今日7/10は上条さんの初キッスはサンジェルマンの味だった『創約 とある魔術の禁書目録 2巻』の発売日です。シンフォギア的に考えるとちょっと羨ましすぎませんかね・・・。そして、水樹奈々さんご結婚おめでとうございます!
それでは第17話どうぞ。
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スピードを出し櫻井達は橋を通過する。橋の料金所を通り抜けた時、弦十郎から通信が入った。
『敵襲だ!確認は出来てないが、恐らくはノイズだろう!』
「この展開、想定していたより速いかも・・・ッ!?」
通信の最中、通り過ぎたマンホールが水圧によって吹き飛んだ。それに巻き込まれ、また一台戦線を離脱する。
『下水道だッ!奴らは下水道から攻撃を仕掛けてきている!』
「クソッ、そんなもん避けようがねえじゃねえか・・・ッ!」
ノイズには物理的効果は通用しない。奴らはその気になれば下水道をすり抜けて、こちらに攻撃をしかけることだって出来る。ただ不幸中の幸いか、今のところ、こちらに直接しかけてくると言った動きは見られなかった。だがそれは向こう側からすればいつでも狙えると言った余裕のあらわれなのかもしれない。上条は現状の状況を考えていると、今度は前を走っていた車が吹き飛ばされた。
「ぶつかるーーーーッ!!」
立花は目の前で起きた状況に対して叫んでしまったが、櫻井は、そんな彼女とは違い、冷静にハンドルを切り、飛んできた車を避けた。だが無理矢理ハンドルを切ったせいで車は少しバランスを崩し、道ばたのゴミ箱にぶつかってしまう。立花はそんな状況に対し軽い悲鳴を上げていた。
「弦十郎君、ちょっとヤバいんじゃないの?この先の薬品工場で爆発でも起きたら、デュランダルは・・・ッ!?」
『分かっている!さっきから護衛車を的確に狙い撃ちにくるのは、ノイズがデュランダルを損壊させないよう制御されていると見られる!!』
「ッチ!」
流石の櫻井も余裕がなくなり始めているのか、珍しく舌打ちをしていた。
『敵の狙いがデュランダルの確保なら、あえて危険な地域に滑り込み、攻め手を封じるって算段だッ!』
「勝算はッ?!」
『思いつきを数字で語れるものかよッ!!』
「本ッ当にとんでもないこと言ってくれますよね、風鳴さん!」
上条はそんなことを言っているが、顔は笑っていた。そして三人とも弦十郎の
そして櫻井達は薬品工場近くに近づいてきたが、その時、今度はマンホールからノイズが直接襲撃してきた。車に乗っていた人物は映画のスタントマンのように車から飛び降り、そのまま車はノイズを乗せたまま薬品を詰めているであろう場所にぶつかった。
「さっきみたいに水圧攻撃をしてこないって事は・・・ッ!」
「師匠の狙い通りにいったッ!!」
そんな風によろんこでいた瞬間、ガンッ!っと車のタイヤに何かにぶつかった音が聞こえ、そのまま車は横転してしまった。その状況を弦十郎は上空にて視認し思わず、南無三ッ!っと言っていた。櫻井達は横転した車を這いながら脱出していた。そしてノイズ達はそんな彼らを取り囲むように増殖していた。
(さっき緑色に光ったところからノイズが召喚?されたみたいだ。これもあの鎧女の仕業なのか・・・)
「これ、重い・・・ッ」
立花は車からデュランダルを引きずり出していたが、見た目以上の重量なのか立花はやっとの思いでデュランダルを引っ張り出した。
「立花、それをこっちに渡せ。俺が持っておくからお前はシンフォギアを纏え」
「うん、分かった」
「貴方たちそれを置いて逃げる気全くなしね・・・」
「櫻井さん、まだ諦めるには早いっすよ・・・ッ!?」
櫻井の軽口にツッコミを入れたその時、ノイズが櫻井の車に向かって突っ込み、車はそのまま爆発してしまった。
「「キャアッ!」」
「ガアッ!?」
爆風のせいで上条達は吹っ飛ばされて、受け身をとる事が出来なかった。また上条に関しては爆発した車の破片のいくつかが背中に直撃した。しかし、背中から血が流れてはいなかった。
(・・・風鳴さんの助言通り防刃ベスト着込んでいて正解だったけど、衝撃まではかき消せなかったか・・・ッ!)
立とうにも先程のダメージが抜けきっておらず、体全体に力が入らなかった。そんな隙に気づいてか、ノイズ達は未だ立ち上がれない上条達を襲撃した。
(マズッ!?)
右手を構えるにも間に合わず、上条は目をつむってしまった。しかし、いつまでたっていても衝撃はこず、恐る恐る目を開けると、
「え、櫻井さん何を・・・」
「了子、さん?」
櫻井がバリアのようなものを貼り、上条達を守っていた。それはシンフォギアと同じように、触れたノイズを炭にした。
(・・・シンフォギアと同じようなもん、なのか・・・?)
「上条君、一応言っとくけどこれ触っちゃだめよ。たぶん触ったら消えると思うから」
「は、はい」
「響ちゃん。あなたは、あなたのやりたいことを、やりたいようにやりなさい」
「・・・私、歌いますッ!」
そして、立花響は誰かを守る歌を歌う。
「<ruby><rb>Balwisyall Nescell gungnir tron</rb><rp>(</rp><rt>喪失までのカウントダウン</rt><rp>)</rp></ruby>」
立花の体は光に包まれ、ガングニールのシンフォギアを纏っていた。何ものをも貫く槍の力を借りた戦乙女がここに現れた。立花は構えをとり、ノイズに向かって走って行く。
「♪絶対に・・・離さないこの繋いだ手は♪こんなにほら暖かいんだ・・・ッ!?」
しかし、ハイヒールがパイプに引っかかり頭からコケてしまった。ノイズ達は隙をみせた彼女を取り囲む。だが、立花は焦ることはなく
(ヒールが邪魔だッ!)
そんなことを思い、ヒールを蹴り外した。ハイヒールは運動靴のように動きやすい靴となった。そして改めて構えをとる。その構えは先程のボクサーのような構えではなく、中国拳法をベースとした構えであった。それは自分が一番慣れ、練習した構えである。
「♪ぐっとぐっとみなぎってく♪止めどなく溢れていく」
「♪繋ぎ合いたい魂♪100万の気持ち・・・さぁ♪ぶっ飛べこのエナジーよ」
歌いながら、立花は襲いかかってくるノイズに一撃を加える。突きが、肘打ちが、蹴りが、ノイズ達を炭へと変えていく。その動きは一月前の素人くさい動きではなく、すくなくとも上条からすればある程度洗練された動きであった。
「あいつ、やっぱり強くなってんな・・・」
『当麻君、了子君、動けるか!?』
耳に付けてあるインカムから弦十郎の声が聞こえた。
『動けるなら、ポイントDまで来てくれッ!ヘリコプターで記憶の遺跡まで突っ走るッ!!』
「ごめん、弦十郎君。私ちょっと、動けそうにないわ!」
「当麻、了子さんは私が守るから行ってッ!」
「・・・分かったッ!」
上条は弦十郎のもとへ走り出した。背中を親友に託し前へ、前へ。だが事はそう上手くはいかない。
「逃がすかよ、
そんな声が聞こえ、それと同時に上条の背中にゾワッっと寒気が駆け巡った。上条は走るのをやめ、何かから逃げるように横へ跳び去った。
ドンッ!という音ともに上条が先程までいた場所に小さなクレーターができていた。そのクレーターを作った原因はあの時の鎧の少女であった。
「お前ッ!?」
鎧の少女は狙いの品であるデュランダルを強奪するために上条の前に立つ。
「さっさとそいつを渡しやがれッ!」
「狙いはやっぱりこれか!?」
少女は鞭を振るい、上条を屠りに掛かる。上条はあの時と同じように右手で打ち消そうとするがタイミングが合わず、鞭は上条の右頬を掠める。
(クソッ!あの時と違って動きが速い!?)
「まさか、あれがあたしの全力だと思ってたんじゃねえだろうなぁ!!」
あの時の少女は風鳴翼の絶唱を間近で喰らったために、本来のポテンシャルを引き出せていなかったのである。ただでさえ聖遺物の一部の力しか発揮できていないシンフォギアの力でさえ、ギリギリの反応で避けていたのに、それ以上の力を持つ完全聖遺物の動きに上条は反応が出来ずにいた。しかしそれでも上条の闘志は消えてはいなかった。
「・・・負けてたまるかよ。テメェみたいな、人の命をなんとも思っていないヤツに負けてたまるかッ!」
「ッ!?黙れッ!力を持つヤツが悪いんだ、お前みたいな力を持つヤツが!!」
上条の言葉は少女の逆鱗に触れたらしく、少女は怒りのままに鞭を振るい上条の肉を削ごうとする。だが上条は、躊躇うことなく少女に向かって走り出す。力があるとはいえ範囲は右手の手首から先だけなら、進むしかない。デュランダルが入っているケース目掛けて、まるで蛇のような予測が難しい動きで襲いかかる鞭を右手で何とか対処しながら、少しづつ、それでも確実に前に進み抜いていた。余裕がなくなってきた少女は自分と上条の間にノイズを召喚した。
(あいつの力で消せる範囲は限られている。なら、ノイズを消そうとした瞬間にこいつをたたき込めれば・・・!)
「今度こそ終わりだッ!」
襲いかかるノイズと鞭。上条はノイズに向かって右手を振るう。そして少女は狙い通りに上条に向かって鞭を振るおうとした瞬間、デュランダルの入ったケースが上に向かって投げられた。
「何ッ!?」
(こいつ、何考えてんだ!?)
「・・・・・完全聖遺物なんて大層な名前がついてんだ。
「お前ッ!?」
こんなのはハッタリである。デュランダルを入れたケースは例え高さ10階のビルから落としても中の物はおろかケースにすら傷一つ付くことはない。でも、そんなことを知らない少女には十分であった。
(まずい、あれが壊れたりでもしたら・・・ッ!?)
「立花!そのケースとって走れッ!!」
その言葉と同時にノイズを全て倒した立花響が上に向かって飛んだ。
「ッ!させる」
「逃がさねえよッ!!」
上条の作戦には穴がある。どれだけ高く投げても、立花がここへ来るまでには必ず落下する。だから少女の気が散ったこの瞬間に、落下するまでの間に少女を戦闘不能にする。あと一歩で拳が届く。そう思ったその時、
「「なッ!?」」
(どういうことだよ、あれは!?)
「ッ、貰ったぁ!!」
「しまッ!?」
上条はデュランダルが飛び出すなんていった想定外の事態に隙が生じた。少女はそれを見逃すことなくデュランダルに向かって飛び出す。何とか少女の足を掴もうとしたが、間に合わず少女の手にはデュランダルが届く。そう思った瞬間、
「渡すものかぁ!?」
「ッ!?お前ぇ!」
それよりも先に立花響がデュランダルを掴んだ。その時、一瞬上条は自身の心臓を握りしめられるような感覚が襲った。しかし、痛みはすぐに消え心臓も普通に動いていた。
(・・・何なんだ、今のは・・・?でも今はどうでもいい)
「よし、立花!そのまま、風鳴さんのとこに・・・」
行け、そう言おうと思った。思ったのだ。だが目の前の少女の雰囲気が急に変わってしまったせいで言うことが出来なかった。犬歯をむき出しにしながら黒い何かに覆われ、こちらを睨み付け始めた。デュランダルを中心に光の柱がそびえ立ち、剣の形が変わる。
(あれが、融合症例の力によってもたらされた完全聖遺物の力・・・!!)
女はそれを見て、初めて素晴らしい絵画に出会ったような気持ちになり、
(なんだ、あれは・・・!?)
少女は、目の前で起きている『何か』におびえ、
(何が起きてんのかわかんねぇけど、あれを振り下ろすつもりじゃ・・・ッ!?)
少年の背中には先程以上の寒気と恐怖が背中を走った。
「・・・そんな力を見せびらかすなァあああ!!!!!」
少女は叫びながら立花と上条の間にノイズを召喚する。それに気づいた立花は剣を振り下ろす。剣はノイズを一瞬にして消していく。それを見た少女の体は金縛りにあったように動かなかった。
「あ」
(ダメだ、体が、動かない。逃げられない・・・)
光が迫る。全てのものを破壊する光が、少女に迫ってくる。逃げ場はどこにもない。少女の命はここで、終わる。
「オオオオァァァッッ!」
上条当麻が少女を守るように右手をかざしていなかったらの話だが。
「お、まえ。なんで」
「うる、せえ。人が死ぬ所なんて、見たくねえんだよッ!!」
(なんで、消えねえんだ・・・!?)
右手だけでは吹き飛ばされると思い、空いていた左手で右手首を掴む。だがそれでも、少しでも気を抜けば吹き飛ばされてしまいそうだった。混乱するなか、上条はかろうじて気づいた。デュランダルは上条の力に反応している、だがそれと同時に新しい力が注ぎ込まれ消えることがなかったのである。右手は封じられた。消えるのにどれだけ時間が掛かるのかは分からない。メキメキメキッ!!と体のどこからか音が聞こえ始める。痛い、怖い、だけど。
(・・・ここで押し負ければ、俺とこいつの命は・・・。それだけは、それだけは絶対にダメだ!もしそんなことになればあいつは絶対に、死ぬまで引きずっちまう!だから・・・ッ!!)
後ろにいる少女の命と、前にいる少女の思いを、守り抜く。上条はそう思い、足と今にも吹き飛びそうな両手に力を加える。そして、右手で触れているデュランダルの力が弱まっていることに気づく。あと少しだけこらえろ。そうすればいつかは力を消すことが出来る。
そして、ついに、デュランダルの力が消えた。だが、前にいる少女はいつもの雰囲気に戻ってはいない。それどころか、もう一度こちらに剣を振り下ろそうとする。もう一度あれを受け止める力は上条には残っていない。ならば。
(ここで、終わらせる・・・ッ!!)
「立花ぁ!!!」
少年は叫びながら目の前にいる少女めがけて走り出す。デュランダルに触れてもダメならそれを持つ彼女に触れることができればこの事態を終わらせることが出来るかもしれない。だから、少年は走る、最速で、最短で、まっすぐに、一直線に、このふざけた幻想を殺すために。
そして、少年の右手が少女の頭に触れた。
少女を包んでいた黒い雰囲気は少女が纏っていた服装と共に消え去った。握っていたデュランダルは力が抜けた手から落ちる。上条は立花の体を傷つけないように抱え、先程まで後ろにいた少女のほうを見た。どうやら逃げられてしまったようだ。だけど、何故かは知らないがホッとした。
(あいつ、無事なら、いいんだけどな・・・)
そう思いながら少年は少女を抱えたまま気を失った。
誤字、脱字、感想等お願いいたします。
上条×IF装者 見たいのは?(ビッキーは『翳裂閃光』があるので今回はなしで)
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風鳴翼
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雪音クリス
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月読調
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暁切歌
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マリア・カデンツァヴナ・イヴ
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セレナ・カデンツァヴナ・イヴ