最近とあるIFでねーちんと五和のとインデックスのバニー姿が出てきましたが、XDでのバニーガールギアは登場しないのですかね・・・。
アメスクやウェディングドレスを出した運営を信じて待ってます
それでは第23話どうぞ。
8
夕焼け空にふさわしい紅い光が窓から差し込む。光は病院の窓際部屋で眠っていた上条顔に降りかかり、あまりの眩しさに目を覚ましてしまう。
上条が最初に見たのは知っているようで知らない天井だった。昔放送されていたアニメに似たような台詞があった気がする。
意識が覚醒すると同時に鼻に消毒液の匂いと痛みが襲ってきた。
「――――――――――――!!」
叫びそうになるが、声すら出すことが出来なかった。どうやら酸素マスクが付けられていたようで、はずそうと思ったが点滴のチューブやぐるぐるに巻かれた包帯のせいで動かすごとが出来なかった。浅い呼吸を何度か繰り返し息を整え、何があったかを思い出す。
自身のことを雪音クリスと名乗った少女とやり合った結果、ボコボコにされ気を失いかけていた所を、そこに現れた立花響と風鳴翼に助けてもらい、その後動かずにじっとしていろなんて事を言われた気がする。だがそんな言葉を無視し、なんとか体に鞭打って彼女たちを追いかけ、そして・・・
(・・・急に来た黒いのを打ち消してから、気絶したって訳か)
なんだか格好のつかない終わり方だなー、と呑気なことを思い浮かべ、先程から違和感を覚えていた右手に視線を移す。
腕から指の先まで、まるで何か邪悪なものを封じるがごとくがっちりと巻かれた包帯。動け、と脳は腕に命令を出しているのに言うことを全然聞かない。
ピクリとも、動くことはなかった。
筋肉か骨かに異常があるのか、それともがちがちに巻かれた包帯以外の何かが固めているせいなのか。いつもなら出来ていた『当り前』が出来ないことに心がざわめく。
また動かすことが出来るのか、拳を握りノイズと戦う事が出来るのか、彼女を、立花響を守ることが出来るのか。いくつもの不安が胸を駆け巡る。だがそれよりも彼を心配することがあった。それは、
(・・・・・俺、財布の中に入院費払えるだけの金なかった気がするぞ・・・っ!?)
何を隠そうあの日、ジュースを買ったが最後、彼の持ち財産は
「思っていたよりも元気そうだな、当麻君」
「か、風鳴さん、どうも」
「そうビクビクしないでくれ、悪いようにはしないよ」
ハッハッハー!!、とまるでアメコミに出てきそうなキャラクターのように笑う弦十郎に対し、そんな彼から目をそらしながら笑う上条である。紙袋からは、お見舞いの品に買ってきた高級デパートとかで売っていそうなクッキーと、見覚えのあるというか上条のスクールバックを差し出した。
「ほれ、お見舞いの品と君の荷物だ。翼の部屋に置きっぱなしだったろ」
「ああ、ありがとうございます。・・・あの風鳴さん」
「ん、どうかした?」
「その、すんませんでした。勝手にあいつと戦って、こんなにボロボロになって。迷惑かけてしまって・・・」
「そこは心配をかけてしまって、だろ。・・・・・まあ、反省しているのなら俺から言うことは特にない。ただ、あとで響君達に謝ること。かなり心配していたからな」
「はい・・・」
顔が暗くなった上条の顔を見て、弦十郎は彼の頭をなでた。自分よりも大きく立派な手であった。こうやってなでられるのは、自分の父親位だったのでなんだか照れ恥ずかしくなる。
「さて、あれから三日経っているが、何か聞きたいことはあるか」
「え!?三日も経ってるんすか!?・・・まじで入院費どうしよう・・・・・」
「それくらいこちらで払う。というか、自分で払うつもりだったのか」
「いやー、俺の不手際で怪我したのに誰かに支払わせるのはと思いまして・・・」
「元々こちらが早く気づいてれば君にここまでの怪我を負わせる事にはならなかったのだ。それに二課のメンバーである君に
「・・・なんですかその夢のような話は?」
入院費のせいで家計が圧迫してしまうものだと考えていた上条にとって、無料で治療が受けられるのは夢のまた夢の話だと思っていた。そんな事より今聞きたいのはあの後の話だ。
「あの後って結局どうなったんですか」
「ああ。君が倒れた後に雪音クリスはその場を逃亡、そして響君が君を連れてここまで運んだ、というのが事の顛末だ」
「翼さんは大丈夫なんですか?まだ完全に回復してませんでしたよね」
「今の君に比べれば、ましな方だよ。といっても、まだ前線復帰させるわけにはいかないがな」
「そうですか。良かった・・・」
ホッと胸をなで下ろす。自分よりもボロボロな人が自分以上に戦っていた事が、上条にはものすごく気がかりだったのだ。それに、自分も一度だけ病院から抜けだ前科があり、あの後かなり体を痛めた過去があるので本当に心配だったのだ。
「そしてあの日、君の友達、小日向未来がノイズと遭遇した」
「はぁっ!!まじ・・・!?あいつ大丈夫なんですか!!?」
「ああ、運良く響くんが駆けつけたおかげで目立った怪我はなかったよ」
「・・・じゃああいつは知ってるんですよね。立花や俺が持つこれの事も・・・」
「前にも言ったが、君の右手はシンフォギアと同じかそれ以上に秘匿しなくてはならないものだ。君については民間の協力者として我々の力になって貰っていると伝えたよ」
「そうっすか。ああ、あいつ絶対怒ってるよ隠し事していたこと・・・」
半泣きになりながら、怒る少女の顔を浮かべる。普段温厚な人物が怒ったとき程怖い物はない、それを知っている上条はもう一人に土下座しなくてはならない事が確定した。
そんな彼を見て、弦十郎はまあ落ち着け、とでも言いたげな顔でお見舞いの品として持ってきたクッキーを渡し、上条はそれを一心不乱に食べ始めた。
三日ぶりの食べ物は本当においしいが、久しぶりの食事であとで胃が痛くなるかもしれないが、食べ盛り少年の食欲は目の前の欲望を優先したようだ。
「・・・当麻君、ひとつ聞きたいことがあるんだが」
「ん、なんふか」
お見舞いの品にもらったクッキーを食べながら上条は答える。
「・・・・・彼女、雪音クリスついてどう思った?」
「?雪音について、ですか」
クッキー食べるのを止め上条は弦十郎の質問について考える。立花や翼のことを傷つけ、顔を合わせる度に戦い、痛みだけが人を繋ぐと言い張り、争いをなくすために暴力を振るうという矛盾を孕み、自分の事を偽善者と呼んだ少女。それだけの情報なら、倒すべき相手だと思うしかない。
でも、なのに。
「・・・・・なんとなくですけど、何かに怯えてるような気がするんです。俺になのか、それ以外の何かになのか。俺が手を伸ばしたときも、多分掴もうとしてたんです。でも、あいつの心の中にある『何か』がそれを否定して、そんで結局繋ごうとはしなかった」
「・・・もし仮に、もう一度彼女に会ってしまった時、君はどうする?」
「戦うんじゃなくて助けたいです。どうしてあいつがあんな事考えて、なんで正しいことだと思ってるのかを聞きたい。だって、傷つけあわなきゃわかり合えないなんて、そうじゃなきゃ人は繋がることが出来ないなんて本気で思ってんのなら、あいつに殴られようが拒否しようが止めないとダメだ。あいつが本当に取り返しのつかないことをしちまう前に・・・っ」
「少し落ち着け。完全に治ってはいない内に興奮しすぎると傷が開くぞ」
「・・・・・はい」
傷の部分をかばうように押さえ、苦悶の表情を浮かべる。殴られたり、蹴られたりすることの痛みになれてきそうになっているのは、悪いことなんだろう。もしここにいるのが、立花響か小日向未来なら笑って誤魔化そうとしていただろう。が、弦十郎の前でこうやって嘘をついていないのは、まだ自分が本当の嘘つきにはなっていないということなのか。
「もう、大丈夫です。ましに、なってきました・・・」
「・・・まだ退院は無理そうだな」
「いや、もう退院します。あんまりここにいると、立花がまた悲しそうな顔するんで」
「だが・・・」
「本当に俺はもう大丈夫です。てか、そろそろ学校行かないと、夏休み全部補習とかいう地獄になるとかイヤなんで」
笑いながら動くほうの手でサムズアップを作り、自分は元気全開です、といったアピールをする。痛みはあるがこれくらいなら笑って流すことが出来る。その笑顔を見た刹那、弦十郎は何か言いたげな表情をしたが、上条の笑顔を信じたのか、それ以上何も言わずに上条の言葉を了承した。すると、色々と出てきた紙袋からクリアファイルを取り出し渡した。
「『雪音クリスに関する報告書』・・・三日しか経ってないのに分かった事があるんですか」
「イヤ、それは昔、
「・・・そうすか。ん、ちょっと待て下さい。風鳴さん、雪音のこと知ってたんですか?」
「ああ、だが今となってはあの子の保護を思っているのは俺一人になってしまったがな・・・」
何時もの彼らしくない陰りのある表情に驚きを覚えた。読んでみろ、そう言われて上条は報告書を読み始めた。そこにはこんなことが記述されていた。
曰く、彼女はバイオリニストの父と声楽家の母の間に生まれた音楽界のサラブレットであること。
曰く、彼女の両親は歌で争いを止めるために世界を渡り歩いていたこと。
曰く、彼女は幼い頃、南米の内紛地域に両親達と共に訪れたこと。
そして、そこで両親を失ったこと。
それから彼女の行方は分からなくなっていたが、二年前に彼女を発見し保護をしようとしたが、何者かにさらわれ、またもや行方不明になってしまったこと。
「・・・・・・・・・・・・・・」
言葉が出なかった。あの荒れ具合からみて、過去に何かがあったのは察しはついていた。でも、真実は、どこにでもいる平凡な少年には、衝撃だった、という簡単ではあるがやっと出てきた言葉でしか表せなかった。
そして、自分がよく口にする『平凡』の二文字がとても重く、当り前なんかじゃないということに気がついてしまった。自分がどれだけ幸運なのかが、あれだけ口癖になってる不幸という言葉がどれだけ軽いものになっているのが分かってしまった。
そうして上条は、自分が何をすべきかを、いや、絶対にやらなくてはならない事が分かった。
「・・・・・風鳴さん、俺絶対にあいつを助けます。向こうが嫌がろうが知ったことか。上等だ、何がなんでもこれ以上あいつにあんな事を、あいつの親の願いを踏みにじらせるようなことさせるかよッ!!」
「・・・彼女を助けるのは一筋縄ではいかないぞ」
「分かってます。でもここであいつを見捨てたら、俺は平凡以下の負け犬の玉無し野郎だッ!どこにでもいる平凡な少年って名乗るくらいなら、困ってる誰かや、それすら言えない状況にある女の子を見かけたらヒーローになんなきゃダメなんだッ!!?だから、どこにでもいる平凡な少年として俺はあいつを助け出すッ!!」
覚悟も決意も固まった。上条当麻はもう迷わない。当り前とは、すこしでも努力を怠ればすぐにでも道を外れるものだが、その位置にすら立てない少女がいるのなら、誰かがそこへ向かうようにしなくては、一生その子は当たり前から離れてしまう日々を歩むハメになる。
そんな悲劇は見逃してはいけない。
だから彼は彼女を助ける。
平凡な少年が出来る事はそれくらいだが、それでも、誰かがやらなきゃいけないことなのだ。
「・・・・・分かった。上条当麻君、あらためて一緒に彼女を助けるのに力を貸してくれ」
「勿論ですよ。俺だけじゃ出来ないこともあるんで、その時は力を貸して下さい。何でもやりますよ」
力こぶを作りながら、上条は笑った。何かを隠すような笑みではなく、心の奥底からの笑顔だった。弦十郎も今度こそ安心したような笑みを浮かべた。
「よし、手続きはこちらで行うから退院の準備をしててくれ。ただ、まだ通院しなくてはならないがな」
「はいっ!」
元気な返事を聞いた弦十郎は病室を出た。上条はいつの間にか用意されていたた新品同様の制服を着始めた。
そして、未だ動かない右手を見る。不安も心配もあるが、それでも今は心の片隅にとめておけ。
さあ、少女を助けるために、走り出せ。
9
「フィーネ!あたしがいらないってどういうことだよッ!?なんであんたまで、あたしを物ように扱うのかよッ!!?」
「あらまだ生きていたの。てっきり悶え苦しんで、惨めにくたばったものかと思ったわ」
「あんたが言ったんじゃないか!争いをなくすには痛みを与えるしかないって!そうする以外バラバラになった世界を元に戻す方法はないって!!」
「そうね。でも、貴女のやり方じゃ
「!?・・・なんで、なんであんたがあたしを否定す
「黙れ、毛ほどの役にも立たない餓鬼が。いい加減話すことすらあり得ないこととわきまえろ」
そう言って女は杖を起動させノイズを召喚する。目の前のガラクタを今何処掃除するために。
「
「ふぃー、ね・・・」
「お前は知りすぎたよ小娘。だから、ここで死ね」
その言葉と共に、ノイズが雪音に向かって襲いかかる。
雪音は怒りと悲しみが混じったような悲鳴をあげながら、逃げ出した。
(・・・あたしはやっぱり一人ぼっちなんだ。あたしの
「クソったれがァァあああああああああああああああッッ!!!!??」
少女の慟哭は世界には響かない。
誤字、脱字、感想お願いいたします。
上条×IF装者 見たいのは?(ビッキーは『翳裂閃光』があるので今回はなしで)
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風鳴翼
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雪音クリス
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月読調
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暁切歌
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マリア・カデンツァヴナ・イヴ
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セレナ・カデンツァヴナ・イヴ