転生サーヴァント(?)の日常   作:黒夢羊

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どうも皆様、黒夢羊です。

4500UAと70以上のお気に入り登録、本当に有難うございます!
ややこしい文章や稚拙な戦闘シーンばかりが続いている中、それでも読んでくれる皆様には本当に感謝しかありません。

これからもどうにか頑張っていくので読んでいただけると嬉しいです。


それでは本編へどうぞ。






第7話 遭遇戦

 

──何処かでその光景を見たサーヴァントが悶えていたのは置いておくとして、舞台は再び衛宮邸に戻る。

 

 

 

「貴方が私のマスターか」

 

「マス…ター?」

 

 

 突如として目の前に現れた見目麗しい金髪の美少女が放った一言。

それに対して答えるモノを持っていなかった衛宮 士郎はただポツリと呟くことしか出来なかった。

 

 それをどう解釈したのか、目を見開き未だにへたり込んで呆然としている士郎に対して再び口を開く。

 

「サーヴァント・セイバー。召喚に従い参上した……マスター、指示を」

 

 どういう事だ──士郎がそう口に出そうとしたその時、左手が痛み小さな呻き声を漏らしながら顔をしかめて左手を押さえる。

そんな彼を……いや、彼の左手から土蔵の外へと視線を向け、理解が追い付いていない彼に語る。

 

「これより我が剣は貴方と共にあり、貴方の運命は私と共にある」

 

 そう語るセイバーと名乗った彼女の手元に黄金の光が集まっていき、一瞬輝いた後に一陣の風が土蔵内に吹く。

 

「ここに契約は完了した」

 

 するとセイバーは何かを握り締めるような手つきをした後にそう呟き、その見た目からは想像も出来ない速度で土蔵を飛び出した。

 

「契約って、何のっ!?」

 

 それを士郎は慌てて追いながら困惑の色が多く混じった声でそう叫ぶが、土蔵の入り口に立った彼の目に入ってきたのは先程自分を殺そうとしていた青装束の男と、セイバーという少女が目にも止まらぬ攻防を繰り広げている光景。

 

 一見すれば明らかに、体格的にあの男の方が有利だと思ったが彼のその予想は攻防の中で押されている男によって裏切られる。

──あの自分を弄ぶような身体能力を持つ男とあの少女は同格、またはそれ以上という事。

 

 

 押されている男を見ながら士郎はその事実にただ何も言えずに土蔵の入り口で佇み、その光景を眺めることしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

「8人目のサーヴァントだと……」

 

 自身の得物である真紅の槍を構えながらランサーのサーヴァントはそう呟く。

それにはあり得ないといった少なくない驚愕の色が含まれており、心底驚いているというのが相手にしているセイバーでも理解できた。

 

 そしてセイバーのサーヴァントである少女も、目の前の男が発した単語が気にかかり、激しい攻防が行われている最中、ランサーに問いかける。

 

「8人目?」

「ああそうさ、セイバー、アーチャー、キャスター、バーサーカー、ライダー、アサシン……そして俺」

 

 セイバーの一撃を防ぎ、彼女から距離を離したランサーは淡々と他のサーヴァントの名前を上げていく。

 

「本来ならこの7騎のサーヴァント、7人のマスターで聖杯戦争は行われる筈だ……だが」

 

 男が思い出すのは先程相対した禍々しいオーラを放ち続ける黒いヒト型のサーヴァント。

ランサーはあれが7人目のサーヴァント、セイバーだと思っていた……だが、それは目の前の少女剣士の存在が否定する。

 

「テメェと会う前に7人目のサーヴァントらしき者に会っていてな……もしテメェとアイツがサーヴァントなら数が合わねぇんだよ」

「成る程、私を見たときにあり得ないモノを見たような表情をしたのはその為か」

 

 元々セイバーにしてはおかしいとは思っていた。

武器を一切用いない徒手空拳での戦闘、手加減をしているわけでもなく己の肉体こそが武器だと分かっている戦い方。

 だからランサーはセイバーではなく何か別のクラスで召喚されたサーヴァントではないかと予想していた……しかし、7騎しか存在しないはずのサーヴァントが8騎存在しているのはどういうことか。

 

(ちょいとキナ臭いな……)

 

 ランサーのサーヴァント─クー・フーリンは今回起きているイレギュラーについて1度自分の『マスターに成り代わった男』に聞くために離脱を優先することにする。……だが、このままで易々と終わる訳ではない。

 

「おい、セイバー」

 

 互いに睨みを効かせる中、少し表情を緩めながらランサーはこう提案する。

 

「お互いよ、初見ってことでここらで引き分けって言うことにしねぇか?」

「断る。貴方はここで倒れろ、ランサー」

 

しかしランサーのその提案をセイバーは真っ向から断り、そんな彼女の回答にランサーの表情は先程同様に鋭いものへと戻る。

 

 

 

 

 

 

「……あぁ、そうかい。こっちは元々テメェが出てきた時点で様子見で終わらすつもりになってたんだが……」

 

 ランサーは槍の穂を斜め下にするように持ち直し、腰を少し屈める。

彼の鋭さを増す気配に呼応するように彼の持つ真紅の槍が穂先から赤いオーラーを纏い始める。

 

「……っ!あれは!?」

 

 そう士郎は叫ぶ。

青装束の男……ランサーが持つ真紅の槍から放たれるオーラは未だに事情が飲み込めていない士郎であってもヤバいモノだと言うことははっきりと分かる。

少し離れた位置にいる自分でさえそうなのだから、それと真っ向から相対しているあの少女は自分が想像も出来ないような威圧感や殺気を感じているのだろう。

 

 助けなければ……と思ったが、恐怖からか体が思うように動かない。

 

(クソッ!こんな時に限って!!)

 

 そう己の心の中で自分を叱咤する士郎だったが、その間に敵の準備が整ったのかランサーが駆け出す。

 

 

 

「その心臓……貰い受けるっ!!」

 

 彼のその言葉と共に同時に槍が放つ紅きオーラの勢いが一気に強まり、槍どころではなく持ち主であるランサーさえも包み込もうとするまでに至る。

そして、彼が大地を強く踏みしめ槍投げの体勢へと移り、叫ぶ。

 

 

 

 

 

刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)ッ!!」

 

 

 

 

 

 男が投擲した槍は一筋の光となり、複雑な軌道を描きながらセイバーを穿とうと向かって行く。

そしてセイバーは己に向かってくる槍を武器で受け止めた彼女。

槍の威力に思わず彼女が握る武器が弾かれそうになるが、次第に紅き光線となった槍を押し返そうと――

 

 

 

 

――その時、時が止まる。

彼女の武器によってその進みを邪魔されていた槍が自身以外が静止した世界の中で軌道を変え、がら空きになっているセイバーの胸元へと狙いを定める。

 

 そして、時は動きだし真紅の閃光はセイバーの胸元をそのまま貫こうと突き進む。

それを直感で感じ取ったセイバーは急遽動きを変え、自身に迫り来る閃光を防ぐのではなく、反らす事に全力を注ぐ。

 セイバーが握る武器の刃先に閃光が当たり、その軌道が僅かに左へずれ、セイバーの体を貫いた。

貫かれた彼女は釣糸の釣り針かかった魚のようにしなる光線に連られてそのまま空中へと持ち上げられて行き、暫くの間空中で振り回された後に光線が体から抜かれ地に落ちる。

 

 再び光線から本来の姿へと戻った真紅の槍を振り切った体勢で俯いていたランサーは怒りが込められた声を出しながらセイバーを強く睨む。

 

 

 

 

「躱したなセイバー……我が必殺の一撃をッ!」

 

 

 五体満足で大地に2本の脚で立つランサーとは反対に地面に座り込み、左胸の辺りに出来た傷口を抑えるセイバーは何処か苦しそうに口を開く。

 

「呪詛……いや、今のは因果の逆転!」

 

 セイバーは改めて真紅の槍を持ち、己の前方に佇む青い装束に身を包んだ男を見る。

先程使用していた宝具に心当たりを付けながら。

 

「ゲイ・ボルク……御身はアイルランドの光の御子かっ!?」

 

 セイバーの問いにランサーは小さく舌打ちをした後に何処か清々しい顔で槍を肩に乗せながら呟く。

 

「ドジったぜ……コイツを出すからには必殺でないとヤバいってのにな」

 

 そう呟いたランサーは傷を抑えて座り込むセイバーには目もくれず、衛宮邸の壁に向かって歩を進めていく。

その間も、何処か愚痴を溢すかのように不満げな声色で喋り続ける。

 

「ウチの『雇い主』は臆病でな……「槍を躱されたのなら帰ってこい」なんてぬかしやがる」

「……っ!逃げるのかっ!!」

 

ランサーの言葉から、彼がこの場から撤退しようとする事を察したセイバーはそう叫ぶ。

自身に投げ掛けられた叫びに対してランサーは立ち止まると振り返り、セイバーと士郎を睨んでこう告げる。

 

「好きにすると良いさ……だがな、追うのなら決死の覚悟で来るがいいッ!!」

 

 そう言い残すとランサーは高く飛び上がり、夜の暗がりへと消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてほぼ同時刻。

 

「居る!ランサーのサーヴァント!」

 

 アーチャーに抱えられながら冬木の夜を駆ける凛は、士郎を蘇生した後にランサーの捜索を行っていた。

そしてそれから暫くしてサーヴァントの反応があり、そこでランサーのサーヴァントを発見した。

 

「急ぐわよ、アーチャー!」

 

 近くで着地したアーチャーから下りた凛は、そのままランサーが居るであろう方向へと全速力で走り出す。

しかしアーチャーは凛に付いて行こうとした直後、降りた場所で立ち止まる。

 

(……この気配は2つか?……いや、違う!この禍々しい気配は!!)

 

 

 アーチャーが感じたのはランサーともう一騎のサーヴァント、それに加え急接近している禍々しい気配。

それを凛に告げるためにアーチャーは叫ぶ。

 

「待て凛!サーヴァントの気配が1つではないっ!!」

 

 アーチャーにしては少し焦ったような口調で叫ぶが、禍々しい気配に一瞬多く時間を取られた為に凛はアーチャーとの距離を離してしまっている。

しかしアーチャーが何かを叫んだのは聞こえたのか、凛は聞き返そうと曲がった角を振り替えり、アーチャーに問い返そうとする。

 

「どうしたの!?――アー」

 

チャーと続けて言葉にしようとした彼女の背中から強い殺気を感じる。それを確認しようと振り返ろうとした彼女の目の前には黒い壁が立ち塞がり、その奥から鎧だろうか──硬い金属質のものが鳴らす音が聞こえた。

 

 

 

 

 突然の事に呆気に取られる凛の耳に聞こえたのは、自分が驚異と認識した低く威厳のある声から発せられた一言だった。

 

「……無事か?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫か!凛」

 

「無事か?」……その言葉を聞いた直後に彼女の傍らに自身のサーヴァントであるアーチャーが両手に黒と白の双剣を持って現れる。

 

 1歩間違えれば死んでいたこの状況で、本来の彼女であればアーチャーに理不尽とも言える怒りをぶつけていたのだが、それよりも彼女の意識は眼前の黒いヒト型に向けられて居たためにアーチャーは彼女の怒りを運良く避けることが出来た。

 

 

それはそうとして。

 

 

 

 アーチャーは黒いヒト型の奥に佇む少女に。

少女は自身の眼前に立ち塞がるヒト型に目を見開き驚愕の表情を浮かべていた。

 

 ひとまずアーチャーは自らのマスターの安全を確保するために凛を自らの後ろに下がらせ、自身が凛と黒いヒト型の前に立つ。

 

 

 数秒の間沈黙が降りるが、直ぐ様目の前の少女──セイバーは行動を再開。

 大地を蹴りヒト型の懐へと急接近し、右下からのヒト型の脇腹へ向けて切り上げを行うが、それをヒト型はセイバーの腕ごと掴み異様なほどの力で止める。

腕を掴まれた事によって攻撃を阻止されたセイバーは直ぐ様自らの武器を手離し、掴まれていない方の左手で落ちる武器を掴むと、そのまま左腕を引いて右腕を掴んでいる黒腕に向けて武器を降り下ろす。

 

透明の武器が黒腕に触れる直前にヒト型は掴んでいた手を離しその攻撃を躱す。

そして未だ自由である右腕でセイバーに殴りかかるとセイバーはその拳を武器で防ぎ大きく後ろに下がる。

 

 

 凛は黒いヒト型に隠れて見えなかった相手の姿をようやく捉え、驚きから言葉を漏らす。

それは本来自分が召喚する予定だったサーヴァントだった、聖杯戦争において最優と称させる存在。

 

「セイバーの……サーヴァント」

 

 しかしセイバーは凛の呟きには反応するは無く、依然として眼前に立ち塞がりその禍々しい気配で存在感を示し続ける黒いヒト型に意識を向け続ける。

そして再び数秒の沈黙が流れ、それを破るようにセイバーが口を開く。

 

「脈絡もなく失礼する……貴公は以前私と合ったことがあるか?」

「……え?」

 

 その言葉に真っ先に反応したのは問いかけられたヒト型ではなくその後ろ……警戒レベル上がりっぱなしのアーチャーが守っている凛であった。

 それもそうかもしれない。明らかに騎士と言った見た目のセイバーと、人と同じ骨格を持っているとはいえ、相対するものを威圧するような禍々しいオーラを放つあのヒト型が知り合いかもしれないというのだから。

 

「……いや、我の知己に汝のような者はおらぬ」

 

 しかし、セイバーに問いかけられた当の本人がそれを否定したことでその可能性は消え失せた。

そして問いかけたセイバーは何処か納得したような……それでいて少し寂しそうな表情を浮かべながらただ一言「そうか……」と呟いた。

 

 だがそれも一瞬のことで、直ぐ様表情を元の凛としたものへ戻すと透明な武器を強く握る。

 

「唐突に変なことを聞いて申し訳ない、どうか許して貰いたい」

「構わぬ、汝の期待に添えるような答えを出せなかった我にも非礼はあろう……」

 

 ヒト型から発せられたその言葉に一瞬呆気にとられたセイバーは、その後少しだけ微笑むとクスリと笑う。

そんな彼女に不思議そうに首を傾げるヒト型に「何でもない」と返し再度武器を構える。

 

「勝負の最中に失礼した……では、行k「待て」……?」

 

 続きを始めようとしたセイバーの言葉を遮って目の前のヒト型が口を開く。

その体からは依然禍々しいオーラが放たれてはいるが、先程よりも遥かに収まっており、戦う気が失せている事を感じとることが出来た。

 

 ヒト型はセイバーの後ろを指差し、呟く。

 

「……汝のマスターがやって来た、これ以上の戦闘は不要と我は判断する」

 

セイバーがそれにつられて後ろを見ると、そこには息を切らしながらこちらを見つめる赤髪の少年。

セイバーはマスターの名を呟き、再び眼前を向くとヒト型が発した言葉に対して問いを投げ掛ける。

 

「シロウ。……貴公、逃げる気か?」

「左様。我は不必要な闘乱や殺生は好まぬ……今回はこれで御開きとする方が良かろう」

 

 

 

 セイバーの挑発に近い問いに対して、全く動ずること無く返答をするヒト型。

その出で立ちは禍々しくも武人然としており、確かに英霊としての側面が見える。

 

「何れ汝らとは合間見える事になろう……その時は今よりも良いモノであることを願おう」

 

 そう言うと黒いヒト型は霊体化し、その場から消えた。残されたのはアーチャーに守られてい凛と、何処か嬉しそうなセイバー、そしてそのマスターであり今の光景に混乱している士郎であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回も最後まで読んで頂き本当に有難うございます。

セイバーの発言については後々回収したいと思います……それと早く主人公のイチャイチャを書きたい。
問題はそれまで続くかどうかですけどね。

なんかもういっそのこと他の話を平行して書こうかなんて思ったりもするんですが、明らかにエタりそうなので断念ですね。


それではまた次のお話で。

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