シルヴァリオサーガRPG ブランシェ家亡命√RTA   作:TTオタク

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 ブランク&ボーッとする頭で書いたので、多分書き直します。とくに後半部分は特に。


亡命準備/わがまま

 今回から本格的にアンタルヤ亡命を目指していくRTAはーじまーるよー。前回はブランシェ家が裁剣天秤の粛清リストに挙がっていることが判明した所ですね。

 

 さっそく方々に連絡を取り、亡命の準備を進めます。とりあえず亡命の役に立ちそうな人間にはかたっぱしから連絡を取ります。選択肢の上から順に交渉をしていく感じですね。

 

 ただこの選択肢の中にゼファー、ヴィル、カトレアの選択肢はありません。自分のわがままで大切な家族を叛逆者にするわけにはいかないというカティアの考えからでしょうね。

 

 さて、そうこうしていると協力者が現れたようですね。朝起きてポストを見てみると、一冊の本が投函されています。中身はなんの変哲もない極東黄金教(エルドラド・ジパング)の聖書ですが、表紙の紙をめくってみると手紙が入っています。

 

「此方、協力の用意あり。協力を求めるならば今すぐこの紙を燃やせ」

 

 と短く書いてありますね。無論速攻で燃やします。

 

 はい、これで血統派との協力フラグが立ちました。血統派ルートとかいう普通にプレイしていたら入れないルートなので、読者兄貴たちには珍しく感じるかもしれません。だけど改革の犠牲になるのを防ぐには血統派を頼るしかありませんからね。

 

 さて、次はブランシェ家に接触します。はい、結晶核を作るためですね。あまりにもクソザコな基準値を改善するためです。本来のチャートでは必要なかったのですが、このままだとカティアちゃんは次星辰光を発動すると即死してしまうので必須ですね。

 

 実はこのタイミングでブランシェ家に接触してもゼファーとかち合いません。いくら裁剣天秤の星辰奏者とはいえ、機密の宝庫たる叡智宝瓶に入ることはできないからですね。

 

 対してこっちは元叡智宝瓶の研究員で、なおかつ防諜を担当する深謀双児の情報幹部ですので施設に入れてもらうくらいはできます。

 

「ああ、久しぶりだねカティア。怪我は大丈夫かい? 幻肢痛の相談なら知り合いの医者を紹介するから言ってくれよ?」

 

 カルロはひさびさの再会をするなりいきなり心配してくれます。さすがミリィの父親ですね。セリフ量を減らすためエミリー不在のシーンをねらって訪問しましたが、エミリーが居るとカティアのこれからについてプチ夫婦喧嘩をするほど慮ってくれるイベントが発生します。本当に優しいですね。

 

 ですがただ話に来たわけではありません。選択肢「結晶核を作って欲しい」を選択します。

 

 「結晶核を? アレはまだテストヘッドの検証が終わったばかりの段階だ。とても兵器としての利用に耐えるレベルじゃない。それに君は星辰光のせいで体がそうなったばかりじゃないか。それ以上の無茶は看過できないよ」

 

 はい、全力で反対されます。そりゃそうですよね。自分の妹か娘くらいに思っていた後輩が四肢を左手を残して全損し、右目も失っている状態でなお戦おうとしていれば普通止めます。ですが、止まってなどいられません。

 

 選択肢「必要な理由ができたんです」を選択します。

 

「必要な理由? 一体何だいそれは」

 

 はい、ここでブランシェ一家が暗殺されるかもしれないという話を打ち明けます。

 

 するとカルロは頭を抱えます。自分が政治動向に無関心だったせいでこんな事態を招いてしまったと悔やんでいます。ですが一介の研究者に政治的なバランスを求めるのは酷でしょう。

 

「でも、それでもダメだよ。僕たちの安全を考えてくれたことは感謝するよ。でも僕たちを助けたら君まで改革派の敵になってしまう。まして普通ならまだ病院のベッドで寝てるはずの怪我人に無茶をさせる訳にはいかない」

 

 優しいですね、でもいう事を聞くわけにはいきません。

 

 選択肢「エミリーさんとミリィちゃんのためです」を選択します。実際ゼファーさんにミリィちゃんを除いて殺されていますからね。助かったミリィでさえゼファーさんがすんでのところで思いとどまったからで、本来は殺されていました。

 

 カルロはしばらく考えたあと、納得してくれます。

 

「わかったよ。でも無茶はなしだ。君は僕たちにとって大切な家族なんだ。君を失うのは、僕にとってエミリーやミリィを失うのと同じ事なんだ。だから、絶対に無茶をしないでくれよ」

 

 そう優しく教え諭してくれます。はい、これで結晶核をゲットできます。しばらくは結晶核の調整と、協力者との接触に時間を費やします。単調な作業なので倍速します。

 

 はい、結晶核が完成しました。ステータスが変化していますね。

 

基準値(AVERAGE)C

発動値(DRIVE)AAA

収束性A

操縦性AAA

維持性C

干渉性C

付属性B

拡散性AA

覚醒率A

 

 やったぜ、基準値が2伸びた上に操縦性、拡散性が1ずつ向上しましたね。試作でこれなあたり本当にアマツの血筋は怖いですね。基準値と発動値の差が4にまで減っています。これならまだ水風船みたいに破裂して死ぬのは避けられるでしょう。

 

 ついでに戦闘用の義肢の作成をお願いします。ジン爺さんの義手ほど器用には動きませんが、剣を握って相手を殴れれば十分です。

 

 亡命の日はメタ知識で大虐殺の日を選びます。なぜならアドラーの首都機能が麻痺する唯一のタイミングだからですね。

 

 さて、暗殺決行の日になりました。ブランシェ夫妻に斬りかかる暗殺者の攻撃を防ぎます。

 

 ゼファーさんですね。一応ゼファーさんがブランシェ夫妻の護衛についている事は情報収集の過程で知っていたのでカティアに動揺はありません。ゼファーさんはかわいそうなぐらい動揺していますが無視します。

 

「嘘……だろ……。なんでお前なんだよ」

 

 どうやらゼファーさんも暗殺を妨害しようとする者がいる気配を感じ取っていたようですが、まさかカティアだとは思わなかったようですね。

 

 はい、ここからがこのルート最大の勝負です。ゼファーさんがどれだけ真人間に更生しているかでこの後のゼファーさんの行動が変わります。

 

 ゼファーさんがまだ負け犬モードだとこのままカティアを気絶させてブランシェ夫妻を殺害してしまいます。ですが、真人間に更生したゼファーさんは───

 

「なあ、どうして頼ろうとしねえんだよ。なんで相談しねえんだよ! 俺たちがそんなに頼りないか?」

 

 はい、なんと亡命にゼファーたちが協力してくれるようになります。これで亡命成功率がグッと向上します。というかほぼ成功します。

 

 そうして想い人の協力を得られてカティアは喜んで───いませんね。それどころか盛大に慌てています。

 

 ムービー戦闘が入るのでスキップしますが、内容は以下のとおりです。

 

「バカ言えよ、1人で突っ走ってボロボロになる女を放っておく奴がいるか」

 

 ゼファーさんは出来の悪い妹を叱るように言ってくれます。

 

「それに、俺たちだって後悔してるんだよ。昔から一歩踏み出すのはお前任せで、お前が敷いた道に続いてただけだった。再会しても無茶ばかりで、なんでも1人で背負い込んで。そういうのは年上の役目なんだぜ? たまには俺たちにもそういう事させろよ」

 

 カティアはなおも否定しますね。カティアからすれば自分のわがままにゼファーたちを巻き込むことになるので、耐えられないのでしょう。

 

「カティア───頼むよ。俺たちを家族も守れないあの頃に戻さないでくれ。もう俺たちは負け犬なんかじゃないって、信じさせてくれ」

 

 はい、ここまで言われてようやくカティアは了承しました。次回はウルトラ姉妹喧嘩編です。

 

 

「嘘……だろ……。なんでお前なんだよ」

 

 俺───ゼファー・コールレインにとって一番起こって欲しくない出来事が目の前で展開されていた。

 

 血統派に与する研究者であるブランシェ夫妻を殺すために放った俺の刃を、カティアの剣が受け止める。

 

 身の丈ほどもある細身の大剣と、研究者の星辰奏者が使用する短剣。短長双対の剣を事前に準備していたことが、カティアが噂の血統派に与した星辰奏者である事を雄弁に語っていた。

 

 血統派に与したのがよりにもよって自分が救うと決めた相手とはなんとも笑えない。

 

「ごめんね、ゼファー。私は、私の好きな人には生きていてほしいと思うから。だからごめん。ちょっと痛いと思うけど気を失っててね」

 

 そう言って、カティアは星辰光を使用する。発動値でないはずの、基準値の攻撃。だがどういうわけかカティアの基準値からは想定できないほどの高威力の光線が次々と飛んできた。

 

「っチィ!」

 

 どうにか遮蔽物を使って光線をやりすごす。確実に致命傷にならないところを狙ってきているため、回避自体は容易であった。

 

 カティアに攻撃をされた動揺以上に、敵対勢力に与したという絶望以上に、俺はこの胸を占める思いを叫んだ。

 

「なあ、どうして頼ろうとしねえんだよ。なんで相談しねえんだよ! 俺たちがそんなに頼りないか?」

 

 この胸を占める、頼りない自分への怒りを、カティアへ叫ぶ。

 

「お前が入院した時、ヴィルの奴泣いてたんだぞ。カトレアもお前のことを泣きながら止めてたじゃねえか。なのにどうしてそうやって無茶をするんだよ。せめて何か言ってくれよ、そうすればお前を手伝うなりなんなりして負担を軽くしてやれるのに。なのに、どうして黙って無茶するんだよ!」

 

 カティアは優しく、悲しそうな顔で言う。

 

「だってほら。これって私のわがままじゃない。みんなにとって関係のない人を守りたいから、なんて理由でみんなを危険に晒すなんて。できるわけない」

 

 当然のことを語るような口調で、カティアは言う。

 

「大切な人を救うために、大切なひとのこれからの人生をめちゃくちゃにしろとか、前提条件がおかしいよ。できるわけがない」

 

 会話の最中も、カティアの攻撃の手は緩まず、拒絶の意思を強く表していた。

 

「だからさ。私の事を心配してくれるのは嬉しいけど、放っておいてくれると嬉しいな」

 

「バカ言えよ、1人で突っ走ってボロボロになる女を放っておく奴がいるか」

 

 あまりにも身勝手な物言いだった。まるでこちらの事情を斟酌していないカティアに、俺はこちらの事情をぶつけてやる。

 

「大切な人に迷惑をかけたくない? なにを寝ぼけた事言ってんだよ。お前も誰かにとっての大切な人だって事考えねえのか? 自分は大切な人がいなくなるのが嫌なのに、他の人はいいのか? それはあんまりじゃねえか」

 

 光線を躱しつつ、カティアに近づいていく。

 

「それに、俺たちだって後悔してるんだよ。昔から一歩踏み出すのはお前任せで、お前が敷いた道に続いてただけだった。再会しても無茶ばかりで、なんでも1人で背負い込んで。そういうのは年上の役目なんだぜ? たまには俺たちにもそういう事させろよ」

 

 大振りになったカティアの攻撃を躱し、カティアと直接剣を交える距離に立つ。

 

「無理だよ! 私がわがまま言って、ゼファーたちがひどい目にあったら私、絶対後悔する。そんな思いするくらいだったら、1人で死んだ方がずっとマシだよ!」

 

 カティアの唇は動揺に揺れていた。何よりも家族と一緒にいる事を好むくせに、相手を傷つけるのが怖くて離れたがる。そんな矛盾を抱えて苦しむカティアを今度はこっちが救う番だ。

 

 カティアの青緑の瞳を見据え、ハッキリと口にする。

 

「カティア───頼むよ。俺たちを家族も守れないあの頃に戻さないでくれ。もう俺たちは負け犬なんかじゃないって、信じさせてくれ」

 

 カティアは瞳に涙を浮かべ、剣を落とした。開いた手で俺の服の裾を、子供の頃と同じように握りしめて言う。

 

「私がわがまま言って、居なくなったりしない? 死んだりしないって約束してくれる?」

 

 まるで買い物に行く両親が帰ってこなくなる事を心配する子供のような口調で言うカティアを微笑ましく思いながら、俺は言った。

 

「当たり前だろ。俺は居なくなったりしない。だからもう泣くな」

 

 我ながらギザなことを言っている自覚はあったが、カティアは笑顔でいてくれるならそれでいいと思えた。

 

「じゃあ、お願い。ミリィちゃんたちを助けて」

 

 その健気で弱々しい願いに。

 

「おう」

 

 俺は笑って答えた。


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