皆様お待たせしました。アンケートの票数が一番の多かった未来さんと上条さんのお話です。
なお、キャラ崩壊、中の人ネタが含まれております。あらかじめご了承ください。
それでは番外編どうぞ。
番外編 白色が似合う碧眼のキミ
「さあ。いい加減諦めてもらおうか、小日向よ」
「っ!当麻やめて、他のことなら何でもするからそれだけはっ!?」
「いーや駄目だ。お前もこれをやるのに納得していたよなぁ」
「嫌。助けて、響・・・!」
「あいつの名前を呼んだところでここには来れねえよ!それにな、どうせあいつがきたところで俺には逆らえねえ!!さあ・・・」
まるで悪役のような顔とセリフを言いながら上条は小日向を追い詰めていた。そしてついに、彼女は壁際まで追い詰められた。逃げ場は、どこにもないない。そして上条は右手に持ったものを少女に突き出し・・・!?
「さあ、お前にはこの『大精霊チラメイド』を着てもらおうかッッ!!」
「だからその色々透けるやつは本当にやめてよぉ!!」
『大精霊チラメイド』と呼ばれる服を小日向に着るよう催促した。そして、涙目になりながら小日向は、上条が持つ服を着ることを拒んでいた。なぜこんな事になったのか。事の発端は今ここには居ない少女が原因だった。
『もうすぐハロウィンだからコスプレがしたい!!』
なんて事を言い出した季節の祭りごとを楽しみたい少女、
小日向未来という少女は、物静かでお淑やかな性格であり、立花曰く陽だまりのような女の子であり、よく暴走する立花のストッパーとして動くこと少女である。だかこの日は珍しく立花の突拍子のない意見に賛成していた。そして小日向はこんなことを言い出した。
『ねえ響、当麻。ただコスプレするってのも味気ないし、ちょっとしたゲームをしない』
『『ゲーム?』』
『うん。ゲームの内容をあみだくじに書いて決めて、その決まったゲームで1位になった人は2位と3位の人のコスプレを決めるってのはどう?』
『面白そう!やるやる!!』
立花響はとても楽しそうな顔をしながら賛成し、上条も女子のコスプレの決定権を持つ事が出来る事を聞いてやる気を出していた。
(特にまだ決まってねえけど勝ったらあいつらに何着させようかな)
(もし勝ったら当麻に王子様の服を着てもらって、私はお姫様の格好を・・・エヘヘ///)
(まず響にはウェディングスーツを着てもらって私はウェディングドレスを着よう。そしてそのあとは・・・キャッ♡)
そして、三者三様にそれぞれの願いを胸にあみだくじを行った。その結果は小日向が書いた『100M走(ただし当麻は150M)』であった。この時点で小日向未来は自身の勝利を確信した。彼女は元々陸上部の短距離走選手であったが色々あって今は陸上部をやめている。それでも平均的な女子の身体能力を持つ立花や、男子とはいえ50Mも差があれば上条に勝つことはできる位の実力や自信はまだあった。そして勝負の結果
『勝利ッ!圧倒的勝利・・・・ッ!!』←1位の上条
『嘘だ嘘だ嘘だァ!!』←2位の小日向
『2人とも本当に早いねー』←3位の立花
上条が1位となった。小日向は完全に油断していたのだ。上条当麻の、思春期の少年の欲望を掻き立てるようなコスプレ命令権が彼の凄まじい潜在能力を引き出すということを。その少年の速さはプロの陸上選手までには匹敵はしないが、50Mのハンデをものともせず女子とはいえ元短距離選手をギリギリで追い抜いく程の速さであった。そして、上条は小日向を着せ替え人形として扱う権利を勝ち取ったのである。
ちなみに3位であった立花は前日に風邪をひき、『わ゙だじも゙行゙ぎだい゙!゙!゙』と言いながら家にて療養中である
「お前さっきからワガママすぎるぞ。あれも嫌これも嫌って、これじゃあなんのためにゲームをやったんだよ」
「いや、『堕天使エロメイド』や『大精霊チラメイド』なんていう明らか外で着れない物を持ってくる当麻が悪いよね!?」
「ええーそんな事言うのかよ・・・はぁ。分かる、分かった、分かりましたの三段活用。じゃあ服変えてくるけど次持ってきたやつは絶対に着ろよな」
「まともなやつだったらね!」
はいはい、と適当な相槌を打ちながら上条は別の服を探しに行った。数分後彼は別の服を持って小日向の前に現れた。
「これならどうだ?」
「これって・・・?」
「露出もないし、これなら町を歩いても違和感ねえんじゃねえかな」
「・・・うん、分かった。じゃあ着てくるよ」
そう言って小日向は着替え室に入っていた。するとカーテンから顔だけを出し。
「・・・分かってると思うけど、覗いちゃ駄目だからね」
「・・・これはあれですか。フリでせう「そんなわけないでしょ!?」冗談だよ冗談」
そういって上条は小日向が着替え室が入ったのを確認し、他のコスプレを探しに行った。
「さて、それそろ着替え終わったかな」
ある程度時間は経ち、小日向未来はそろそろ着替え終わっただろうと考え上条は着替え室へと足を進めた。
「おーい小日向、着替え終わったか?」
「うん、終わったよー」
その声と共に着替え室のカーテンが開かれる。そこにいた小日向未来は・・・
「ど、どうかな。当麻」
教会に勤めているシスターのようであった。足首まである長いワンピースに見えなくもない修道服。頭には帽子とはちょっと違う一枚布のフード。衣服の要所要所には金色に刺繍が織り込まれている。そして一番の特徴として挙げられるのは服の色であろう。普通の修道服の色である『漆黒』とは違い、その逆である『純白』の修道服であった。上条はこの服を見た瞬間、なぜかは分からないがこの服が必ず似合うと、彼女の碧眼とよく合うと確信めいたものを感じ取った。
「・・・すげぇ似合ってるよ」
「あ、ありがとう・・・」
あの服が似合うとは予想していたがここまで変わるとは思ってもいなかった。今の彼女は大袈裟かもしれないが、高級な人形のように美しく可愛いと上条は思った。
(・・・何でだろう。初めて見た格好なのにすごく懐かしいって言うか、見ていて安心するって言うか・・・)
「とーうま」
「!?な、なんだ小日向!?」
「もーそんなに驚かなくてもいいじゃん。ねえどういう所が似合ってるの?」
「え、ええと・・・」
「ん・・・?」
小日向はその綺麗な碧眼にて上条を上目遣いで見ていた。どんな風に褒めてくれるのか、どこが1番気に入ったのか、どんな感想をくれるのか。彼女はワクワクしながら上条を見ていた。
「まずはその白い服が黒い髪とすごくベストマッチで似合っていて、あとお前の白い肌がきれいに映えてフランス人形みたいに見えてくるよ。他には・・・」
「う、うん、もういいよ。あ、ありがとう、褒めてくれて・・・///」
自分の予想を遙かに超えた評価であったために、小日向は顔を真っ赤にうつむいてしまった。
「・・・かわいい」
「と、当麻!?」
「わ、悪い///」
彼らは互いに顔を背け始めた。小日向はゆっくりと深呼吸をし、落ち着こうとした。少なくとも今目の前の少年の顔を見るとずっと真っ赤のままになってしまう、そう思ってしまったのである。
上条も照れ恥ずかしそうにしかし、彼女より余裕があるのか顔はそこまで真っ赤にはなっていなかった。なんというか、初々しいカップルのようであるが、彼らは普通の友人関係である。少なくとも小日向未来は、上条当麻にそういった感情をもってはいない。
(・・・落ち着け、落ち着け私の心!当麻が無意識にあんなことを言うのはいつものこと!それに『かわいい』なんて言葉、響にだってよく言われてるじゃない。いつものこと、いつものことだから大丈夫・・・)
(・・・落ち着け、落ち着け俺の心!俺の好みは寮の管理人さん〔代理でも可〕であって、お人形みたいな同級生はタイプじゃねえ!目の前に居るのは小日向未来、格好が違うだけでいつものあいつだ・・・)
・・・彼らにそういった感情はない、筈だ。小日向がある程度落ち着いたのを見計らって上条は彼女に話しかけた。
「・・・なあ、小日向。その服、もし気に入らなかったら変えて「ううん、これにする。これがいい」そ、そっか。気に入ってもらってよかったよ・・・」
「うん。じゃあ私これ借りてくるね!」
「お、おい。なれない服で走ったら・・・」
危ないぞと言いかけた瞬間、案の定彼女は裾を踏んでしまった。
「キャッ!?」
「あぶねえ!!」
上条はコケそうな小日向を支えようと手を掴んだが一緒に巻き添えを喰らい、ドスン!と音立てて二人は倒れてしまう。
「イテテ。大丈夫か小日向・・・」
「うん、大丈夫・・・」
上条は彼女の安否を確認した時、自分が彼女を押し倒しているようにしか見えないことに気づいた。そして、自分と彼女の顔の距離があと数センチ近づいていれば口と口が当たってしまう距離であった。ほんの少しの時間であったが、それは、少なくとも上条には彼女のそのきれいな碧眼に心を奪われていた彼にとってはその時間がとても長く感じていた。
「・・・当麻。そろそろどいてくれないかな」
「!?わ、悪い。小日向!」
上条は小日向から急いで離れた。幸いなことに彼女には目立った怪我はなかったが、その気がなかったとは言え女の子を押し倒してしまったためにとっても気まずい雰囲気が漂っていた。
「怪我もねえし、服もそこまで汚れてなくてよかったよ・・・」
「ありがとね、当麻・・・」
((・・・すげえ〔すごく〕気まずい・・・っ!?))
このままだと、ずっとここにいることになってしまう。そんなことを感じた彼は彼女の手を引きレンタルの手続きをする場所に向かった。
「と、当麻!?急にどうしたの!?」
「あのままあそこにいても邪魔になる。だったら、さっさと服借りてどこか行こう」
「え、でも・・・」
「それと、さっきは押し倒しちまって悪かったな」
「え、でもあれは私がコケてちゃったから・・・」
「じゃあ、お互い悪かった。これでいいな」
「う、うん」
「よし。じゃあ行こうぜ、小日向!」
そう言って彼は笑いかけた。そんな彼につられて小日向もまた笑った。
「・・・うん。じゃあ一緒に行こう!」
いつの間にか一方的に掴んでいた手は、しっかりと繋つながれていた。その姿は、どこかアンバランスで、それでいて一緒にいる二人とても似合っていた。
誤字、脱字、感想お願いいたします。
上条×IF装者 見たいのは?(ビッキーは『翳裂閃光』があるので今回はなしで)
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風鳴翼
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雪音クリス
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月読調
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暁切歌
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マリア・カデンツァヴナ・イヴ
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セレナ・カデンツァヴナ・イヴ