FGORTAとか読んでいると面白くて自分も書いてみたい……と思うんですが、あの口調がどうしても出来なさそうなので断念しました。
あと一応原作とか読んでるんですけどなんか登場人物の口調に納得がいかないので常にうんうんと唸ってます。
取り敢えず、本編へどうぞ。
「ハァ……」
ため息を付きながら豪華かつ歴史を感じさせる洋風の建物から制服姿で出てきた少女─遠阪 凛。
そんな彼女は全ての状況を整え、万全のセイバーを召喚しようとしていたのだが、彼女の家系に呪いと言っても過言ではない『何時もの大事なときにやらかしてしまう癖』が発動し、まさかの時間を間違えてサーヴァントを召喚してしまうという大ポカをやらかしてしまったのだ。
『学校へ行くのか?』
落ち込む彼女の内心を知ってか知らずか声をかけるのは霊体化し、常人には姿が見えることはないクラス『アーチャー』として呼ばれたサーヴァント。
自身にかけられたアーチャーの言葉に凛は学校とは違う猫かぶりしていない口調で口で返す。
「えぇ、何か問題あるかしら?」
『問題はないが、学校という場は不意の襲撃に備えにくい場所だろう?』
自身の返しに懸念に思う部分を答えたアーチャーに対し、凛は自分なりの答えを返す。
「マスター同士の戦いは人目を避けるものでしょ?それなら人目に付く学校に居れば、不意討ちされることはないと思うけど」
一般的に考えれば大した問題の無い答えに、納得がいっていないのか分からないがアーチャーが口を開く。
『もしもの話だが、その安全な場所に敵が居たとしたら…どうする?』
「それは…ないわ、この街に魔術師の家系は遠阪とあと1つしかないの」
歩を学校へと進めながら続きを彼女は話す。
「その1つっていう家系は落ちぶれているし、マスターにもなっていない」
彼女の説明に一応の納得を示したのか、アーチャーは「フム」と言いながら彼女の言葉に続く。
『凛の行く学校にはもう一人魔術師が居るのだな……だが、マスターになれるほどの魔力は持ち合わせていない…と』
「そういうこと」
自身の言ったことを理解しまとめた自分のサーヴァントに得意気に反応を返す凛。
しかし、そんな彼女を心配するようにアーチャーは君の知らない魔術師が居るかもしれないから警戒すべきだ、と注意する。
そんな彼女達が学校に到着し、校門をくぐり校舎へと向かっていたその時だった。
「ッ!?」
突如として言い表し難い気持ち悪さが彼女の体にまとわり付き、それを感じた彼女は思わずその場に立ち止まってしまう程のものであった。
頬に汗が流れ落ちて行くが、それが先程までの自身のサーヴァントが予想していた通りに事が運んでいる事への焦りか、それとも今自分が感じているこの気持ち悪さの正体を想像してのモノなのか。
それに……
(この魔力……結界だけじゃない?淀んだ魔力とはもうひとつ別の……比較にならないくらい禍々しい魔力を放つ何かが居る!)
それは非常に微力で淀んだ空気の気持ち悪さの中に溶け込むようにして隠れてはいるが、この空気とは明らかに違う魔力があった。
術式や結界かは分からないが、この結界内で感じた別の魔力……と言うことは結論は1つになるだろう。
静かく、そして小さく己のサーヴァントを呼ぶ彼女にアーチャーは互いが思っていることを口に出す。
「……アーチャー」
『ああ、恐らくこの結界を仕掛けた人物だろうな』
実際のところはただ単に屋上で寝ている主人公なのだが、そんな事を知るわけがない凛とアーチャーは禍々しい魔力の持ち主がこの学校に居る人物のものだと言う間違ってはいないのだが、微妙に間違っている解釈をし、警戒度を強めた。
何にせよ、彼女はその日の夜。
生徒は勿論、教職員すらもそれぞれの帰路へ着いたような時間に再び自分が通う学校へやって来ていた。
学校内にあるとされる術のポイントをくまなく探し、7つ目にして結界の起点を屋上で見つけ、その結界の正体について。
そして、その結界の発動を妨害するために工作を行おうとしたその時だった。
彼女達に真紅の槍を持つランサーが襲いかかり、戦場を屋上から校庭に移しアーチャーとランサーの戦いが幕を開けた。
互いに一歩も譲らない攻防。鍔迫り合いから互いに距離を置いたランサーはアーチャーだけに聞こえるように声を潜めて問いかける。
「オイ……てめぇ、気づいているか?」
「ああ、勿論だとも」
ランサーの主語が抜けた問いに迷うことなくアーチャーは答える。
アーチャーのマスターである凛は気付いていないのかもしれないが、先程自分達がいた校舎の真反対にある建物の屋上に何者かがおり、こちらの攻防を見続けているのだ。
しかし、相手に気付かれないようにそちらの方を見てもそこにいるはずの姿は暗がりに溶け込んでいるためなのか見えることはない。
仕方なく二人は視線を目の前の相手に戻し、再び激しい攻防を繰り広げる。
槍と双剣。獲物は違えどそれを振るう速度は人の域を越えており、ヒトと同じ姿をしていながらも超人的な能力を保有する者なのだと否が応にも分からせる。
そんな攻防に凛は圧倒されているとアーチャーが突如としてその双剣を夜空へと投げつける。
高速で宙を飛び続けるその二振りの刃はそのまま屋根を通りすぎて見えなくなっていく……筈だったのだが。
『フンッ!』
突如として謎の声が聞こえたのと同時にその二振りの刃は粉々に砕け散った。
唖然とする凛をよそにランサーは淡々と……だが、どこか気に入らないのか不機嫌そうに口を開く。
「オイテメェ……覗き見とはいい趣味じゃねぇな、俺の槍に貫かれたくなきゃさっさと姿を表せ」
ランサーのその言葉が一瞬理解できなかった凛だが、次の瞬間には何時もの思考を取り戻しており、先の言葉の意味に額から頬へと汗が流れる。
『……確かに汝の言うとおりだ、姿を表すとしよう』
次の瞬間、何もなかった筈の屋根の上に黒い和洋折衷のようなデザインの体に碧のライン、能面のような顔に体に刻まれたラインと同じ色の尖った瞳。
荒々しくたなびく髪に恐竜のように野太い尾。
そして何よりもソイツから放たれる禍々しくも何処か神々しいオーラ。
アーチャーとランサー同様に明らかに只者ではない存在がそこに居た。
◇
「さて……まずは我が非礼を詫びるとしよう」
緊張で張り積めていた空気を壊したのは、その原因である黒いヒト型だった。
そう言うと相手は屋根から飛び降り、地面に音もなく降り立つとこちらを見て口を開く。
「汝らを覗き見し、結果的に汝らの戦い中断させてしまったことは誠に申し訳ない」
そこから響くような低く威厳のある声でそう言った相手は、小さく頭を下げる。
「帰り道につい寄ってみたら汝らが戦っていたものでな、その様子につい見惚れてしまっていた……許されるものではないかもしれないが、どうか容赦してほしい」
体から絶えず放たれている禍々しいオーラに反して出てくる言葉は紳士的なモノだが、その謝罪と理由をランサーは一蹴する。
「ハッ、よく言うぜ……テメェ最初から分かってただろ」
「……なんのことだか良く分からんな」
「ああそうかい……なら、それでも良いぜ」
ランサーは手元の槍を曲芸師のように回転させながら、再び槍を持ち直す。足で大地を力強く踏み、腰を少し屈めて己の獲物を構える。
そして黒いヒト型を強く睨み付ける。
「言っとくが……『俺とテメェが会うのは2度目』だ、これの意味がわからねぇ訳がねぇよな?」
此方に向けられている訳でもないのに冷や汗や鼓動が早まるのを止めらない程の殺気を放つランサーに凛は改めてサーヴァントの恐ろしさを実感していた。
そんな彼女の思考を引き付けたのは先程現れた黒いヒト型の一言だった。
「無論。我自身は戦うのはやぶさかではないが、致し方無し」
直接殺意を向けられている筈なのに何ともないように佇んでいた黒いヒト型は足を開き、腰を少し落として両腕を前に持ってくるという独特の構えで迎え撃つ。
そんな二人を尻目に凛はアーチャーに一言。
「アーチャー、あれがなんの英霊なのか分かる?」
『残念だが、今のところはさっぱりだ……古今東西、あんな姿の英霊は中々に見たことがない』
「……そう」
彼女がアーチャーの言葉に対して残念そうな呟きを漏らす。
しかし、彼女達は確信していた。
あの禍々しい魔力、今朝の結界の際に感じたモノと同じ……つまり結界を仕掛けた本人、もしくはそのマスターのサーヴァント。
──実際は全然違うのだが、この場にはそれを否定する者は居ない。
その為勘違いは加速する。
「さて……かの有名なアイルランドの光の御子と戦うのだ、我も今持てる全力で戦わねばなるまい」
そう言うと黒いヒト型の放つ魔力が増加していき、小さな碧の稲妻が黒い体の周囲でバチバチと音を鳴らす。
「我は剛、我は力、我は全!」
何かの魔術なのだろうか、一説唱えると黒いヒト型の全身刻まれた碧のラインが放つ光が強くなる。
「我が身は全てを裁ち斬る破壊の剣!」
鬣のような黒髪が唸るように靡き、体の碧の光がよりいっそう強くなる。
「……押して参る!!」
そう締め括ると溜め込まれていた力が解き放たれたかのように禍々しいオーラが増幅し、ランサーの比では無いほどに威圧感が高まる。
そして次の瞬間には黒いヒト型の姿は消えており、鈍い音が辺りに響いた。その音の方へ視線を向けるとヤツの左のミドルキックを槍で顔の距離ギリギリのところで防いでいたランサーの姿があった。
しかし、ヤツは防がれた左足をそのまま力任せに横凪ぎし、ランサーを吹き飛ばす。
横へ大きく移動したランサーが攻撃に転じようと槍を構え直すが、そうはさせまいと言わんばかりに黒いヒト型はランサーの側面に回り込み、その巨躯からは想像できないような速度で左の拳を振るう。
しかし、超上の能力を持っているのはランサーも同じであり、その拳も何とかガードする。
そして直ぐ様縦に構えた槍を降り下ろし反撃しようとした時。
「参式ッ!」
反撃を許さずに続けて右の拳でランサーの横腹を殴り、ヒト型は叫ぶ。拳が彼に命中するとヒト型の体に『参』と黒字の達筆で書かれた碧の刻印が浮かび上がり、ガキン!と鎖が砕けたような音が鳴った。
「チィッ!また…それ……かッ!!」
ランサーが打ち込まれた拳の痛みに耐えつつ、槍を降り下ろす。本来であれば避けることは至難の一撃だが、相手の恐るべき身体能力はそれを可能にする。
「フンッ!!」
体を左に回転させの紙一枚の距離で降り下ろされる槍を避け、獲物を降り下ろして無防備になったランサーの肩目掛け回転の勢いに乗せ、右足で後ろ回し蹴りを見舞おうとする。
「させるか……よっ!」
地面に突き刺さった槍の穂を少し持ち上げ、体を捻りそのまま相手に向けて切り上げを行う。
蹴りの途中であるヒト型がその真紅の槍を交わすことが出来ることは不可能、その為黒いヒト型から鮮血が飛び散る──
「甘いわ!」
事はなく、伸ばしていた右脚を曲げて自身へ迫っていた真紅の槍を強く踏み、地面にその穂を食い込ませる。
槍を踏まれ、引き抜くことが出来ずに動きが一瞬止まったランサーの横腹に左の拳を再度見舞う。
そして続けて槍を踏んでいた脚を離し、そのまま槍をの柄をなぞるように脚を滑らせ、ランサーの顔面を狙う。
流石にマトモに喰らったら不味いのだろう、槍から手を離し両腕を交差してそれを防ぐ。
「弐式ッ!」
脚がランサーの両腕に防がれた瞬間、ヒト型が叫ぶと体に再び『弐』と書かれた黒字と碧の刻印が浮かび、鎖が砕けたような音が鳴る。
蹴りの威力が凄まじかったのか、ランサーが少し後方へと下がり二人の間に距離が出来る。
「ゼェア!!」
その空間を使い、ヒト型は体を捻り反転すると拳を地面に叩きつけ黒と碧のオーラーを噴出させる。
噴出したオーラーは受け止めることができなかったランサーを上空に打ち上げ、それに追撃を加えるためにヒト型は跳躍する。
まずは右拳、次に宙で体を縦に回し左足で踵落とし、肘鉄を決め、落ちそうになっていたランサーを右足で蹴り上げ少し浮かした所で再び体を縦に回し尾で叩き落とす。
「肆式ィ!!」
その直後ヒト型がそう叫び、三度体に刻印が浮かぶ。地面に叩き落とされたランサーに追撃をするように地面に拳を降ろすが、ランサーはそれを地面を転がり避けると地面に突き刺さったままの己の獲物の元へと向かい引き抜くとそれを持ち直し構える。
張り積めた空気の中、それを裂くようにランサーが口を開く……その整った顔の頬には先程は見えなかった汗が見えていた。
「……何をしやがった」
苦虫を噛み締めたような顔で睨むランサーに対してヒト型は涼しげな顔で──あくまでもその場にいた者の感覚でだが──答える。
「我自身は何もしておらぬが?」
「ほざけ、テメェの攻撃を受けてから体の調子が優れねぇ……痛みとは違う、体の力が抜ける感じだ」
ランサーのその言葉を聞き、凛は圧倒されていた思考を現実に引き戻され、今聞いたランサーの言葉の意味を考える。
(体の力が抜ける……?弱体化の魔術?それとも生命力を奪っている事?いや、サーヴァントの場合は魔力か)
「アーチャー」
『ああ、君の考えているように恐らく弱体化か魔力を奪取するような魔術を使っているのか……もしくは奴が口に体に浮かび上がらせていたあの刻印が何か関わっているのかもしれないな』
アーチャーの言葉に確かに、と凛は心の中で頷く……確かにあの刻印がランサーの言う異常に関わっている可能性は高いだろう。
凛は考える。目の前で戦うヒト型のサーヴァントはランサーとの戦闘を見る限りかなり強力な英霊なのだろう。
もし、今の自分達がアレと戦うことを考えるとかなり分が悪いだろう……対してランサーのサーヴァントは、あのヒト型に比べるとまだやりようがある。
それならば……
「……アーチャー」
『なんだね?』
彼女は覚悟を決めた顔で己のサーヴァントに命令を下す。
「ランサーと協力してあのサーヴァントを倒して」
つい先程まで敵対していたサーヴァントと協力しろ。という彼女の願いに対してアーチャーが返したのは
『了解した』
その一言だった。
今回も最後まで読んで頂き、有り難う御座います。
居間のところはUBWルートで行こうかと悩んでいるんですが、結局どのルートでもないモノになりそうです。
最終的には「カニファン」や「衛宮さんち」みたいなほのぼの……というかあんな時空にすることが目標にしてますが……どうなるか。
それではまた、次のお話で。
主人公の宝具は幾つが良いですか?
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3つ
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4つ
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5つ