アンケートはまだまだ募集しています。また詳しいシチュエーションのリクエストにつきましては感想欄の方にお願いします。
それでは第1話どうぞ。
1
町を歩くだけでもかなり頭を使う。
「えっとここを曲がれば良いのか・・・?」
スマートフォンを見ながら、時折ディスプレイを触れマップを回したりしながら道を進む。
上条当麻がこの街に住んで何年もの年月が経っている。
彼は街の中全てを見て回った訳ではないので、行ったことのない場所もある。不可思議な行動ではない。
だが彼の場合は、ここ2ヶ月間はこのように街を歩いていた。
何故住み慣れた街で初めて来たような動きをしていたのか。
それは、上条当麻が記憶喪失だからなのだ。
と言っても、右も左も分からなかったり、硬貨をいきなり口にするような事はしない。信号の渡り方とか携帯の使い方とか、そういった事で迷ったりもしない。
失ったモノのはあくまで『記憶』であって、『知識』は生きているのだ。
だから、携帯電話の使い方は憶えていても、『あれ、携帯電話何処に置いたっけ?そもそも何時契約したんだっけ?」という具合である。
それがどういった状態かと言えば、例えば『リンゴ』がバラ科の植物で球形の果物だということは分かる。
だが、それが『美味しい』かどうかは食べてみないと分からない。〇月×日、美味しいリンゴを食べた、なんて絵日記帳の『思い出』なんてどこにもないからである。
こんな状態になったのは、『思い出』を司る『エピソード記憶』と、『知識』を司る『意味記憶』の内、『エピソード記憶』のみが破壊されたからだ。
さて、そんな事はさておき。目的地に着くまでここ2ヶ月間であったことを思い返す。
退院するまでに読んだ事後レポートによれば、『櫻井了子』という人物に取り憑いていた『フィーネ』が世界を支配しようと企み、『記憶喪失前の上条当麻』、及び『三人のシンフォギア装者』と特務機動二課によってこれを阻止。その後『魔神コロンゾン』と自称する者によって月の欠片を落下させ、それを迎撃するために装者3人が突撃。その隙に上条当麻はコロンゾンに襲われ約1ヶ月間眠ったままであった。
なお櫻井了子に関しては、フィーネの人格は消え、元の彼女の人格が元に戻った。だが、記憶に混乱があり、12年前からの記憶はなく混乱していたそうだ。
上条は退院した後、退院記念パーティーを行ったり、補習が決まったり、新たに引っ越したマンションの隣が雪音クリスだったり、補習があったり、装者3人と風鳴弦十郎による合宿に強制参加させられたり、補習があったり、夏休み最終日になっても宿題が終わってなかったり、結局終わらずに今日もまた夏休みの宿題分の補習が今の今まであったりと、無くした思い出を新たに
そうこう考えていると、目的の場所へとたどり着いた。
「ここがライブ会場か・・・」
学生鞄片手に、上条当麻はポツリと言葉を漏らす。
そこは大きなドーム会場であった。スマートフォンに記されていた収容人数のキャパシティは5万人と、大量の人間を入れることが書かれてあったが、今日ここで行われるイベントにはその何十倍ものスペースが必要になるだろう。またその歌声を聞こうと、チケットを巡っては熾烈な争いがあり、そのためにドーム公演だけでなく全世界中継で行われることになるほど、世界がこの二人に注目しているのだ。
イベント名『QUEENS of MUSIC』。それは日本を代表する歌姫『風鳴翼』と、アメリカでわずか2ヶ月という短い期間で全米ヒットチャートに上り詰めた歌姫『マリア・カデンツァヴナ・イヴ』の二人の、夢のようなコラボレーションライブが披露されるというものである。
さて、ここまでの話で察して貰えたかもしれないが、このチケットを入手するのは極めて困難であり、人海戦術を持ってしても手に入るかは分からず、別段彼女たちの熱狂的ファンでもない少年は家で見れば良いかと、そう思っていたのだったが、
(関係者からチケットが貰えるって都市伝説だと思ってたんだけどな・・・)
学生鞄の中から財布を取り出し中を見る。中には1000円札2枚と貯まったレシートやスタンプカード。そして、その財布の中で一番の価値であろうライブのチケットが入っていた。
先日、雪音クリスから渡されたライブのチケット。二課の用事があったときに翼から渡されたモノらしいプレミアムな一点物。持ってるだけで幸運が訪れるお守りのような感じがするが、これはそういうモノではないのだ。チケットを財布をしまい、代わりにネームプレートをだし、表口ではなくスタッフが使用する搬入口を探し出す。
(この時間ならまだ控え室だよな・・・)
チケットをもらったものの、まだお礼を言うことが出来おらず、それを言う時間をとれないかと翼のマネージャーの緒川に相談したところ、本番の数時間前なら空いていており、関係者用のネームプレート首からをかけて制服で来てくれ、と言われたのでその通りの時間と指定通りの衣服で来たのであった。
緒川の携帯についたことを連絡し、返された文には地上が全てステージになってるので控え室等は地下にあると書かれていたので、部屋を探し出す。
「えっとここらへんのはず・・・」
先程からずっと道に迷ってる気がするが、初めて来る場所なんだから仕方が無い。
ぐるぐると数分くらい歩いてようやく部屋を見つけ、身だしなみを整え、深呼吸をし扉を開く。
扉の先には・・・。
下着姿のナイスバディーなピンク髪の女性、アメリカの歌姫マリア・カデンツァヴナ・イヴがいた。
「ん?・・・ンンンッッッ!!!???」
「ッ!?!?!?!?」
上条も女性も困惑しており、謝ってすぐに出て行こうとしたが遅かった。
それより先に荷物ががっつり入った鞄が顔にジャストミートしちまった。
2
「・・・・・」
「・・・・・」
沈黙がとても怖い。
こんなに怖い思いをするのは、目を覚ましてすぐ、立花達にドッキリを仕掛けたとき以来気がする。
胃はキリキリしだすし、顔からは滝の汗が流れて、飲み込むつばだけで喉が潤うほど乾いている。
確かに
今はただ、地面に頭をこすりつける程土下座するしかない。
彼が気絶している隙にマリアは下着姿からいくつもの白を重ね合わせたフリルのスカートが目立つステージ衣装に着替えており、彼の説明を受けながら初めての『JAPANESE式 DO☆GE☆ZA』を体験していた。
あまりにも綺麗というか
「・・・つまり貴方は、風鳴翼の知り合いで、彼女にチケットをもらったお礼をするために部屋を訪れたが、入ったのは彼女の部屋ではなく、私の部屋だった。そういうことで良いかしら?」
「は、はい」
「はぁ、本番前にこんなトラブルに巻き込まれるなんて・・・。もし相手が相手だったら、警察沙汰どころかとんでもない賠償金と慰謝料を払うことになるかもしれなかったのよ」
「えっと。訴える気はない、でも警察には突き出すぞ、ことですかね」
「いいえ、警察にも突き出さないわ。ちゃんと反省もしてるみたいだし、今からそんな事をすればライブ開幕延期どころか中止だってありえるわ。そんなことなれば、私の歌を待ってる人達に申し訳ないもの」
「!!ありがとうございますマリア様!このご恩、一緒をかけて返す所存・・・ッ!!」
(日本にはまだ『SAMURAI』がいるっていうのは、この子みたいな人を見て言ってるのかしら・・・?)
なんとか上条当麻の『社会的HARAKIRI SHOW』になることなく、許しを得ることが出来た。
マリアは鏡を見ながら自身の姿を確認した後、上条に立つよう命じ、
「それじゃあ、私と一緒に風鳴翼の部屋へ向かいましょうか」
「えっと、良いんですか。素人意見ですけど、本番前って部屋で集中したりするもんなんじゃ・・・?」
「別に貴方のためだけじゃないわ。まだ彼女にはキチンと挨拶をしていないから、そのついでよ。さ、着いてらっしゃい」
上条はマリアの後を追うように部屋を出て、翼達がいる控え室へと向かう。
部屋へとう向かう途中、マリアから名前を聞かれる。
「そういえば、自己紹介がまだだったわね。私の名前はマリア・カデンツァヴナ・イヴ。あなたの名前は?」
「上条当麻。よろしくな、マリア。そういや、あんた日本語すげえ上手だけどこっちで暮らしてることあったのか?」
「いいえ。妹みたいな子達がここの出身だったから、自然に覚えたのよ」
「なるほど・・・・・」
(・・・なんだか近寄りがたいイメージが合ったけど、全然柔らかい人だな。ていうかこの人超面倒見がいい人だったりして・・・・・)
「上条、あんまり遅いと置いていくわよ」
「あ、はい!すぐ行きます!」
置いていくと言いながらも、足を止めて上条が来るまで待っているあたり、この人本当にいい人なんだなと彼はそう思いながら走り出した。
「上条と約束した時間から5分程すぎたけど、来る気配がありませんね」
「こちらに到着したとの連絡は来ているのですが・・・・・」
「まさか、何か事故にでも遭ったのでは・・・ッ!?」
「それなら表が騒がしくなっていますし、もう少し待ってみませんか?」
「・・・・・、」
控え室には、上条の到着を待つ緒川と彼の身に何かあったのではないかと心配する翼の二人がいた。
翼も上条以外の人物ならここまで心配はしないが、彼の事件の巻き込まれ具合を知っているのもあるが、あの入院以後は彼にだけすこし心配性になってしまったのだ。
マリアの衣装とは違い黒をメインとし、腕のフリルが目立つステージ衣装を着飾っており、本番前に彼に意見を聞いてみたいと考えてた事は何処かへ消え去ってしまった。
こうして落ち着きのない様子でいると、扉を叩く音が聞えた。
余裕のない翼に変わって緒川が応対すし、扉を開けようとするがそれより先に扉が開く。
そこにいたのは、今日のデュエット相手であるマリア・カデンツァヴナ・イヴと、話題の中心にいた上条当麻であった。
その姿を見た瞬間、翼は上条につかみかかる勢いで近づいてきた。
「上条っ!?無事だったのね!!?」
「あ、はい。すいません遅くなって」
「貴方の無事が分かったのならそれでいいのよ」
なんか迷子になった子供を見つけたときの母親のような眼差しになっていたことを、上条以外の人間が察していた。
なんだかこのまま自分の存在がフェードアウトされそうな雰囲気になるのはマズいと感じたのか、マリアは軽く咳払いをし、自分に意識が向くようにする。
「感動の再会のところ悪いけど、まだ貴女との挨拶がまだだったわね、風鳴翼」
その声を聞いた共に、翼は心配性な先輩から、日本を代表する歌姫としての顔と目つきになる。
「そうだったな、すまないマリア・カデンツァヴナ・イヴ。今日は貴方との
「ええ、楽しみにしているわ。それじゃあまた後でね、翼。上条、私たちのステージを楽しみに待っていなさい」
「おう、じゃあなマリア」
そう言い残してマリアは控え室を出て行った。最後まで凜々しい表情のままであったが、実は面倒見の良いお姉さんなのだと言うことは、ここにいる人間では上条しか知らないことである。
上条はここに来た本当の用事を済ませようとすると、なんだか先程とはまた違う表情をした翼に違和感を憶える。
「あの、どうしたんすか翼さん」
「いや、ずいぶんと親しいようなのだな。マリア、と呼ぶ程にな・・・」
「え、いやさっき合ったばかりなんで親しいも何も・・・。てか、なんでさっきから横腹をゴリゴリと触ってくるんですかね!?地味に痛いんすよっ!」
「私のことはさんづけで、彼女は呼び捨て。・・・その違いは何なのだ、上条」
「痛い、痛い!なんで急にめんどくさくなってんだこの歌女!?」
そして緒川からストップがかかるまで翼は上条の横腹をツンツン(翼基準)でイジっていた。
「・・・何なんだあの人。急にいつもと違う性格になってたのは。あれか、キャラチェンする気なのか?」
ブツブツとつつかれた横腹をさすりながらアリーナ席へと足を進める。
緒川からのストップが入った後用事を済ませる頃には、翼のステージ入り15分前になっており、上条達はすぐさま部屋を出て、上条は正面ゲートに向かった。チケットを渡した後、近くの売店で今日の主役達のカラーから外れていた為にで売れ残っていたピンク色と緑色サイリウムを購入していた。
向かう途中、立花と雪音にライブ場にいるのかと電話をしたが、電波が入っておらず、メールを送っていた。
(・・・そういや雪音のヤツ朝早くからどこか行ったみたいだけどなんかあったのか・・・・・?)
まあ自分よりもこの街に立花がいるから大丈夫だろう、と考え急ぎ足で駆け出そうとする手前で足が止まった。
アリーナ席入り口で手ぶらでウロチョロしている女の子達が見えたからだ。
二人共背は小さく、一人は黒髪のツインテール、もう一人は金髪ショートで×印のヘアアクセサリーを身につけていた。
(何か合ったのか、あの二人・・・?)
もうすぐ開演時間だが、このまま放っておく方が嫌なので声をかけに行く。
「おーい、そこの二人組。さっきからそこでウロチョロしてどうしたんだ?」
「・・・何、話しかけないでくれる?」
「し、調!知らない人を睨み付けちゃだめデスよっ!!あ、アタシ達別に怪しい者じゃないんデスよ!えーっとその、そう!あのお店で売っていた光る棒が買えなくてちょっとずーん、っとしてるだけなのデース!!」
ツインテチビからは敵意の目を向けられ、金髪の方はそれを諫めながら微妙に下手な日本語を話ながらテンパっている。ツインテの方はそう言われながらも敵意を振りまくが、大人の上条はそんな彼女の態度に怒ることなく、先程買ったサイリウムを手にして、
「そっか。じゃあこれやるよ」
「え、でもこれお兄さんのじゃ・・・「いいよ、俺マイサイリウム持ってるし。じゃあ、ライブ楽しもうぜ!!」あ、お金・・・っ。行っちゃたデース」
「・・・でも、これで外にいる人はいなくなったから良いんじゃないの、切ちゃん。それに、私たちの目的はステージを楽しむことじゃなくて」
「分かってるデスよ、調。お兄さんには悪いデスけど、これは使わずに持って帰っていざって時の電気の代わりに使うのデース」
そうして、彼女たちはアリーナ席へと続く道へは進まず、いつの間にか消えていた。
誤字、脱字、感想等ご報告お願いいたします。
上条×IF装者 見たいのは?(ビッキーは『翳裂閃光』があるので今回はなしで)
-
風鳴翼
-
雪音クリス
-
月読調
-
暁切歌
-
マリア・カデンツァヴナ・イヴ
-
セレナ・カデンツァヴナ・イヴ