遅くなって申し訳ございません!そして次の更新もかなり遅れそうです・・・。
それでは第34話どうぞ。
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「ほぉ、私を倒すとは大きく出たな」
「・・・・・ッ!」
余裕のある表情で女は上条の方を見る。上条も怒りの炎灯した目で彼女を睨み付けていた。冷静さなんて欠片もなく、一刻も早く目の前にいるこの女をぶちのめす、そう考えながら使い古したバッシュで床を蹴り駆けだした。
女の姿を見て、鎧の形は変わってはいるがクリスタルを繋げて構成されたその特徴的な鞭の形を見るに、雪音クリスが以前纏っていた『ネフシュタンの鎧』であると推測する。
(あの時は一回殴っただけじゃ消えなかった。なら、消えるまで何度でも殴り倒してやるッッ!)
「当麻、待って!」
後ろから小日向の声が聞こえた。いつもなら彼女の話を聞こうとするがそんな事も出来ず、右の拳に力を込めて女目掛けて振り下ろそうとしたその瞬間、
「その人は了子さんなの!だから殴るのはだめッ!!」
「―――!?」
その言葉は上条の足と拳を止め、頭を混乱させるには充分なものであった。今目の前にいる女と、いつも自分たちを助けてくれたあの櫻井了子が同一人物なんて信じることが出来なかった。
女は、櫻井了子と同じ人物だとされる人物は、歌でも歌うように言葉を紡ぐ。
「
(火?今火って言っt
ボッ!!言葉の意味を理解しようと頭を動かしていると、上条の周りを火が囲みだした。熱気は空気と共に鼻や口に入り、火が頬や腕を焼きつくさんとばかりに襲ってくる。
煙に反応してスプリンクラーが作動するが、火の勢いは一向に弱くならない。あと数十秒もすれば人の形をした炭と灰になる。
緒川慎次は消化器を使って火を消しているが消えることはなく、小日向は見ていることしか出来ず、鎧の女はその状況を見て嗤った。
「呆気ない。この程度の実力の人間を選ぶとは、見る目が曇ったな」
「・・・おおッッ!!?」
炎の中から声が聞える。それと同時に何をしても消えなかった火が急に消えた。床や壁は黒色に染まっていれば剥がれている部分もあった。だけどそんな中で上条当麻は一人たたずんでいた。白いカッターシャツは焦げ付いた部分もあったが、彼自身には傷一ついていなかった。
「ハァ、ハァ、ハァ・・・・・。何だよ、今の・・・・・」
浅い呼吸をしながら右手を見る。たまたま火に触れたと思えばまさか綺麗さっぱりとノイズに触れた時のように消え去った。
(・・・シンフォギア、完全聖遺物、ノイズ、そんでさっきの火。ノイズを除けば、本当ならありえない事象をこの右手は消してる)
火を消した衝撃と死ぬかもしれないという恐怖心のおかげで戻った冷静さを振り絞って出来る事を考える。
(小日向は今目の前にいる女が櫻井さんだって言ってた。姿も雰囲気も何もかも変わってるけど、さっきみたいな異能の力で洗脳や整形みたいなことをされてるんなら、俺の右手で触れれば元に戻すこともできるんじゃ・・・)
「言っておくが、お前の力をもってしても私と櫻井了子を切り離し、元に戻すことは出来ないぞ」
「!?」
自分の考えを読まれたことよりも、それよりも女が出来ないと言ったこと内容の方に焦りを覚える。
「
「リイン、カーネイション・・・?」
「12年前に行った『天羽々斬』の起動実験によって私は目を覚ました。この世界には、私の意識と遺伝子が刻まれている何億人といる。遺伝子に私の意識を刻み、アウフヴァッハヘン波形に接触することによって、私の記憶と能力が継承され、その人物の意識乗っ取るのが
「じゃあ櫻井さんの意識は・・・」
「欠片も残ってもないし、二度と目を覚ますこともない。もし意識が戻ったとしても、主導権を握り返すことは出来ないだろうがな!!」
その言葉を聞いて悔しさと小さな絶望感を覚える。自分の力を過信している訳でも、無敵だと思っている訳でもない。ただ自分の知らない櫻井了子を助けられない無力さと、自分以上にこの右手を知っている相手ことに冷や汗をかく。だがらといって下を向いて唇を噛む時間じゃない。少年の瞳は諦めてなんかいなかった。
何をするのかは分からないが、黒幕がこの状況で正体をばらして前に出てくるということは勝ちを確信したか、自分が前に出なくてはならない事態かのどちらかだ。その二つとも確実にまずい展開になるのは予想は付く。
だからこそもう一度拳を握れ。勇気を奮い立たせて立ち向かえ。
自分にそう言い聞かせ、戦う意思を示す。
その顔を見たフィーネは目を細め、見ることすら疎ましと言いたげな表情で上条を睨む。
「・・・気に食わん。貴様が選んだ人間達は何時も同じ表情をする。絶望なんて知らない、諦めるなんて気なんて毛頭ない。何時も何時も、私の神経を逆なでるその顔がぁ!!?」
そう言ってクリスタルを繋げたような鞭を振るう。下手に触れれば目標を切り刻む速さと、蛇のような予想するのが容易ではない動きで上条に襲いかかる。風を切る音が耳に入ってくるの事に少しだけビビりながら、タイミングを合わせて右手で処理していく。三度。三度鎧を纏った者の動きを見たが、雪音が纏っていたときよりも早く、そして消しずらいと感じていた。次第に頬や服を掠り出す。
「どうしたッ!そんなものでは私に近づくことすらできんぞッ!!」
嗜虐的で余裕のある笑みを浮かべながら上条を追い詰めていく。そしてついに捌ききる出来ず、鞭に足を引っかけられ転んでしまう。
その隙を逃すことなく、上条の首を切り落とすために鞭を剣のように振るい・・・
「待ちな、了子」
その手前で、屋根がガラガラ!と音をたて崩れ落ちてくる。落ちてきたガレキが邪魔をし攻撃は妨げられる結果となった。
そしてガレキと共に、赤いカッターシャツが特徴的な風鳴弦十郎が上条とフィーネの間に割り込むようにやってきた。
「私をまだ、その名で呼ぶ者がいるとはな」
「女に手を出すのは気が引けるがな・・・。だがこれ以上、彼らに手を出せば俺がお前をぶっ飛ばすッ!」
「「司令(風鳴さん)!!」」
上条のような特別な力を持っていない拳を構え、弦十郎は戦う意思を示す。
「調査部だって無能じゃない。米国政府のご丁寧な道案内で、お前の行動にはとっくに気ついていた。あとは燻り出すためにあえてお前の策に乗り、シンフォギア装者全員を動かして見せたのさ」
「陽動に陽動をぶつけたか。喰えない男だ。だが、この私を止められるとでもッ!・・・」
「おうさッ!一汗かいたところで、話を聞かせてもらおうか!!」
ドンッ!!上条の一歩とは比べものにならない程に床を蹴り、フィーネに向かって文字通り飛びかかる。
その速さに驚くことなく、弦十郎めがけて鞭を振るう。その攻撃に余裕を持って上空へと回避するが、フィーネもそれを予測していた下のようにもう一つの鞭を槍のように長くそして貫ける形に変え、標的めがけて投げる。
空中で姿勢を取ることは出来ない、そう思っての行動であったが、その攻撃に対して弦十郎は、天井のパイプを掴んで無理矢理軌道を変える。
さすがにそこまでは予測できなかったようで、驚きの色が浮かびあがる。鞭を戻すにも時間がかかるため、もう一つの力を行使して足止めに徹する。
「
瞬間、弦十郎の体に雷が迸るが、
「効かんッ!!」
「何ッ!?」
少しの間痺れたようでバランスを崩すが、すぐに戻し、フィーネめがけて拳を振るう。だがその一瞬で充分だったようで拳は避けられてしまう。
ドゴンッ!!それでも床を粉々に砕だく程の威力は消えることなく、それどころか掠っただけな筈なのにネフシュタンの鎧にひびを入れていたのだ。
「あらためて思ったけど、あの人規格外すぎるだろ・・・・・」
「人間の動きじゃない・・・・・」
一般人である上条や小日向の目に映っているのは、さながらアクション映画のワンシーンであった。
仕切り直しをしたかと思えば、今度はフィーネが仕掛けてくる。2本の鞭をネフシュタンの鎧で強化された膂力で振り下ろすが、それを見越したかのように、弦十郎は2本とも掴み、引き寄せる。そしてがら空きのボディめがけて思い拳を叩き込む。
「ガッ・・・!?」
ネフシュタンの鎧の堅牢さは、鎧の名に恥じないほどのものであり、銃や爆弾ではびくともせず、傷を負わせるにはそれなりの破壊力のある物でなければならない。仮に鎧を傷つけたとしてもその再生力の高さは、例え一欠片になったとしても元の状態の戻る事が出来る程の物だ。生半可な方法では鎧を攻略する術はない。
最強の鎧。だが
纏う人間ももちろんダメージを防ぐことは出来るが、許容量を超えたダメージは痛みとして認識される。そして鎧は自信を修復するために装着者を巻き込んで元に戻ろうとする。その時にも勿論痛みを発する。
無敵ではなく最強、つけいる隙があるとすればそこしかない。
「なぜ、人の身でここまでの力を・・・ッ!?」
「言ってなかったか了子!飯食って、映画見て、寝るッ!男の鍛錬はそれで十分だッ!!」
「だかどこまでいこうと、貴様はただの人間だッ!」
そう言ってノイズを出現させるためにソロモンの杖を手元に呼び寄せる。杖の先端が緑色にひかり、ノイズが生み出される。その一歩手前で、上条当麻の右手が光に触れる。
「じゃあこんな不可思議な右手なら、相手として十分だろッ!?」
「ッ!
「終わりだ、了子!」
そう言って今度は弦十郎が前に出る。そしてそれに続いて上条も進む。女性を傷つけることになっても、止めなければならない事がある。そんな重荷は、子供に背負わせるわけにはいかにない。そんな思いを胸と拳に秘め、最後の一撃を振るいに・・・、
その言葉を聞くと二人とも動きが止まる。隙が生まれる。それを見て最古の巫女は嗤いながら、鞭を剣のような形に変える。
ザスッ!!鞭が弦十郎の腹部に刺さり、赤色に染まる。それを間近で見た上条は、息が止まるような感覚に陥った。頭が真っ白になり、怒りよりさきに戸惑いの方が前に出た。そして小日向の悲鳴が聞えた。そんな声が聞こえてるのに頭が体を動くように指示しない。
そんな隙を見逃すことなく、女は言葉を発する。
「
「ッ!?」
言葉を認知したと同時に急に体全体が何かに固定されたように動くけなくなった。動きたいのに、動かなきゃならないのに、かろうじて右の指先だけが動くだけで他は動かなかった。
目の前に、倒すべき相手がいるのに!
そんな彼を見ることなく、弦十郎が持つデバイスを取り出す。そしてゆっくりと上条の方を見て、
「無様だな。ああ、無様だな
「・・・ッ!」
さっきから分かってたいたが、この女は自分に話しかけてはいない。自分の中にあるこの右手を蔑んでいた。まったくと言いい程、上条当麻という人間のことを見ておらず、まるで路傍にある石ころ同然のように扱っていた。
だからこそ、殺す気すら起きてはいなかった。
「殺しはしない。お前達にそのような救済等施す物か」
そしてフィーネは扉を開け、上条達の目の前から去って行った。それと同時にやっと右手を握りしめて、パキンッ!とガラスの割れる音と共に体全部が動き出した。
そして、少年の悔しさと怒りを混ぜ合わさった慟哭が地下一体に響いた。
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上条×IF装者 見たいのは?(ビッキーは『翳裂閃光』があるので今回はなしで)
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