戦姫絶唱シンフォギア IB   作:ドナルド・カーネル

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どうも作者です。
シンフォギアXDにてグレ響の新装備やAnotherマリア&セレナが出てきたりと面白そうな展開になってきましたね。
禁書世界にいるグレ響の話の続き、また書きたいですね。
そして、投稿頻度を週1投稿から不定期投稿に切り替えます。これからもよろしくお願いします。
それでは第22話どうぞ。


第22話 銃と剣と拳と・・・・・/End 结束 конец la fine

7

完全に死んだと思った。痛みのせいなのか、目の前に迫る人を殺す無機物(ミサイル)にビビったせいなのか、本当に、もう動けないと感じてしまった。そして、そんな事を考えてしまったせいで立花響の動きを邪魔してしまった。自分がさっさと退けば彼女を巻き込まずに、自分と同じ死の恐怖を味わわせることにはならなかったのに。だけど、自分たちは生きていた。目の前に突如として現れた()のおかげで、それを生成した風鳴翼のおかげで。

 

「翼さん、なんで、あんたが・・・・」

 

「防人である私が、いつまでもどこにでもいる少年に戦わせてばかりなのはどうかと思ってね」

 

それに、上条達の安否を確認しながらそう紡ぐ。

 

「もう二度と誰かを失うのは嫌なんだ」

 

いつものような丁寧な言葉使いとは違う、感情をそのまま表したような言葉でそう宣言した。そんな翼が上条には今まで出会った誰よりも心強い存在に思えた。

だが怪我の具合からすればまだ完全には回復してはいない、いつものような動きで戦うのは不可能だろう。

 

だから、風鳴翼は立花響を頼る。半人前の未熟者としてではなく、覚悟を決めた戦士として、共に戦う仲間として。

 

「立花、すまないが力を貸してくれ!今の私はまだ十全ではない、だから、一緒に戦ってくれ!」

 

そう言って翼は雪音の方へ飛び去っていた。

 

「!?はい!!」

 

あの少年に頼られたときも嬉しかったが、それと同じくらいの嬉しさがこみ上げてきた。憧れの人から言ってもらった言葉は立花の士気をあげるには十分な言葉であった。

そんな事を思いながら上条の方を見る。先程から喋れてはいるが、浅い呼吸と少しずつ切れかけの蛍光灯のように消えていく目の光、どこから流れているのか出している分からない血液。もともとこれ以上戦わせる気はなかったが、今の彼を見てしまうとその思いはより一層強いものになった。

 

「立花、俺も、戦う・・・」

 

「ダメ!当麻はここにいて。あとは、私たちでどうにかするから」

 

そう言って立花は上条を木を支えにするよう寝かせ、彼を傷つけた少女と向かい走り出す。

 

 

 

 

 

「♪疑問・・・?愚問!衝動インスパイア♪6感フルで感じてみな」

 

 

 

そんな歌と共に雪音の腕のパーツがガトリングガンへと変わる。

 

BILLION MAIDEN

 

それが雪音が纏う力、10年前強奪された第2号聖遺物『イチイバル』のアームドギアであると翼は考える。だが本来のイチイバルのアームドギアは弓矢の形になるはずだが、今現在じゃじゃ馬の如き暴れっぷりを見せるガトリングガンはどう見ても本来の形から乖離しているものであった。

 

(・・・すなわち、アームドギアとは装者の心象に由来するものだと櫻井女史は言っていた。つまり、彼女にとっての撃ちぬく物とは重火器の類いの物になる、ということか)

 

「♪颯を射る如き刃♪麗しきは千の花」

 

自分の中からあふれ出てくる歌詞を歌いながら銃弾の雨を避け、翼自身もアームドギアを形成し雪音に向かって振りかざす。ガトリングガンをもって迎撃行動に移るが怪我人である筈の翼の動きにはついて行くことは出来なかった。

 

「ちょこまか逃げてんじゃねえぞ、死に損ないがァッ!!」

 

当てられないことに苛立ちはじめ、動きが乱雑になっていく。そして隙を見つけ雪音の後ろを取る。少女の首に刃が触れるか触れないかの位置で止められるのはそれだけ翼もまた戦場で戦い抜いていたことを証明するものであった。

 

「♪思い出も誇りも♪一振りの雷鳴へと」

 

「♪イイ子ちゃんな正義なんて剥がしてやろうか?」

 

だがそれなりの場数を踏んでいるのは雪音も同じらしく、武装をガトリングガンから取り回しが簡単なクロスボウへと変更し、逆手に持ちながら引き金を引く。それに気づきバックステップで避けるが、脇腹に矢が掠ってしまう。そして当たったところはよりによってまだ直っていない傷の部分であった為、翼の顔に苦悶の表情が浮かぶ。

 

「もっかいベッドの上で眠ってろッ!!」

 

ボウガンからもう一度ガトリングガンへと形を変え、翼めげかげて引き金を引こうとした、その瞬間。

 

「だめぇぇえええええええええええ!!!」

 

もう一人のシンフォギア装者が空からやってきた。立花の腕にはあの時と同じように熱が籠もっていた。ただし、今回は両手に力を込め、握り拳を作るのではなく手を開いたまま突撃してくる。狙うのは雪音、正確には雪音の持つガトリングガンを破壊するために突き進む。

 

「♪私 ト云ウ 音響キ ソノ先二♪微笑みは Sing out with us」

 

ガシッ!力の限り握りしめガトリングガンを壊しにかかる。

 

「離しやがれ、融合症例(クソ野郎)ッ!!?」

 

「離さない!こんな物、人に向けちゃ絶対ダメだよッ!」

 

「偉そうなこと抜かすんじゃねぇ!!」

 

なんとか振り払おうとするが、びくとも動かない。同じシンフォギアの力であるのに、何が違うのか。バキバキバキッ!自分が持つアームドギアから信じられないような音が聞こえた。

 

(こいつ、どこからこんな力が!?・・・・まさか、アームドギアを形成するエネルギーを無理矢理体に纏ってんのか!?)

 

(エネルギーの固定化が出来ないため、あえて自分の腕に、いや拳に纏い扱うとは・・・。それにあのエネルギー量、もしかしたら絶唱に匹敵しかねない。だが、そのような力そう何度も持つものではない。・・・・・でも、全力で人を助け、傷つけるのではなく守るために振るう力。それが、あなたのアームドギア(答え)なのね)

 

バキンッ!!ついに、立花が加えた負荷に耐えきれず、イチイバルのアームドギアは砕け散った。雪音の顔から怒りや焦りが消え、驚きの色がでてきた。

ただ立花の方の腕にも負荷は掛かっていたらしく、右腕に関してはひどい筋肉痛が襲ってくるような痛みが奔る。

 

「クリスちゃん」

 

だがそんな痛みを無視して雪音に話しかける。言葉が通じるならわかり合える、戦わずに手を繋ぎ合える。

 

きっと、絶対に。それが彼女の、立花響の思いだ。

 

「こんなこともう止めようよ。私たちはノイズと違って言葉が通じるんだよ。だから・・・」

 

「うるさいッ!!綺麗事抜かしてんじゃねえ!どうせお前だってあいつを殺そうとしたあたしのことだって憎んでんだろうがッ!!?」

 

「・・・・・確かに怒りを覚えないって言えば嘘になるよ」

 

でもね、そう言いながら自分の拳に一瞬視線を落とし、すぐ雪音の顔を見る。怒りも憎しみのないと言えば嘘になる。今にもまたあの黒いものが湧き出そうになる。だけど、

 

「・・・・それでも、私はクリスちゃんと話がしたい。何があなたをそこまで苦しめるのか、私は知りたい」

 

私はこんな黒くドロドロとした感情なんかに負けたりしない。だって私は、私たちは。喜びや悲しみ、楽しみを分かち合い、支え合える人間なんだから。理性で感情を抑えながらも、強い思いで動くことが出来るのだから

 

「それに、当麻は絶対にあなたを許すよ。例えどれだけ傷つけようと、ちゃんと謝れば、当麻は最後には笑って許すに決まってるよ。それが、上条当麻だから」

 

私も一緒に謝るからさ、そう言って立花は笑って手を伸ばしていた。あの時のあの少年のように、武器なんて最初から持っていない、空っぽの手を。

 

(なんでだよ、何でこいつらは同じこと言ってんだよ。敵なんだぞ、私はお前らを傷つけた張本人だぞ!?なのになんで、何で!?こいつらはあたしなんかに手を差し伸べるんだよ・・・!?)

 

「翼さんだって、クリスちゃんと話がしたいですよね!?」

 

立花翼にも笑いかけ確認を取った。翼はすこし呆れた顔をしたが彼女もまた小さく笑い肯定した。

 

「・・・確かに、貴方が持つイチイバル(第2号聖遺物)ネフシュタンの鎧(第4号聖遺物)のことも質したい(ただしたい)わね」

 

「・・・・・なんなんだよお前ら」

 

そんな事言われたことなんて一度もなかった。どれだけ考えてもこんなこと一度もなかったんだ。だってどいつもこいつも、話がしたいなんて、貴方のことを聞きたいなんて一度も言われたことなんてなかった。分からない、どうすれば、どうすればいいんだ。あたしはこのまま手を握ってもいいのか?

本当に、いいのか?あたしは、救われても・・・・。そんな事を思った瞬間に、

 

雷 Thunder гром Donner(汝ノからだni雷ヲ与えru)

 

どこからと聞こえた言葉と共に、雪音クリスの体に雷撃が降り注いだ。

 

「が、あ、ァァああああああああああああああッッ!!!!!」

 

「クリスちゃん!!?」

 

「離れろ立花ッ!?」

 

雷に打たれている雪音を助けようとするが、翼に遮られる。だがもし、今の彼女に触れれば彼女も雷の餌食になっていただろう。そうこうしている内に雷は止んだ。

雷雲どころか雲一つない状況で落ちた雷一体どこから来たのか。雪音にはその答えはすぐ分かった。

 

「命じたことを一つも出来ないなんて、なんて愚かな子なのかしらクリス」

 

声の主は崖の上に立っていた。黒い帽子に同じ色のコート、サングラスをつけており、手には杖のようなものを持っていた。立花達には何処の誰だかは分からなかったが、雪音は誰なのか分かった。痺れる口を動かしながらその者の名前を呼ぶ。

 

「フィー、ネ」

 

その言葉は翼に聞き覚えのある言葉であった。音楽用語に一つ『フィーネ』それが示す意味とは。

 

(・・・終わりの名を持つ者だと?)

 

「なんで、だよ。あたしは、お前の言うとおりに、ちゃんとしたじゃ・・・」

 

「結果の伴わない行動なんて意味がないでしょ。あなたは何度私を裏切れば気が済むのかしら?」

 

その言葉と共に女の右手が光る。すると、女の元に何かがあつまる。それは粒子とかしたネフシュタンの鎧であった。光は全て女の手に集まり、手の光は消えてしまった。

 

「もう貴女に用はないわ」

 

「なんで、だよ。なんで、そんな事、いうんだよ・・・っ!?」

 

「役に立たない道具を捨てるのに理由がいるのかしら?さようなら、クリス。哀れでかわいそうな私の元道具(元駄犬さん)

 

指を銃の形にし、言葉を告げる。聞いたこのない、何処の国の言葉を。

 

死 death смерть Tod(永遠二おわかれsayonara)

 

黒い光が女の指から放たれる。それと同時に女はこの場から離れた。

その光が何なのかは分からないが、一つだけ分かったことがある。あの光は人が触れてはならないものだ。アレに触れれば何が起きるか分からないが最悪な結末が訪れるような気がした。

 

「やだ、いやだぁ。すてないで、ふぃーね」

 

少女の泣き声を無視して光が襲う。翼は雪音をかばうように剣を構えたが、光は剣をすり抜けそのまま少女へと向かう。

 

そして、そして。

 

 

 

少女を守るように上条当麻が立ち塞がった。上条の幻想殺しと光がぶつかり、光は消え去った。

 

その光景を見て雪音は呆然としてしまった。

 

「なん、で・・・」

 

「・・・言っただろ。人が、死ぬ所なんて、みたく、ないって・・・・・」

 

その言葉を最後に上条の体は今度こそ糸の切れた操り人形のように崩れ去った。少年の目には完全に光が消え、痙攣のような症状が起こっていた。

 

「あ、ああ」

 

また、人が死ぬ。あの時の記憶が蘇る。思い出してしまう。自分には何も出来ずに、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!()?()

 

「いや、いや、イヤァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!」

 

とても、とてつもなく怖く嫌なトラウマが蘇ってしまい、雪音はその場から逃げ出してしまった。

 

「まって、クリス・・・っ!?」

 

「立花ッ!今は雪音より上条の容体が先だ!!優先順位を見誤るなッ!!?」

 

「!?は、はい・・・」

 

翼の言葉を聞き無理矢理冷静になった立花は上条を抱え翼がいた病院へと向かった。

 

「当麻、お願いだから返事してッ!当麻ッ!!?」

 

何度も、何度も声をかけるが結局少年が少女の言葉に反応することはなかった。




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上条×IF装者 見たいのは?(ビッキーは『翳裂閃光』があるので今回はなしで)

  • 風鳴翼
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