世間はゴールデンウィークですが皆さんはどうですか?
作者は2月からの冬休みが続いている感じです。
それでは第6話どうぞ。
追記:一部文章を削除しました。
4
「もうどこから突っ込みゃいいんだよ・・・」
目の前の光景に対して、上条はそんな感想を抱いた。自分たちの名前の書いた横断幕、机に並べられている食べ物や飲み物、そして超歓迎ムードで迎えてくれた人たち。微笑みなど必要ないと言っていた風鳴翼は頭を抱えていた。すると一人の女性がスマートフォンを持ってこちらに近づいてきた。
「さあ、笑って笑って。お近づきの印に記念写真でもどう?」
そんなことを言いながら、女性は上条達と一緒に写真を撮ろうとする。
「い、嫌ですよ。手錠をしたままの写真だなんてきっと悲しい思い出になっちゃいます」
「いや、突っ込むとこそこじゃねえだろ」
そんな風に上条は場違いの返しをする立花を突っ込む。
「それにどうして初めて会う皆さんが私達の名前を知ってるんですか?」
「そう、そこだよ立花」
「我々二課の前身は大戦時に設立された特務機関なのでね。調査などお手の物なのさ」
そんな風に大柄の男性は簡単な手品をしながら得意げに言う。そして先ほどの女性が見覚えのあるかばんを持ってきた。
「いや、それ俺たちの鞄じゃねえか!何が調査はお手の物なんだよ!」
「というか、私たちの名前を知ってる時点で中身みてるんじゃないですかぁ!」
ギャーギャーと文句を言いまくる上条達。そんな彼らのやりとりを見て風鳴翼はあきれながら隣にいる男性に何かを頼んでいた。そして男性は上条達の手錠を外し始めた。
「ありがとうございます。えっと・・・」
「そういえば自己紹介がまだだったな。俺は風鳴弦十郎。ここの責任者だ」
「そして私が出来る女と評判の櫻井了子よ。よろしくね」
「僕の名前は緒川慎次と言います。先程は失礼しました」
「「こちらこそ、よろしくおねがいします」」
「さて自己紹介も終わったことだし、本題に入ろうか」
「本題ですか」
「ああ、君たちに協力をしてほしいことがあってここへ呼んだんだ」
「協力ですか?」
そんな言葉を聞いたとき立花と上条はふと、今日起こった不可解な出来事が頭に浮かんだ。
「教えて下さい。あれは一体何なんですか?」
「俺からもお願いします。立花や俺のことで分かることがあるなら教えて下さい」
二人は必死に懇願する。弦十郎と櫻井がお互いの顔を見合わせた後、櫻井了子の方から声をかけてきた。
「分かったわ。それじゃあ二つばかりおねがいしてもいいかしら」
「二つですか」
「ええ。一つは、今日あったことは誰にも内緒ってこと。もう一つは・・・」
櫻井はそんなことを言いながら、自分の体が上条に触れるか微妙な位置まで近づき、耳元で囁いた。
「あなた達を、調べさせてくれないかしら」
「え、ええぇ!?」
「ちょ、ちょっと近づきすぎですよ!」
「了子君、あまりからってやるな」
「あら、ごめんないね。あんまりにもかわいかったからつい」
舌を出しながら櫻井は謝る。
「(なんかいい匂いだったなぁ。あとすっごく柔らかい何かが)、ってイテテテ!なにすんだよ、立花!?」
「別に、なんでもない」
「なんかなきゃ、いきなり人の耳引っ張らねえだろうが!」
フンッとでも言いなそうな雰囲気な立花と、なぜ立花が怒っているか分かっていない上条。そんな彼らのやりとりをみて二課の面子は微笑んでいた。
「ともかく、君たち二人には身体検査をお願いしたい。いいだろうか?」
「「分かりました。」」
「よし、じゃあどちらから検査を始めるんだ了子君」
「そーね、とりあえず「あのーちょっといいですか?」あら、どうしたの上条君」
「もしどっちでもいいんだったら、立花から先にしてもらってもいいですか?」
「あら、かまわないけど、どうして?」
「こいつ、寮で友達と一緒に住んでるんすけど、あんまり遅くなるとそいつに心配かけちまうんで。それに、あんまり夜遅くに女の子一人きりにさせるわけにはいかないですしね」
「うん、それもそうだな。了子君いけるか」
「ええ、別にどちらから始めてもかまわないわよ」
「そうですか。ありがとうございます」
「当麻、本当にいいの?」
「俺は別にいいよ。それにあんまり遅くなるとまた小日向に迷惑かけちまうぞ」
「うん・・・」
「それにお前みたいなかわいい女の子、夜遅くに帰らすわけにはいかねぇだろ。」
「か、かわいい?!」
上条からもらった不意打ちの言葉に、立花は顔を真っ赤にし始めた。
「とりあえずこいつのことお願いしますわ。ええと櫻井さん」
「ええ、じゃあ行きましょうね。響ちゃん」
「かわいい、かわいいって当麻にかわいいって」
そんな風にブツブツと言いながら立花は櫻井とともに消えていった。
「?あいつ本当に大丈夫か。なんかブツブツ言ってたけど」
「・・・無自覚であれか」
「・・・あんな漫画みたいな子本当にいるのね」
「あれ、風鳴さんいなくなってる」
「俺ならここにいるぞ上条君」
「ああそっか、二人ともおんなじ名字ですもんね。えっと、俺が言いたかったのは翼さんのほうで・・・」
「翼さんなら先ほど家に帰ると出て行きましたが」
「まじっすか!?ちょっと話したいことがあったんすけど・・・」
「今ならまだ間に合うと思いますが」
「本当ですか?!ごめんなさい、俺、ちょっと行ってきてもいいですか」
「ああ、かまわないぞ」
「すいません、検査までには戻ります!」
そう言って上条は翼を追いかけていった。
5
ある程度走った先に風鳴翼がいた。
「あの、待って下さい。翼さん」
「あなたは・・・」
少し息を整え上条は翼に話しかけた。
「あの俺、翼さんに言いたいことがあって」
「・・・何かしら」
「えっと、今日は助けて頂いてありがとうございます。俺も立花もあなたに助けられたのは2回目なんです」
「2回目?」
「はい。あのライブの日に奏さんとあなたに助けてもらったんです」
「・・・やっぱりあの時の少年ね」
ふと翼は上条の顔を見据えた。
「上条君だったわよね」
「はい」
「あなた、検査の結果を聞いたら、もうここには来ないことね」
「え、何でですか?!」
「簡単な話よ。あなたはここに来るべき人じゃないからよ。あの子と一緒でね」
「俺、あんたと一緒に戦いたいんです。それに立花も同じこと「それは贖罪のつもりで言っているのかしら」へ?」
「そんなことを考えているのなら、尚のこと、ここには来るべきじゃないわ。戦場はあなたが思っているよりずっと過酷な場所よ」
「いや、俺はそんなこと・・・」
上条が言葉を紡ごうとした瞬間、翼は何かに耐えきれなかったかのように上条の胸元を掴んで力任せに壁にたたきつけた。
「じゃあ何!?あなたは!!奏からもらった命を無駄にするのッ!!?」
「ッ!」
「あなたがあの時、奏でにあんなことを頼まなければ、奏は死ななかったッ!!あなたはその願った命を、奏の行為を無駄にするの!!?」
「・・・・」
翼は怒りながら、しかしどこか泣きそうな声で叫んだ。そして掴んでいた胸元を離し、上条は糸の切れた人形のように座り込んだ。
「分かったのなら、検査が終わったらもう二度とここには来ないで。これは防人としての、奏の親友としてのお願いよ」
「・・・・」
分かっていたはずだ。自分があんなことを言わなければツヴァイウィングは今も活動していただろう。風鳴翼はたった一人の歌姫にはなっていなかっただろう。そして、目の前の
「おーーーい、とーうま!」
すると上条が走ってきた方向から、立花の声が聞こえてきた。どうやら検査というのは終わったのだろう。
「それじゃあ、私は行くわ。さようなら」
そう言って翼は上条のもとを去っていった。
「とーうま、検査終わったよ、ってどうかしたの?」
「・・・いや、なんでもねえよ」
「本当に?」
「ああ、大丈夫だ」
「・・・そう、わかった。私の検査終わったから当麻の番だって」
「わかった。俺、行くよ。お前はもう帰れ」
「え、でも「いいから。俺のこと待っていたら、なんのためにお前を先に検査してもらったかわかんねえだろ」・・・わかった。とりあえず検査室まで案内してから帰るね」
そう言って上条達は元来た道を歩いて行った。その後、上条は立花を見送り、検査を行った。検査結果は後日また来てくれとのことで、上条は二課を立ち去った。
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