戦姫絶唱シンフォギア IB   作:ドナルド・カーネル

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どうも作者です。
さあ、やっとアニメ一話が終わり、G編が動き出します。
それでは第2話どうぞ。
追記:アンケートの結果はマリアさんの番外編となりました。こちらもお楽しみに。


第2話 もう1つの――――

3

「・・・コンサート間に合うかな・・・・・」

 

「なるべく早く飛べるようにはお願いしたけど、この調子だと難しいわね」

 

「うう、コンサートには間に合わないかもしれないし、移送任務も失敗。当麻の言葉を借りるなら不幸かも・・・」

 

眉毛が下がり、立花響のテンションは分かりやすく下がっていた。

そんな彼女の真正面に座っていた友里あおいは励ましながら、横に座っていた雪音クリスは急に抱きつかれることを警戒しながらも話を聞いていた。

ただ彼女もまた何か心配事を秘めている表情であった。

 

「クリスちゃんさっきから余裕なさそうだけど大丈夫?もしかして吐きそうなの」

 

「誰がこんなところでゲロぶちまくかっての。いや、実はカミジョーのヤツに今回の任務のこと伝えてないからさ、時間過ぎても来ねえ事心配してんじゃねえのかと思って・・・」

 

「え!?何でまた言ってないの?」

 

シートベルトで固定されていながらも無理矢理近づこうとする立花の顔を押さえながら説明をする。

 

「いや、さっさと終わる任務だと思ってたし。あと、今回の事を聞けば無理にでも参加するんじゃって思うと中々言い出せなくて・・・」

 

「大丈夫だよ、さすがにそんなこと、言う、筈は・・・・・」

 

「付き合い長いお前がハッキリと言い出せない所を見ると、ありえない話って訳でもないんだな」

 

実際問題デュランダル護送の時は自ら志願したり例の事件の元凶に殴りかかったりしたが、ここ最近のノイズ発生時は大人しくしている具合である。だが100%大丈夫と言う自信はなく、かといって本部で縛り付けていなければならないほどの狂犬具合でもないためケースバイケースとしか言い様がないのであった。

 

「ま、さっきケータイ見たら着いてるって連絡あったし、今んとこはあたしら抜きで楽しんでんじゃねえの?」

 

「ああ、私も生で見たかったな・・・」

 

「今回は世界同時中継だったから運が良かったわね」

 

「それでも久方ぶりな翼さんの生歌ですよ!?それを現地チケットを持ちながらテレビで見るなんてなんて・・・」

 

立花は力をため、一気に解き放った。

 

「やっぱり呪われてるかも~~~!!!?」

 

「大声で叫ぶんじゃねえバカッ!!」

 

そう言って叫んだ雪音の声もまた立花に負けず劣らずのものであった。

 

 

 

 

 

 

 

4

「席はここら辺の筈だけど・・・」

 

「当麻ー!こっちこっちだよー!!」

 

「お、あそこか」

 

自分を呼ぶ声の方を見ると、小日向未来が手を振りながら居場所を教えてくれる。人混みをかき分けながら小日向のいる場所へ向かう。するとそこには彼女の他に人がいた。

 

「お、上ヤンじゃん久しぶりー」

 

「無事元気そうで何よりですわ」

 

「お見舞いに行ったときはあんだけボロボロだったのに、こんだけピンピンしてるの見てると、もしかして本当はアニメの世界の住人なんじゃって本気で考えたわよ」

 

「あははは、その節はどうも・・・」

 

頭をかきながら笑うも、彼女達とどういう関係にあったのかも覚えてはいない。というか、お見舞いに来てくれた人はほとんど女性で、同性の同級生からのお見舞いは2人しか来なかったって前の自分はとんでもないプレイボーイだったのではないか、あとその2人の友人も中々の変態だったのでもう少し友情関係はしっかりしろよ!と前の自分に言いたくなることがしばしばある。

小日向の横に座りながらなんだか違和感を覚えた。

 

「あれ、立花と雪音は?」

 

「お二人とも、まだ来てないですわ」

 

「そういや今日学校にも来てなかったけどビッキーってあっち(二課)の用事でもあったの?」

 

「うん。響から任務があるけど間に合わせるって聞いたんだけど、当麻はクリスから聞いてなかったの」

 

「アイツからは何にも・・・」

 

そういえば昨日妙にそわそわして、とても緊張している顔つきだったことを思い出す。だが本人が何でもないと言っていたので、そのときの記憶は先程まで綺麗に消えていたのだった。

 

「まあ今の時間で来てないんだったらもう間に合わないでしょうね。あ、翼さん達が出てきたよっ!!」

 

2本のサイリウムをぶんぶんと振り回す板場の声を聞いて、全員が一斉にステージに目を向けた。

 

(ま、あとで雪音か立花のどっちかに聞けばいっか・・・)

 

用件を聞かされていなかった事は少し残念だか、何かしらの理由があったのだろうと考え出すと、ステージから火柱が吹き上がり出す。ステージ舞台には正反対の色やデザインのステージ衣装を身に纏った歌姫が出てくる。

黒色をメインとし、『和』をモチーフとした日本の歌姫『風鳴翼』。白色をメインとし、『洋』をモチーフとしたアメリカの歌姫『マリア・カデンツァヴナ・イヴ』。二人が東上した瞬間、この会場だけでなく、中継先でも大きな歓声が沸き上がった。

その歓声の中には上条当麻もいたが、いまいち反応に遅れているようであった。

それは予備知識の少なさのせいなのか、それとも、『初めての』ライブの空気に飲まれたからなのか。そんな風に考える姿を見ながら、小日向が上条に話しかける。

 

「当麻、どしたの?サイリウムも持たずにボーっとしちゃって」

 

「!いや、サイリウム買えなかったから手だけでも振っておこうかなっと悩んでただけ」

 

「ふふ、当麻は不幸だね。それじゃあ・・・」

 

鞄の中をさぐりだし、小日向が持っているのとは別のサイリウムが出てくる。

 

「はい。これ使って」

 

「いいのか。これ立花のじゃ・・・?」

 

「響のは別にあるから気にしなくて良いよ」

 

こうして上条は彼女からの好意に素直に甘え、サイリウムを受け取った。ライトの色は白で、奇しくもマリアのカラーと同じであった。

これで彼が心置きなくライブを楽しめると思った小日向はステージの方へと視線を向け、それにつられて上条もステージの方を見た。

 

ステージでは剣の形を模したマイクを持つ二人。先に言葉を発したのはマリア・カデンツァヴナ・イヴ。

 

魅せて(見せて)貰うわよ。戦場(いくさば)で冴える抜き身の貴女をッ!」

 

その言葉に答えるように、翼が歌い始めた。

今宵限りのスペシャルユニットによるライブの幕をが開いた。

 

それは、この世で起きる不条理で不平等な事故や災害で消えてしまった人達への鎮魂歌(レクイエム)でもあり、それでも今を生きることを選んだ残された人達への応援歌(チアーリングソング)

本来混ざり合うことのない二つの曲が今歌姫達によって一つの聖歌(うた)として世界中に届いていく。

ある者は喜びの感情を抑えることなく叫び、その光景に感動し涙を流していた者さえいた。

 

上条もまたそんなライブを生で見れることに感謝しながらもここにいる人たちのようにテンションが上がってサイリウムを大きく振り回していた。

心臓が痛むほどの鼓動は止まることはなく、この時間が一生続けばいいとさえ思っていた。初めての景色が脳裏に焼き付いていく。

その思いは、()()上条当麻が抱いていたものと同じであった。

そして、大勢の観客の歓声に包まれながら歌秘めたとのスペシャルライブは一度幕を閉じた。

大勢がの熱狂のを一番浴びているつばさとってそれはとても心地の良いものであった。

 

「ありがとう、みんな!!」

 

翼の呼びかけに会場にいる全員が答える。

 

「私は何時もみんなから沢山の勇気を分けて貰っている。だから今日は、私の歌を聴いてくれている人達に、勇気を上げられたらと思っているっ!!」

 

それは片翼として歌い続けた自分を応援してくれた人達への謝意の思いを詰めたものだった。歌姫として、等身大の少女としての感謝の言葉は全ての人に伝わっていた。

 

「私の歌を、全世界中にくれてあげるッ!!」

 

一方のマリアは、翼のような等身大さは見せずに、強く凜々しい歌姫として言葉を紡ぐ。

 

「振り返らない、全力疾走だ!着いてこれるヤツだけ着いてこいッ!!」

 

そのマイクパフォーマンスによって、会場内外問わず全ての人間の熱を高めていく。それは上条達もまた同じであった。

ステージの真ん中に立ち、固い握手をし始めるマリアと翼。

 

「私たちが世界に伝えていかなきゃね。歌には力があるって事を」

 

「それは、世界を変えていける力だ」

 

翼の返答を聞いたマリアは握手を解くと、

 

「そして、もう一つ・・・」

 

バサッ、っとスカートを翻す。それと同時に、

 

 

複数体のノイズが、彼女と観客達の間に割り込むように現れた。

 

 

「なっ!?」

 

その光景に観客は驚きの悲鳴をあげ、パニック状態に陥った。

上条当麻は驚きこそしたが悲鳴はあげず、翼は2年前のライブのことが脳裏をよぎった。

 

「・・・・・・うろたえるな」

 

小さな、ただ自分に言い聞かせるための言葉がマリアの口から漏れる。

そして次の瞬間。

 

 

 

「うろたえるなッッッ!!!!!!!」

 

 

 

今度は会場にいる全員の動きを止めるような大声がマイクを通して世界中に発信された。

その声を聞いた会場のほとんどが大きな声を出すのを止めた。

小さな声で自分の近くにいる人達と話し合い、恐怖の感情を和らげようとしていた。

そんな会場の雰囲気に上条達は飲み込まれていなかった。

 

「こんなの、アニメでしかありえないんじゃ・・・ッ!?」

 

「何でまたこんな事に・・・」

 

「まじかよ・・・」

 

(マリア、これはお前がやったことなのか!?でももし、ノイズを操ってるってことになると()()は今は二課にないって事なのか!!?)

 

上条が言うアレとは、写真とレポートによって知ることが出来た、『今』の自分にとっては眉唾もので、『前』の自分にとっては因縁浅からぬものである聖遺物と呼ばれる過去の遺産。名を『ソロモンの杖』。上条は知るよしもなかったが、これを移送するために立花達はここにおらず、そして移送先がノイズに襲われ、その隙に何者かによって盗まれたのであった。

 

その状況を目前で見ている翼は、歌姫の顔から一転し、国を守る防人になっていた。衣装で隠していたペンダントを出し、いつでも飛びかかれる態勢になるが、マリアはそんな彼女を挑発し始める。

 

「怖い子ね。いつでも私に飛びかかれるようにするなんて。でも、良いのかしら。私の支持があれば、アレは何時だってオーディエンス達に襲いかかるわ。それに」

 

自身の顔をモニターの方に向ける。そこには現在の会場を見て混乱する人達の顔が沢山あった。

 

「ライブの模様は世界中に中継されているのよ。日本政府はシンフォギアについての情報(概要)を開口しても、装者についての情報は秘匿したままではなかったのかしら」

 

「甘く見ないで貰いたい。そうとでも言えば、私が鞘走る事を躊躇うと思っているのか!?」

 

その言葉は会場の観客達には伝わらない。彼女たちの間では戦いの火蓋が上がろうとしていた。

マリアは余裕の表情を崩さないまま、

 

「貴女のそういう所、嫌いじゃないわ。貴女のように、誰かのために戦える人がいたのなら、」

 

一瞬、彼女の顔が余裕の表情とは違うものになる。

 

「・・・世界はもう少し優しく出来ていたのかもしれないわね」

 

「何・・・?」

 

翼はその言葉の意味は分からず、マリアのペースは崩すことは出来ない。

だがそんなの表情もつかの間、先程までの余裕ある雰囲気を醸し出しながら彼女はマイクを通し、翼だけでなく、世界に言葉を発する。

 

「私たちは、ノイズを操る力を持ってして全世界に要求するッ!」

 

「世界を敵に回しての交渉!?」

 

「そうだなぁ、さしあたっては国土の割譲を要求しようか」

 

それは、交渉なんて生やさしいものではない。それは、全世界に対する宣戦布告。何の大義を持ってそれを行ったのかはマリア以外の誰にも分からない。

 

「そして・・・」

 

マイクを投げ、マリアの口から歌が流れた。

 

Croitzal ronzell gungnir zizzl(溢れはじめる秘めた熱情)

 

歌が流れた瞬間、光が彼女を包み込み姿を変える。

 

「なん、だとッ!!?」

 

その姿を見た風鳴翼は信じられないものを見たような表情になり、

 

「これって・・・っ!?」

 

上条当麻はレポートにあった()()()()()のことを思い出し、

 

「そんなことって・・・」

 

立花響は自身の胸に触れていた。

 

マリア・カデンツァヴナ・イヴ、アメリカを代表する歌姫であり、先程世界に宣戦布告をしたテロリストであり、そして・・・。

 

「「「黒色の、ガングニール・・・!?」」」

 

黒い鎧衣装とマントを纏った、()()()()()()()()()であった。

 

そんな彼女はマイクを片手に、世界に言葉を刻む。

 

「私は・・・。私たちはフィーネ。そう、終わりの名を持つ者だッ!!」

 

こうして世界はまた変わり始める。それは良い方向へなのか、悪しき方向へなのかは、今はまだ誰にも分からないままである。

 

 

 

第2話 もう1つのガングニール




誤字、脱字、感想等ご報告お願いいたします。

上条×IF装者 見たいのは?(ビッキーは『翳裂閃光』があるので今回はなしで)

  • 風鳴翼
  • 雪音クリス
  • 月読調
  • 暁切歌
  • マリア・カデンツァヴナ・イヴ
  • セレナ・カデンツァヴナ・イヴ
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