抱きしめたいな、ガンプラ!【完結】   作:高々鷹々

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ようやく原作に入れる・・・・・・。
ゴンダくんのスモー、結構クオリティ高いんですよね。頭のギミックとか、足のアンカーとか。
顔はゴリラだけど結構戦略的に戦いますし。顔はゴリラだけど。


刮目させてもらおう、ビルドストライク

 サザキ少年とのバトルから早数日。フラッグの強化について、私はゴンダと話していた。渡り廊下で話す内容ではないが、教室では他の生徒の声で会話しづらいため仕方ないのだ。

 

「耐久性を上げるのはどうだ? そうすれば、相手の攻撃に耐えながら飛ぶことができると思うが」

 

「いや、下手に装甲を厚くすると、今度は速度が落ちてしまう。それは避けたい」

 

「ふむ、ならば素材を変えて、同じ厚さで丈夫なパーツを──」

 

 と、ゴンダが何かに気付いた。彼の視線をたどってみると、そこには見慣れない赤髪の少年が、三人の女子に話しかけていた。制服も着ていないことから、聖鳳学園の生徒ではないと見て間違いないだろう。

 

「エイカ、すまないが」

 

「ああ、行ってくるといい」

 

 不審人物を取り締まるのも、生徒会の役目だ。ズカズカと彼に近づいていくゴンダを尻目に、私は一人教室に戻った。恐らく、彼はしばらく帰ってこないだろう。

 机の引き出しから機動戦士ガンダム00の小説を取り出し、『武士道』の文字が描かれたしおりの挟んである箇所を開く。

 十数ページほど読み進めたところで、私の視界に女子生徒の制服が入った。

 

「シグレか。どうかしたのか?」

 

「ゴンダ先輩が、中等部の生徒とバトルをするそうです。どうせ暇だろうと呼びに来たんですが、案の定でしたね」

 

 どうして不審人物を連行したはずのゴンダがバトルを? ともかく、彼のバトルなら見ないわけにはいかないな。

 

「ありがとう。では向かおう」

 

 私はしおりを再び書籍にはさみ、椅子から立ち上がる。早くしないと、バトルが始まってしまうかもしれない。

 

 

 急いで体育館へ向かうと、ちょうどバトルシステムの準備が終わったところだった。ゴンダと向かい合っているのは、先日模型店の店員をやっていた少年だった。

 

「よもや彼がバトルをしようとは。乙女座の私には、センチメンタリズムを感じずにはいられない」

 

「え、何ですそのセリフ。キモいですよ」

 

 後輩の言葉は聞き流すとして、私はイオリ少年の持つガンプラへ目をこらす。

 遠目に見てもわかる。あのガンプラ、できる! ストライクガンダムをベースに、肩部へのスラスターの追加、背部バーニアの強化、腰にはビームサーベルまで。全身の塗装と墨入れ、つや消しもされている。が、ストライカーパックはないのか。

 

「うわー、この人自分の世界に入っちゃってますねー。わざわざ呼びに行ってあげたのは私なのに」

 

「それについては感謝しているとも。おかげで、いいバトルが見られそうだ」

 

 私がイオリ少年の隣にいる赤髪の少年へ目を移すと、シグレは拗ねたようにそっぽを向いた。また何か機嫌をそこねてしまったのだろうか。

 

 筐体から、粒子が散布され始める。ステージはコロニー内部の市街地。ゴンダのスモーと少年のガンダムがそれぞれ出撃する。

 

「刮目させてもらおう、ガンダム」

 

「先輩、独り言うるさいです」

 

 すまない、と一言謝罪して口を閉じた。どうにも彼のセリフが使える機会には口から出てしまうのだ。

 

 市街地に降り立ったスモーの放ったビームをガンダムは避け、サーベルを抜刀して接近。それに対し、スモーも近接武器であるヒートファンを構えた。

 互いに激突し、刹那の鍔迫り合いの直後ガンダムがスモーを蹴り飛ばす。あの完成度なら納得のいい動きだ。

 そのまま頭部のバルカンを放つガンダムに、反撃しようと構えたスモーのビームガンが破壊される。スモー本体はフェイスギミック等作り込まれているが、武装は塗装程度で済ませていたため、耐久度が低かったのか。

 

 ガンダムの性能もさることながら、あの赤髪の少年の技量もすさまじい。操縦技術だけなら、ユウキ先輩に匹敵するんじゃないだろうか。

 

 ビルを上手く使って隠れたスモーに、ガンダムはビル群を抜け人工川と隣接する道路へ。あのファイター、技術はあっても実戦経験が少ないらしい。隠れた相手に広い場所に出るなど、どういうつもりだ。

 案の定ビルの上に立ったスモーに狙われた。左腕のIフィールドバンカーを改造したと思われるビーム砲から強力なビームを撃つ。流石はゴンダ、かなりの威力だ。

 ガンダムも跳んで回避するが、ビームは途切れずそのまま追いかける。躱しきれないと見たのか、ビルを盾にして逃れるガンダム。そこでビーム攻撃が終わった。

 穿たれた地面が爆発を起こし、ガンダムが距離を取るため離れていく。

 

「あれ、ゴンダ先輩って意外と弱いんですか?」

 

「それは違うぞシグレ。あの少年の操縦技術が飛び抜けているんだ」

 

 あの攻撃、私のフラッグですらあの至近距離ならば回避は難しい。そして、それだけの性能を持つガンプラならば、使いこなすのにも相応の技術が必要となる。

 

「ふーん? なら先輩、先輩があのガンダムを使ったら?」

 

「高い性能に振り回されて、場外に出るのがオチだ」

 

 あの完成度、イオリ・タケシの息子だけはある。

 

 ビルから跳んだスモーの斬撃を回避するガンダム。ヒートファンは代わりに地面をえぐった。

 互いに向き合い、次の手を繰り出そうとした瞬間、フィールドに異変が起きた。強風が吹き荒れ、スモーには追い風に、ガンダムには向かい風となる。

 

「内心でバトルを実況してそうなキモい先輩、あれは?」

 

「スモーのビーム砲で、コロニーに穴が空いたのだ。それにより、バトルフィールドが変化した」

 

 まるでファーストガンダムの初戦闘の時のようだ。穴があれより大きいため、モビルスーツにも影響するほどの乱気流となっているのだろう。

 あの金ピカ、スモーっていうんだ・・・・・・と呟くシグレはさておき、これでガンダムは不利になった。

 

 スモーは脚部のアンカーを展開し突き立て、足場を安定させる。だがガンダムはただ耐えるだけだ。ゴンダは以前にバトルで同じことをして気流に吹き飛ばされたことがあるので、今回は対策していたのだろう。やはり、戦闘経験の差が激しいか。

 左腕のビーム砲のチャージを始めるスモー。勝負を決めに行ったか。それに対し、ガンダムは真っ向から向かっていく。

 

「え、先輩。もしかしなくてもあれ、馬鹿なんですか?」

 

「いや、恐らくゴンダのビーム砲は威力が高い代わりにチャージに時間がかかる。それを読み、勝負に出たのだろう」

 

 スモーがバーニアをふかし、ガンダムから距離をとる。理に適ってはいるが、消極的だな。ゴンダらしくない。私だったなら、追い風を利用して突進し、ヒートファンで斬りに行っている。

 ガンダムがもう一本のビームサーベルを抜き、バーニアの出力を上げて突き進む。

 スモーが迎撃しようとヒートファンを振りかぶったところで、コックピット部を貫かれた。そのままガンダムが離れ、スモーが爆発する。

 

「コックピットだけを狙うとは・・・・・・まるで初代ガンダムだな」

 

 ゴリラ呼ばわりされ、怒りの形相で生徒を追いかけ始めたゴンダに苦笑していると、シグレが制服の袖を引っ張る。

 

「先輩。それより、ユウキ先輩が」

 

 彼女の指さした方を向くと、ユウキ先輩がGPベースをセットしていた。取り出したのは、彼の愛機、ザクアメイジング。

 

「真剣勝負に横入りなど、無粋な!」

 

「先輩、一人で叫ぶとかキモいです。知り合いだと思われたくないんで、ちょっと離れてますね」

 

 すすす、と私から距離を取るシグレ。少し傷ついたが、自業自得だと無理矢理納得する。

 

『少しばかり勝負が早く着きすぎた。これでは折角集まってくれたギャラリーに申し訳ないと思わないか・・・・・・いいや、私はそう思う!』

 

 いや、絶対バトルしたくなっただけだろう。声に出すとまたシグレに引かれそうなので、心の中でそうツッコむ。

 

 どうやら二人はバトルを受けるようで、ガンダムはビームサーベルを再び抜刀。ザクアメイジングはヒートナタの二刀流だ。

 脚部のバーニアをふかし、追い風も相まってかなりの速度で接近するザク。ガンダムがサーベルを振るうが、躱される。それを読んでいたのか、腰のもう片方のサーベルを起動しザクを狙うが、これを避けられる。さらなる斬撃も、機動性の高いザクとユウキ先輩の技術によって避けられる。

 しかし回避したことで風下になったザク。だがそれを感じさせないほどのスピードで動き、再びガンダムに接近。頭部から放たれるバルカンも、全て躱しきった。

 振るわれたサーベルはヒートナタで受け、そのまま押し切る。二本目のサーベルも同じく。

 体勢を崩したガンダムに再び風上をとったザク。バルカンをまたも回避しながら跳び、ガンダムを超えて着地。振り返る動作に合わせて足払い。倒れたガンダムが起き上がるよりも早く、その首元にヒートナタの切っ先を突きつけた。

 

 あまりに早い決着だった。私の感傷を挟む余地などない、圧倒的な戦い。しかもユウキ先輩は、武器をヒートナタしか使っていない。恐らく、あのガンダムと対等な条件で戦うためだろう。だというのに、圧勝した。

 

 相変わらず、すさまじい・・・・・・というか、よく先日の私は耐えられたものだ。今の動きを見るに、テストバトルだからと手加減されていたのか。

 

 ユウキ先輩が少年達と話しながらシステムを操作し、プラフスキー粒子が霧散する。それが終わるとゴンダを始め模型部員達がユウキ先輩のところへ集まっていく。

 

「先輩はいかないんですか?」

 

 その場所から動かずにいた私を気遣ってくれたのか、シグレが声をかけてくる。

 

「いや、私はいい。そろそろ昼休みも終りだ、教室に戻らせていただこう」

 

 またシグレが毒を吐いているのが聞こえたが、頭に入ってこない。

 

 熱い。燃えるように、私の中で熱が燻っている。

 私は人の少ない廊下を走り、模型部の部室へ向かった。




ユウキ・タツヤ
聖鳳学園三年、生徒会長にして模型部部長にして三代目メイジン・カワグチ候補。
ガンプラ塾で磨き上げた技量は凄まじく、『紅の彗星』の異名を持つほど。第六回ガンプラバトル選手権世界大会に出場している。
バトルの時にはキャラが豹変する。


ユウキ会長、強すぎるんですよね・・・・・・漫画のAやARを読むとよくわかるんですが。
決勝戦、マシタ会長がなにもしなければ、勝っていたんじゃないかな・・・・・・。
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