前回の投稿時でセレナの誕生日のことをお祝いするのを忘れてました。
改めて、お誕生日おめでとうございます。
上条さんとの絡みが一番難しいキャラですが、何とかして書きたいですね。
それでは第29話どうぞ。
1
雪音クリスとの一件があってから3日後。上条は眠そうな顔でまぶたをこすりながら、二課本部にて櫻井了子による検査を行っていた。
「眠ぃ・・・」
「あら寝不足かしら。あんまり眠るのが遅くなると弦十郎君みたいに大きくなれないわよ」
「180cm以上なんていう、日本人の平均身長超えの人を例に挙げないで下さいよ・・・。あと俺はまだ成長期何でこれから伸びるんですー」
「あらあら、それは失礼したわ」
実を言うと上条当麻は身長意外と低い。身長は168cmで同年代の男子高校生の平均身長よりも少し低く、彼の周りにいる男性は180cm超えの面子ばかりでその小ささは目立つ方なのだ。
実際、風鳴翼とは数センチ差しかなく、女性にも何時の日か抜かされるのではないかと、小さなプライドが警戒心を強めているのである。
「はーい、検査終了。結果が出るまで時間かかるけど、ここにいる?」
「いや、向こうでコーヒーでも飲んで頭覚ましたいんで、ちょっと出て行きます」
「りょーかい。それじゃあ結果でたら知らせるわ」
肩を回しながら、上条は検査室を後にする。自販機がある所まで行くと風鳴翼と緒川慎次、藤尭朔夜の三人が話していた。
「あ、皆さんどーもっす。ふぁああ・・・」
「ものすごく大きなあくびですね上条君」
「ああ、すんません。寝不足なもんで・・・」
寝起き直後の声で緒川に謝りながら、自販機に通信端末をあて、飲み物を購入。そのまま一気飲みするとコーヒーの苦みとは全然違う物が口の中を支配した。
「!?ゲホッゲホッ!何だこれ!?コーヒーじゃねぇっ!!?」
「それ、あまりの苦不味さで有名な『ガラナ青汁』じゃ・・・?」
「うぇ!芸能人が罰ゲームで飲むヤツが何でこんなとこに売ってんだ、ゲホッゲホッ!」
咽せながら、なんとか檄マズ飲み物をこぼさないようバランスを取る上条の背中を翼が優しくさすっていた。
「大丈夫か、上条」
「ええ、なんとか・・・。翼さんこれ絶対飲まない方が良いですよ」
「その反応を見れば誰でもそう思うわよ・・・」
まだ半分くらい残っているのが、とても辛いが捨てるのなんてもってのほかなので、涙目になりながら残り半分を一気飲みする。
顔色がそれと同じ色になるが、なんとか吐き出さずに飲み込んだ。あまりの不味さに、目は完全に覚めたが死んだ魚のような目になってしまい、いつものように呟く。
「ふ、不幸だ・・・」
「やっぱり、上条君の不幸はただのドジなんじゃ・・・」
「それでも不幸なもんは不幸なんですよ・・・」
怪我もある程度治り、血も増えてきて、いつもの体調まで戻ってきたと思っていた時に、こんなダメージを受けるのは不幸としか言いようがなかった。
口の中を何とかさっぱりとさせたいと思うと、翼の横にいた緒川からミネラルウォーターを手渡された。
「よければこれを。今日の打ち合わせで頂いたものです、まだ口はつけていませんから」
「ありがとうごさいます・・・。あれ、打ち合わせってなんのですか」
「翼さんの次のお仕事とライブのことで」
「もう復帰するんですか!?仕事はともかくライブはまだ早いんじゃ・・・」
「私のことを心配してくれて、私の歌を待ってくれている人達を、いつまでも待たせておく訳にはいかないからな」
自分と2・3歳差しか違わないのに、自分が為すべき事と、それに対する責任の強さを自覚しているのは上条にとっては尊敬し憧れるを感じるものだ。
だからこそ、あんな風な無茶だけはしてほしくないし、させるようなことは絶対にさせない、と心の中で密かに誓った。
そんな風に思っていると後ろから知っている声が二つ聞こえてくる。その声の主達は立花響と小日向未来だった。
「ヤッホー、当麻!翼さんもこんにちは」
「ういっす。あれ、何で小日向がここにいんだよ」
「私も当麻と同じ『民間協力者』として響のお手伝いをすることにしたの。勿論、司令さんにも許可はもらったよ」
「そっか。まあ、分かんねえことあったら色々聞けよな」
「うん。よろしくね、当麻」
ニコニコと、とてもいい笑顔で頷いてくる小日向。違和感とまでは言わないが、ここまで笑顔でくるのは不思議に思う。
そんな事を感じていると、
「ねえ。私、響から色々聞いたんだよ」
警戒心を抱かせないような、そんな雰囲気でこちらに近づき、
「翼さんのことや、当麻の右手のこと、それと響のために戦ったこととか、色々聞いたんだよ」
それとね、背のびをしながら耳元まで寄り。先程とは違う優しい声ではなく、低くい声で、
「響ノ裸ヲミタンダッテネェ・・・」
ダッ!(上条が走り出す音)
ヒュッ!(小日向が鞄を全力で投げる)
ガンッ!(鞄が上条の頭にぶつかる)
痛ってェェエエエエエエエっ!!、と叫び、頭を抱えながらその場に転がり回る上条。
その光景をぽかーんとした様子で見ている翼達と、立花は彼に対してだろうかとても申し訳なさそうな顔をしていた。
「ネエ、何デ逃ゲルノカナァ・・・ッ!?」
「ひいいぃっっ!!?小日向がバーサーク状態になってりゅううううっっ!!!!??」
「た、立花。何故急に彼女はあんな事になっているのだ!?」
「ハハハ、私がちょっと色々と喋っちゃって・・・」
「立花ぁっ!お前何であれを言ったんだよぉぉおおおっ!?」
「つい、流れで・・・」
「流れで人の命消そうとすんじゃねぇぇえええええ!!?」
「トウマァァアアアアアアッッッ!!!!??」
「ギャァァアアアアアアアッッッ!!?話を聞いて下さい、小日向様!違うんですよ、俺もまさかあんな事になるなんて最初は知らなくて・・・っ!」
「最初?ジャア、二回目モアッタノカナぁアアアアアッ!?」
「やっべえええぇぇ!やぶ蛇だったぁああああ!!!!??」
ガクガクブルブルと震えながら、全力で土下座態勢に移行する。慣れた動きによるそれは、一つの芸術と言っても過言ではないが、15年の人生で完成しているというのはそれはある意味悲しいものではないのかと突っ込まれそうである。
だがそんな謝罪は、怒りの暴走状態の小日向には通じず、上条の頭をガシッ!!っと力の全てを込めて掴んで自分の身長よりも高い少年を持ち上げ、
「ソレジャア、オモイッキリ握リツブスケド、何カ言ウコトハアルノカナ?」
三日月のような口がの笑みを浮かべた死刑執行人小日向から、上条に対し最後の言葉を述べる権利が与えられる。
そして、死刑囚上条の最後の言葉はこうだった。
「・・・・・優しく、してね」
明らかに場違いな発言と共に、メキメキメキッ!バキィッッ!!っと上条の頭から何かを握りつぶされ割れるような音が聞こえ、死刑囚の意識が途切れた。
「お待たせ――!上条君の結果だけど・・・その前にもう一度入院かしら?」
「頭が万力に握りつぶされたようになっているが大丈夫か!?当麻クゥゥゥゥゥゥゥン!!?」
「・・・・・・、」
口から魂のような物が抜け出ている上条とそんな彼を抱きかかえ、涙を流しながら叫ぶ弦十郎の姿は、なんだか映画のワンシーンみたいだったと、立花響はそんなコメントを残した。
2
「な、何とか生きてたぜ。頭痛えけど・・・」
頭に痛みを抱えながらも上条はなんとか一人で家に帰っていた。トボトボと危うい足取りで歩いており、さすがに小日向と立花も心配になり一緒に帰ろうと提案したが、適当な理由をつけて、上条一人で帰ることになったのだ。
家路に帰りながら、立花達との会話を思い出す。話題は雪音クリスのその後についてである。
『ねえ、当麻。あれからクリスとは会えたんだよね?』
『ああ。二課の人たちが探してくれた居場所にちゃんと居て、色々と話はつけたぜ』
『じゃあさ、今どこに居るか分かるよね?私もクリスちゃんとお話したくて・・・』
『悪いけど詳しい場所は俺も知らねえんだ。あの後、雪音のことは風鳴さんに全部任せたんだよ。たしかどこかのホテルに匿われてるとか何とかだけど・・・』
『そっか。師匠からも今はまだ言えない、って言われて当麻ならもしかしたらって思ったんだけどな・・・』
・・・実はこの会話には嘘が混ざってある。確かに上条は雪音と会い話し合うことはできた。だが、弦十郎のもとへ彼女を引き渡しはしなかったのだ。理由は他ならぬ彼女がそれを拒んだからだ。
本人曰く、まだ上条以外を信用することは出来ないとのことであるが、上条としては、自分のような偶々彼女の元に駆けつけた人間なんかよりずっと彼女を助けたかった弦十郎に預けるのが適切だと未だに思っている。
だけどもし、彼女の意見を尊重しないのなら、今度こそ確実に彼女の心を壊しかねない、と今の彼女を見ていると本気でそう思えて仕方なかった。
そのことを弦十郎に伝えると
『そうか・・・。無理強いして彼女をまた辛い目に遭わすわけにはいかないな。・・・分かった。クリス君の心が癒えるまで彼女の事を頼めるか』
と逆にお願いされたのだ。もうそんな事を言われると上条も首を縦に振るしかなかった。
ここまで言えば分かるかもしれないが、現在雪音クリスがいる場所とは・・・。
「ただいまー」
「おかえりっ!カミジョー!!」
主人の帰りを待っていたワンちゃんのように、もしも尻尾が生えているのなら勢いよく振りながら家主のもとへ走ってきた雪音クリス。そう、今彼女が居るのは上条当麻の下宿先のマンション、つまり彼女と現在同棲中なのであった。
「お風呂上がったぜ、カミジョー。そろそろ家には入れよ」
「ああ、わかった」
レディが風呂に入っているのに一緒の空間にいるのは色々とマズいと思い、ベランダで雪音がお風呂から上がるまで待っていた上条。ここ数日の暮らしで分かったが、彼女はあまり長湯するタイプの女の子ではないようで湯冷めせずにいられるのは少しだけありがたかった。
だけど、問題のある点もある。例えば今の彼女の姿だ。
雪音の服は現在一着しかなく、とりあえず上条の中学時代の体操服を部屋着として着させているが、なんというか一部部分がとても盛り上がっているのだ。窮屈そうに無理矢理詰まっている『それ』はずり落ちそうになることが、偶にあるので思春期の少年としては天からのうれしい贈り物にも見え、地獄への片道切符のようにも見えた。
「しっかしあっちいなーこの国は。
通気性が悪いのか、胸をパタパタさせながら話しかける。
すこしでもそちらを向けば、なんだか色々と見えてしまいそうだから、顔を真っ赤にして違う方を見ている。
「ま、まあな。でもそっちとは暑さの感覚が違うんじゃねえの。こっちはジメッとした暑さだろ」
「ああ。でも暑いに違いなんてねえだろ。本当に暑いってのは鬱陶しいもんだったつうの」
さんざんだ、とでも言いたげな顔をする彼女の顔は、普通の女の子のように見える。
だけど、そんな事を思っていると、
「・・・なあ、カミジョー今日こそは、一緒に・・・
「ダメだ。言っただろ、俺と暮らすのに当たって、一緒に寝るのは禁止だって」
「嫌なのか。あたしと寝るのは?」
YesかNoかでいうと、勿論Yesであり、一緒に寝たいと思う。上条だって、紳士ぶってはいるが男の子だ。そんな夢のような誘いには首を縦に振りたいし、思いっきり彼女向かって
そして今日もまた少年は嘘をつき、
「ああ。悪いけど、そういうのは嫌だな」
「・・・分かった」
そして今日もまた、暗そうな顔で返事をした。明らかに納得のしていない顔だったが。
「じゃあもう寝るか。おやすみ、雪音」
「・・・ああ、おやすみ」
雪音はベッドの方で眠り、上条は臨時寝床で有名なバスユニットに向かっていた。ただ人が寝る場所ではないし、三日連続で眠るのは正直きつく、寝不足の原因もこれだったりする。
まあ、脚が伸ばせる位の広さなのがまだよかったと思い、今日も浅い眠りにつくのであった。
(あれ、鍵閉めてなかった気がするけど、まあいいや・・・)
三日分の睡眠不足のせいで鍵をしたか確認せず、少年の意識は深く沈んでいった。
「なんだ、鍵開いてんじゃねえか♪」
誤字、脱字、感想お願いいたします。
上条×IF装者 見たいのは?(ビッキーは『翳裂閃光』があるので今回はなしで)
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