インフィニット・ストラトス -Record of ATX-   作:No.20_Blaz

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思った以上に長くなってしまったので一旦区切りを入れて前後編にします。
前編は事の始まりなどです。


Record 10 前編

「戦線崩壊」・前編

 

 

シロガネ、格納庫・・・

 

「・・・アリスちゃん、遅いね・・・」

 

「・・・・・だな・・・。」

 

アリスが忘れ物を取りに向かって早十分。流石に遅いと感じる二人だった。

彼女は基本、この様な事は直ぐに用事を済ませて戻ってくる筈である。

だが、十分も経っても戻って来ないと言うのは今まで無かったのだ。

 

「・・・・アリス・・・・・・」

 

当然、それは兄であるブリットも同じである。

彼女の事は良く知っており、彼も直ぐに戻ってくると思っていたからである。

そして、流石に少し心配になったのか、シャルロットがラウラに話しを切り出しのだ。

 

「ラウラ。僕、少し見てくるよ。」

 

「・・・・解った。部屋に居なかったら連絡しろ。ブリッジに頼んで監視カメラで探してもらう。」

 

「解った。」

 

そう言ってシャルロットが格納庫を出ようとしていた時、ラウラ達の前にエリン達が寄って来た。どうやら、話しをある程度聞いていたらしい。

 

「・・少佐。何か?」

 

「・・ああ。メンバーの一人が戻ってこないんだ。」

 

「・・・・・・そうですか・・・」

 

その時。どうやら別件でその場に居なかったエリンの小隊のメンバーがやって来て、エリンに小声で何かを話していたのだ。

そして。彼女は笑みを浮かべ、再びラウラの方に顔を向けたのだ。

その表情に何か裏があると、ラウラは思ったのだが。

 

「・・・・・多分・・・・・・・・・戻ってきませんよ。」

 

「っ・・・・!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カチッ!

 

 

 

 

ドゴンッ!!

 

ボボボボッ!

 

 

 

刹那。

膨大な爆発音がシロガネから鳴り響き、あちら此方に爆発が起こったのだ。

それにはブリッジに居た朱音達も驚き、状況報告を命令したのだ。

 

「なっ・・何が起こった!?」

 

「艦内から爆発が発生!ミサイル発射菅一番・二番・三番が大破!CIWSも左翼一列目と右翼一列・二列目が使用不可!」

 

「大型テスラ・ドライブ、四番から六番までが使用不可!巡航高度、維持できませんッ!!」

 

「っ・・・・発進カタパルトも一番から三番までが大破!艦首だけ滅茶苦茶だろ!!」

 

「全く・・・艦首とは相性が悪いな・・・・・・仕方無い!現空域から離脱!直衛機にも伝えろ!フランス政府には悪いが・・・フランセ自然公園に不時着するぞ!」

 

「り・・・了解ッ!!」

 

朱音の命令に少し冷静になったブリッジクルー。

そのお陰か、戦艦は不安定な状態でいつつも戦域から後退するのだった。

 

 

その頃。その原因の場所である格納庫でも爆発が起きており、格納庫内でもパニックになっていたのだ。

 

「っ・・・・・!」

 

 

「矢張り生き残るか・・・・まぁ想定はしていたがな。」

 

「何っ・・・・・」

 

エリンがそう言うと彼女達はVz.61、世に言うスコーピオンを使い、辺りに乱射したのだ。

その弾に整備兵などが当たり、その音や声で其処に居る整備兵などに攻撃したのだ。

 

 

「ぐぎゃっ!?」

 

「がはっ・・・!」

 

 

「何っ・・・!?」

 

かろうじてラウラやブリットなどは直ぐにその場から離れ、ブリットは一旦参式のコクピットに、ラウラは近くにあった機材を盾にしたのだ。

 

「・・・出るぞ。後はやっておけ、バルゴラ4。」

 

「了解です。」

 

エリン達は残弾が無くなった銃を捨てると、自分達の機体に乗り込み、一機が別行動で残る三機が外に出て行ったのだ。

それを見てラウラが追おうとし、ブリットがそれを止めようと声を上げたのだが・・・

 

「っ・・・待て、ラウラッ!」

 

『ブリット、聞こえるか!?』

 

「アンさん!?大変です!コッチで整備兵たちが・・・いや、それよりも・・・・」

 

『そっちも大切だろうけど、コッチも大変なんだ!お前の妹を見つけた!銃で撃たれてる!』

 

「えっ・・・!?」

 

『今、機関室で倒れていて、それを生きていたカメラで見つけた!急げ!』

 

「っ・・・・・・・!」

 

 

彼女を止めるよりも妹を優先してしまったブリット。その後悔と共に参式のコクピットすら降り、機関室に向かったのだ。

 

そして、ラウラはブリットの制止が無かったので、自身の機体と共に外に出ようとしていたのだ。

それを見てシャルロットも気付き、ラウラの後を追ったのだ。

 

「うっ・・・・・・えっ!?」

 

「くそっ・・・・!」

 

「な・・・何がどうなってるの!?ってラウラ!?」

 

 

 

 

一方。それが何かの合図だったのか、外で直衛に回っていた大尉達のAMのモニターには異様な光景が移っていたのだ。それは、反乱軍同士での内乱だったのだ。

 

「どうなってる・・・・内部分裂か?」

 

『隊長!各地でも相次いで反乱軍が組織崩壊を起こしているとの報告が・・・!』

 

「何っ・・・・・?」

 

それが各地で起こっていると知り、驚きを隠せなかった大尉。

それは更にどうやら前線でも起こっていた様なのだ。

 

『此方、アサルト1!此方でも反乱軍同士の内輪もめが起こっている!一体どうなっているのですか!?』

 

「解らん!シロガネが爆破されたと同時に、反乱軍が一斉に内部分裂したらしい!」

 

『えっ!?シロガネが爆破って!?』

 

「詳しい話は後だ!今は此方はシロガネの安全を確保・・『隊長!シロガネ内部からIS達が!?』」

 

すると、格納庫辺りからエリン達の機体と、それを追うラウラ。そして、そのラウラを追うシャルロットがタイミングがバラバラではあるが出てきたのだ。

 

「っ・・・・まさか・・・!?」

 

何かに気付き、思わずペダルを踏み。操縦レバーを押した大尉。

そのままラウラ達の後を追跡していったのだ。

それにはアン達も驚いていたが、艦の状態からしてそんな事を言っている場合ではなかったのだ。

 

「っ・・・・・・仕方無い・・・残る直衛機は引き続き艦の護衛を!」

 

「テスラ・ドライブの機能を停止!不時着ポイントは・・・・・!」

 

「着水可能な場所はありますが・・・・」

 

「・・・それはどこにある?」

 

「はっ・・・・クラーヴル川なら・・・・」

 

「・・よし。進路を其処に合わせ、艦を着水させる!」

 

「り・・了解!座標設定!予備ブースターで移動します!」

 

 

「くそっ・・・イキナリの爆発なんて・・・・一体誰が・・・・」

 

「・・・多分、答えはすぐに解る筈だ。」

 

「えっ・・・?」

 

アンが朱音の言葉に首をかしげると同時に閉ざされていた自動ドアが爆発し、ブリッジに居たクルー達は驚いた。そして、アンは何があったかとその場に寄ると、そこにはラファールに乗り、所々血まみれの兵士がいたのだ。その彼女こそ、エリンの部隊の隊員であったのだ。

 

「っ・・・・おやま、伍長・・・随分と物騒な化粧ね。」

 

「・・・・・・・。」

 

アンの言葉を無視し、アンと朱音にマシンガンを構える伍長。それには他のブリッジクルーも怯えていた。しかし、朱音達は動じもせず、それ所か目つきが少し変わっていたのだ。

 

「・・・・そう。どうやら・・・・・・」

 

それに少し怯えた伍長だったが、容赦なくアンと朱音に向かい発砲。

しかし、朱音は紙一重で回避し、アンに至ってはその場から消えていたのだ。

 

「えっ・・・・!?」

 

 

 

 

 

次の瞬間。ラファールの銃が全て切り裂かれた。

それを見て、彼女は驚き、周りを見るのだが、その何処にもアンは居なかったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それもその筈である。彼女は伍長の頭上に居たのだから。

 

 

「・・・じゃあな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

伍長が気付いたのは、アンが自分に刀を向けて突き刺そうとしていたその時だけである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ニダヴェリール・・・

 

その頃、別の戦線でも同じく反乱軍同士の内乱が発生していたので、状況がつかめていない状態であった。しかし、司令官はある仮説をその状況から立てたのだ。

 

「・・・・やはり・・・・」

 

「司令?」

 

「彼等、反乱軍は最初から一枚岩では無かった・・・寧ろ、この状況から察するに、最初からこの騒乱は仕組まれていた様だ。」

 

「・・・となると・・・反乱軍の中の反乱軍?」

 

「・・・言うなればそうなる・・・。しかし、それなら最初から勢力を二分すればよかったのではないか?」

 

「・・・利害が一致した・・・だけではイマイチ理由にはなりませんね。」

 

「ああ。だから・・・・・・・彼女達は、反乱軍と言う組織自体を隠れ蓑にしていたと言う事なのではないかと、私は思う。」

 

つまり、反乱軍の中の反乱軍。これを革命軍と称し、彼等が反乱軍同様決起たしとしよう。

しかし、連邦軍の戦力差は重々承知しており、闇雲に戦域を広げたりするのは得策ではないと彼女達は思っていた。其処で、あえて反乱軍に参加し、戦力を増強。反乱軍最大の目的である参謀本部制圧までなりを潜めていたのである。

 

「そして・・・参謀本部が陥落寸前になった、この時を好機と見て・・・彼女達は決起した・・・と言う事ですか?」

 

「そう言う事だ。今なら、連邦・反乱両軍は疲弊している。其処で我々を一網打尽にする気なのだろう。」

 

「なるほど・・・・」

 

副指令は今の説明で納得していた。しかし、司令官はまだ何か可笑しいと考えていたのだ。

それは第三軍。つまり、司令官が革命軍と称した軍の統制が取れていると言う事である。

 

(・・・軍自体の統制が取れていると言う事は・・・何処かに命令を出している司令官が居る筈・・・だが、その様な人物は何処にも居ない・・・もしや・・・・?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方で、エリンとそれを追跡するラウラ。

エリン達は脇目にくれず、一直線に参謀本部に向かっていたのだ。

 

「狙いは参謀本部か・・・・・」

 

狙いが定まれば何時でも撃てる。

と言う状況では、今回は無かったのだ。

シロガネでの補給の際にブースターに装備されていたミサイルポットなどが取り付けが間に合わないか、流れ弾に当たって爆発・誘爆したかで殆ど駄目になっていたのだ。

結果、武装は全て機体本体にある装備しかないという状態なのだ。

 

「カノンで狙撃・・・・駄目だ。ブレが強すぎて狙いが定まらん・・・」

 

彼女の機体の射撃武装はチェーンガン、クレイモア、オクスタン・カノンの三つ。しかし、どれも今の状況では難点のある武装ばかりで使えたとしても当たる確率は低かったのだ。

 

「・・・・・・。」

 

仕方が無いと思い、機体のスピードを上げるラウラ。

徐々にではあるが距離は縮んでいたのだ。だが・・・

 

 

 

「・・・そろそろだな。バルゴラ2.3、用意はいいな?」

 

「「はっ。」」

 

「よし。では散開。」

 

エリン達は突如、三方に分かれたのだ。

それに驚くラウラだったが、それでもエリンを追跡していった。

しかし、それはエリンも知っていた事で、他の二人はわざと散開させたのだ。

その理由は、ラウラの後を追うシャルロットだったのだ。

 

「迎撃開始。」

 

「了解。」

 

ラウラを追うシャルロットを見つけた二人はシールドミサイルを片手を三発ずつ発射する。

計十二発のミサイルは全てシャルロットに向かって飛んで行くと途中で表面が分解され、中から大量のミサイルが姿を現したのだ。

 

「イ゛ッ・・・!?」

 

それをマニューバーなどて回避し、M90アサルトマシンガンを使用して迎撃する。

しかし弾数が多い所為で、かなりの数が残り、シャルロットに向かって行ったのだ。

 

「っ・・・・!」

 

刹那。残る全ての分裂ミサイルが全てシャルロットに向かって当たっていった。

それも十発などではなく、二十発・三十発といった規模の数であった。

 

 

「・・・・・。」

 

「やったか?」

 

 

 

爆煙を見つめる二人。其処にはシールドで防いでいたシュヴァリエが居たのだ。

 

「っつー・・・・・流石に痛いな・・・・・」

 

「ちっ・・・追撃するぞ。」

 

「解った。」

 

「っ・・・・!」

 

シャルロットがまだ生きていると知ると、二人はショットガンとライフルを持ってシャルロットに接近していった。それを機体の持つスピードで距離を取り、バック中で彼女達の上を取る。

そして、主武装である長身ライフルを構え、二人に向かい射撃したのだ。

 

 

ドウッ!ドウッ!

 

 

 

「っ・・・!」

 

気付いた二人はシールドミサイルのシールドで攻撃を防ぐ。

シールドと言うだけあって防御力もかなりあったのだ。

 

「あーもー・・・!」

 

 

「チッ・・・・!」

 

「近距離で攻めるぞ・・!」

 

「解った!」

 

そして、二人は再びシャルロットへの接近を試み、それに対しシャルロットも反撃をするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

一方でエリンは参謀本部に向かい移動を続けており、それをラウラが追跡し続けていた。

しかし、突然エリンは降下し、市街地に姿を隠したのだ。

 

「・・・・・?」

 

不審に思うラウラだったが、それでも追跡を続け、飛行から地面へと下りて走行したのだ。

 

「・・・・・・・。」

 

地面を走行し続けると、広場に出た。其処には正面から対峙するエリンが居たのだ。

足を止めると、二人の間隔が十メートル程の所でラウラは止まった。

そして、それと同時に雲行きが少しすづ怪しくなっていた。

 

 

 

 

「・・・・・一つ、聞きたい。」

 

「・・・何ですか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前は何者だ?」

 

たった一言の質問。それを聞いたエリンは突如

 

 

「フッ・・・・フフフフフ・・・・・」

 

 

笑い始めたのだ。

 

「・・・・・・・。」

 

「・・・いえ、無理も無いわ。貴方は何も知らないものね。」

 

「・・・・・。」

 

「いいわ。教えてあげる。私はエリン・シール。元々はIS開発公社のテストパイロットよ。」

 

「・・・・・テストパイロットか。」

 

「ええ。確かに、傍から見れば何の変わりも無い唯のIS乗りよ。けどね、だからこそよ。」

 

「・・・・・・・。」

 

 

「かつてIS一強と言われていた時代。世界は次世代機開発の為に国家は総力を挙げて開発公社に資金を提供していた。当然、私の所属していた開発公社もね。けど、その後にAMやPT、更には特機なんてものが現れて、全ては変わった。」

 

「・・・新型機動兵器による開発資金の減少・・・か。」

 

ISは圧倒的な機動性や適正者への汎用性が高い存在で、それまでは最強の兵器として頂点に達していた。しかし、ゾガルなどの侵攻事件を切っ掛けに、更なる戦力強化が必要となった。其処で、新たに登場したのがAMなどである。

大きさはISを上回るが、それと引き換えに高い汎用性を誇る。更に、陸海空と宇宙などと場所を選ばない多様性も評価された。そして、最もの決め手として男性でも運用可能と言う利点があったので新たに機動兵器の開発が始まったのだ。

 

「そう。それに伴い、ISの新型開発への資金提供は減少。多くの開発企業が倒産に追いやられた。」

 

「・・・まさかそれだけの理由ではないだろうな。」

 

 

「それだけ?それだけだと思うか?今まで地球を守ってきていたのは他でもない、私達女よ。

それが、あんなポンコツ達が出てきた途端に私達を用なしか捨て駒扱いにした。」

 

「・・・・・・。」

 

「何時の時代も世を作ったのは男ではない。命を作る女達よ。」

 

「だから・・・・反乱を起こした?」

 

「・・・それだけではない。今や、私達の同士は政府内にも居る。彼女達が政府内の腐った男どもを粛清し、女達が主体の体制を作る。女なくして、命などない。」

 

「・・・・なるほど。後先考えない反乱軍とは違い、ビジョンはある様だな。」

 

「それでは終わらせんさ。男達は自分達が時代を作ったと主張するがそれは間違っている。自分の欲を叶えたいが為に全てを利用する。だが、私達は違う。私達は私達の為に全てを行う。」

 

「・・・・・・。」

 

 

「その為に・・・私達は異星人の技術を手に入れる。」

 

「異星人の・・・?」

 

「そう。異星人の量産機は全て無人でありつつも、今の私達の物よりもはるかに高性能だ。異星人とて、私達が彼等より劣っていると思っている。だから、私達の力を見せ付ける事も兼ねて・・・な。」

 

「・・・まるで女が種の頂点と言ってる様なものだな。」

 

「当たり前だ。男達が歴史に名を残せたのは、今の地位を手に入れられたのは他でもない、女のお陰だ。それを知らず、見ず、挙句用なしになれば捨てる。そんな者達に地球は守れんさ。」

 

 

エリンが全てを話し終えると曇っていた空から雫が落ちて来た。

そして、段々と雨が降ってき始め、やがて街全域を覆ったのだ。

 

やがて、ラウラが口を開き、エリンに対し異議を言ったのだ。

 

「男が劣る・・・な。だが、今まで男が居たからこそ地球が守られたものまだ事実だ。男に絶望するには・・・私はまだ早いと思うがな。」

 

「・・・・・またあんな劣等種を信じるか、お前は。」

 

「劣等種か・・・そう言って、ゲストの司令官は死んだらしいぞ。地球人類は我々より劣る。そういった油断が・・奴等の敗因だとな。」

 

「・・・・・・・・私があんな奴等と同等だと?」

 

「さぁな。其処までは知らん。後は・・・自分で考えるんだな。」

 

ラウラがそう言うと臨戦態勢に入る。

エリンもそれを見て右腕に装備されているシールドミサイルを構え、ミサイルの用意をした。そして。

 

 

「そうさせてもらうよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

刹那。

シールドミサイルから三発のミサイルが放たれた。

それをラウラはチェーンガンで迎撃。爆発で周囲が煙に満ちたのだ。

 

「っ・・・・・」

 

僅かだが飛翔時独特の音がした。どうやらエリンが飛んだらしい。

なれば上か、後ろかと、警戒を強めた。

しかし。

 

 

「何処を見ている。」

 

エリンは堂々と正面から現れ、ラウラにショットガンを向けていたのだ。

それを見て咄嗟の反射神経で防御体勢に入る。

だが、それでもエリンは発砲し、殆どの弾はアイゼンの装甲に弾かれた。

それでも、僅かな弾が当たり、ラウラの肩や足などを貫通していたのだ。

 

「っ・・・!?」

 

「コイツ等の武器は全て対絶対防御用でな。絶対防御はアテにならんさ。」

 

(対絶対防御・・・・シャルの母親が開発したアレか・・・!)

 

至近距離ならばと思い、ラウラはワイヤーブレードを放つ。

しかし、いずれも追加装甲に当たり、ダメージは期待できなかった。

それを好機と見たエリンはアイゼンの装甲を蹴り、シールドミサイルから小型のミサイルを発射した。

それと同時にミサイルからは煙が舞い、エリンはその中に消えて行ったのだ。

 

「っ・・・スモーク・・・・!」

 

ラウラは再び不意打ちを受けぬようにと周りを警戒する。

だが、それはエリンにとっては無意味に等しかったのだ。

 

 

ドウッ!!

 

 

再びラウラにショットガンが当たる。しかし、当てられたのは幸いにも左腕で、そのままチェーンガンで反撃をしたのだ。が、当たったと言うよりは掠った音がしただけで、エリンは再びスモークを放つと、姿を消したのだ。

 

「・・・・・・・。」

 

スモークがココまで長く続く理由。恐らくはスモーク自体の濃さはそれほど無く、雨による視界の悪さなどが゛影響しているのだと推測するラウラ。ならばと思い、カノンを上空に構えるのだが・・・

 

 

ヴドドドドドドッ!!

 

 

 

突如ガトリングが放たれ、カノンは爆発したのだ。

だが、これで視界は少しは良くなる。そう思った時であった。

 

 

ドドドドドッ!

 

 

「っ・・・・!!」

 

後ろからマシンガンが放たれたのだ。ラウラはすぐに振り向くも其処には誰も居ない。

そして、再び後ろを攻撃される。

 

「っ・・・・・何処に居るっ!?」

 

思わず叫んだ。

しかし、周りから聞こえるのはエリンの微かな笑い声しか返ってこなかったのだ。

気付けば再び周りはスモークが張られている。またスモーク弾を撃たれたようだ。

すると。さっきまで微かだったエリンの声が今度はハッキリと聞こえたのだ。

 

「さて。これでスモークは御終い。後は貴方をじっくりと・・・痛ぶってあげるわ。」

 

「・・・随分と余裕だな。」

 

「ええ。負傷している貴方とは違うし。それに、そろそろ痛みが強くなってきたでしょ?」

 

「・・・・!」

 

エリンの言葉に今まで意識していなかった傷の痛みが表れてきた。

無我夢中で戦っていたのがある意味抑制剤となっていたらしい。

それを最後に再びエリンの声は途絶えた。

 

(・・・痛みが強くなってきた・・・そろそろ決めたいが・・・どうする・・・)

 

苦渋の決断か。ラウラは地面に向かってクレイモアポットを解放する。

地面に叩き付けて視界を無理矢理広げるつもりだ。

だが、それはエリンが許さず、また好機と見ていた。

 

 

(貰った・・・・!)

 

エリンがそう思い、ラウラの背内にライフルを構える。

後ろの飛行ユニットを破壊すれば相手は飛べず、さらに誘爆でダメージを受ける。

これで流れは完全にコッチのものだ。

 

 

 

 

だが。

 

 

 

ガチャッ!

 

 

「っ・・・・・!!」

 

突如、ラウラは上半身を起こし、マシンガンを右手に、チェーンガンと共に回りに乱射し始めたのだ。それにはエリンも驚くが、冷静にシールドで防御した。

だが、それこそ、彼女の一瞬の油断であった。

 

 

チッ

 

 

「見つけた・・・・!」

 

ラウラは掠った音のする方にスラスターを吹かして突進した。

右腕を構え、そのまま一気にステークを突き刺す。後はトリガーを引くだけ。

しかし、ココで彼女は意外な事に気付くのだ。

 

 

「・・・・・っ・・・姿が・・・無い!?」

 

そう。ステークの刺さる感覚と音はしていた。しかし、その先には何も見えず、ステークの先端は消えていたのだ。この一瞬で彼女はどう言う事か、瞬時に理解したのだ。

 

(光学迷彩・・・!?)

 

光学迷彩。言うなれば姿を消し、周りの風景に溶け込む物だ。しかし、これは今は実用段階ではなく、僅かに試作型が出来上がっているだけである。

それが何故、エリンが持っているのか、それを考える暇は無かったのだ。

 

「チッ・・・!!」

 

直ぐ様ステークを抜くラウラ。だが、その隙にエリンはレーザーソードを構え、ラウラに向かって突き刺そうしていたのだ。

 

「コレで・・・・!!」

 

「っ・・・!!」

 

このままではやられる。その時だ。

 

 

ドゴンッ!ドゴンッ!

 

 

「「っ・・・!?」」

 

突如レールガンが何処からか放たれ、それがエリンに向かって放たれたのでエリンはシールドと急ブレーキのバックで攻撃を防いだのだ。誰が撃ったかとエリンが一瞬にして姿を現すと、其処にはリオンが一機向かってきていたのだ。

 

『殺らせんぞッ!!』

 

「大尉ッ!?」

 

「チッ・・・死に損ないが!!」

 

リオンに乗って後を追っていた大尉。シールドミサイルのスモークをエリンに撃ち込み、彼女の視界を奪った。そして、ゼロ距離でレールガンを放とうと、右腕のレールガンを構えたのだ。

 

『これでっ!!』

 

「なっ・・・・・!?」

 

これで大尉は勝つ。そう思った時である。

 

 

 

 

 

 

「ってね。」

 

『っ!?』

 

突如エリンのラファールの手首が下に曲がり、そこから小型のガトリングが姿を現したのだ。そして。そのガトリングでエリンは容赦なくリオンのコクピットに向かって乱射したのだ。

 

「なっ・・・・!?」

 

『があああああああああ!?!?』

 

「ハハハハハハ!!舐めんじゃないわよ!このド三流がぁ!!」

 

リオンのコクピットはガトリングで穴だらけとなり、パイロットスーツを着ていた大尉にも数発当たり、血を流したのだ。エリンがガトリングを撃ち終えると、リオンは音と共に倒れたのだ。

コクピットでは大尉が血を吐き、エリンは腕のガトリングを収納してラウラに分からない様にしてリオンに近づく。

流石にアレで死んだだろ。と思い、エリンはコクピットに近づいた。

 

 

「くっ・・・うう・・・・・」

 

 

だが、大尉はまだかろうじて生きており、腰に入れていた銃を持ち、ロックを外したのだ。

小型で弾は三発程度だが、すぐに使える銃であった。

 

「おや。まだ虫の息で生きていたか。」

 

「っ・・・!」

 

「おっと。そこまでだよ。それ以上近づけは、この男は・・・・」

 

「・・・・・・・・!」

 

 

 

 

パカンッ!

 

 

刹那。大尉は銃をエリンに向かって発砲した。

しかし、その弾丸は脇下を掠っただけで、決定打を打てなかったのだ。

 

「・・・・・・。」

 

「大尉ッ!!」

 

「糞ッ・・・・・・」

 

 

「私に傷をつけるか・・・この塵が。」

 

エリンは不愉快に思ったのか、ライフルを大尉に構える。

大尉もそれだけで済ますとも思っておらず、銃をエリンの心臓に向かって構える。

 

それにラウラもチェーンガンで攻撃しようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

パカンッ!!

 

 

 

刹那。一歩早く大尉がエリンに向かって銃を発砲した。

これで彼女は動けない。そう思った時だ。

 

 

 

 

 

 

 

「ざーんねんでしたー」

 

「「っ・・・!?」」

 

エリンは自分の目の前に武器を転送し、それを盾代わりにしたのだ。

結果、大尉が当てたのはエリンの心臓ではなく、ショットガンでエリンはその隙を逃さなかった。

 

「あぁ・・・・待てッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズドンッ!!

 

 

しかし。ラウラの言葉を聞かず、エリンは発砲した。

エリンの顔は快楽に溺れ、そのまま大尉に向かって発砲したのだ。

大尉は顔がすべて吹き飛び、首も根元以外無くなっていたのだ。

 

 

「あ・・・・・・・」

 

 

「フフフフフ・・・・ハハハハハハ・・・・・ハハハハハハハ!!」

 

何かが外れたのか、エリンは笑いながらライフルを死体に向かって乱射していた。

ラウラは未だに呆然としており、ずっと心の中で何かを言い続けていたのだ。

 

(止めろ・・・・もう死んだんだ・・・・止めてくれ・・・・・)

 

死者に対し攻撃を続けるエリン。

次第にエリンの精神は爆走し始める。

ラウラの精神は、鎖が朽ち始める。

 

「ハハハハハハハハ!!アハハハハハハハハハ!!!」

 

 

 

(もう・・・・・・止めろ・・・・・止めるんだ・・・・・・・・・・!!)

 

 

 

 

そして。

 

 

 

「死ねよ、このゴミカスがああああああああああああ!!」

 

エリンのその一言で、ラウラの心の何かが外れる音がした。

 

 

 

 




補足。

エリンが言いたかったのは・・・

1.自分はIS開発企業でテストパイロットをしていた。

2.しかし、あるときAMなどの生産が決定し、自分の所属する企業が経営危機に陥った。

3.ISを否定していた男性などが居た所為で結果、彼女の所属していた企業は倒産した(筈)。

4.そんな理由で企業を倒産させた政府(男)を怨んだ。

5.ならば男を蹴り落として女達が主体の政権作って地球守ろうぜ。って事になった。


結論から言えばエリンは自分たちの都合で企業とかを倒産させた男を憎んだということです。
まぁ理由がガタガタですのでアドバイスなど貰えたら幸いです。
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