抱きしめたいな、ガンプラ!【完結】   作:高々鷹々

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第四、第五、第六ピリオドはダイジェストでお送りします。ご了承ください。


だが、私はしつこく諦めも悪い、俗に言う人に嫌われるタイプだ!

 その後もガンプラバトル選手権では激戦が繰り広げられていた。

 

 第四ピリオドの内容は射撃。それも限られた段数で遠くの六つのターゲットを撃ち抜くというもの。撃ったターゲットの数に応じてポイントが与えられる。

 

 そして、サキガケを駆るハム仮面は。

 

「ぬうううぅ・・・・・・」

 

 本人も言っていることだが、彼は落ち着きのない男だ。じっとしていることなど、ガンプラを作るときくらいのものである。射撃はできても、それは中距離までが限界。スナイパーの真似事なぞ、彼には合わない。

 

「興が乗らん!」

 

 と、なんとか一発だけ命中したターゲットに言い訳をするのだった。

 

 

 第五ピリオドは運動会。白組と紅組に分かれ、各競技に出場し、勝ち星の多いグループにポイントが加算される。

 彼は白組、フラッグで玉入れに出場した。そう、アニメにも登場していたのである。イオリ・セイ、レイジ組と同じ競技ということで、彼のテンションはかなり上がっていた。

 

「見よ! ブシドーは、白く燃えているッ!」

 

 赤く、ではないのは白組だからか。そんなハイテンションな彼はフラッグで高速に動き回り玉を拾っては投げ、拾っては投げと気持ち悪いくらい活躍した。狙いが甘く投げた玉が籠に入る割合は低かったが、物量でゴリ押した。

 その結果、玉入れは勝利し、総合で白組も勝利したのだ。

 

 

 第六ピリオドは三対三の集団戦。彼と同じグループになったのは、かのジョン・エアーズ・マッケンジーだった。

 

「かのホワイト・ホーキンスと共闘できるとは、光栄であります!」

 

 もう一人は因縁浅からぬケルディムサーガのファイターだった。ケルディムは調整中とのことで、デュナメスリペアⅢを使うという。

 

「あのガンダムと共に戦えるとは!」

 

 これまたハム仮面のテンションは有頂天。彼がマスラオで先行し三体を相手取り攪乱、そこをデュナメスで狙撃しながらマッケンジー卿のクロスボーンガンダムX2ジュリアで追い詰める、という作戦で戦いに挑む。

 

「爆・熱! ゴッド・フィンガー!」

 

「私の道を阻むな! ゴッド・グラハム・フィンガー!」

 

 そして対戦相手にいたゴッドガンダムと応戦。マスラオにゴッドフィンガーは搭載していなかったが、その場のノリとテンションと愛の力でなんとかした。余談だが、その間デュナメスが敵二機を足止めしてくれていた。

 

 そして最後はマッケンジー卿が二機を撃破、マスラオとゴッドガンダムが相打ちし、ハム仮面達の勝利となった。

 

 

「今のところ、負けはないですね。全勝、とは言えませんけど」

 

 先輩にしては奮闘していますね、という悪態を飲み込み、シグレ・アサヒはステーキを口に運んだ。向かいに座るコウスケはうなずき、頬を緩める。

 

「次のバトルで勝てば、まだ本戦に出場できる見込みはあるな」

 

 そう、予選のバトルはもう半分以上終わってしまった。この時点で脱落が決定していても、おかしくはないのだ。そしてエイカ・コウスケ(ハム仮面)は辛くも生き残り、未だ本戦へのチャンスを有している。

 

「しかし、シグレと共に昼食とは。初めてだな」

 

 と、彼は焼き魚の骨を取って皿の隅に退かす。彼らが今いるのはファミリーレストランの一つで、お昼時ということもありよく賑わっていた。

 

「まあ、なんといいますか。大会中なのに、バトルを教えて貰っているので、そのお礼みたいなものです」

 

 と、アサヒは顔を背けながら言った。かなり小声だが、耳のいいコウスケには届いている。そうか、と好意に感謝した。

 

 ハム仮面がフラッグやサキガケ、マスラオを使い分けているのにも理由がある。状況に合わせて機体を変えている、というのもあるが、アサヒにバトルを教える時間を確保するために、一つが大破してしまってもバトルに支障が出ないようにするためだ。

 約束は守る、義理は通す、その上で自由に生きるのがエイカ・コウスケという男だった。変人だが、最低限の礼儀は持っているのだ。

 

「しかし、女性に支払わせるというもの些か気が引けるな。割り勘、というわけには・・・・・・」

 

「ダメです。お礼なんですから、払わせてください」

 

 ブシドーの心得の一つ、『レディ-ファースト』に基づいた彼の提案は、バッサリと斬り捨てられた。他人からの好意は無下にするものでもない、というアメリカンスピリッツに従い、それ以上何も言わないことにした。忙しい男だ。

 

「いや、そうとも言えんぞ? 予選を全勝している選手は、結構いる」

 

 コウスケの聡い耳が、聞き覚えのある声を拾った。身体を隠しながらそちらを伺ってみると、イオリ・セイ、レイジ、ラルさん、そして見知らぬ少女の四人がいた。

 

「先輩、なにストーカーっぽいことしてるんですか? キモいですよ」

 

 少し見直したらコレだ、とアサヒはため息をつく。選手権の試合もそうだ。バトルで戦っている姿は中々格好良いのだが、彼の音声が付くと途端に残念なものができあがるため、応援すべきか否か微妙に迷うのだ。もちろん、応援はするのだが。

 

「いや、あそこに少年達がいてだな・・・・・・」

 

 コウスケとしては、選手権に参加していない自分がこんなところにいことを知られるのはマズいのだ。この変人、いまだにハム仮面=自分がバレていないと思っている。

 その事実にアサヒは軽く頭を押さえてから、下手な忍者のように身を隠しているコウスケに言う。

 

「普通に『選手権を観戦しに来た』って言えばいいじゃないですか。メイジン・カワグチ、でしたっけ? あの人がユウキ先輩なのはわかっているんですから」

 

 そうジト目を向けるアサヒに、それもそうかと居住まいを正す。味噌汁でも飲んで落ち着こう、とお椀を持って、ハッとした。

 

「シグレ、いつからメイジンがユウキ先輩だと?」

 

 気付いていたのか、と心底驚いたような表情でそう問うコウスケ。その質問に、アサヒもまた驚愕していた。

 

「・・・・・・先輩、まさかとは思いますが、アレでバレないと思っているんですか?」

 

「ああ、完璧な変装だと思うぞ。私も、隊長に言われていなければ気付かなかっただろう」

 

 絶句した。以前からズレているとは思っていたが、まさかここまでとは。

 

「本当に、本当にどうしてこんな──」

 

 アサヒはまた額を押さえる。どうしてこの人は、ここまで好感度を下げることができるのだろう。

 彼女としては、エイカ・コウスケという男に惹かれていた。少なからず好意を抱いていた。だから口実を作ってホテルまでとって付いてきたというのに、どうしてそれらに気付かず、そしてこうも残念っぷりを見せてくるのだろう。

 

「シグレ、どこか痛むのか? 宿で休むなりした方がいいぞ?」

 

「誰のせいだと思ってるんですか、誰の!」

 

 他のお客さんの注目を浴びないよう、声のボリュームを下げながらも怒りを露わにするアサヒ。コウスケとしては心当たりは一切なく、戸惑うばかりなのだが。

 

「はぁ・・・・・・」

 

 疲れた、と脱力し、テーブルに突っ伏するアサヒ。きちんと食器類をどけている辺り、育ちの良さが垣間見える。コウスケはそんな彼女に疑問符を浮かべながらも、冷めてはいけないと焼き魚を頬張った。

 

 

 そうして迎えた第七ピリオド。種目はガンプラによるレースだ。昨日発表された内容によれば、コースに沿って進み、ゲートをくぐっていくだけの種目。しかし、銃火器アリなのがなんともガンプラらしい。

 

 私が出場するのは第一レース。機体はカスタムフラッグだ。スサノオも完成しているが、やはりレースならばフラッグに限る。今回は使われるフィールドも固定のため、宇宙用や水中用の改造はせず、速さを意識してチューンしてある。

 

『第一レース、まもなくスタートです!』

 

 ぶらさがったシグナルが赤い光を点し、三つになったところで青に染まる。

 

 その瞬間、選手達が一斉にスタートした。

 

「最前にいるのは──」

 

 V2アサルトガンダムだ。先手必勝と言わんばかりに光の翼を使い、高速でトップを駆け抜ける。

 

『へっ、この速さじゃ付いてこれねぇだろ!』

 

 しかし、代わりにあの機体は武装を何も持っていなかった。少しでも機体速度を上げるためだろう。

 

『させるか!』

 

『狙い撃ちだぜ!』

 

 高機動型ドムと、GNアームズを装備したデュナメスがV2へ発砲。ドムはバズーカ、デュナメスはGNミサイルだ。光の翼にはIフィールドを乱す、ビーム兵器が効きづらい性質があるため、実弾を使ったのだろう。

 

『うおおおお!?』

 

 結果、距離を離す前に被弾し撃沈。残り9機となった。

 

『またお前とか! 全く、何回目だよ!』

 

 と、横に並んだデュナメスが話しかけてくる。声でわかったが、あのケルディムサーガのファイターだ。

 

「そうだな、何かと縁がある」

 

 だがだからと言って手を緩めるつもりはないが!

 

 操縦桿を押し、速度を上げる。見たところ、他に実弾兵器を持っている機体はいない。軽量化をしているため、弾数も少なかったのだろう、GNアームズにもうミサイルは残っていなかった。

 

 となれば、残るはビーム兵器。実弾と比べて爆発が少なく、回避もしやすい。ミサイル等は避けた後に地面に着弾しても煙が邪魔になるのだ。

 

「御免!」

 

『うおっ!?』

 

 変形し、プラズマブレードでドムを切り裂く。これで実弾兵器はなくなった。然らば!

 

「後は突き進むのみ!」

 

 再度変形し、更に加速。二度の変形により間接に負荷がかかっているが、レースに支障はないレベルだ。そのまま突き進み、トップに躍り出る。

 

『逃がすか!』

 

 声に背後モニターで確認すると、GNアームズの火器が火を吹いたところだった。

 変形して迎撃する余裕も技術もない。

 

「ぬぅ!」

 

 機体をそのまま直進させ、全て回避する。速度を出しながらの射撃なのだ、元々制度は低い。それこそ『避けた方が当たりそう』というヤツだ。

 

『野郎!』

 

『ならこれで!』

 

 と、後方にいたフリーダムガンダムがバックパックを展開。ビーム砲を撃ってくる。何か長い名前があった気がしたが、忘れた。

 

「私の道を阻むな!」

 

 これは直撃ルートだったので機体を反らして避ける。これで一週目が終わった。フラッグ、その少し後ろにデュナメスとフリーダム、更に後ろに六機、という並びか。

 

『チッ、こうなりゃ!』

 

 デュナメスがライフルを構えた。狙撃するつもりか? GNアームズもこちらに砲門を向けている。

 

「させん!」

 

 ポイ、とフラッグの手に持っていたものを落とす。フラッグ系統は変形時には両手が空くため、機体バランスを崩さない程度のものならば持てるのだ。

 

 落としたのはスモーク玉だ。手を離す時にスイッチを押したため、一秒後には起動する。

 

「うおッ!」

 

 だが彼はそこまで待ってはくれなかった。デュナメスの狙撃を受け、被弾する。足をやられた。直後にスモークが作動し、煙を吐き出す。

 

 アラートが出現し、減速する。今回はかなり装甲を削っているため、一撃でも十分痛手だ。

 

『へへっ、お先!』

 

 と、デュナメスとフリーダムが横を通過する。スモークはすでに意味を持たない。このままでは、私の敗北。

 

「だが、私はしつこくてあきらめも悪い、俗に言う人に嫌われるタイプだ!」

 

 三度目の変形。そして残った右足でコースを踏み、デュナメスのGNアームズに飛び乗る。

 

『なっ!? お前何考えて!』

 

「もちろん、ナニを考えているに決まっている!」

 

 デュナメスとフリーダムのファイターが混乱する中、二週目が終わる。

 リニアライフルを構え、フリーダムを撃ち抜く。彼は咄嗟のことで対応できなかったらしく、そのまま墜ちた。

 

『お前、干支のネズミか!?』

 

「よくそんな話を知っているな!」

 

 ついでにもう一つ持っていたスモーク玉を後方へ投げておく。後ろとの距離は離れているが、念のためというやつだ。

 プラズマブレードを抜刀し、青い装甲に突き立てる。傷が浅いな。

 

『お前、本気で何を!?』

 

「だからナニをするに決まっているだろう!」

 

 プラズマブレードを切り、ソニックブレイドとして扱う。そしてGNアームズに再び突き刺す。

 

『クソ!』

 

 振り落とそうとデュナメスが奮闘しているが、自分の乗ったマシン故にどうにもできない。かといってこれを手放せばデュナメスのスペックでは追いつかれる。正に板挟みだな。

 

 そうこうしているうちに。ゴールが見えてきた。そして、GNアームズは私が傷つけまくったことで限界を迎えている。

 

「そろそろ爆発するんじゃないのか?」

 

『誰のせいだと思っていやがる!』

 

 と、デュナメスがGNアームズをパージした。ここからならもうゴールできると思っているのだろう。

 

「トウ!」

 

 というわけで、私もフラッグをジャンプさせガンダムを追う。GNアームズが爆発し、その爆風の煽りを受けて、私はちょうど振り返ったガンダムと対面した。

 

「抱きしめたいな、ガンダム!」

 

 そう、劇中再現! 私はガンダムに拳を食らわせ、温存していたスラスターを全開にしてガンダムに馬乗りになって引きずり進む。

 

『ぐぁ!?』

 

 そしてソニックブレイドをコックピットに突き立て、機能停止させる。そのままガンダムを引きずりながらゴールした。

 

 これが私流の愛のベーゼだ、ガンダム。

 さあ、その顔をよく見せてくれ。

 

 カスタムフラッグの手が、ガンダムの頭を鷲掴みにして引き上げた。

 

「正に、眠り姫だ・・・・・・」




主人公の変態度がどんどん上がっていく・・・・・・何故でしょうか。
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