抱きしめたいな、ガンプラ!【完結】   作:高々鷹々

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番外編、その1です。

ビルドストライク・コスモスの性能なのですが、バトルシーンが全然ないので独自設定になっております。ご了承ください。


番外編
久しぶりだな、少年!


 第八回ガンプラバトル選手権地区予選、中高生の部。今から行われるのは、その決勝戦だ。

 

《Battle Start》

 

「グラハムガンダム。エイカ・コウスケ、世界の歪みを破壊する!」

 

 宣言と共に、私の新たなガンプラ、ガンダムエクシアリペアⅣが飛翔する。フィールドは雪山。氷の張った湖に吹雪が吹いている珍しい戦場だ。

 

 しばらく進むと、対戦相手の機体が見えてくる。ガンダム特有のトリコロールカラーに、白いバックパック。そして機体を覆う透明なフィールド。

 

「久しぶりだな、少年! 君とこうして戦うのは初めてか」

 

『そうですね。前にレイジがお世話になったみたいで』

 

 そう、イオリ少年のビルドストライク・コスモスだ。決勝戦の相手として不足はない。操縦桿を握る手に力を込め、前に突き出す。

 

「いざ尋常に、勝負!」

 

 スラスターを解放し、左手にGNタチを携え接近。斬りかかるが躱される。

 

『そこ!』

 

 反撃としてライフルを連射されるが、右肩のGNシールド及びそれによって発生するGNフィールドで防ぐ。流石はガンダム、イオリ少年の機体相手でも耐えられるとは。

 

『くっ、予想以上に堅い!』

 

「ハハハ! この盾はいいものだ!」

 

 ふとサザキ少年の顔が頭に浮かんだ。彼はイオリ少年とぶつかり敗退しかが、盾を使っている時はこんな気持ちだったのだろうか。

 

『だったら!』

 

 コスモスがパワーゲートを出現させ、ブースターのビームキャノンを含めた三つの砲身から火を吹いた。なるほど、威力を上げたか。

 

「当たらんよ!」

 

 ガンダムタイプとしての機動性を発揮してこれを回避。追ってくるビームから逃れながら、GNベイオネットを抜刀、ライフルモードで射撃する。

 

 しかし、その全てはコスモスのシールドに吸い込まれていった。

 

「やはり、ビーム兵器は効かないか・・・・・・」

 

 あの機体が展開している『アブソーブフィールド』はビーム兵器を拡散させ、威力の低い攻撃は完全に無効化する。その壁を突破しても、あの盾によってプラフスキー粒子に変換されてコスモスのエネルギーとなる。これまでの戦いを見ていたが、ツインサテライトキャノンをも吸収できるほどになっていた。

 

「多少強引でなければ、ガンダムは口説けない、か」

 

 接近し、再びタチを振るう。回避されたタイミングで、コスモスにベイオネットを向けた。

 

『ビームは効きませんよ!』

 

「わかっているとも!」

 

 防ごうと構えられたシールドに、ベイオネットをソードモードにして振るう。破壊するまでには至らなかったが、ダメージは与えた。

 

『動きを読んで!?』

 

 コスモスのライフルを避けながら、一度距離を取る。

 今のでシールドを壊せなかったのは痛いな。彼ほどのファイターなら、同じ手は通用しないだろう。

 

「ならば! 必殺・グラハムファング!」

 

 シールドに懸架されている『GNバトルブレイド』『GNバトルソード』が離れ、独立して動き出す。ダブルオークアンタのパーツを取り入れ、ファンネルとして扱えるように改造したのだ。

 

『ファンネル!?』

 

 四本の剣はコスモスを牽制し、動きを止めさせる。ちなみに自動操縦だ。私にファンネルを扱えるほどの操縦技術はない。

 その間にシールドを背中へ移動。カーソルを操作しGNコンデンサーと直結させ、スラスターにする。

 

「オオオ!」

 

 そのまま加速し、コスモスへ斬りかかる。バトルブレイド、バトルソードが一本ずつ撃ち落とされていたが、その場に拘束させることができた。

 

『くぅ!』

 

 赤い光を宿した左腕とGNタチがフィールドを切り裂き、その奥のシールドを叩っ斬る。エクシアリペアⅣの機能の一つ、左腕のみのトランザムだ。斬撃の瞬間のみトランザムを発動させることで圧縮した粒子を叩きつけ、アブソーブフィールドを破壊した。腕に負担はかかるが、数回程度ならば問題ない。

 次いでバトルブレイドを手動で操作し、ライフルを破壊。バトルソードと共にシールドへ引き戻す。

 

『流石はエイカ先輩・・・・・・アブソーブフィールドをこうもあっさりと』

 

「前回大会の優勝者に褒められるとはな。悪い気はしない」

 

 これであちらの武装はサーベルとバックパックのキャノンのみ。遠距離武器は健在だが、確実に手数を減らした。

 

『でも、僕のビルドストライクコスモスなら、まだやれる!』

 

 コスモスが白く光り輝き、機体のフレームが青に染まる。ガンプラの内部にまでプラフスキー粒子を浸透させ、性能を上昇させる『RGシステム』だ。

 

「ならば、こちらも本気を出そう! グランザム!」

 

 エクシアが紅蓮を宿し、緑のクリアパーツは橙に発光する。ちなみに『グランザム』とはビグ・ザムの発展機のことではなく、グラハムガンダムのトランザムのことだ。無論、グラハム・エーカーのセリフである。

 

 コスモスがビームサーベルを二本抜刀すると、青い光が剣にも移り、刃が巨大化する。まさかRGシステムを武器にまで使えるようにするとは。私よりも年下だというのに、信じられん製作技術だな。

 

『僕は、この戦いを勝ち抜く! レイジとの約束を果たすために!』

 

「よく言った、ガンダムゥゥゥゥ!」

 

 互いに高速で接近し、斬り合う。すれ違い、反転し再び加速。何度も刃を交える。

 本来ならビームを断ち切るGNタチの刃は、サーベルの粒子密度が高すぎて通らない。

 

「その剣捌き・・・・・・間違いない、あの少年のものだ」

 

 イオリ少年の太刀筋は、レイジ少年のものとそっくりだった。彼の戦いを間近で見ていただけのことはある!

 

「オオオオオ!」

 

『はああああ!』

 

 再び斬り結び、すれ違う。ベイオネットが壊れた。もう一本あるが、抜刀している暇はない。ファンネルを使う余裕もない。粒子残量も残り少ない。

 

「だからなんだと言うのだ!」

 

 スラスターにしているシールドに限界が来たのか、アラートが鳴る。左腕やタチの刃も圧縮された粒子に耐えられないのかヒビが入り始めた。それら全てを無視し、再び飛翔する。

 

『ディスチャージ!』

 

 コスモスの前方にパワーゲートが出現し、そこを通過することで光の翼を纏った。二つのシステムの同時運用をも可能にしたというのか!

 

「討たせてもらうぞ、このグラハムスラッシュで!」

 

『RG、ダブル、ビルドスラッシュ!』

 

 エクシアの一刀と、コスモスの両刀が振るわれた。斬撃が交錯し、互いに背中を向け合う。

 

 コスモスの腕がスパークを放ち、ビームサーベルが二本とも砕ける。

 

 エクシアの刃と左腕が限界を超え、パキリと音を立てて割れる。

 

「私の・・・・・・敗北だ」

 

 そして、背部のGNコンデンサーが爆発した。粒子残量が尽きたのだ。同時にトランザムが終了し、エクシアの瞳から光が消える。

 

《Battle Ended》

 

 粒子が収束し、スクリーンが消える。開けた視界に入ってきたのは、拍手する観客と多くの歓声、そして勝者たるイオリ少年の姿だった。

 

「完全なる敗北だ、少年。完膚なきまでに叩きのめされた」

 

 私は彼に近づき、握手を求めて右手を差し出した。バトルの後にはお互いの健闘をたたえ合う。隊長の教えだ。

 

「それでも、『少年』呼びは止めないんですね・・・・・・」

 

 苦笑しながらも、イオリ少年は私の手を取った。彼のマメだらけの手に、改めて少年がどれだけ努力しているかを気付かされる。彼は才能だけでなく、研鑽によって勝利を掴んだのだと。

 

「いいバトルだった。世界大会、期待している」

 

「ありがとうございます!」

 

 それからガンプラを回収し、私はその場を去った。

 

 

「惜しかったですね、先輩」

 

 会場の通路で、シグレが私を待っていた。私の完敗だったが、それでも『惜しい』と言ってくれたのは、彼女の優しさなのだろう。

 この一年で、シグレは毒を吐くことが少なくなり、態度もかなり軟化してきた。最近では、彼女の妹のマヒルに一緒にバトルを教えたりもしている。

 

「ああ、ありがとうシグレ」

 

 この後行われる表彰式までには、まだ時間がある。少し駄弁る程度はできるだろう。

 

「閉会式が終わったら、どこか食事でも行きますか? 準優勝祝い、ということで」

 

「そうだな。たまには外食も悪くない」

 

 きっちり割り勘で、と付け足すと、シグレはどこか拗ねたようにジト目を向けてきた。しかし、ここは譲るわけにはいかない。きっちりと約束を取り付ける。

 

「ああ、それと。シグレ」

 

「・・・・・・なんですか」

 

 ふくれっ面の彼女を視界の正面に収め、口を開く。本当はバトルに勝ったら言おうと思っていたことだが、彼女の仕草に我慢ができなくなっってしまった。

 

「私は君に好意を抱いている。無論、興味以上の対象、という意味ではなく、異性として」

 

「・・・・・・・・・・・・へ?」

 

 要は、愛の告白だ。妙に照れてしまってグラハム・エーカーのセリフに寄せてしまったが、そこは許して欲しい。

 

「え、えーと、待ってください。私、今、告白されました?」

 

「ああそうだ。何だ? 『私は、君が好きだぁ! 君が、欲しいぃ!!』の方が良かったか?」

 

「いえそれは恥ずかしいので結構です」

 

 なるほど、ドモン・カッシュの真似は流石の私も羞恥心を覚えるので、そちらにしなくてよかったと心底思う。

 

「それで、返答は?」

 

「・・・・・・・・・・・・ほ、保留、でお願いします」

 

 顔を真っ赤に染め、そっぽを向きながらシグレはそう答えた。嫌われていないだけいい、と肯定的に受け取っておこう。そうでないと羞恥心でおかしくなりそうだ。

 

「よし、興が乗った! シグレ、昼食は私のオゴリだ!」

 

「露骨な好感度稼ぎ!? いえ、先輩のお祝いなのに何で先輩が払うんですか・・・・・・」

 

 そんなやりとりをしながら、私達は会場を後にした。

 

 余談だが、表彰式を忘れていたことも付け足しておこう。




BFシリーズの恋愛はこれくらいの軽さがいいですよね。トライは鈍感主人公のハーレム要素があって好きになれませんでした。

エクシアリペアⅣのバトル、アニメで見たいなぁ・・・・・・
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