シルヴァリオサーガRPG ブランシェ家亡命√RTA   作:TTオタク

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仕事疲れなので初投稿です。勢いで書いたので矛盾があるかもです。
あとグロ注意です。


創生せよ/もう止まりはしない

 通常戦闘全てが博打、なRTAはーじまーるよー。前回はゼファーさん含めた幼馴染メンバーで旅行に行った所ですね。

 

 旅行から帰ると早速チトセネキが暗殺任務を課してきます。チトセネキの機嫌が悪く、正直結構怖いですね。しかも、忙しい時に空気を読まず休む部下にキレるパワハラ上司みたいな事言ってきます。いやーなんで不機嫌なんでしょうね?

 

 ゼファーさんはほっといても暗殺任務を成功させてくれるので、基本は放置しておきましょう。好感度稼ぎを忘れず行っていればゼファーさんとは仲良くなれるので大丈夫です。わざわざ危険を犯してまで手伝う理由はありません。

 

 なぜなら、ブランシェ家亡命イベントはゼファー・コールレイン死亡済みでも達成が可能だからです。『ブランシェ家』亡命ENDなので対象の中にゼファーさんは居ません。イベントは変化しますがトロフィーを獲得できるので問題ないです。

 

 ただゼファーさんが居ないと、チトセネキ精神デバフ無しでガチで殺しにくるのと、単純に帝国軍最高峰の実力を持った星辰奏者(エスペラント)であるゼファーさんの援護が受けられなくなり難易度が爆上がりします。なのでなるべく生存させるのが正解ですが、主人公死亡で大ロスするよりマシです。

 

 はい、なので地道に調査任務だけ行って、現場はゼファーさん達に任せれば───画面に「嫌な予感がする」というポップアップが出ましたね。

 

 これは好感度が一定以上のキャラが死亡する可能性があるイベントが発生する際の通知ですね。そしてゼファーさんには暗殺任務が課せられているようです。

 

 うーん。これは迷いますね。この手のイベントは実は不意打ちでやられるなどの2人いれば防げた系の簡単に回避可能な難易度から、いきなり作中最強クラスのキャラが乱入してくるまで様々です。一例を挙げると、以前作者がアンタルヤ狙撃兵ヴァルゼライド殺害RTAを試走していた時に、モブ星辰奏者暗殺イベントで本気おじさんにこのポップアップが出現し、ヴァルゼライド閣下が乱入してきたことがあります。

 

 本気おじさんは楽しそうに死んでいきましたが、RTA勢的にはたまったものではありません。作者は当分「そこまでだ」という言葉がトラウマになりました。

 

 なのでこのイベントは大事をとって無視します。ごめんねゼファーくん。君の涙を笑顔(タイム)に変えるからね。というか確実に死ぬイベントじゃないので、ゼファーさんならどうにかするでしょう。

 

 選択肢「杞憂だろう」を選択します。

 

 あれ? また選択肢が出ましたね。

 

 選択肢「考えすぎだ」を選択します。

 

 また出ました。シルヴァリオシリーズ特有の意味のない選択肢かな?

 

 選択肢「過保護がすぎるだろう」を選択します。

 

 よし、選択肢が消えましたね。操作画面も通常に戻り、カティアを操作できるようになりました。

 

 はい、実は否定選択肢を選んでも次の選択肢が出た時点で嫌な予感はしていました。死亡イベント対象への好感度が高い状態で、なおかつアマツの血筋を引いていると発生するイベントがあります。

 

 個性【アマツの愛】入手イベントですね。今までただの戦友や仲間だと思っていた相手に、なぜか嫌な予感がするというだけで駆けつけてしまうような激情が何かと考え、相手に恋しているのだと自覚するようになるイベントです。

 

 この場合このイベントは強制イベになり、死亡イベントに強制介入します。アマツが愛を自覚したら止まるわけないよなぁ。

 

 はい、というわけで暗殺現場に到着です。一応保険でヴィルとカトレアを連れていきましょう。ヴィルは裁剣天秤(ライブラ)所属の星辰奏者だけあってめっちゃ強いですし、カトレアは星辰奏者じゃありませんが、兵士としては普通に優秀なのでヘイト分散にはなります。

 

 願わくば事故や不意打ち失敗からの泥沼戦闘になっちゃってるパターンであって欲しいです。操作キャラのカティアが星辰奏者としてクソザコな以上、ガチ戦闘があると詰みます。

 

 なので戦闘音がしない事をお祈りして───はい、甲高い音や炎を伴わない爆発音がしますね。完全にゼファーさんが正面戦闘してる音です。これで少なくともゼファーさん相手に正面戦闘を張れる敵である事が確定しました。

 

 お、ゼファーさんが家屋の壁を打ち破って外に出てきますね。どちらかというと壁を突き破って外に投げ出されたような感じですが、まさかゼファーさんが手も足も出ない相手なんてそんな屑運あるわけないでしょうし、ないよね? さすがにそんな屑運なんて信じたくはないです。

 

 ゼファーさんが地面でゴムボールみたいに跳ねてこっちに飛んできます。血塗れですね。体のあちこちに火傷や裂傷を負っています。

 

 はい、この時真剣に再走を検討しています。ロードし直しても、アマツの愛獲得イベは強制ですし、実はここまでは大小のガバはあれど結構な好ペースです。幼馴染から裁剣天秤所属の星辰奏者が出たという幸運もありますし、再走はしたくありません。

 

 覚悟を決めたようですね。ヴィルに前衛を頼み、カトレアにゼファーの救護措置を頼みます。

 

 さて、ゼファーさんを圧倒した星辰奏者の登場です。

 

「驚いた、今宵は運がいい。頼んでもいないのに追加注文とはな。寝ずの番もたまには良いか」

 

「仕事が増えて運がいいなんて仕事熱心ですわね。仕事中毒(ワーカーホリック)かなにかですの? 私は正直眠たいわ」

 

 はい詰みです。血統派星辰奏者中ほぼ最精鋭のチドリ・ムラサメとミカ・キリガクレです。星辰光(アステリズム)はチドリが圧力操作、ミカがベクトル操作です。

 

 チドリは腐ってもムラサメを名乗るだけの戦士で、ヘイゼル爺並の格闘術かクロウ師匠クラスの剣術が無いと近接戦では劣勢になります。なおかつ体内の気圧操作で即死攻撃してくるので近付くとほぼ死です。その上干渉性を活かした爆撃を行なってくるので遠距離でも厄介です。

 

 対してミカのベクトル操作は単純な防御型です。某もやしロリコンみたいな出力も無いので高出力でぶん殴れば勝てる相手ですが、血液を逆流させる攻撃や、星辰奏者の筋力を活かした規格外の銃器を乱射して攻撃してきます。無論ベクトル操作で追尾してくるのでうざったい事この上ありません。そもそも攻撃を逸らされるので戦闘時間が伸びて、反動の大きい短期決戦型は死にます。

 

 そして極め付けは圧力操作とベクトル操作の相性の良さです。チドリの気圧爆撃に方向性を付与する事で攻撃力を増したり、ミカの銃弾の通路の気圧を薄くして弾速の低下を防いだりしてきます。そのほかにも連携技が多く、まさしく運命の赤い糸で結ばれてるような相性の良さです。

 

 ほぼダメ元で戦闘を開始します。

 

「おや、貴女はヒジリ様ですか。悪いことは言いません、お帰りになった方がよろしいかと。此方としてはその短刀使いとそちらの星辰奏者さえ置いていってくださればそれで良いのですが」

 

 このセリフはプレイヤーが非戦闘員だと発生するセリフです。アマツだから発生したのでは無く、アマツだと口調が丁寧になるだけです。

 

 つまり非戦闘員レベルの脅威としか思われていないわけですね。

 

 ガン無視して基準値で応戦します。ヴィルも全力で戦ってくれますが、やはり相手が悪いです。ヴィルの星辰光は雷電発生能力なのですが、拡散性が絶望的に低いため実質雷属性ブレードと化しています。それを補うために電磁加速砲(レールガン)を内蔵した剣というトンチキ装備を使っていますが、気圧操作とベクトル操作という射撃系武器の天敵みたいな能力には分が悪いです。

 

 あ、カトレアが爆発に巻き込まれました。生きてはいるようですがもう戦えませんね。

 

 ヴィルが大気圧縮による炎で大火傷を負っています。まずいですね、めちゃくちゃ劣勢です。

 

 この後に及んでカティアが発動値を使用しないのは、個性【拭えぬ恐怖】のせいですね。初回発動時のトラウマのせいです。

 

 はい、順当に追い詰められました。プレイ当時は必死に戦ってますが、正直無理です。あ、致命攻撃くらいかけましたね。ゼファーさんが再起して助けてくれましたが、二度目はないでしょうね。

 

「カティア、お前は先に逃げろ。そんな顔するなよ、俺は天下の裁剣天秤副隊長様だぜ? この程度の修羅場で死ぬもんかよ。後できっちり3人揃って帰るから。だから先に行け」

 

 ゼファーさんがここぞとばかりに特大フラグを立ててくれます。だめみたいですね。

 

 はい、ここで個性欄が変化しましたね。個性【アマツの愛】を獲得です。なぜそこで愛? という状況で当時は何が起こったか理解するのに時間がかかりましたが、こういうことです。

 

 個性【拭えぬ恐怖】を【アマツの愛】が上書きしたんですね。土壇場でゼファーへの愛を理解し、トラウマを克服した形になります。

 

 なぜか愛を理解してメンタル値がげっそりなくなってますが、まあ今は関係ないです。

 

 トラウマの対象は発動値に移行した時の反動なので、トラウマを解消した後の行動は、皆さんもうおわかりですね?

 

 コマンド「発動値に移行」を選択します。

 

「おいやめろ! 頼む、頼むからやめてくれそれだけは!」

 

 ゼファーさんが必死に叫んでいますが関係ありません。好タイムをどうにか未来(世界記録)に変えるためにひた走るだけです。

 

 はい発動値に移行しました。凄まじい勢いでHPが消し飛んでいきます。というか最大HPが増えてるの見るに、発動値に移行するだけで一回「まだだ」しましたね。

 

 威力の方はというと───はい、一撃で一軒家が消し飛びましたね。はじめてマトモに発動値を使うので操作に困惑していますが、これただの破壊光線ですね。

 

 基準値のEだと何の破壊力も無い、細胞活動を操るだけの光線ですが、発動値のAAAにもなると光線自体が攻撃力を持ち始めるわけですね。基準値と発動値の差が大きい星辰奏者が、急に別の星に生まれ変わったように見える事のお手本みたいですね。

 

 発動値だけじゃなく、操縦性も拡散性も収束性も軒並みA以上という欲しいものが高い感じのステータスなので、1発の長射程極太ビームかと思えば、数千発に別れて全方位射撃をしてくる弾幕射撃も可能という応用性もあります。

 

 しかも元々の細胞操作能力が消えているわけではないので、かすったら細胞が暴走を起こして周囲を巻き込んで壊死してますね。

 

 時間内にチドリとミカを撤退に追い込めました。タイム短縮のために失神してムービーをカットします。

 

 今回はここまで。

 

 

 庇って立つ俺の後ろで、カティアは言う。

 

「ごめんね、ゼファー。ごめんね、みんな。本当に私はどうしようもない。こんな奴は早く死ぬべきだったのに、本当に」

 

 カティアは言葉を発する。どこまでも自虐的に、どこまでも苦しそうに。

 

「みんなが好き、だから守りたい? そうでしょうね、間違ってはいないわ。だって全員を守りたいのは本当だもの。でもその癖一番好きな人が危機に陥ったら、ほかの好きな人が死ぬかもしれなくても躊躇なく行動するんだ。今みたいに」

 

 ゴミ切れのように地面に打ち捨てられたカトレア。大火傷を負い、腹部に大穴が空いているヴィル。この2人はカティアがゼファーの危機を察知して連れてきたものだった。

 

 一番(ゼファー)を救うために発生した被害、そもそもこの中では最も戦闘力の高いゼファーの危機であれば、その強さに及ばないヴィルや、そもそも星辰奏者ですらないカトレアがそれ以上に危険な目に遭うのは目に見えていただろう。

 

 なのにカティアは躊躇しなかった。一番愛する人を失うのが怖かったという理由だけで。

 

「自分でも失望するよ。とんだあばずれだ。『愛する人を守りたい』、この衝動に引きずられて、それを貫かなければ生きていられないような。愛のために愛を犠牲にする破綻者だ。これからも私は生きているだけで周りに被害を振りまくと思う、守りたいから」

 

 攻撃の合間に見たカティアの表情は泣きそうな顔で笑っていた。

 

「だから───ごめんねゼファー、『大好き』だよ」

 

 呪いのような言葉とともに、カティアの体がアストラルに感応していくのが分かる、それはすなわち発動値への移行の前兆だった。

 

「おいやめろ! 頼む、頼むからやめてくれそれだけは!」

 

 俺は必死に叫ぶ。カティアが何をするのか、そしてどうなるかを理解できたから。

 

 だがもう、彼女は止まらない。

 

「創生せよ、天に描いた星辰を。我らは煌めく流星(ながれぼし)

 

 発される言葉。カティアの体がアストラルに感応していく。

 

「かの英雄の不死身の体躯は、己の掴んだ才でなく、ひとえに大河の恵みのもの」

 

 淡々と、生への渇望など無いような口調で。

 

「人の性と弱さを焼き払い、後に残るは強さのみ。苦痛を対価に残った鋼の灰は、あらゆる武具を跳ね返す」

 

 カティアが自身に光を撃ち込む。おそらく反動に耐えるためだけに後遺症を覚悟で行ったのだろう。いや、後遺症などもう気にしていないようにすら見える。

 

「焼け、腐り、裂け、潰れ。絶望を与える地底の大河よ、我は喜び勇んで飛び込もう。この愛に迷いはなく。たとえ行き着く先が冥府とて、この進撃は止まらない」

 

 愛するものを轢殺する己への絶望を覚悟の薪にし、その(わだち)でせめて明日を開かんと、致死の星辰光は発動する。

 

超新星(Metalnova)─── 大河の女神よ、我が人間性を焼け(Styx’s Cryheart)

 

 瞬時にカティアの体が沸騰したように蒸気を発し、皮膚の一部が爆散した。右足が吹き飛び、姿勢を崩すが、剥き出しになった骨を足代わりにして立ち上がる。

 

 戦闘は一方的だった。流星群のように放たれる破壊光線は、光線という性質故、防ぐ時間すら与えずに命中する。

 

 相手も圧力操作による屈折率の変化や、光そのもののベクトル操作で防ごうとするが、光の速さに対応する事ができていない。いや、限定的とはいえある程度は対応しているのだが、全てが最適な弾道を辿る数千発の光線に対応することなど、どうあがいても不可能だった。

 

 カティアも無傷ではない。暴走した皮膚が壊死を始め、時には血管が破裂し、腹部からは壊死で薄くなった腹の皮膚が腹圧に耐え切れずに内臓を体外に放出していた。

 

 だがその程度で止まれるならカティアはここには居ない。せめて愛する人全てを救うという偽善でもって、愛する幼なじみに報いるために進撃する。

 

「カティア! カティア! くそっ。止まれよこの頑固者。頼むよ、頼むから止まってくれ。お前が死んだら何の意味もないだろうが」

 

 俺は必死にしがみついてカティアを止めようとする。だがそもそもカティアの攻撃方法が光線を放つである以上、それも大した抑えにならない。

 

 カティアの血と体液と内臓で汚れていく俺の体が、どうしようもなく絶望を増長させていた。

 

 左足も吹き飛び、両足の骨だけで立ち上がる。左目の眼球が破裂して飛び出す、口も鼻ももはや本来の仕事を放棄し、血と体液の混合物を吐き出す穴と化していた。

 

「やめてくれ、もう。やめてくれよ」

 

 俺は叫ぶ気力すらなくしてへたりこむ。

 

 それでも、カティアは止まらない。残る右目に憤怒と覚悟を宿しながら、未だに粘る敵手を見つめる。

 

 そして敵手は撤退した。当然の理屈のようにカティアの体は限界をむかえ、倒れ伏す。

 

 俺はひどく軽くなったカティアを受け止めた。

 

 カティアは所々欠損した皮膚を不器用に動かし、笑顔のような表情を作った後、口を動かす。

 

 その口は、ごめんねと言っているようで。

 

 俺の───ゼファー・コールレインの心を折るのに十分だった。

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