールが消える。と、眼前に私のサキガケがあった。どうやら、それぞれのファイターの元にガンプラが戻されているらしい。巨大なバトルシステムの上から機体を探すのも面倒だし、ウィンダムのファイターにライフルを返す手間も省けた。運営の計らいには感謝だな。

 それはそれとして。

 

「あのザクのことは別だがな」

 

 携帯端末を取り出してみれば、観客席にいるシグレからの連絡が入っている。メガサイズモデルのザクは、運営側によるサプライズ、だそうだ。

 ふざけるな。と端末を握りしめる。あれが無ければイオリ少年達は奥の手を明かさずに済んだ。私もガンダムファイトを邪魔せずに済んだ。全く、迷惑千万だ。

 

「ああ、全くだ。ふざけている」

 

 ふと、隣から声がした。メイジン・カワグチだ。まさか、こんな近くにいたのか。凄い偶然があったものだ。

 彼は憤った様子で通路へと入っていく。確かそちらは控え室ではなく、スタッフルームや大会主催者であるマシタ会長の部屋しかないはずだが。前回迷ったので覚えている。

 まあ、あのユウキ会長(メイジン)だ、下手なことはしないだろう。私はサキガケを手に取り、自室へ戻った。




小説版だと、「抱きしめたいな、ガンダム!」のシーン、「これが、私流の愛のベーゼだ、ガンダム。」とも言ってるんですよね。キモい(カッコいい)な、グラハム!

第二ピリオドで自分のガンプラ回収するの大変だろうな、と思ったのでファイターの元に戻ることにしました。選手達がバトルシステムの上に上がってガンプラを探す光景も、それはそれで見たいですが。
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