ほぼ読み専さん、cake.LAKEsさん、グロ魔術士さん、ケチャップの伝道師さん、評価ありがとうございます。
商店街の、イベントホール。エイカ・コウスケとシグレ・アサヒは、そこで開催される『タッグバトル大会』に参加していた。一年前には女子限定ガンプラバトル大会も行っていた場所だ。ガンプラ業界への貢献に余念のない街である。
「出番だな。行くぞ
「は、はい」
慣れないアサヒ呼びに困惑しながらも、コウスケに続いてバトルシステムへ向かうアサヒ。手にしているガンプラは、彼氏たるコウスケのGNブレイヴに合わせてカスタマイズされたGNアーチャーだ。
機体のボディは流線型にリデザインされ、胸部にはアリオスガンダムに使われていた太陽炉が搭載されている。武装に大きな変化はないが、本来桃色だった部分のカラーがブレイヴに寄せて青く塗装されている。
元々小規模な大会なこともあって、世界大会に出場したコウスケとのタッグなのだ。負けることはそうそうない。
二人は順調に勝ち上がっていった。
「まさか、君に出会えようとは・・・・・・」
筐体を挟んで向かい合うのは、『アーリージーニアス』と称される少年、ニルス・ニールセンだ。世界大会に出場するほどの腕前を持つ彼が、何故ここに・・・・・・。私? 出場したのはハム仮面だからな、何ら問題はない。
「最近、研究詰めだったので、息抜きにとキャロラインが連れてきてくれたんですよ」
なるほど、今回の世界大会に彼が出場しなかったのは、プラフスキー粒子の研究を優先したためか。彼にはダメージレベルの設定を作ってもらったりしたが、更にバトルシステムを発展させているのか。これは楽しみだな。
「今日は例の仮面は付けていないんですね、Mr.ハム仮面」
「私はエイカ・コウスケだ。ハム仮面などではない」
「言いたいだけですよね? いい加減認めたらどうです」
私がキッパリ否定すると、アサヒがジト目を向けてきた。彼女になっても、こういう所は相変わらずだな。そういう自分に素直な部分に惹かれたのだが。
「ニルス、あっちのコンビがイチャイチャしていますわ! ここは夫婦として負けていられませんわよ!」
「か、関係が進展している・・・・・・」
「む、ならばニールセン少年ではなくヤジマ少年と呼ぶべきか?」
「い、イチャイチャなんてしてません! 早くバトルを始めましょう」
キャロライン嬢が悔しそうにすると、ニールセン少年──もとい、ヤジマ少年が苦笑を浮かべる。あの年で夫婦とは、外国ではそんなものなのだろうか。アサヒが何故赤面しているのかはわからないが、バトルを始めることには賛成だ。
筐体から粒子が溢れ、ジオラマの宇宙が象られる。私たちの周囲にスクリーンが現れ、GPベースをセットすると、コンソールが浮かんだ。
《Please Set Your GUNPLA》
去年の大会後に作り、これまで改良を重ねてきたGNブレイヴをセットする。当然、飛行形態だ。
《Battle Start》
「エイカ・コウスケ。GNブレイヴ、出る!」
「シグレ・アサヒ。GNアーチャー、出撃します!」
カタパルトから射出される二つの戦闘機。私が前に出ると、GNアーチャーがその後ろに付く。そして、ドッキングした。
「操作を先輩に譲渡。ユーハブコントロール、です」
「承知。アイハブコントロール」
このやりとりは、アサヒが『やってあげてもいいです』と昨日の晩に言ってきたものだ。彼女は満足げを鳴らして頬を緩めた。・・・・・・よくグラハムのセリフを使った時に『言いたいだけですよね?』と言ってくるがそれはアサヒも同じなのでは。
「似たもの同士ということか。俗に言う、おそろいというヤツだな!」
「せ、先輩!? 唐突に何を!?」
スクリーン越しにアサヒが驚愕しているが、今はバトル中。一瞬そちらに意識を向けた瞬間、私の耳に何かが回転する音が届いた。
「ッ!」
出力にものを言わせて回避。アサヒが作った機体だけあって、完成度がかなり高いGNアーチャーの水力ならば容易に躱せる。
『不意打ちしたつもりでしたが・・・・・・避けられましたか』
視線の先にいるのは、インパルスガンダムを忍者風に改造した期待──忍パルスガンダムだ。高性能なインパルスに忍びの武装、ネーミングセンスといい、何とも格好良いガンプラだ。つい先日『ガンプラマフィア』とやらとのバトルで使っていた期待でもある。
とはいえ・・・・・・相手がガンダムタイプとは! 興奮するな!
「アサヒの機体に、傷は付けさせんよ」
表面上冷静を装い格好付ける。赤面しながら向けられるジト目なんてなんのその。
ダメージレベルは低い設定だが、それでも細かな傷は避けられない。ならば、それを可能な限り少なくするのが彼氏の務めというもの!
「必殺・グラハムファング!」
連結しているGNアーチャーのミサイルポッドだった部分から、いくつものファングが飛翔する。アサヒが改造したもので、彼女はファンネルやビットといった遠隔武器を扱うのが得意なのだ。
「操作は任せてください」
アサヒの操作によって、忍パルスにいくつもの牙が襲いかかる。ビームサーベルで対応されるが、素早く動くファングを堕とせないでいる。
「もう一機は・・・・・・」
と、右側にアラート。対応できないと悟ったため一瞬のみトランザムを使用し、回避する。アサヒのGNアーチャーは第四世代ガンダムと同じようにトランザムの途中解除が可能となっており、それは合体中のブレイヴにも適用される。だからこそできる荒技だった。機体に負担がかかるので多用はできないが。
『これも躱しますの!?』
見れば、バーサル
「先輩、そろそろファングが!」
アサヒの声に忍パルスへ視線を戻すと、細かなダメージは与えられたもののファングの大半が堕とされていた。
「アサヒ、分離してそれぞれ叩く。行けるか?」
「ッ、了解です!」
合体を解き、そのまま忍パルスへ突撃する。GNアーチャーは変形し騎士ガンダムとの近接戦に突入した。アサヒは格闘が得意ではないので、フォローしたいが──
『はぁ!』
投擲された大型手裏剣を躱し、機首にもなっているライフルとアリオスガンダムから移植したバルカンを放つ。彼相手ではアサヒの援護は難しいだろう。
『流石の機動性・・・・・・ですが、躱してよかったのですか?』
「何? ッまさか!」
背後モニターを確認すると、GNアーチャーに手裏剣が向かっていた。なるほど、こちらが躱すことを見越して!
「くっ、トランザム!」
機体が紅蓮を纏い、高速で移動する。GNアーチャーを守るように割り込むと、変形してサーベルを抜刀し、手裏剣を切り裂いた。
「助かりました、先輩」
「すまない、私の落ち度だ」
やはりカップルとなってまだ日が浅いためか、連携が
『大丈夫ですか、キャロライン』
『ええ。助かりましたわ、ニルス』
騎士の隣に忍パルスが並ぶ。さて、どうやって攻略したものか。
「先輩、どうしますか?」
「・・・・・・私が突っ込む。アサヒは援護を頼む!」
変形合体している余裕がない以上、トランザムを中断できないそのため、短期決戦に持ち込まねば部が悪い。
「オォ!」
ライフルを腰にマウントし、二本のサーベルを抜刀する。斬りかかるが、同じくサーベルを二本構えた忍パルスと鍔迫り合いになる。
「行って、ファング!」
アサヒが残り少ないGNファングを再び飛ばし、騎士へ攻撃。反撃する隙に、脚部のGNミサイルを騎士へ放った。
『二方向から!? きゃ!』
『キャロライン!』
「戦いの最中によそ見とは!」
一瞬意識が逸れたのを確認し、膝蹴りを一発。少し空いた距離を埋めるように両腕のマシンガンを解放する。
『ぐぅ!』
『よくも!』
腕を交差させ防御の構えを取った忍パルス。騎士が私を狙って剣と槍を構え加速したが、ミサイルとファングに阻まれる。
「行かせません!」
『くっ、邪魔を!』
そして忍パルスが意を決したように腰部分の斧を取り出し、それを盾に突っ込んでくる。
『これなら!』
「甘い!」
胸部バルカンから煙幕弾を発射。フラッグの頃から使っている戦術だ。
「アサヒ、合体を」
「わかりました」
スモークで視界を妨げている間にお互い変形し合体。残りわずかだったトランザムを中断する。キャロライン嬢が姦しく叫んでいるが、あまり耳に入れないようにしよう。
『あーもう! 頭に来ましたわ!』
煙幕が晴れると、騎士ガンダムは槍を構え、竜巻を発生させる。それがあるなら煙幕を退かせたのではと思ったが、視界が悪い状態では忍パルスを巻き込みかねないため使用しなかったのだろう。
『ニルス、合わせてください!』
『承知!』
忍パルスがラフレシアのようにウイングを展開し、その上に騎士が乗って回転する。緑色のビームが竜巻に加わり、その大きさを増していく。あの日のラルさんと珍庵殿の技を模倣しているのか!
「アサヒ、ファングは?」
「全部使い果たしました。どうしますか?」
考えたのは数瞬。あれほどの規模ではトランザムを使わないと回避できないが、逃げている最中にブレイヴの限界時間が来る。ならば、どうするか。
「あれに突っ込むぞ、アサヒ!」
「無茶苦茶ですね! でも理屈はわかります。アレが完成する前に決着を付ける気ですね?」
そう、あの竜巻はまだ成長途中。ラルさん達のように一秒で作り出せるほど、簡単な技ではないのだ。
「あ、でも先輩。トランザムは使わないでくださいね?」
「了解、トランザム!」
ブレイヴとGNアーチャーが真紅に染まり、圧縮された粒子が周囲に赤くあふれ出す。アサヒは私の機体を気にしてあの発言をしたのだろうが、加減して勝てる相手ではない。故に、使った。
『させませんわよ!』
騎士ガンダムが竜巻を向けてくる。それから逃れながら、徐々に距離を詰めていく。
「アサヒ、残り何秒だ!?」
「後六秒しか保ちません!」
「十分だ!」
機体状態をチェックしていたアサヒの返答に頷き、操縦桿を前に押し出す。カーソルを操作し、ミサイルやグレネードやら火器を乱射。少しでも竜巻の威力を削ぐ。
「GNアーチャー分離・・・・・・少年、これは死ではない! 人類の未来の為の──」
彼のセリフと共に竜巻の中心部にいる二機に突撃。暴風を受けながらも突き進む。
『なっ、まさか自爆特攻!?』
『無茶苦茶ですわ!?』
「せ、先輩!?」
フ、と一つ笑みを作る。案ずるなアサヒ。私が敗れたところで第二第三のグラハム信者がいる。そう不敵に笑い、正面に出現したスイッチを押す。
「私と! 一緒に! 来い!」
嵐を乗り越え、その中心にいる二機のもとへ辿り着く。そこでトランザムがオーバーロードし、盛大な爆発を起こした。
宇宙に真っ赤な華が咲き、私は思わず左手を人差し指を立てて頭の上に上げた。様式美というやつだ。
《Battle Ended》
コンソールが消えて目に入ったのは、唖然とした対戦者二人の顔と、アホを見る目をしたアサヒ。そして私は、希望の華を盛大に咲かせ満足していた。
さて、彼らの次の対戦相手なのだが。この商店街で行われる大会に、彼らが参加していないはずもなく。
「行くよ、委員長!」
「うん、イオリ君!」
「くっ、まさかイオリ少年も参加していようとはッ!」
「他の試合を見てないからそうなるんです!」
自爆なんてしたせいでGNブレイヴは半壊しており、修復用の予備パーツはコウスケがうっかり忘れ。
ビルドガンダムMk-ⅡとベアッガイⅢの前に、あっさり敗れるのだった。
タッグバトル、書くのが難しい・・・・・・グラハム成分が足りない気がします。三人称視点で書くべきでしたね。
今回はあまり自分的に納得のいく出来ではないので、しばらくしたら消すかもしれません。