インフィニット・ストラトス -Record of ATX- 作:No.20_Blaz
さて。物語はそろそろ動き出す。
どういう話しになるか・・・
がんばって書こうと思います・・・
Record.15 「New Actor」
学園に突如現れたゴーレム。
その姿はバフォームに酷似していた。
だが。それを知らず、知る暇も無く、四機がこれと相手をしていたのだ。
「堅いだけが取り得とは、お堅いねぇ!」
「無駄口叩くな!」
バフォームが前面に電撃を集束。
それを放ち、四機は散開する。
十分程この状態が続いているが、大したダメージはなく、弾が減るだけだった。
(マズイ・・・そろそろ弾も限界か・・・・!)
(カノンの弾は両方共に残り二発。クレイモア・・・・まだ大丈夫か。チェーンガンもそろそろ底が見えてきたか・・・・後はステークの弾が2セット。・・・賭けるか。)
「そろそろ〆にする?」
「無論だ。目を止めておけ穴はどうにかする。」
「・・・・はいよ。んじゃ行くとしますか!」
刹那。ラウラとシャルは最後の賭けに出た。
アリスの気力もそろそろ限界かもしれない。
なら、仕留めるタイミングはこれが最初で最後だ。
「せんせー!目潰し手伝って!」
「ッ!解った!」
千冬も残った武装を全て使い、バフォームに仕掛けた。
正面から突進する二人は、まずシャルが上昇し、スプリットを放つ。
頭部周りに集中して当て、更には後ろから千冬が左で殴る。
それが限界だったのか、ゲシュペンストの左腕も砕け始めたのだ。
『左腕部にレベルBのダメージ。プラズマステーク脱落。』
「ッ・・・・!だが・・・・!」
「全て叩き込ませてもらう。」
距離は十分。
ラウラはオクスタンカノンを先程ステークで当てた場所に突き刺した。
そして、ゼロ距離で残る全ての弾を撃ち込み、ダメージを蓄積させた。
「終わらんぞ・・・!」
カノンを出し、ブースターで距離を取り、クレイモアを追撃で入れる。
表面にダメージは薄かったが、幾つかが内部に入り、先程までの動きが鈍りきっていたのだ。
「アリスッ!!」
なら。これでトドメだ。
「メガ・ビームライフルッ、最大出力ッ!!」
刹那。アリスは最大出力でメガ・ビームライフルをバフォームに放った。
一撃は直進してバフォームに空いた穴に入っていき、内部から爆発を起こした。
「・・・・・・・やったか?」
「それ・・・・なんか、マズイ気が・・・・・・」
爆煙の中。
確認したのは、まだ動くバフォームだった。
どうやらまだ機能の幾つかが生きていたらしく、完全に破壊は出来なかった。
「ちっ・・・・・・まだ生きて・・・・・!」
「そん・・・・・な・・・・・・」
渾身の一撃が届かなかった。
それを目にし、アリスは意識を失ったのだ。
それを気にもせず、バフォームは肩部から衝撃波を発生させる。
回避には成功するが、その後の行動をどうするか。
(弾はさっきので殆ど使い果たした。チェーンガンとカノン。後は残ったステークとクレイモア。後ろを取れれば・・・・いけるか?)
(・・・ラックフィールドがアウトか・・・此方の機体はそろそろ限界・・二人はどうだ?弾
がそろそろマズイか・・・・・・)
『シャル。残弾は?』
「・・・オクスタンのカートリッジが3セット。マシンガンは後二回で弾切れかな。シールドのバンカーも弾はもう無いよ。んで、スプリットも。」
『・・・残った武器はそれだけか。』
「んー・・・・相手が先生だったからね。追尾性が高いものしか入れてないし・・・これが全部かな。」
『・・・・解った。』
出来ない話でもない。
シャルが牽制し、自身が一気に間合いを詰めてクレイモアでトドメを刺す。
相手の動きからはそう難しいものでもない。
だが、相手も全ての手を出したわけでもない。
恐らく、まだ何かを隠している。
(・・・・・様子を見るか・・・?)
シールドエネルギーはまだ残っている。
今なら相手の残った手を見るのは可能だ。
そう思い、ラウラはスラスターを吹かして突進したのだ。
その時だ。バフォームが隠していた手札を出したのは。
何処からか出したビームアックスを持ち、ラウラに向かって振り下ろした。
「ッ!!」
直ぐにブースターを吹かして回避する。
少しズレていたら真っ二つにされていた距離だった。
「ちょっ・・・ラウラ!?」
『・・時間は稼ぐ。今の内に教官を援護して下がれ。』
「っ・・・ボーデヴィッヒ。お前・・・!」
『・・・その機体では・・・そろそろ限界の筈です。アリスも転送された筈ですので、そっちをお願いします。』
「・・・・・・。」
以前の彼女なら出る事はなかったであろう台詞。
確かに、ゲシュペンストがもう限界に近いのは薄々感じていた。
だが、部下であり、生徒でもある彼女を置いて逃げろと?
「・・・・・・・・。」
出来る筈が無い。一夏同様、わが子の様に厳しく育てた彼女を一人など。
危険な場所にただ一人など。
そうやって、また大切な誰かを失うなど。
「・・・・・・・・・・・・。」
『・・・出来ないのは・・・解ります。けど、先生。今はラウラを信じてあげて。』
「・・・・・・しかし・・・・・・!」
『大丈夫。一人にはさせませんよ。絶対に。』
真剣な顔で千冬にそういったシャル。
彼女がラウラを信頼しているという何よりの一言。
だが。それでもと思う千冬。
その時だ。
『それに、私達も加わりますわ。』
「ッ!」
『流石に相手がアレだから・・何処まで戦えるかわかんないけどね。』
ピットからセシリアと鈴が戻ってきたのだ。
鈴の機体は、未だに衝撃砲の一部が壊れていたが、十分戦える状態だった。
セシリアも同様で、ブルーティアーズが数機破壊されていたが、鈴同様、戦えるのだった。
「お前達・・・!」
『わお。二人共大丈夫なの?』
『ええ。スターライトも無事ですし、援護は可能ですわ。鈴さんより。』
『ちょっと。最後の一言、どう言う事よ!』
機体が万全の状態でもないのに余裕の表情の二人。
自分ならまず無い事だ。
だが、彼女たちは今はそうしている。
だからだろうか。
「恐らく、アイツも機体の限界が出始めている。チャンスは必ずある筈だ。」
信じてみたくなるのは。
「ちゅー事は、もう一度あの開いた穴に攻撃を加えれば・・・」
『倒すのは可能でしょうね。ですが、相手がそれを許すかどうか。』
『今の状態でやっても効果は薄そうね。なら、〆はアタシとラウラでどうにかしないと。』
「・・・って事だけど、OKラウラ?」
「・・・・・・ああ。全機。突貫するぞ。」
その言葉を合図に、ラウラと鈴がバフォームに向かう。
そして、それを援護するセシリアとシャル。
狙いを穴の部分はなく、頭部にして完全に相手の目を潰そうとしたのだ。
反撃をしようとするバフォーム。だが、相手が何処に居るかは大体でしか解らないので衝撃波で全体に薄く攻撃を行った。それで相手の位置を割り出す為だ。
「ッ!!衝撃波・・・」
「私を盾にしろ。コレ位ならコイツの装甲でも大丈夫だ。」
「・・・解った。」
鈴はラウラの後ろに下がり、彼女を盾にする。
衝撃波が正面からラウラに襲い掛かるが、アルト譲りの装甲の厚さでノーダメージだった。
そして。衝撃波が切れる時。二人はバフォームの近くに近づいていたのだ。
「シャルッ!!」
『はいよっ!!』
オクスタンランチャーのEモードとセシリアのスターライトMk-Ⅱでの同時攻撃。
二つの閃光はバフォームの穴を確かに貫通し、火を吹かせたのだ。
「これでっ!!」
「終わりだ・・!!」
そのダメ押しに鈴の衝撃砲とラウラのクレイモアが穴に入れられる。
至る所に突き刺さったベアリング弾が機器を破壊し、爆発を引き起こした。
そして。バフォームは各所から火を噴出し、完全に沈黙したのだった。
「・・・・・・・・止まった?」
『・・・・・全機能停止を確認・・・・・』
『っ・・ぷはぁ・・・・・つ・・疲れたぁ・・・・』
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・本当に・・・・これで・・・・?」
『ゼンキノウテイシ。キンキュウプログラムキドウ。キノウダイショウニヨルカイフクヲジッコウスル。・・・・・・・カイフクヲカクニン。ゼンキノウノ25パーセントガサイキドウ。キタイヲサイキドウサセル。』
「ッ!!」
『まだだっ!!』
千冬の通信越しからの叫び声に反応し、四人はバフォームを見つめる。
何と、バフォームは鈍い動きではあるが、動きだしていたのだ。
「何っ!?」
「まだ動けたんですの・・・!?」
「こっちはもう弾も無いって!」
バフォームがそんな事はお構いなしに再び衝撃波を起こそうとする。
だが、その衝撃波は機能の一部が失われているのでどれだけの出力なのかは全く検討がつかなかった。
『全機撤退しろ!このまでは巻き添えだ!』
四人は撤退をするが、バフォームがその隙を突いて衝撃波を発生させようとしていた。
恐らく。逃げても間に合わない。
が。
『ブーストナックルッ!!』
「ッ・・・!!」
突如。上空から一つの青い拳がバフォームに向かって放たれた。
言うなればロケットパンチである。
「この声・・・まさか・・・・!?」
思わず千冬は上空を見る。
すると、其処には一機の特機が空に浮かんでいたのだ。
その名も。『グルンガスト改』
「チッ。しぶとい野郎だ。箒ちゃんっ!!」
グルンガスト改の手に上から、参式を纏った箒が降下する。
参式斬艦刀を構え、一直線にバフォームに向かっていったのだ。
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
そして。バフォームは斬艦刀によって一刀両断され、今度こそ、完全に地沈黙したのだった。
「イルム!お前・・・・」
『いやぁ・・すまんすまん。グルンガスト取りに行ってて時間が掛かっちまった。』
「・・・・・・・最後の最後を横取りとは・・・大人気ないな。」
『・・・・。其処は勘弁してくれ。こっちも回収の為にカイ少佐呼んで来たんだからな。』
イルムがそう言うと、学園に向かって輸送機のタウゼントフェスラーが向かってきていた。
どうやら彼の言う通り、カイ達がやってきたらしい。
「・・・・・・そうか。」
「・・・にしても、コイツは一体何だったんだ?」
突如として現れたバフォーム。ソレを見て箒は首を傾げていた。
そして、その話もするべきかと思い、イルムは千冬にこの後の事を言った。
『・・・千冬。ゲシュペンスト預けて、怪我を直したら伊豆に来てくれ。話したい事がある。』
「・・・・・解った。」
『センセー。結局、あのロボットどうするの?』
「・・・此方ではどうにも出来ん。軍の預かりになるだろうな。」
『・・・・・教官・・・コイツは一体・・・・・』
「・・・さぁな。私にも解らん・・・・」
アリーナで事故処理が行われている。
その光景を学園の屋上から数人の誰かが見ていた。
「・・・・なるほど。確かに、あの機動兵器は『私達の世界』の物ではないわね。」
「・・・・見るからに、異星人の物でもなさそうですね。ですが一体何処で・・・」
「・・・・・・これは、少し探りを入れる必要があるかしらね。」
「・・・・・・・それは、生徒会長としてですか、更識さん。」
「・・・・・そうね。学園で起こったことですし。知る権利はあると思うけど。違いますか、ヨン・ジェバナ?」
「・・・・・・・・。」
扇子を持ち、アリーナを見つめる楯無。
そして、その隣にはヨンと本音、さらには簪も居た。
何が目的でこうしているかは不明だが、ただ学園の治安を守るという気はあったらしい。
(さて・・・・・彼女と連絡を取って見ますか・・・)
(・・・・マスター。どうやら、この世界はある意味呪われている様です。次々の私の前にトラブルが巻き起こります・・・ああ・・・どうすればいいのでしょうか・・・)
その頃。デュノア・カンパニーの社長室ではデュノア婦人がバフォーム撃破の報を聞いて怒り狂っていた。
「どうして!?どうしてわが社が開発した『ゾラ』が撃破されたのよ!設計は完璧だったと貴方が言った筈よ、ミスタ!!」
婦人はそう言って社長室のソファに座っている『ミスタ』と言う男に向かって八つ当たりをした。
その本人、ミスタはその台詞を読んでいたかのようにため息を吐くと、婦人に言い返したのだ。
「お言葉ですが、婦人。我々が提供した技術はまだ未完成の物。それを完璧と言われるのは・・こちらもどうかと思います。」
「・・・・・・それは・・どういう事?」
「簡単な事です。未完成なら、後は自分で完成させればいい。軍事兵器と言うものはそう言う醍醐味もあります。でしょ?」
「・・・・・・フン。なるほどね。要するに、貴方は私を馬鹿にしていたと。」
「・・・そう取って頂いても結構。私達は貴方とはビジネスパートナーとしてですし。無責任な点も多々あるでしょう。其処はすっぱりといってくださっても問題ありません。」
「・・・・・いいわ。此方にはまだ多くの新型の機動兵器とISが残っている。これを連邦や各国、果てはテロリスト共に提供すれば・・・わが社は大いに潤う・・・そして・・・あの愚かな男の会社を木っ端微塵に・・・・・」
(・・ヤレヤレ。随分と血の気が盛んな女だ。アレでIS適正があったら、真っ先に前線に出るタイプだな。)
ミスタはそんな婦人を見て内心呆れていた。
自社利益と個人的復讐と言う彼にとっては『どうでもいい』理由を掲げる婦人。
そんな彼女を彼は徹底的に利用するかと考えていた。
「・・・『プロジェクト:キング』の状況は?」
「・・・・骨組みは完了しているわ。後は、貴方達から物資が届けられれば、直ぐに組み上げに入るわ。」
「・・・そうですか。我々もそのプロジェクトは成功してほしいので、全力でご支援いたします。」
「・・・・ええ。同時進行の『プロジェクト:セイヴァー』も・・」
「ええ。ご承知しています。」
その後。ミスタは会社を後にし、一人何処かの家屋の屋上に座っていた。
夜空が輝く星空の下、ミスタはポケットから衛星電話を取り出し、誰かに連絡したのだ。
『・・・私ダ。』
「ミスタです。此方の状況は順調。婦人も率先して開発を行っています。」
『・・・ソウカ。例ノ二ツノ機動兵器。必ず完成ト実戦テストマデハ持ッテイケ。』
「ええ。相手は恐らくシロガネかハガネの部隊辺りでしょうが。相手としては最高の逸材です。それに、此方の手の者が随時開発データなどをコピーしているのでそれをまた後でお送りします。」
『・・・・成功サセロ。ワカッタナ、ミスタ。』
「ええ。
全ては、利益の為に。」
次回予告
回収されたバフォームとそれについての話しを聞きに行く千冬。
その頃。束と一夏はある人物と出会っていた。
そして、更に新たな企業がIS開発に名乗りを上げる。
次回「会い・逢い・合い」