戦姫絶唱シンフォギア IB   作:ドナルド・カーネル

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どうも作者です。
Anotherセレナのプロフィールを見て、今までで一番好みのキャラだと思いました。
良いですよね、ちょっとだらしない系お姉さんキャラ。
それでは第30話どうぞ。


第30話 休日の過ごし方1/2/Secret Girl's date 1/2

3

今更ではあるが上条当麻は不幸な人間である。

キチンと終わらせた宿題のプリントは風に飛ばされ紛失し、エレベーターに乗れば急な故障で1時間以上拘束状態に陥り、急にお腹が痛くなっても近くにトイレはなく、人が通り魔に刺されるのと同じ確率で出会うノイズに何度も遭遇してしまう。

一部笑えないものもあるが、もうなんというかギャグで消化でしても構わないレベルのものになっていた。

では、そんな彼にも幸運といったものがあるのかというと、あるにはある。

例えば、女性の着替えを覗いてしまったり、不慮の事故でやわらかい母性の塊をわしづかみしてしまったり、女性を裸にしたり等、所謂ラッキースケベ的なものに遭遇することがある。だがそのたびに半殺しにされ、見た記憶や触れた感触などは綺麗さっぱり忘れてしまうので、結局不幸なのであった。

だからこそ、上条当麻は知っている。どんな幸運な事になっても、最後は不幸な目に遭うものだと知っている。

では逃避の時間は終えて、現実に目を向けよう。

自分が寝ていたバスユニットに、トランジスタグラマーな少女。雪音クリスが可愛らしい寝息をたてながら一緒に眠っていた。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・さて、冷静になろうか」

 

全身から嫌な汗が噴き出し、頭の先かあら足の爪先まで残らずガタガタ震えだすが、ここで叫ぶような事になれば確実に自身の死を早めることになる。

分かってる。

ここでパンピーのような反応をすれば、すぐさま一緒に眠ってる少女は目を覚まし、きゃーえっち。なにしてんだよばかーといったセリフと共に、ドガメキグシャッ、パンパンパンッ!といったことになるに決まってる。

擬音だけで分かりにくいかもしれないが、フルボッコにされた後、鉛玉を叩き込まれるということなのだ。

オシオキ地雷はまだ作動してはいないが、一歩でも選択を間違えればすぐに爆発するに決まっている。

そのため、上条の頭と心は混乱状態に陥っていた。

 

(・・・なんでよ。なんでなのよォォォォ!!あたくし言ったわよね!一緒に眠るのはダメだって!?なのになんでこの娘は一緒に眠っちゃってるのよォ!?ていうか、やっぱり昨日鍵閉めていなかったのかよ、あたくしのバカァァァァァァァァ!!!!!??)

 

なぜかオネェ言葉に変容しているが、もう自分キャラを保てないほど困惑していたのだ。

だがどれだけ心の中で絶叫しても、現実は変わらない。

なら今すべきは現状確認だ、そう思い体をゆっくりと自身の首を下に向けると、なんと雪音は上条の体をまるで抱き枕のように抱きしめていたのだ。

 

(あっぶねェェェええええええええええええ!!?)

 

こういった危機的状況に慣れているせいか、状況が分からない時は無闇矢鱈に動くのはよくないので、確認作業からするのが1番なのを知っている。今回はそれが幸をそうしたようだった。

もしここで動いていたらきゃーえっち(以下略)な展開の幕開けになっていた。ただでさえ最近死ぬような目にあっていたのに、日常生活ですらそんな事になるなんてもう口癖が不幸ではなく、立花のように呪われてるが口癖になりそうだ。

抱きつかれた状態のままではどうすることもできない。だが幸いな事に、今日は休日で時間をゆっくりとかけて脱出することが出来る。今もなお自身のお腹に当たっている柔らかい感覚が味わえないのは、正直に言えば勿体ないと思うが、大切なのは自身の命だ。

 

(いける。時間をかければ、脱出できる!)

 

希望の道が見え始めたが、忘れてはいけない。

上条当麻は不幸な人間である。2年前から運命は彼に味方せず、彼を嘲笑うかのように賽を振るのだ。

上条がどうやって脱出するかを考え始めようとした瞬間。

 

 

ガチャ、っと玄関の方から鍵を開けるような音がした。

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・ゑ?」

 

思考に空白が生じた。

そのせいで、思わず間抜けな声が漏れでた。

上条の記憶は覚えている。確かに風呂場の鍵は閉め忘れてはいたが、玄関のドアは鍵をかけたこと確認したことを覚えている。

ではなぜ、そんな音が聞こえたのか。まさか昨日のうちから侵入していた泥棒が出ていこうとしているのかと考えるが、音が聞こえてきたのは外からのように感じた。

つまり上条の親か、もうひとりの鍵を渡している人物が開けたということで・・・。

 

 

「当麻ー、起きてるー?」

 

「立花、勝手に鍵を開けて入るのはさすがに不味くないか?」

 

「もういつもの事なんで気にしないでください、翼さん」

 

「小日向もだいぶ立花に毒されているな・・・」

 

上条の両親から鍵を預かっていた立花響と小日向未来、そして何故か風鳴翼も上条家にお邪魔していた。そんなラブコメやギャルゲーで見る羨ましい展開も今の上条にとっては、新たな死への可能性としか言いようがなかった。

 

(なんで。なんでこのタイミングなんだよォォォおおおおおおおおおおおお!!?ていうか翼さんまで俺の家に来てんだよっ!?ふっざけんな!もし雪音と暮らしてることバレたら確実に()られる・・・っ!?)

 

そして、彼の不幸は止まらず、加速する。

 

「・・・ん。なんだよ、うるせぇな・・・・・」

 

(ぎゃーーーー!起きたーーーっ!?終わった、完全に詰んだ!!?」

 

さっきまでぐっすりと眠っていた雪音クリスは外から聞こえてくる声のせいでついに目覚めてしまった。

まだ眠そうな顔をしながら、上条の顔を見て、

 

「・・・おはようカミジョー。お前よくこんなとこで眠れるな」

 

「もう色々と言いたいことがあるけど、取り敢えず俺をガッツリと掴んでる腕を離して貰えませんかね!?さっさと離れないと・・・っ!?」

 

「離れないと・・・、何かな?」

 

「今来た三人にボコられちまうんだよ!特に最近の立花なんてギア纏わなくてもゴリラのような剛力に・・・!?」

 

まて、今の声は雪音のではなかったし、しかも前から出なく後ろから聞こえたような。

ギギギ、とゆっくり錆ついた動きで後ろを向くと、

 

「へー。私のことそう思ってたんだ・・・」

 

「と、当麻!なんでクリスと一緒にいるの!?」

 

「そしてなぜ、雪音は上条に抱きついているのだ!しかも風呂場で!?」

 

顔を真っ赤にした小日向と翼、そして血管がピクピクと浮き上がっていた立花がいた。

背中全面に氷水をかけられたような寒気が走る。本能と今までの培ってきた経験が叫んでいる。

自分の冒険の書はここまでなんだと。

 

「あばばばばばばばばばばばばばば・・・!!?」

 

恐怖のあまり人の言葉が喋れなくなった上条に対し、怒りの化身と化した立花はにっこり笑顔なのに、今も浮かび上がってる血管と笑っていない目のせいでとんでもない威圧感を放っていた。有り体の言葉にすると、腹を空かせたせいで機嫌の悪い肉食獣と一緒の狭い檻に入れられているような感覚。そんな感覚が上条を、というかその場にいた人物全員が感じていた。

 

「・・・未来、翼さん。ちょっと当麻と()()()()になりたいんで、クリスちゃんを連れてリビングにいて下さい」

 

「しょ、承知したぞ!」

 

「じゃ、じゃあクリス!私たちと一緒に出て行こうね・・・」

 

「で、でも・・・!?」

 

何かまだ言いたげな雪音を無視して、二人は無理矢理風呂場から雪音を引っ張り上げ、そそくさと移動した。

上条と立花。二人きりでも狭い空間が、今の上条にはとても広く感じた。

イイ笑顔のまま立花は上条に話かける。

 

「もうなんか色々と言いたいことがあるけど、とりあえず一発だけ殴らせろ」

 

「待って!もう全部話すし、ゴリラ扱いしたことも謝るから、その拳を

 

 

以降の全ては極彩色に染まった、と上条当麻は後に語る。

 

 

 

 

 

 

4

「・・・つまり、クリスちゃん本人が当麻と一緒に居たい、って言ってその事は師匠も納得していると」

 

「ふぁい・・・」

 

「そして、お風呂場の鍵を閉め忘れてたらクリスがに入って来ていつの間に一緒に寝ていたって事なんだね」

 

「ふぁばぶう・・・」

 

「・・・何だか妙に説得力がないけど、あとで師匠に聞けば本当かどうかわかるからとりあえず今は信じてあげるよ」

 

「あいあとうおあいあう、ふぁちふぁなはふぁ・・・(訳:ありがとうごいます、立花様・・・)」

 

「・・・なぜあの三人は先程から話が通じているのだ」

 

「それもだけど、明らかやばいダメージ喰らったのに、なんで包帯巻いただけで何とかなりかけててんだよ・・・」

 

比喩抜きで顔面が凹んでいた上条だったが、頭のみ包帯ぐるぐる巻きにしているともうほとんど治りかけていた。ちなみに先程からモゴモゴと喋っていたのは、包帯のせいで口が思うように動かず、わずかに空いている隙間から声が漏れ出ている事になっていたのだ。

ベッドに立花と小日向が座り、残りの三人がテーブルを囲むように座っている中、ぐるぐる巻きの包帯を外し出す。そこから出てきた顔色は決して良い物とは言えず、目もうつろな物になっていた。

 

「血が、また血が足りない・・・。もう嫌だ、普通に暮らしてるだけで致命傷喰らう日常とか辛すぎる・・・」

 

「今回も自業自得でしょ。女の子をゴリラ呼ばわりするってもうデリカシーがどうとかの話じゃないよ・・・」

 

「本当にすみませんでした、立花様」

 

「・・・私だって女の子だもん。そんなこと言われたくないよ・・・・・」

 

唇をとがらせ、不満を口に出す。その顔を見て、本気でやらかしたと感じる上条。どうにかして許してもらうかを考え、

 

「まじですみませんでした!今日一日何でも言うこと聞きますんで、許して下さい!」

 

「・・・何でもって言うと本当に色々しちゃうよ・・・・・」

 

「あ、あの・・・」

 

「分かった。じゃあ今からこの五人で遊びに行くからその時ご飯おごってもらうから」

 

「え!?」

 

「ちょ、ちょっと待て!あ、あたしもかよっ!?」

 

立花の言葉に自分は関係ないみたいな顔をしていた雪音驚いた反応をする。

 

「うん!私、クリスちゃんと色々とお話ししたかったし。それに、今日は元々翼さんの退院祝いで何処か遊びに行く予定だったから、こういうのは人が沢山いるのが一番なんだよっ!」

 

「・・・良いのかよ。あたしはお前を・・・・・」

 

「私は別に怒っていないよ。クリスちゃんを責める理由もないし、そもそも私達はお互いのことを知らなさすぎたんだよ。だからさ、私はクリスちゃんのことを知りたい。私達はノイズと違って、言葉が通じ合えるんだよ」

 

立花はそう言って雪音の方を向き、

 

「改めて、私達と一緒に遊びに行こうよクリスちゃん!」

 

「私も一緒に行きたいし、友達になりたいな。ダメかな、クリス?」

 

「・・・あたしは、別にいいけど・・・・・」

 

「それじゃあ決まりだねっ!翼さんもいいですよね!?」

 

「ここまで言ってダメだなんて言えるはずがないでしょ。それに、私も貴女のことを知りたいし、聞きたい話もあるわ」

 

「・・・お前ら本当に変わった奴らだな」

 

そんな事を言ったが、その顔はどこか晴れ晴れとしたものであった。

 

「よし、じゃあ当麻もクリスちゃんも早く着替えて!時間は待ってはくれないよっ!!」

 

「りょーかい。じゃあ俺はリビング(こっち)で着替えるから、雪音は風呂場で着替えてくれ。それと、立花たちは外で待っててくれ」

 

「うんっ!」

 

そう言って立花達はいったん家を出て、十数分後上条達も家から出てきた。

立花は上条が出てきた瞬間彼の腕を組み、

 

「じゃあ行こっか、当麻!みんな!」

 

「お、おう。あと何で急に腕を組んでらっしゃるのでせうか・・・?」

 

「いいじゃん!今日一日、私の言うことを聞くんでしょ。ほら行くよっ!!」

 

「えっ、ちょ!?」

 

それを見た雪音はもう片方の腕を組み、

 

「・・・おう、行こうか」

 

「雪音さん。何故貴女まで・・・」

 

「嫌とは言わせねえぞ」

 

有無を言わさない迫力をもって上条を従わせる。

両手に花の状態だが、これ友達に見られたら完全に殺されるパターンだな、とまたもや上条の目は光が消えていた。




誤字、脱字、感想等お願いいたします。

上条×IF装者 見たいのは?(ビッキーは『翳裂閃光』があるので今回はなしで)

  • 風鳴翼
  • 雪音クリス
  • 月読調
  • 暁切歌
  • マリア・カデンツァヴナ・イヴ
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