それでは本日2回目の投稿です。
それでは第15話どうぞ。
1
「ハアアアァーーーッ!!」
気合いの入った掛け声と共に、スパァッッッン!!とサンドバッグからいい音が聞こえる。立花響は風鳴弦十郎の家で特訓を行っていた。そして、そんな彼女の動きを見て弦十郎は、稲妻を喰らい雷を握りつぶすように打つべしッ!と、どこかの映画に出てきそうな台詞で彼女にアドバイスをした。
「師匠!言ってること全然わかりません!でも、やってみますッ!!」
息を大きく吸い、血が体全体に流れるのを感じ、一瞬に気合いを込める。本気の一撃がサンドバッグに直撃する。そこから出た音は先程とは比べもにならない鈍く、重い音だった。そしてその勢いのまま、サンドバッグは池にぶっ飛んだ。それを見た彼女は上手くいったのが嬉しかったのか顔がほころんでいた。そんな彼女の一撃を見た上条は、あいつのこと、怒らせるようなことは絶対にしちゃダメだ・・・ッ!?と心の底から思った。
2
5月●日 風によって転がってきた空き缶のせいで転び、2時間並んで買った特売卵が全滅する。
5月▽日 財布を探している最中に床に落ちてあったキャッシュカードとスマートフォンをふみ砕く。
5月□日 女子高生に絡んでいた不良3人から女の子を助けようとするが実際居たのは10人以上で、そいつらに追いかけ回される。
5月×日 立花の格闘練習に付き合う。その折、立花の打撃をまともに喰らい2時間弱気絶する。
5月○日 土御門、青髪と共にカラオケへ行き、そしてそこでたまたま会った立花達と一緒に歌う。その最中足が滑って立花の胸にダイブしてしてしまう。小日向に睨まれ、土御門達にもみくちゃにされ、立花に強烈な一撃を貰う。
5月△日 小日向と町でばったり出会う。立花に対する愚痴や惚気?を聞かされる途中、いたずらな風のせいで彼女のスカートがめくれる。なにがとは言えないが白色だった。その後、顔を真っ赤にした彼女にボコボコに殴られる。
「というのが最近あった不幸な出来事なんすけど・・・どう思いますか皆さん?」
「いやー、その何というかな・・・」
「不幸というか君の不注意が原因なものがあると思うんだけど・・・」
「上条君。あなたよく今まで刺されなかったわね・・・」
弦十郎、藤尭、友里の三人は反応に困っていた。きっかけは『当麻君ってよく不幸だーっていうけど最近だとどんなことがあったんだい』といった藤尭の質問であった。そして上条は最近あった出来事を包み隠さず話した結果、三人共このような反応であった。本当なら今はまだ学校にいる時間であるが、上条は現在二課本部にいた。立花の特訓に付き合い終わったのが昼休み頃だったため今日は学校に行くのはやめようと考え、二課にてノイズ出現の可能性があるため待機いう時間潰しをしていたのである。そして立花は途中自販機で買った『ヤシの実サイダー』を手にほかほか顔で上条達の前に現れた。シャワーを浴びたばかりだからなのかシャンプーの香りがよく分かった。
「はぁ~サッパリした~。シャワー室使わせて頂いてありがとうございます」
「ああ構わないよ。ここは君のことを支える場所なんだから使える施設は使ってくれて構わないよ」
ここ特異災害対策機動部二課には、リディアンの地下にあり、最深部は1800M、東京スカイタワー三本分の深さにある。司令室やブリーフィングルームは勿論、シャワー室や仮眠室、そしてバーといったものまである。二課ではノイズ出現の際の避難誘導や奏者のバックアップは勿論、それによる機密情報の処理等も行うため家に帰れる事が少ない。そこで外に出られない人たちのために弦十郎と櫻井がストレス解消のための施設を作ったというのである。そしてそれは、最近二課の人間になった立花達も使えるものであった。
「しかし本当にいろいろありますよねここ」
「元々はここまで多くのリラクゼーション施設があったのではないのだがな。了子君がここの拡張と共にそういった施設を増やしていったんだよ」
「シアタールームやゲームセンターみたいな場所もありますもんね・・・」
「でも一番はやっぱり、おいしいご飯が食べられる食堂ですよね!」
「お前ほんとそれだよな・・・」
「当麻だって、『ほぼ毎日のもやし生活から抜け出せるなんてなんて幸運なんだっ!?』って言ってたじゃん」
「まあそうだけどさ」
上条は立花の反論に気まずそうに答えた。上条は2年前から親とは別に暮らしており基本的に自炊+節約生活のためやすくておいしいもやし中心の生活を送っているのである。ちなみに親からの仕送りが少ないため節約生活をしているのではなく、何らかの不幸により安定してお金が手に入らないことが多々あり、そういった事情により節約生活をしているのである。そうこう話していると、立花はある人がいないことに気づいた。
「あれ、師匠。そういえば了子さんは?」
「永田町さ」
「永田町?」
「政府のお偉いさんに呼び出されてね。本部の安全性及び防衛システムについて、説明義務を果たしに行っている」
それと、と別の言葉を紡ごうとした時、弦十郎の顔は何かに怒りを持つ表情となった。
「
「・・・それって『デュランダル』の移送の件ですよね」
「ああ・・・」
『デュランダル』とは、数年前、EU連合が経済破綻した際、不良債権の一部肩代わりを条件に日本政府が管理することになった数少ない『完全聖遺物』である。また『完全聖遺物』とは天羽々斬やガングニールと異なり、発掘時に経年劣化や破損が見られないほぼ完全な姿で残っている聖遺物である。元々の数が少ない聖遺物の中でほぼ完全状態の聖遺物であるデュランダルはそれ以上に稀少な存在というわけである。現在は
「・・・前にも言いましたけど俺は別に気にしてませんよ。それに人は多いにこしたことは」
「当麻君への政府からの要請は裏方としてではなく、響君と同じようにデュランダルを護衛しろといった要請だ!そんなことを君に!奏者と同じ事ように扱えだなんて人として、一人の大人として認められるわけないだろッ!」
「ッ!?・・・」
弦十郎は強い口調で上条の言葉を否定した。上条当麻はその右手の特異性以外は普通の人間だ。今回の移送が、もしどこからか漏れているのだとしたらノイズや
「・・・当麻君。君の気持ちは嬉しいのだが、今回の件に関しては君を巻き込む訳にはいかない」
「・・・もし、政府がその要求を認めなかったときはどうするんですか?」
「その時はこっちで上手くやるさ。だから安心してくれ」
「マジで敵わねえな、チクショウ・・・」
この人は、この人達は本当にいい人達だ。上条は大人として、ひとりの男として本当に弦十郎や二課の人たちを尊敬していた。その強さにその優しさに。それでも
(でも、今のまんまじゃ前と何にも変わりゃしねえ。どうすれば立花やここに居る人たちの力になれる・・・ッ!?)
少年は考える。忘れるな、自分がここに居るのは困っている人の助けや誰かの力になるためであることを。風鳴翼がいない今、ノイズとの戦闘が可能なのは立花一人である。きっと彼女のことだ、いつも以上に自分一人で背負おうとするに違いない。そんな彼女の力になる方法は?そんなことを考えていると突然アラーム音が鳴り響いた。
「師匠、ノイズが出たんですか!?」
「いえ、違うわ。このアラームは・・・」
「司令、大変です!!広木防衛大臣が!!広木防衛大臣が何者かに殺害されたようです!?」
「なんだとォッ!!?」
「広木防衛大臣って・・・」
「・・・了子君が説明をしに言っているお偉いさんだ」
「ッ!?まさか了子さんも巻き込まれたんじゃ・・・ッ!?」
「私がどうかしたの、当麻君」
「「「「「了子さん(君)!!?」」」」」
上条が心配をした瞬間、櫻井が後ろからひょっこりと現れた。
「どうしたのよ、みんなして驚いて。私が居なくてそんなにさびしかった?」
「・・・広木防衛大臣が殺害された」
「ええッ!?本当!?」
「複数の犯行声明がだされているようだが、詳しいことは把握できていない。目下全力で捜査中だ」
「了子さんがこの人に会いに行ったきり帰ってこないから、私、心配で・・・っ!?」
「私の連絡機壊れてたみたいでね。連絡が取れないでごめんなさい。でも心配しないで」
櫻井はそういって手に持ったアタッシュケースからSDカードを取り出し始めた。
「政府から受領した機密指令も無事よ。ただ、当麻君の人員変更は
「・・・ということは」
「ええ、
「わかった。では今から一時間後にブリーフィングを「・・・ちょっと待って下さい」どうかしたか、当麻君」
「・・・俺もこの任務に参加させて下さい」
上条はいつぞやと同じような真剣な目つきで弦十郎を見た。
「さっきも言ったがこれは!」
「命がけだってのは分かっています。俺が右手以外は普通の人間と変わらないって事も重々承知しています。でも、俺がここに来た理由は、立花や他の誰かの力になるためです!それなのに、立花に一番プレッシャーが掛かっているこの状況で何もやんないで指咥えて見てるなんて出来るわけないんですよッ!!」
「当麻君・・・だがッ」
「それに、大臣殺害の犯人がもしあのノイズを操る女と繋がっているんならヤツは絶対に来ますし、今の立花だけであの鎧女とノイズを相手させるのは無理があります。だから俺があの鎧女の相手をします!一発でもあいつに入れればあいつの力を封じることが出来ます。だから俺を任務に参加させて下さい!お願いしますッ!!
「・・・師匠、私からもお願いします」
「響君!?何故君が・・・」
「・・・私も当麻が危険な目に遭うのは今でもイヤです。でも、今のまま当麻をほっとけば、どんな無茶をしてでも今回の作戦に首を突っ込むに決まってます。だったら私の手の届く範囲にいるのなら、背中を任せられる人がいるのならッ、デュランダルも当麻も私が守ってみせますッ!!だからお願いします、師匠ッ!」
そう言って、二人とも頭を下げ、弦十郎に頼み込んだ。彼らは昔の、守られてばかりの少年少女達ではない。そこに居るのは、本当の意味で覚悟を決めた者達であった。そして・・・
「・・・俺やここに居る全員がいまでも君たちには戦ってほしくないと願っている。もともとはどこにでも居る学生である君たちにこんなことを背負わせ、危険な任務に参加を願わせるのは、確実に間違っていることだろう。それでも、今の俺達にはノイズと戦う術は一つもない・・・響君、当麻君、あらためて君たちにノイズと戦うことを頼みたい」
「!?それじゃあ!?」
「・・・今回だけだ。今回だけ当麻君を響君と同じノイズに対する戦闘要員として扱う」
「!ありがとうございます、風鳴さん!!」
「・・・礼を言わないでくれ。守るべき子どもたちにこんなことを頼むなんて大人として失格だ・・・」
弦十郎は怒りのあまり爪が食い込むほど拳を握りしめていた。自分の不甲斐なさに、そして、こんな子ども達に危険なことを任せなければならない世界に。
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上条×IF装者 見たいのは?(ビッキーは『翳裂閃光』があるので今回はなしで)
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