インフィニット・ストラトス -Record of ATX- 作:No.20_Blaz
テスラ・ライヒ研究所・・・
ご存知、特機やAMなどを極秘裏に一部開発しているテスラ研。
現在では、独自開発となっているテスラ・ドライブを発注しているのがメインとなっている。
そんなテスラ研に戻ってきた箒。目的は当然、参式の修理である。
「・・・・うーん・・・」
「・・・どうですか、カザハラ博士?」
「特筆した問題点も無いから・・・ざっと二・三日で修理できるだろうな。」
「・・・分かりました。」
同研究所、IS専用ハンガーではジョナサン=カザハラが参式の状態を見て修理完了までの時間を見積もっていた。
流石に目立った損傷と言うのが無かった為、かなり短い時間での修理と言う事だ。
「ま。特機相手にあの馬鹿がココまでやるとは・・・全く、恐れ入ったよ。」
「・・・・・・・それで、話しとは?」
「ん?ああ。その事か・・・・と言うか、箒ちゃん。」
「・・?」
「後ろの子、誰?」
「・・・・同級生であり・・・・」
「セカンド幼馴染です。」
何故かちゃっかりと付いて来ていた鈴。
それで何故か預かったISが二体いたのかと思うジョナサン。
彼女が中国の代表候補と言う事は知っていたので、一応尋ねた。
「・・・ええっと。で、どうしてココに?修理なら本国で出来ただろ?」
「まぁそうなんだけど・・・・・こっちの国が結構立て込んでて、それ所じゃないの。」
「・・・なるほど。って事で門前払いされたって訳か。で?ココに来た理由は?」
「・・・・・行くアテが無いので・・・・・」
「なら、千冬と一緒に伊豆基地に行けば良かったんじゃないのか?あっちなら簡単に修理も出来た筈だ。」
「まぁそれもそうなんですけど・・・・・・・・ぶたれるの怖いし・・・・」
ぶたれるのではなくて殺されるのではないかと思い、少し震えた鈴。
流石にそれには嫌でも納得した二人が居たのだ。
そして、その後には地獄の特訓があるであろうと察して。
「・・・・ま、甲龍も損傷はヒドイがパーツ自体を交換すれば直ぐに直る。唯時間は少し掛かるがな。」
「あ・・ありがとうございます。」
「何。可愛い娘さんの頼みとあらば、私も本望さ。所で・・・」
「・・・私が呼びだされた理由は・・・?」
「ああ。そうだったな。実はグルンガストの弐型が一応のロールアウトをしてな。その詳細なマッチングに箒ちゃんを呼んだって理由。」
「弐式を・・・ですか?」
グルンガスト弐型。
グルンガストシリーズでは三番目に作られた機体だ。
ISでは零式・弐式改・参式と言った順番で本来あるべき壱式はまだない。
一応では四番目に作られたISである。
「特機タイプであり、グルンガストタイプを乗っているのは今の所君だけだ。だから、詳細なマッチングにはどうしても力が欲しかったと言う事だ。」
「分かりました。直ぐに行きます。」
「ふーん・・・特機ねぇ・・・・・」
「・・・見に来るか?」
「えっ?」
それから一時間程後。
カシュッ。カシュッ。
IS用実験室では箒は弐式を纏い、軽く手を握り開きをしていた。
他にも、軽く足を動かしたり、手を回したりと運動前の準備運動の様に軽く動かしていた。
そして、その姿を近くのボックスルームからジョナサンたちがデータを収集したのだった。
『・・・どうだ?弐式の調子は。』
「・・・・動き自体は悪くありません。ですが、どうしてもレスポンズが鈍いのが否めませんね。」
『・・・やっぱりか。骨格などのモーターが原因か?』
「それもありますが・・・どこか重量割り増しさせてませんか?」
『重量・・・・・ブーストナックルか?いや、ブースター自体ってのも・・・・・・兎も角、お疲れ様。一旦上がってくれ。』
「・・・分かりました。」
「・・・・・あれってさ・・・パーツ、ケチってない?」
「・・・・・あ。」
ボックス内での鈴の意見に思わず声を漏らしたジョナサン。
職員共々「それだったか・・・」と小声をもらし、自分達を内心で責めていた。
「忘れてた・・・思わず弐式をそのまま作っていたから、欠点もそのまま抱えてたんだ・・・」
「欠点?」
「弐式は元々量産試作機でな。グルンガストタイプの量産を考えていたんだ。だけど、コスト面での問題から見送り。正式に数機は組み上げたがそれっきりだ。」
「じ・・・じゃあ結局は・・・」
「まんまで組み上げちまった・・・つーことだな。」
そりゃ欠点があるな。と内心で呟き、ジョナサンと共に呆れる鈴。
量産前提であるグルンガスト弐式。変形機構はISである為、搭載されていないが、計都羅喉剣の応用とした計都瞬獄剣を装備している。
総合的火力はグルンガストの中では低いが、量産機としては上場の機体である。
が。変形機構を想定して中身をいじったので欠点をそのまま引き継いでしまったという訳である。
「となると・・・改良点はかなりあるな。モーター周りや一部の間接等々・・・」
「・・・・・・。」
「ん?どうした?」
「えっ・・あ・・いや・・ちょっとねー」
弐式の設計図を見ていた鈴。
その表示されたデータを見て、ジョナサンは「ははん・・」と声を漏らし、鈴に尋ねたのだ。
「計都瞬獄剣。使ってみたいか?」
「えっ!?」
「図星だな。ま、弐式が完成するまで待ってくれ。」
「・・・いいの?一応試作機なんでしょ?」
「まぁな。けど、実際使ってもらってデータを取らんと改善点も分からんからな。」
そう言ってジョナサンは弐式の設計図とにらみ合いをした。
改善点が見つかり、今後の弐式改修計画を立てる為だ。
その後。鈴は箒に軽くではあるがテスラ研の案内をしてもらっていた。
だが、これが実はトンでもないことに繋がるとは思っても居なかったのだ。
「・・・あ。ラドム博士。」
「あら、久しぶりね篠ノ之箒。」
偶然にも通りかかったラドム。
彼女の目線は、今までこの施設では見なかった鈴に向けられた。
そして、彼女の顔を見て何者なのかを直ぐに思い出したのだ。
「貴方・・・中国の代表候補の子ね。」
「はい。って・・・貴方は・・・・」
「・・申し送れたわ。ラングレー所属、ATX計画開発主任のマリオン=ラドムよ。」
「ふ・・・凰鈴音です・・・・」
「ところで箒。貴方が戻ってきたと言う事は、参式が遂に大破でもしたのかしら?」
「・・・相変わらずのEOT嫌いですね、博士。」
「EOT・・・嫌いなんですか?」
「ええ。あんな信頼できるかどうかの物を信用しろと言うほうが無理ですわ。」
すっぱりと自分がEOT嫌いだと言うラドム。
世の中にはこんな人間も居るのだな。と改めて思う鈴も居たのだ。
しかし、大破は嘘としても、何らかの事があって戻ってきたのだろうと思ったラドムは再び箒に尋ねるのだった。
「・・・大方、グルンガストのアジャストの手伝いでもされたのでしょ?」
「え。ええ・・・」
「・・・所詮はEOTですか・・・・が・・見てなさい。近い内、私が貴方に最高の機体をプレゼントしてあげますわ。
フッ・・フフ・・・・フフフフフフフフ・・・・・・」
相当嬉しい事だったのだろう。かなり満面の狂気の笑みであったから。
そんな彼女を指差し箒を見る鈴。大体言いたい事は分かったらしい。
「・・・・・・・。」
「あれでも科学者だ。あれでも。」
すると、何かを思い出したラドムは、再び話しを再開する。
その話とは、今後の彼女の機体である。
「・・!そういえば、貴方これからしばらく機体はどうするの?」
「・・・二日程度ですし、しばらく大丈夫です。」
「・・・・・・・・・。
いいでしょう。武装を改造するためにもう一ヶ月ほど伸ばしましょう。」
「イジメですか!?」
完全にイジけていたラドムに困惑する二人。
もしかしたらと思い、箒はラドムに尋ねた。
「・・・もしかして、代えの機体が?」
「それは無いわ。」
「・・・・・・・。」
「後、アルトももうしばらく使えないわ。武装が完全ではありませんし、最適化もまだです。」
「では・・・どうしろと?」
「そうですね・・・・突貫工事ではありますが、私が特別にチューンした打鉄でも・・・」
「「全力で却下します。」」
彼女が打鉄を改造したら恐らく接近完全特化の二代目アルトが出来ても可笑しくない。
はたまた、逆の可能性も無くは無い。少なくとも、彼女に中間と言う言葉は絶対無いのである。
「・・・・それに鈴。貴方もどうするのですか?」
「・・・そうですね・・・話しじゃしばらくココで缶詰状態でしょうし・・・」
「・・・・・ココに、機体があるのですか?」
「え・・・・・はい・・・・」
(っ・・・マズイ・・・・・)
ガシッ。
「いいでしょう。付いて来なさい。」
「えっ!?ちょっ・・まっ・・・・箒!?」
ずるずると首根っこを掴まれながらラドムに引きずられていく鈴。
箒に助けを求めるが、箒は「すまない」と言う顔で両手を合わせていた。
彼女もラドムの趣味には付き合いきれないらしい。
「ニャアアああああああああああああああ!!!!?!??」
「・・・・・・姉さんの話し・・・本当だったな・・・・」
ちなみに、その姉(束)からの話しとは・・・
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「ラドム博士?んー一言でいえばー
束さんとは別の意味での最『狂』かなぁ♪」
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らしい。
イギリス。
同政府管轄IS関連施設・・・
その施設を一人の少女があるいていた。
ブルーティアーズの修理と共に戻ってきたセシリアだ。
服は変わらず学生服だが、これはココでは学生として、代表候補としてと言う意味でらしい。
そして、彼女は唯一直線にある一室に向かっていた。其処には・・・
パシュッ
「あ。久しぶり、セシリア。」
「セツコさん、お久しぶりですわ。」
一室に入ると、一機のISに向き合う女性『セツコ=オハラ』に向かい、セシリアは挨拶をした。彼女こそ、今セシリアが関係しているイギリスの新型IS開発計画、通称『スフィア
プロジェクト』の一人であったのだ。
「聞いたわよ。色々大変だったわね。」
「ええ・・・色々と・・・・」
その色々とは何なのか。
其処から先は大体の察しがついていたセツコは取り合えず苦笑でその場を流したのだった。
そして、二人は話しを戻し、その場に安置されていた一機のISについて話し合った。
「・・・で『バルゴラ』は、どうなっています?」
「今までのデータを蓄積してようやく最終段階。後はブースターや武装だけよ。」
「・・・。そうですか。分かりましたわ。」
安堵の息を吐くセシリア。此方では何事もなく計画が順調に運んでいる為の安心であった。
僅か数ヶ月と言う期間で開発、実験などを繰り返したバルゴラ。
その最終系。つまり、完成系がもう直ぐ姿を現すのだ。
が。ココでセツコが最後の難関を口にする。
「・・・けど。実はその武装のアイディアが固まってないの。」
「っ・・・武器が・・・ですか。」
「ええ。今までどおり、メガビームライフルの改良型と言う訳にもいかないし、かといって唯のマルチウェポンって訳にもいかない。それに、マルチウェポンにするにしてもどれとあわせるかで難航しているの。」
「・・・・・・。」
この問題さえクリアすれば、バルゴラは進化する。
だが、その為の相応しい武器が浮かばない。
そこで、学園での専用機の武器を思い出すセシリア。
その中でヒントとなる武器がたった一つあったのだ。
「・・・・・っ!」
「・・・?どうかしたの?」
「・・・・セツコさん。実は調べて頂きたい事がありますの。」
「・・・・・?一体何の・・・・」
「思いつきましたの。バルゴラの最強の武器を・・・・!」
乙女座の名を冠する機体に相応しい武器。
それが一体何なのか。それを知るのは、今はセシリア唯一人である。
シンガポール・・・
時刻は飛んで日本などは既に夜の時間。
シンガポールはそれでもビル街の明かりが光り輝き、宝石がちりばめられた様な景色であった。
だが。そのビル街を二つの光が飛んでいた。
その光は一機は蒼白い色を発し、もう一機は黄緑の色を発していた。
そう。ISだ。
「くっ・・・・・ココで見つかるとは・・・!」
蒼白い光をスラスターから発するラファールのカスタム機に乗る女性は後ろを向いて追跡するISを見て、そう言った。
彼女の後ろには白いラファールのカスタム機がテスラ・ドライブを使って追跡していた。
「ココで捕まる訳には・・・・!」
そう言って女性はM90アサルトマシンガンを持つ。
そして、白いラファールに向かって放った。
だが、白いラファールは銃撃を回避し、スプリットミサイルを反撃として放つ。
ミサイルをチャフで牽制する女性。ミサイルはビルの角に激突して爆破する。
そして、再び反撃の銃撃を行う。
「・・・・・・・・!」
ココで白いラファールは次の武器を取り出す。
手持ち型のミサイルポットかと思われたが、ソレを見て女性は顔を青ざめた。
「まさか・・・・・!」
MTDMシューター。正式名称『マイクロ・テスラ・ドライブ・ミサイルシューター』。
つまり、テスラ・ドライブ搭載型のミサイルである。
高い誘導性を誇るミサイルでロックオンされれば撃破しない限りは回避は不可能である。
だが、その分値段が高いのがネックである。
ドシュッ!!
MTDMシューターを放つ白いラファール。
それを撃破しようと女性はマシンガンで必死にミサイルへと銃撃する。
破壊できなければ此方がやられる。
そう思い、必死にミサイルだけを見ていた。
「お願い・・・・お・・墜ちて・・・・!!」
中々破壊できないミサイルに怯えた女性。
最後の手立てにグレネードランチャーを叩き込む。
それが決定打となり、ミサイルは破壊されたのだ。
「・・・・・・・・・ッ・・・アイツは!?」
だが、ミサイルに夢中でラファールが何処にいったか、消えてしまったのだ。
索敵でラファールが何処に居るかと探る女性だったが、ラファールは思いの他速く姿を現した。
そう。女性の直ぐ横に居たのだ。
「ッ!!!」
ロシュセイバーを構えるラファールに対し、女性は手持ちのビームソードで対抗する。
だが、出力の違いが出てきて、女性が押されつつあったのだ。
「っ・・・・・舐めるなぁ!!」
最後の手とシールドミサイルを装備する。
ソードで無理矢理振り払うと、シールドミサイルのホーミングミサイルを放った。
「落ちろ、落ちろ、落ちろぉ!!」
更には対艦ミサイルまでも放つ。至近距離でのミサイル群。
回避できるはずが無いと思った女性。勝ったと確信した。
ボボボボボボボボボ!!!
ミサイルが爆発し、当たりが爆煙と共に光り輝く。
息を切らしつつ、それを見ていた女性は安堵の息を吐いた。
あれだけの攻撃に耐えれるはずが無いからだ。
刹那。その女性の予想を軽く裏切り、白いラファールは女性の上を取っていた。
「・・・・・・・えっ。」
「獲った。」
爆発と共に女性は撃墜された。
機体共々墜落し、白いラファールはその後を追っていったのだ。
「・・・・勢い余っちまった・・・・何処にいったぁ・・?」
女性とラファールカスタムが墜落した場所は街外れの海岸。
ISは解除されており、女性は重傷を負っていた。
それでも、必死に逃げようと身体を起こすが、痛みに動けずに居た。
「うっ・・・うう・・・・・」
その時だ。
後ろから一本の剣が突きつけられたのは。
「其処までだ。」
「ひっ・・・・!?」
「手間のかかることしちまっちぜ・・・悪いが、アンタには色々と聞きたい事がある。」
「お・・・お前は・・・・・!?」
次回予告
ラングレーにて機体の修理を行うラウラ達。
其処にラドムが帰還し、状況はややこしくなる。
そんな時。いよいよデュノア婦人が動き出す。
次回「ウォー・デイ」