戦姫絶唱シンフォギア IB   作:ドナルド・カーネル

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どうも作者です。
ついにシンフォギアXDが現行戦隊とコラボしましたね。ライダーとのコラボも時間の問題ですね。
そして、今現在は水瓶座の時期で、上条当麻の誕生時期です。つまり、毎日祝っていればいつかは当たるかもしれないですね。
それでは第39話どうぞ。


第39話少年は終わりを選ぶ/(N)ever say goodbye

4

「・・・あれ、俺何で地上にいるんだ?」

 

太陽が西側に傾き、青空から夕焼け空に変わっていく様子が目に映る。

体の節々が痛み、少なくとも目に映る範囲の半分は血が流れていた。

周りを見回して見えたのは、煙が立ちこめ崩壊していたビル群と、()()()()()()()()()()()()()姿()()()()()()()()()の二人が見えた。

 

「はぁっ!?」

 

ありえない光景に驚きながらも生きているかどうか確認するため、()()()()()()()()()立とうとす・・・。

 

「っ!?あれ、なんで右手があるんだ!!?」

 

驚いたときの勢いのまま立ち上がり、右腕を目の前に動かす。切断、いや内側から爆発した筈の右腕が確かにあった。

 

(夢、何かじゃないよな・・・・・)

 

右腕が損傷したのは混乱していた自分が見た幻覚なのではないかと思ったが、あの時の血管が全て破裂した痛みは嘘とは言えず、カッターシャツの袖口も爆発の影響を受けたためか真っ赤に染まりちぎれていた。

ではアレが嘘でないというのなら、消えそうな意識の中で見えた、()()()()()()()()()()()も現実だったのだろうか。

 

(・・・・・あれは一体何だって言うんだ?)

 

透明で、巨大で、強大であった竜の頭。目に映る障害を全て喰い尽し、完全聖遺物の一撃を喰らってもなお傷一つつくこと上条達を守った2体の竜。

アレは幻想殺し(イマジンブレイカー)に備わった一部だとでも言うのだろうか。

それともまさか、全く関係のない力だとでも言うのだろうか。

もし後者の方が正しいのなら、いつから自分の中にいたのか。

フィーネは幻想殺し(イマジンブレイカー)について知っている様子であった。

ならもしかするとあの竜のことも知っているのではないのか。

 

そもそも幻想殺し(イマジンブレイカー)とは一体何なのだ?

 

「当麻ーーー!返事をしてーーーっ!!」

 

考えていると空の上から立花響の声が聞えてきた。

 

「!立花の声だ。おーい、ここだーーっ!!」

 

「当麻っ!?」

 

声に気づいた立花は一直線にこちらへ向かってきた。

 

「当麻、すぐに病院へ行かないと・・・!?」

 

最後まで言葉を言うことなく立花の口は動きを止めてしまった。

それもそのはず、無くなったはずの右腕が綺麗に生えて(?)いたのだから。

 

「――え、なんで元に戻ってるの?」

 

「いやこっちが知りてえよ。まあ、元に戻ってんだしそんな深刻そうな顔すんじゃねえよ」

 

「――当麻ってまさか、緑色の宇宙人だったして・・・・・」

 

「誰がナメック星人だ!?」

 

「じゃあ腕を切られた事を信じたくない私たちの幻覚っ!?」

 

「お前のギア触って本当かどうか確認してやろうかっ!?」

 

右手を動かしながらツッコミを入れる上条を見て、思っていたより余裕がある姿を見て一先ずホッとした。

ただ、服から滲んでいる血の量は自分よりも遙かに多く、早急に病院に連れて行かなければならない事実は変わることはなかった。

 

「じゃ、じゃあ。あそこで倒れてる二人の了子さんも・・・」

 

「あれも幻覚じゃねえぞ。立花、俺より先にあの二人のほうを先に病院へ連れて行ってくれ」

 

「当麻も酷い怪我なんだから、翼さんかクリスちゃんに運んで貰いなよっ!?」

 

「分かったからあの二人のこと頼む・・・」

 

そう言って上条はその場に倒れるように座り込んでしまう。

立花は上条の元を離れ二人の方へ向かい、それと行き違うかのように翼と雪音、避難していた二課の全員がこちらに来た。

翼と雪音、弦十郎の三人は上条の右腕が戻っているのを見ると、立花と同じ反応を示した。

 

「「上条(カミジョー)、貴方(お前)本当に人間なの(か)?」」

 

「そのやりとりさっきもしたんでツッコむのは止めときますね」

 

「・・・まあ色々言いたいことがあるが、無事で何よりだ」

 

「色々迷惑かけてすんません・・・」

 

「ま、君の猪突猛進っぷりにはもう慣れたよ」

 

三人ともなんとか納得して貰えたようでなによりだ。

そして立花は茶髪の了子だけを抱えて、弦十郎達に預けた。

しかし、金髪の了子、いやフィーネの方は一人こちらへ向かってきた。

少しだけ中に浮き、鎧姿から白い服に変わり、少しづつ体が消えていっているのにさほど気にならない様子であった。

 

「お前、幻想殺し(イマジンブレイカー)じゃ櫻井さんと切り離すことは不可能だ的なこと言ってたのになんで分離してんだよ?」

 

「・・・あれは幻想殺し(イマジンブレイカー)の力では無い。あの力なら、本来触れることも出来ないものにも干渉は可能だからな」

 

「じゃあ、あれは俺の中に前からあったてのか・・・・・?」

 

「そういうことになるだろうな。幻想殺し(イマジンブレイカー)に見初められただけでも()()()()と言えように、まだあれにまで気に入られるとは、一周まわって幸運なのではないか?」

 

小馬鹿にしたような発言なのにそんな風には感じず、今の上条の状態が予想外だったとでも言いたげな感じだった。

つまり、右手の力(幻想殺し)正体不明の力(龍の頭)は全くの別物であるという余計に謎が増えた答えが突きつけられた。

フィーネはそんな上条の都合を考えず1人話す。

 

「それで、私を殺すのか。()のならさっさとやれ、今の私なら、その右手を使えば一瞬でカタをつけることが出来るぞ」

 

「・・・仮に右手でお前に触れなかったのなら、どうするんだ?」

 

「さあな。少なくとも今はカ・ディンギル作り月を壊すつもりはない。次に誰かに宿ったとしても、乗り移ろうとも目覚めようとも思ってはいない」

 

「・・・・・、」

 

目に宿っていた禍々しい光は消え、全てを敵に回してでも自分の我を通そうとしていた意思は燃え尽きていた。

自暴自棄なっているわけでもなく、フィーネはもう全て諦めていたのだ。

願いを叶えようとする気力は鎧やノイズ達と共に燃え尽きていた。

その言葉を聞いた上条は少し考える事無く、言った。

 

「俺は、お前を消さない」

 

「・・・ならこのまま私を放置するのか。言っておくが()は世界を壊す気がないだけで、私はあの御方のことを諦めたわけではない。何十年、何百年後にまた同じように世界を破滅へと導くかもしれないんだぞ」

 

「そう思ってんなら、今こんなとこで腐ってないでまた会う努力をやれよ、フィーネ」

 

「何・・・?」

 

先程もまでの全て諦めていた表情から一転し、上条の挑発じみた発言に睨みを効かせた顔をした。

そんな彼女に臆することなく上条の口は動き出す。

 

「お前はまだ諦めきれてないんだろ、ならもう一度挑戦しろよフィーネ。今度は、誰かに迷惑をかけずにあの御方ってヤツに会う努力をさ」

 

「どうやってだ?月を破壊する以外に『統一言語』を取り戻す方法など・・・・・」

 

「じゃあもう一度作れば良いだろ。お前が最初に作ろうとした『統一言語』を」

 

「!?だが、言葉を適用したところでまた新たな言葉は増えていく。例え私が悠久の時を生きることが出来るとはいえ完成することは・・・ッ!」

 

「じゃあ、歌ならどうですか!」

 

フィーネと上条の思案している中、立花は新たな案を申し出た。

 

「歌なら、言葉が通じなくても今日初めて会った人達と繋ぎあう事が出来るって私思うんです。だから、フィーネさんの思いを綴った歌をその人に伝える事が出来るって、言葉がなくても思いが通じる事が出来るって私信じてます」

 

「・・・お前達は、私を倒さないのか」

 

「そんなやり方じゃ、いつまで経っても人と繋がる事なんて出来ないです。だから私はフィーネさんを倒そうなんて思いません」

 

「俺ももう戦うつもりはねえよ。争う以外で解決できんなら、そっちの方が良いに決まってるだろ」

 

その言葉は上条達だけの言葉ではない。少なくともここにいる全員は、フィーネを倒すべき悪だとは思ってはいないようだった。

光となって消えていく巫女の口が少しだけ綻んでいるように見えた。

その微笑みは何を意味するかは、彼女以外には分からない。それでも、ナニカが彼女の中で芽生えたのだろう。

そして下半身部分が消え、残り半分になったときに、フィーネは言葉を発した。

 

神浄討魔(かみじょうのとうま)か・・・。名は体を表すと言うが、まさかそのままで出てくるとはな」

 

「?なんだよ、人の名前を急に呼んで」

 

「お前の名前ではないが、お前に関わる事だ小僧。覚えておいて損はない。なにせそれは、お前が持つ力に由来するのだからな」

 

「それって、あの竜のことか!?」

 

正直一番知りたい事を知っているのなら、聞いて損はない。

上条はその力の意味を話すよう、フィーネに詰め寄った。

 

「あれは一体、何だって言うんだっ!?」

 

「あれは、あの力は・・・・・」

 

 

 

 

「あら、残念だけど貴方の時間はここまでよ、時代遅れの巫女さん☆」

 

 

 

 

とん。そんな軽い音共に、フィーネの胸に、あまりにも唐突に、刃が貫通していた。

その刃は、剣と示すにはあまりにも刃先が真四角で、少なくとも人を刺すことには適さない剣であった。

それはまるで、儀礼目的に使われる剣にか見えなかった。

 

「ここまでは、貴方の時間。そしてここからは、()()()()()()。邪魔者には退場してもらうかしら」

 

そして、貫かれた刃がそのまま上に登り、フィーネは文字通り()()()()に切り裂かれ、そのまま消え去った。

 

「「フィーネ(さん)ッ!!?」」

 

「新手かッ!?」

 

「野郎どこから来やがったッ!?」

 

彼女を心配する声と、新たに現れた敵に警戒する声が聞えた。

フィーネが消えた後ろには、彼女を殺した凶刃を手にした、肌色の修道服を着た長い金色の髪を持つ女がいた。

人が刺された瞬間を見た上条は怯え始めた。そんなものを見たことだって初めてだし、そんなものを見たあとに冷静でいられるほど場数を踏んでる訳でもない。

それでも震える声を抑えながら、上条は女に向かって叫んだ。

 

「テメェ、何者だッ!?」

 

「あら、初めて会ったって訳じゃないのに酷いわね。でもそうよね、私達は何も知らないのだから自己紹介は必要よね」

 

女はその声に微笑みながら、自身の名を言った。

まるで、歌う童女のような声で言った。

 

()()()()()()()。以後お見知りおきを、上条当麻くん♪」

 

 

 

 

 

 

 

5

「魔神、コロンゾン・・・?」

 

「そ、魔の神って書いて魔神。私の場合だと、魔の世界の神ってわけじゃなくて魔術を極めた神って意味なんだけどね!あ。あと、コロンゾンって呼びにくいかもしれないけど、私的には慣れてほしいなぁ」

 

「なに、言ってんだ?それに、お前・・・・・」

 

「ああこれ!これは『カーテナ』っていう表向きはイギリスの儀礼剣だけどね、裏向きはイギリス王家にしか使えない特別な剣。今回は『ありとあらゆるものを切断する術式』を付与してみたのよ。本当なら次元を断ち切ったり、その時に出来た『断面』の『残骸物質』をぶつたりしたりするんだけど、まあ今回はそういった用途出使ったんじゃなくて・・・」

 

「――そういうことを言ってんじゃねえよッッ!!!!??」

 

女の声を遮り、上条は一秒でもこいつの口を黙らせるように叫んだ。

女に抱いた感情は不気味としか言い様がなかった。

人を斬った後だというのに、まるで最愛の恋人に久しぶりに会ったように微笑んだ顔をしながら、わくわくとした様子で話しかけてきた。

それでも、女の口は動きを止めない。

 

「あら気に入らなかったかしら。それじゃあどんな違うお話をしようかしら!それとも、私の要件を伝えてもいいかしらっ!」

 

「貴方、なんでフィーネs

 

「黙れ小娘(ガキ)。誰が話すことを許可した。誰が見ることを許可した。誰が、ここにいる事を許可した?」

 

笑顔だった女が、突如、何も感じない能面な表情で、立花達を見た。

瞬間、冬の季節に変わったような寒気を、コロンゾン以外のここにいる全員が感じた。

そして、全員がすぐに察した。限定解除(エクスドライブ)の状態のシンフォギアでも、この世界に存在する兵器を全てぶつけたとしても、目の前の女を倒すことは出来ない、と。

 

「・・・邪魔、邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔ッ!邪魔なんだよお前らァああ!!彼以外が視界に入っただけでも殺してやろうかって思っている程にねぇッ!!?」

 

押さえていた感情を剥き出しにしながら、息をすることすら力を使うほどの怒気があたりに放たれる。

怖いけど、何とかしなきゃと思った立花達はなんとか体を動かそうとする。

そんな彼女たちをみたコロンゾンは、

 

「おもちゃで遊びたいなら、それ相応の遊び場を作ってあげる。だから話しかけてくるな、ガキが」

 

パチンッ!指をはじきナニカ言葉を紡ぐ。何をしたか分からなかったが、その答えは上空から現れた。

藤尭の持つデバイスから、アラーム音が鳴り響いた。

 

「司令ッ!上空から、謎の飛来物が接近ッ!!これは・・・、欠けた月の破片ですッ!!?」

 

「何だとォッ!!?」

 

「このタイミングで月が落下するなんて・・・ッ!?」

 

「さぁどうする。言っておくが、月の激突程度で私を葬ることは出来ないぞ。ほら、早く行かないと破壊したとしても、その破片が降り注いでくるわよ」

 

「――ッ!翼さんッ!クリスちゃんッ!」

 

「「応ッ!!」」

 

立花の声を聞いた二人は、月の破片を破壊するために宙へと向かった。

そんな彼女たちを気にかけることなく、コロンゾンは上条に近づくと、

 

「ここで話すのもあれね。場所を変えましょうか」

 

「なn

 

上条が何か言うよりも先に、上条達の姿が消えた

 

「上条君ッ!一体何処へ・・・ッ!?」

 

「上条君のバイタルを確認ッ!場所は私たちが隠れていた倉庫近く!?」

 

「まさか瞬間移動したとでも言うのか!?」

 

「司令ッ!僕が彼の救助に向かいますからここで翼さん達に指示をッ!!」

 

「緒川頼むッ!こちらも済みしだい、すぐに向かう!!」

 

そう言って緒川は学園だった跡地へと走り出した。

 

 

 

 

「さて、ここなら邪魔も入らないかしら」

 

「なんで急に場所が変わったんだ!?」

 

「詳しく話すと長くなるから簡単に言うと、私達が動いたんじゃなくて地球の方が動いたって訳。だから君の右手も反応することはなかったの」

 

(こいつ、俺の右手のことも知ってんのかッ!?)

 

グッと拳を握り警戒心を強めるが、勝つ未来も結果も見えない。

右手が通じるのは分かったが、月を落とすような力や自分の右手の裏をかくような能力を持つという事実だけでも、戦おうとする感情も消えそうになっていた。

 

「さて、じゃあ私の要件を伝えようかしら。ふふっ。なんだか昔本で読んだ告白シーンみたいでドキドキするわ!」

 

あと少しで月が落下するかもしれない状況下でも、女は笑いながら上条に話しかけていた。

返事を期待してはいないのか、一人くるくると回りながら上条に向かって手を差し伸べた。

そして女は言った。

 

「上条当麻くん、私と一緒に来てくれるかしら。君が一緒に来てくれるのなら、私はここから手を引いて二度と世界に関わる事はしないわ。そして、君の望むもの全てを与えるわ。ね、いいでしょ?」

 

「断るッ!テメェの言うことそのまま鵜呑みにして『はい、分かりました』なんて言うと思ってんのかッ!?」

 

「うん、君ならそう言うって予想はしていたよ。じゃあすこし強引にやらせて貰うわね」

 

差しのばしていた手を銃の形に変え上条に突きつける。

正確には上条の後ろにある扉に向かって。

指先には光が集まり始め、ナニカを放とうとしているのは明らかだった。

 

「今から数十秒後に、短い黒髪の女の子が扉を開いてこちらに来るわ。そして今私の指に集まってるのは、『貴方に関する記憶を消す』魔術。もしこれを今来る少女にぶつければどうなるかしら?」

 

(まさか小日向のことかッ!?)

 

「まあどっちにしろこの魔術は君が来ようと来ないと使う予定だったから、自分の発言のせいでこうなったって気にしなくても良いわよ。さあ彼女が来るまであと20、19、18、17・・・」

 

「ッ!?」

 

女から扉に向かって意識を変え、走り出す。

後ろからカウントダウンの声が迫ってくる。

今の自分の足なら間に合うと信じ走り出す。どう対処するかの具体案は思いついていないがそれでも走り出す以外にやる事なんて無いのだから。

これが一番正しいのかなんて分からない、それでもこうしなければ守り抜くしかないのだから。

右手を後ろに構え、鞭を消した時と同じように構える。だがそれよりも早く、光が少年の左顔に当たるか当たらないかギリギリのところで光が奔った。

 

「カウントダウン後には放つなんて、私は一言も言ってないわよ。上条当麻くん」

 

ドアノブが傾いたのが見える。あと数秒もしない間に小日向未来が来る、だが右手を使って消すのは不可能。

この状態で小日向を守れる方法はたった一つだけ。

守ることが出来るのなら、悲劇を回避できるのなら、迷う理由はない。

 

 

 

小日向未来が外へ出ようとしたのは、外に出たまま帰ってこない弦十郎達を探しに行こうと思っての行動だった。

それはとても危険で一般人である自分たちの安全が確保されるまでの確認だというのは分かっている。

だけど、そうだと分かっていても。

今も戦っている親友達の安否が気になってしまう。飛び出していったあの少年も、自分を帰る場所だと言ってくれた少女も。

少女にとっては大切な人なのだ。戦う事も守ることも出来なくても、共にいるのだと決めたのだ。

 

(響、当麻!無事でいて、お願いッ!!?)

 

それはただのエゴだと分かっていても進んでしまった。歩んでしまった。

ドアノブを回して、ドアを開けた先に。

 

「あれ、とうm

 

「ッ!」

 

慌て顔をした少年が自分を突き飛ばすように、ぶつかってきた。

そして瞬間。

 

少年の頭に光がぶつかった。

 

「え・・・」

 

上条は小日向の頭を守るようにかばいながら、その勢いのまま地面に倒れた。

その後ろで、知らない女性の悲鳴が聞えた。

何か、とんでもないことを、最愛の人を殺してしまったような、悲しい慟哭が聞こえた。

動こうとしても、少年がどこうとしなかったので確認することが出来なかった。

こんな状況になってから、何秒、何十秒経っているのか分からない。

ただ、何秒経とうと、何十秒経とうと、少年の目が覚める様子はない。

 

「と、うま・・・?」

 

少年の名前を呼ぶんだ。

 

「とうま、そろそろ退いてくれないかな?」

 

もう一度名前を呼ぶが、返事はなかった。

 

「とうま。そろそろ起きてよ。ねえ、当麻!?」

 

何度も何度も、彼の名前を呼びながら揺さぶる。だが少年が目覚める気配は一向に無かった。

 

「当麻君、未来さん!?」

 

「ねぇ起きて、起きてってばっ!こんなコトしてる場合じゃないよ、ふざけてる場合じゃないんだよ!当麻ぁッ!!?」

 

いつのまにか戻ってきた緒川によって小日向からは離れた後も、上条は一度も、呼びかけには応えなかった。

 

 

この日から、少年の目が覚めることはなく。

一度も、上条当麻の意識がこの世から戻ることはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

6

「・・・じゃあ当麻、私そろそろ帰るね。また明日来るから」

 

「・・・・・、」

 

そう言って小日向は病室を出た。

彼女の目元にはたくさん泣いたことが分かる位に涙の跡が残っていた。

今日こそは、今日こそは泣かないようにって思っているのに、結局泣いてしまった。

昔聞いた話によると、ずっと眠っている人でも、人の話を聞いているのだと。

眠りから覚めた後、その会話の内容を知っているように話した事例があるのだと。

もしその話が本当なら、自分が泣いている所を少年は知っているかもしれないと。自分のせいで泣かしてしまったと攻めるかもしれないと。

病み上がりの彼にそんな負担をかけたくないと思っているのに、今日もまた泣いてしまった。

 

 

病院を出た小日向は、今日も一人で、二人用の寮へと帰ろうとしていた。

一人で道を歩いてたその時。

 

「未来」

 

後ろから自分の名前を呼ぶ声が聞えた。その声を聞いた小日向は幻聴かだと思った。

だってその声は、もうこの世にはいない人の声なのだ。

でもだけど、そう思っているのに、そう思いながら、少女は後ろを振り向いた。

そしてそこにいたのは・・・、

 

「ごめん未来。連絡できなくて」

 

「ひ、びき・・・」

 

「うん私だよ、未来」

 

「・・・響ぃッ!!」

 

死んだはずのもう一人の親友がいた。

立花響がそこにいた。

その後ろには、風鳴翼と雪音クリスが一緒にいた。

そう認識が出来たと同時に小日向未来は少女に向かって走り出していた。

思いっきり抱きしめた。そこにいる事実がより一層確認できた。それが、どれだけ嬉しくて、先程まで流れたいた涙の意味は変わっていた。

 

「ひびき。響っ!良かった生きてたんだね・・・っ!!」

 

「うん。本当はもっと早くに言いたかったんだけど、ちょっと色々あってね。遅くなって本当にごめんね」

 

「いい。生きてたのなら、もうそれでいい」

 

涙でグチャグチャになった顔で不器用に笑った。でもその笑顔はとてもまぶしくて、素敵な笑顔だった。

立花の胸で泣きながら、やっとこさ話せるようになった小日向に立花は一つ質問をした。

 

「ねえ、未来。当麻は目を覚めた?」

 

「っ!・・・ううん、まだ眠ってる」

 

「そっか・・・」

 

立花達も上条が眠ったままなのは、弦十郎を通して聞いていた。

そして、今日久しぶりに外へ出て、彼に会おうとしたのだが、出現したノイズ達の戦闘を行った結果、病院に付いたときには患者との面会時間は終わっていたのだ。

彼に会うことが出来ないのは残念ではあるが、それでも少女は希望を捨てなかった。

 

「・・・・・大丈夫だよ。当麻は絶対に戻ってくる」

 

「・・・うん」

 

「大丈夫だよ、きっと」

 

そう言っては小日向の背中をさすった。

少女を安心させるためにでもあり、その言葉は自分に言い聞かせているようでもあった。

 

 

 

 

そして次の日、少年が目を覚ましたとの連絡が入った。




誤字、脱字、感想などご報告お願いいたします。

上条×IF装者 見たいのは?(ビッキーは『翳裂閃光』があるので今回はなしで)

  • 風鳴翼
  • 雪音クリス
  • 月読調
  • 暁切歌
  • マリア・カデンツァヴナ・イヴ
  • セレナ・カデンツァヴナ・イヴ
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