戦姫絶唱シンフォギア IB   作:ドナルド・カーネル

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どうも作者です。
番外編色々な感想ありがとうございます。番外編でイチャイチャしたのを書いたあとに本編の真面目なものを書くのがすっごく難しいと感じた今日この頃です。またアンケートをとって書きたいものです。
それでは第12話どうぞ。


第12話 落涙

1

 

「チッ!ここにきて増援かよ」

 

(あいつがフィーネの言っていた幻想殺しなのか。だとしたら今のあたしじゃ分が悪い・・・ッ!?)

 

「行くぞ」

 

そう言って上条がとった行動は単純だった。目の前の敵を殴るために、ただ一直線に走り出しただけである。単純ではあるが一瞬の不意を突くには十分であった。悪の女幹部風の衣装()を纏う少女は驚いたが、痛む体を動かし先ほど消されたのとは逆の鞭に黒いエネルギーをためる。

 

NIRVANA GEDON

 

黒いエネルギーをまとった鞭をまるでチェーンアレイのように振り回し、上条にぶつけようとする。

 

「当麻、避けてッ!?」

 

「ッ!」

 

立花響はあの技の威力を知っている、だからこそ上条に避けるよう叫んだ。上条は一瞬驚いたが走るのを止めず、

 

「邪魔だ」

 

そう言って襲い掛かってくる黒い塊に対し右手をぶつける。右手が触れた瞬間黒いエネルギーは光となり、そのまま勢いで鞭の方も難なく打ち消した。さすがに同じ光景を見たところであの少女も驚きはしなかったが、全ての武器がなくなりもう一度精製しようにも時間はなく焦りが生じた。

 

(・・・あいつのエネルギーの塊や武器もシンフォギアみたいに消せるんだったら、鎧だって同じはず。直接叩けばあいつを行動不能にすることが出来るッ!)

 

「オオァッ!」

 

(チッ!ここまでかッ!!)

 

「クソがッ!」

 

上条は少女めがけて拳を振るう。しかし、少女は悪態をつきながら後ろに大きく避けるように空を跳び、そのまま力を振り絞り逃げ去った。

 

「待ちやがれッ!!」

 

少年は諦めずに追いかけようとする。すると、後ろから聞いたことのある男の声が聞こえてきた。

 

「上条君ッ!もう追いかけなくていいッ!!」

 

「風鳴さん!?でも!」

 

「今はネフシュタンの鎧より、翼達の救助が先だッ!!」

 

「ッ!分かりました・・・」

 

熱くなっていた上条の頭は弦十郎の言葉によって急激に冷えていく。今必要なのは追撃ではなく救助であることを彼は思い出す。そして上条は弦十郎の指示に従い追走を止めた。

 

「・・・上条君、君に色々言いたいことがある。悪いが一緒に来てもらうぞ」

 

「はい・・・」

 

 

 

 

 

 

 

2

 

そう言いながら上条達は、風鳴翼を搬送した病院へと移動した。

「まずは、礼を言わせてくれ。ありがとう上条君、君が来てくれなければ響君も大怪我を負っていただろう・・・そしてだ、なぜあそこに居たんだ。君には戦わないでくれと言ったはずだが」

 

「・・・あいつを助けるためです」

 

「何?」

 

「俺ずっと考えてたんです。あの日、立花や風鳴さんの言っていたことに何で納得が出来なかったのか・・・そんで、分かったんです。俺はあいつを助けたいんだって。あいつと同じで助けを求める誰かの力になりたいんだって。だからあそこに行ってあいつを助けようと思っただけです」

 

誰かを助ける…それを言うのは簡単なことであろう。しかし実際に人類の災厄(ノイズ)が居る場所に、もしくはそれ以上に危険な何かがあるかもしれない場所にたった一人の女の子を助けるために赴くことが出来るか。そんなことを他の誰かに聞けば誰もが首を横に振るであろう。だが、少年はそこにいた、彼自身の意思で。

 

「・・・俺、やっぱりあいつ一人を戦わせるのは嫌なんです。あいつの力になりたいんです。だから・・・」

 

上条は弦十郎を真剣な顔で見た。

 

「お願いします、風鳴さん。俺を、俺も二課の一員にして下さい。あいつの力になるために、誰かを助けるために、お願いします」

 

そう言って彼は頭を下げた。そんな彼を弦十郎もまた真剣な顔で見ていた。

 

「・・・決意は固いのか」

 

「はい」

 

「・・・ノイズとは戦わないという約束は守り続けられるか」

 

「・・・約束は出来ません。もしも、あいつや翼さんがいないときにノイズが誰かを襲うのなら、俺はこの右手でノイズを倒します」

 

「・・・・・」

 

「お願いします・・・ッ」

 

「・・・分かった。だが、君を翼や響君と同じ装者としては扱うことは出来ない。君には『民間協力者』として協力を要請したい」

 

「民間協力者・・・ですか」

 

「簡単に言えばノイズ発生時の避難誘導等を君に頼むことになる。勿論、響君のメンタルサポートも仕事のうちだ」

 

「!分かりました、お願いします!!」

 

「ああ。よろしく頼むぞ、上条君!」

 

そう言いながら彼らは堅い握手をした。

 

「司令。ネフシュタンの鎧の捜索班編成、完了しました」

 

「分かった。すまない上条君、詳しいことはまた後日連絡する。それより、響君にこの事を伝えてきたらどうだ」

 

「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

3

 

とても良い笑顔で上条は立花の元に向かった

そんな上条と打ってかわって、立花響はとても落ち込んでいた。ノイズと戦うと宣言して1ヶ月、彼女は風鳴翼との連携はおろか、ノイズとまともに戦う事すら出来ていなかった。そしてそんな彼女に追い打ちをかけるように起きてしまった今日の出来事や緒川慎次から聞いた話は、彼女の心をグラつかせるには十分であった。

 

「・・・はぁ」

 

(私、何も分かってなかった。奏さんの代わりなるなんて軽々しく言って。それに、あのときもし当麻が来なかったら・・・)

 

死んでいたかもしれない、そんな事実が立花の胸に重くのしかかっていた。そんなことを考えていると、首筋に何か冷たい物が当たった。

 

「キャアッ!!」

 

「お、やっと気がついたか」

 

「と、当麻!何するの!?」

 

「いや、さっきから話しかけてるのにお前が反応しないから、つい。ほい、やるよ」

 

「ありがとう・・・」

 

上条は立花に飲み物を渡し横に座った。上条は先程弦十郎と話していた内容を伝えようとしたが、先に彼女が落ち込んでいる理由を聞いた。

 

「・・・私のせいなんだ。私が未熟だから、奏さんの代わりになるなんて言ったから。だから・・・」

 

「ちぇいさー」

 

上条は砕けた口調で立花の頭を軽くこついた。

 

「痛っ。何で叩くの!?」

 

「お前がアホなこと言うからだ。お前がまだまだ未熟なことなんてみんな知ってんだよ。それにな、全部自分のせいにしないでって昔俺に言ってくれたお前が何で全部背負おうとしてるんだ?」

 

上条は覚えている。あの日、初めて少女がシンフォギアを纏ったあの日に、そして、それ以外でも上条が自分1人で天羽奏の件を背負おうとしてくれた時に言ってくれたことを。

 

「あとな、お前は天羽奏なのか。天羽奏のシンフォギア(ガングニール)を纏ったらお前はあの人になれるのか」

 

「それは・・・」

 

「お前はお前なんだよ。どれだけ頑張っても天羽さんにはなれないよ。それにな、お前が戦う理由は天羽さんの代わりになる為じゃねえだろ。小日向や俺達を守るために戦うんじゃなかったのか」

 

「あ・・・」

 

上条の言うとおりであった。元々は上条と同じ誰かの力になりたいが為に、彼らを守りたいために、彼女はシンフォギアを纏い戦う事を決意したのである。しかし、それでも彼女の顔は明るくならなかった。

 

「でも、守るって言ったのに、当麻に傷ついてほしくないって言ったのに…結局、私、当麻に、守られて、ばっかりで・・・」

 

「立花」

 

少年は優しげな口調で彼女の名を呼ぶ。

 

「もう自分を責めるな。今回の事で責められるべきなのは俺だよ。小日向との約束を破っちまったし、翼さんを助けられなかった……本当は辛いのを我慢して戦ってるお前の傍にいてやれなかった俺が悪いんだ」

 

もし間に合っていれば、あの時立花響や風鳴弦十郎に戦うなと言われた時に、意地張ってでも一緒に残ると言っていれば少なくともここまでのことにはならなかったかもしれない。少なくとも上条はそう思っている。

 

「・・・ごめんな、立花、一緒に居てやれなくて」

 

上条はそう言って立花に謝った。彼は何も悪くない。右手以外戦う術のない少年が謝ることはない。それでも少年は自分が悪いと思った。例え戦えなくてもそばに居ることが出来たのに、それを選ばなかった自分に対し少年は今でも自身に怒りを覚えていた。そして少年の言葉を聞いて少女は、

 

・・・ふぇ、と。今まで我慢していた何かの堤防が壊れてしまった。

 

「お、おい。泣くなよ立花」

 

「グスっ、ごめんねとうま、心配かけてごめんね」

 

「イヤ俺が悪いんだからさ、泣かないでくれよ、立花」

 

「ごめんね。とうまにまた一人で背負わせるようなことしちゃってごめんね」

 

そこからずっと立花響は泣きっぱなしであった。誰が悪いわけでもないないのにお互いに謝りあっていた。そしてある程度泣きじゃくると立花は照れくさそうに笑った。

 

「本当にありがとうね、当麻」

 

「いや、俺は特に何もやってねえよ」

 

「ううん、そんなことないよ。当麻はいつも頑張ってる人だって私は知ってるよ」

 

「・・・そっか」

 

上条もまた照れくさそうに笑った。そして上条は自身が来た理由を思い出した。

 

「あ、そうそう。俺二課に入ることになったからこれからもよろしくな」

 

「へーそうなんだぁ。ってええええ!二課に入るって本当!?」

 

「ああ。つってもお前みたいにノイズと戦うわけじゃねえけどな」

 

「・・・そっか、じゃあ安心だよ。これからもよろしくね当麻!」

 

「ああ。じゃあ俺、そろそろ帰るわ。お前は寮に帰るのか?」

 

「うーん、今の時間じゃ寮も開いてないからここで明日まで待つことにするよ」

 

「いいのか、俺の家に泊まるってのもありだぞ」

 

「え!?きょ、今日は遠慮しとくよ!」

 

「そうか。じゃあな立花、おやすみ」

 

「おやすみ、当麻」

 

そう言いながら彼は病院を立ち去ろうとしたすると、

 

「あ、まって!当麻。一つお願いがあるの」

 

「ん、なんだ」

 

「・・・翼さんのこと、嫌いにならないでくれる?一人にさせないように手伝ってくれる?」

 

彼女は先程、緒川に聞かれたことと同じことを話した。そして彼は笑いながら答えた。

 

「・・・ああ、当たり前だろ。なんていうかあの人、いざ会ってみたら、ほっとけない感じの人っぽいしな。俺もあの人を一人になんかさせねえよ」

 

「そっか・・・分かった、ありがとね当麻。それじゃあ今度こそおやすみ」

 

「ああ、おやすみ」

 

そう言って彼は病院を去っていった。余談だが、彼が乗ってきた自転車は誰かに盗まれ、歩いて家に帰ったそうだ。

 

 

 

 

 

 

4

 

「・・・ここは?」

 

(確か絶唱を使った反動で・・・)

 

意識を失った筈ではと、風鳴翼は、自分の身に起きたことを思い出す。だが、今自分がいるのはどこか分からない。ただ落ちている事だけは分かった。そしてある程度落ちた先に居たのは・・・

 

「・・・奏ッ!」

 

そこに居たのは自分のかつての親友であった。

 

「片翼だけでも飛んでみせるッ!どこまでも飛んでみせるッ!!」

 

翼の声を聞き彼女はこちらを振り返ったが、何も話してくれない。

 

「だから笑ってよ、奏っ!」

 

もっと話したい、もっと奏といたい。だがそれは叶わず、彼女の意識は暗い水の底へ沈んでいった・・・

 




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上条×IF装者 見たいのは?(ビッキーは『翳裂閃光』があるので今回はなしで)

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