ヤマユウさん、評価ありがとうございます。
聖鳳学園ガンプラバトル部の部室。学園も部活も休みのはずのこの日、その場所には二人の男が睨み合っていた。
一人はユウキ・タツヤ。今日は三代目メイジン・カワグチとしてではなく、彼としてこの場に来ている。それは、とある約束を果たすためであった。
「待ちわびたぞ・・・・・・ガンダムと戦える、この時を!」
もう一人はエイカ・コウスケ。タツヤとバトルするためにここに居る、変態で変人なファイターだ。
「待たせてすまない・・・・・・さあ、始めようか。僕達の、バトルを」
そう言いながら、タツヤは筐体を起動しガンダムアメイジングエクシアを置く。この機体で、コウスケと戦うこと。一年以上前の、あの高台での約束だ。
「ああ。言葉は不要・・・・・・
闘志を燃やすコウスケの持つガンプラは、TGNフラッグ。GNフラッグを改造、発展させた機体で、右肩に疑似太陽炉を追加、ケーブルと出力調整可能なビームサーベルを右手にも装備し、遠距離武器を捨てた近接戦特化の機体。各部スラスターの見直しやGNコンデンサーの増設など、二つの太陽炉に耐えられるよう調整されたガンプラ。
機体名はダブルオーガンダムと同じく
《GUNPLA BATTLE CombatMode StandUP ModeDamageLevel Set To B》
筐体から粒子が溢れ出す。彼らが戦うためのジオラマを形作っていく。フィールドは砂漠、奇しくもあの日と同じ戦場だ。コウスケの口元に好戦的な笑みが宿り、タツヤが髪をかき上げる。
そうして、二人の戦いが始まった。
砂の舞う空を、飛んでいく。ああ、この感覚だ。どこまでも続くような蒼天を風を切って進んでいく心地よさ。だがそれに身を委ねているために私はここに来たのではない。
私は、戦うために来たのだ!
飛来するビームを回転しながら避ける。視線の先に、青と白のガンプラがいた。
アメイジングエクシア。ユウキ先輩の作ったガンダム。ああ、もう止まらない、止まれない。胸の中で抑えていた衝動が、熱が湧き出してくる。
「初めましてだな、ガンダム!」
左手のサーベルと右手のダガーを抜刀しながら突撃。エクシアはGNソードを剣に変形させ、左手にGNブレイドを持ちこちらの攻撃を受け止めた。
GNソードの刃がこちらのビームに食い込むが、それ以上の浸食は見られない。
『くっ、何故斬れない!?』
「その程度、対策済みだ!」
前回大会で粒子変容塗料やアブソーブシステムも普及したため、実体剣ならば必ずと言って良いほどその塗料が塗られるようになった。ならば、ビームサーベルを使うこの機体に対策を施すのは当然。
サーベルの出力を常に少しずつ変更し、粒子の波長を読まれないようにしているのだ。元々高出力で粒子濃度が濃いこのサーベルでなら、少し刃が通る程度で抑えられる。
サーベル越しに蹴りを入れて体勢を崩す。しかし流石はメイジン、一秒もせず持ち直した。
『ギミックは更に増えているということか!』
エクシアがソードで斬りかかってくる。それを迎撃しようとすると、突如エクシアが急旋回しフラッグの背後に回る。
「くぅ!」
背後モニターを出している暇はない。直感と愛の力に従い、エクシアを蹴って距離を離す。衝撃はやってこなかった。
『後ろを見ずに攻撃を躱すか!』
続けてエクシアがGNブレイドを投擲してくる。そちらはビームサーベルを間に合わせ、出力を上げて弾いた。
「ぐ、ぬぅ!」
『そこ!』
その隙にエクシアはソードを構え接近していた。左腕からはビームサーベルの刃を出現させている。かなり強引な動きをしているこちらに、迎撃する術はない。
『もらった!』
本来ならば。
「甘い!」
フラッグのボディが一瞬だけ赤熱し、残像を残して高速移動する。言わずもがな、トランザムだ。エクシアリペアⅣを作るに当たり、この『一瞬だけトランザム』を再現する必要があった。その技術をフラッグにも使ったのだ。その分ほぼ一からこの機体を作り直す羽目になったのだが、そこは愛でどうにでもなる。
『なるほど、一秒にも満たないトランザム・・・・・・だが、機体がどれだけ耐えられるかな!』
「耐えて見せるさ、私のフラッグなら!」
高速で動いたフラッグは強烈な蹴りをエクシアのシールドに入れ、吹き飛ばす。仰け反ったエクシアに更なる斬撃。GNソードを切り裂いた。
『くっ、相変わらず武器破壊が上手い・・・・・・』
「お褒めいただき光栄!」
反撃を封じるため胸部バルカンから煙幕弾を放ち、その場から離脱。一度距離を取る。
『だが、いつまでも同じ手が通用すると思うな!』
と、スモークを突き抜けてエクシアが真っ直ぐこちらに向かってきた。両手にはGNブレイドを携えている。
「なっ!?」
『私もガンプラを愛する者! ならば、私に心眼が使えてなんら疑問はない!』
! 確かに! 今まで愛の力で数々の戦いを乗り越えてきたが、私だけが使えるというのもおかしな話だ。何故今まで気付かなかったのか。
「だが敢えて言おう! それがどうした!」
振るわれる両刀に、こちらの二刀をぶつける。鍔迫り合い、スラスターを解放し推力を高める。
「うおおお!」
『オオオォ!』
互いの力が拮抗し、火花が飛び、スパークが散る。両者の顔が接吻するほど近づき、私の胸が高鳴る。
「抱きしめたいな、ガンダム!」
衝動に突き動かされるまま右手のダガーを手放し、崩れた拮抗につんのめるガンダムの顔に拳をぶつける。
『ぬぅう!』
仰け反ったガンダムだが、反撃として頭突きをしてきた。ガン、という鈍い音と共に視界が揺れる。
「ッ、ハァ!」
お返しにとその腹部に膝蹴りをし、反撃する暇を与えずもう片足で胸部を蹴りつける。そうして、彼我の距離は空いた。この間にケーブルを引いてダガーを回収する。
『このままでは・・・・・・』
「埒が開かん!」
ならば、考えることは同じだ。私はカーソルを移動させ、二つ目のスロットを選択し、宣言する。
『紅蓮を纏え、エクシア!』
「討たせてもらうぞ、ガンダム!」
「『トランザム!』」
ガンダムの純白な鎧が、フラッグの黒輝の軽装が、真紅に染め上がる。圧縮された粒子が溢れ、両者の間に満ちていく。
「オオオオ!」
『ハアァァ!』
互いに剣と剣をぶつけ合い、離れ、加速しまた剣戟を交える。牽制のバルカンをハリセン状にしたビームサーベルで防ぐ。出力を調整しワイヤーとしたサーベルを、剣で弾かれる。鍔迫り合いからの蹴りを躱され、タックルを受ける。
「らあああ!」
GNブレイドを叩っ切った。しかしすぐさまビームサーベルに持ち変えられる。相変わらずの武器の多さだ。
『ゥオオオ!』
右腕にサーベルを突き立てられる。爆発の前にダガーを逆手に持ち替え、ガンダムの左腕を道連れにした。
絡み合った腕が爆発し、離れた距離を即座に詰める。ただ一心不乱に剣を振るった。
「セアアアア!」
ガンダムの右目にサーベルを突き立てる。ミチミチと音を立て、ガンダムの首が飛んだ。
『ハアアア!』
返しの一閃でフラッグのイケメンフェイスが胴体とサヨナラする。たかがメインカメラをやられただけだ、と強がる。
「燃え上がれ、ガンダムゥゥゥゥ!」
『燃え上がれ、ガンプラァァァァ!』
フラッグのサーベルがガンダムの腹部に突き刺さり、ガンダムのサーベルがフラッグの胸部を貫いた。
直後、爆発が起き、紫煙が機体を包み込む。私達の
《Battle Ended》
収束していく粒子に合わせるように、力が抜ける。ユウキ先輩も同じく髪を下ろし、脱力した。
バトルの結果は、引き分け。敗北ではないことから、少しは前進していると考えていいものか。
「これで、約束は果たせた、かな」
「ええ、私が望む全力の戦いを、ありがとうございます」
互いに呼吸は荒く、服装も乱れている。しかし、それを整えることはせず、頬をつり上げた。
「ところでエイカ君、君もエクシアを作ったそうじゃないか」
「先輩も、新しい機体はストライクフリーダムベースだそうですね」
まだまだ時間はたっぷりとある。休日のこの場所に来る人物なんて、そうそういないだろう。
「さあ、楽しもうか。真剣に、心から!」
「言われるまでもない。私達のバトルは、これからだ!」
これにて番外編、終了となります。改めて、『抱きしめたいな、ガンプラ!』をお読みいただきありがとうございました。
書きたいものはもう書き尽くしたので、今後BFシリーズの続編が出ない限りは更新することはないと思います。続編、出るかなぁ。できればトライじゃなくて無印の続きがいいんですが・・・・・・。
ではまた。ご愛読ありがとうございました。