戦姫絶唱シンフォギア IB   作:ドナルド・カーネル

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どうも作者です。
今月の10日には『とある魔術の禁書目録 外典書庫』の発売日です。作者はDVDやエンデュミオンの特典も持っていないので絶対買いたいです。
それでは、第11話どうぞ。


第11話 己が戦う理由/Fight for...

4

 

「ごめん、急な用事入っちゃった。今晩の流れ星見に行けないかも・・・うん・・・ありがとう、当麻には連絡したから・・・ごめんね未来」

 

電話を切り、立花響は後ろにいるノイズ達を睨んだ。

 

「・・・未来や当麻と一緒に流れ星が見たかった」

 

彼女はシンフォギアを纏い、飛びかかってきたノイズを力任せに殴る。

 

「・・・お前達はいつもそうだ。誰かの幸せを、何でもない日常を壊していく」

 

一体ずつ念入りに、殴り潰していく。

 

「・・・お前達のせいで、当麻が傷つく事を選ぼうとする。未来を悲しませる」

 

だから。その言葉を皮切りに彼女の意識は怒りに染まりきっていた。

「ワタシハオマエ達ヲ絶ッ対ニ許サナイッッッ!!!!??」

地面を力強く蹴り、彼女はノイズの群れに突っ込んでいった。そこに居るのは太陽のように笑う少女ではなく、ただただ全てを破壊しようとする厄災であった。

 

 

 

 

 

 

5

 

「・・・あいつ、今日来られないんだな」

 

「うん、なんか急な用事が入ったんだって・・・」

 

(またノイズ絡みか・・・)

 

上条は先ほど受けた立花からの電話内容を思い出す。

 

『ごめん当麻。中央公園付近でノイズが出てきたから、流れ星見に行けないかも。・・・うん、未来には今から連絡する・・・ごめんね』

 

またノイズのせいで彼女と会うことができなかった。

 

「・・・響も一緒に見られたらよかったのにね」

 

「・・・ああ、本当にな」

 

自転車を押しながら上条達はあまり会話をせず目的地の展望台に向かっていた。いつもなら他愛のない会話をする二人であるが、親友の急な不参加はさすがにショックだったようである。

 

(・・・俺が戦えたら、立花は小日向と一緒に流れ星を見に行けたのに。クソッ)

 

上条は心の中で自分の弱さに怒りを覚えていた。もし自分にシンフォギアの力があれば、自分の力が右手以外にあれば、横にいる友人や今もなお戦っている友人に辛い思いをさせることはないのに……。上条当麻は基本的に無茶なことをする人間だ。誰かを守るためならば自分より強い相手と戦う事もあれば、誰かを助けるために不良共からおいかけ回される事だってやる人物だ。つまり、上条当麻は誰かのためになら何でもやろうとする人物である。

 

(でも・・・)

 

だが、そんな彼でもノイズと戦うのは怖かった。あの日、風鳴翼と戦いで自分の力が右手にしかないと分かったときから、自分の右手以外がノイズに触れれば他の人と変わらず炭になる。そんな当たり前な真実が戦おうとした上条の心を怖じ気づかしてしまったのである。

 

(仕方がないんだ。俺は右手以外はどこにでも居る平凡な奴なんだ。だから、戦わないのは当たり前なんだ・・・)

 

そうやって上条は自分に言い聞かせていた、心のどこかでまだ戦おうとしている自分に対して。

 

「ま・・・とうま・・・当麻ってば!」

 

「っ!どうした小日向」

 

「どうしたじゃないよ。さっきからずっと怖い顔してるよ」

 

「そうか、悪い」

 

「・・・ねえ、当麻。響、今頃何しているんだろうね」

 

「・・・さあ。いつもの人助けなんじゃねえの」

 

「じゃあどうして、私達に詳しいことを言ってくれないのかな」

 

「・・・・・」

 

「どうして、私達を頼ってくれないのかな・・・」

 

(小日向・・・)

 

上条は本当のことを知っている。あいつはノイズを倒す力を持っていて今も、お前や俺達を守るために戦っているんだということを。だがそんなことを言えば彼女は絶対に止めるだろう、誰よりも立花響を。

 

「・・・でも、当麻がここに居るって事は響は大丈夫だよね」

 

ふと小日向未来はそんなことを言った。

 

「・・・どういう意味だ?」

 

「昔ね、当麻に助けを求めれば絶対に助けてくれる、たとえどれだけ離れていても絶対に来てくれるって。そんな当麻はアニメや漫画に出てくるヒーローみたいなんだって言っていたんだよ。だから、当麻に助けを求めてないのなら響は危ないことはしてないから大丈夫って事だよね」

 

ニッコリと小日向は上条に向かって笑いかけた。そんな彼女の笑顔を見て、ガンッ!と頭を殴られた感覚に陥った。

 

(俺は、俺は何を考えていたんだ!?あいつにはシンフォギアの力あるからって大丈夫な訳がねえだろうがッ!!)

 

もし、彼女の言っていることが正しいのなら、翼と戦ったあの日にあんなことを言ったのは相当辛かっただろう。いつも頼れる彼に一緒に戦ってほしい、一緒に居てほしい……そう言えば、彼は絶対に無理をしてでもただ一つしかない力を振るって戦い一緒にいてくれるだろう。だが、右手以外はただの人間な彼がそんなことを続ければ、いつかは死んでしまうかもしれない。だから彼女は怖くて辛い気持ちを押し殺して彼を遠ざけたのであった。自分の我が儘に巻き込まなうように、大丈夫だと、いつものように笑いながら。

 

やっとわかった。何故まだ戦おうと考えていたのか。何に怒りを覚えていたのか。何が自身を動かしていたのか。

 

(・・・なんだ、簡単な事じゃねえか)

 

あの少女の役に立ちたい。力になりたい。困っているのなら助けたい。それだけだった。それだけのシンプルな理由を、今までやってきたことの延長線であることを少年は今やっと分かったのである。それは誰かに偽善使い(フォックスワード)と呼ばれる事なのかもしれない。今更遅いと言われる事なのかもしれない。力のない者が行くべき場所ではないことも理解している。それでも……

 

(・・・助ける。たとえ、右手にしか力がなくても、それでもあいつを助けるんだ)

 

少年は今も戦う少女の力になることを決意する。

 

「・・・小日向」

 

「なに、当麻」

 

「ごめん、俺、大事な用事を思い出した。だから俺も流れ星見に行けなくなっちまった・・・」

 

「・・・そっか。わかった」

 

「いいのか」

 

「うん、だって大変な用事なんでしょ。それじゃあ仕方ないよ・・・」

 

小日向は残念な、それでいて仕方がないなという顔をしていた。

 

「悪い、必ず埋め合わせはする」

 

そう言って、彼は自転車を走らせた、彼女が戦っている場所に向かって。

 

 

 

 

 

 

6

 

「・・・あれ、私」

 

(ノイズに捕まっていたのになんで・・・)

 

先程まで自分はノイズによって捕らえられていた筈だった。頭はガンガンするが体が自由に動くようだった。混乱する頭を無理矢理整理させ今まで何があったのかを思い出す。風鳴翼と一緒にノイズを退治してたら、ノイズを操る謎の女の子が現れた。彼女は手に持った杖からノイズを出現させ、そのノイズに自分は捕まってしまった。そんな自分とは違い、翼はあの女の子と戦い始めた。そして・・・

 

「ッ!?翼さん!?」

 

彼女は全てを思い出した。彼女は、風鳴翼は絶唱を使い、ここ一帯のノイズを殲滅したのであった。だがそれを使えば、彼女の身は無事では済まない事を知っている。すぐに彼女を病院に連れて行かなくては、そう思い、彼女は翼を探し出した。あたりを見回すと血まみれなっている彼女を見つけた。

 

「いた、翼さん!!」

 

立花は彼女のもとにに駆け寄ろうとした。だが・・・

 

「ガァッ!!?」

 

急に体に何かがきつく巻き付いてきた。それは鞭であった。鞭の方へ顔を向けるとそこには、ボロボロになっているあの少女がいた。

 

「へッ!気ぃ抜いてんじゃねぇよ、甘ちゃん!!」

 

(絶唱のダメージは効いているが、あいつ一人シメ落とすのは訳ねえッ!)

 

「とっとと落ちやがれッ!!」

 

「ガッ、アアッ!?」

 

(く、苦しい!この鞭全然剥がせない!?)

 

引き剥がそうにも力が足りず、少しずつ立花の意識は遠のいていく。

 

(痛い!苦しい!!誰か、誰か助けて・・・ッ!?)

 

「た、すけて。とうま・・・」

 

声を振り絞り、『ヒーロー(上条当麻)』の名前を呼んだ。だが

 

「ハッ!呼んだって誰も来ねえよ!」

 

名前を呼んでところで彼は来ない。分かっていた筈だ、そうさせたのは、彼が来ないようにしたのは他でもない自分自身なのだから。

 

(やっぱり、こないよね)

 

手は動かず、抵抗する力ももうない。ここまでか、そう思い彼女は目を閉る。そして。そして。

 

 

 

 

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「えッ!?」

 

(鞭が、消えた?)

 

自分の体を締め付けていた異物感は消え、自分の体が自由になったことに驚いた。そして鞭があった方を見る。そこには・・・

 

「大丈夫か!?立花ッ!!?」

 

彼がいた。そこに居るはずのない彼が。

 

「当麻、何で・・・」

 

「何でって、決まってるだろ」

 

少年は後ろの少女に向かって叫ぶ。

 

「お前を助ける為に決まってんだろッ!!」

 

「とうま・・・」

 

都合のいい幻が見えているのかと思った。しかし、彼女の耳に届いた声は彼がいることをはっきりと教えてくれた。

 

「動けるか立花、動けるなら翼さん連れて離れてろ。あとは俺がやる」

 

そう言って少年は自分の親友を傷つけた相手と向かい合う。何の変哲もない右手。相手がノイズや聖遺物でもない限り、何の役にも立たない右手。不良の1人も倒せず、テストの点は上がらず、女の子からモテたりすることも無い、右手。だけど、右手はとても便利だ。何せ、苦しんでいた女の子を助けることができるのだから。




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上条×IF装者 見たいのは?(ビッキーは『翳裂閃光』があるので今回はなしで)

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