インフィニット・ストラトス -Record of ATX- 作:No.20_Blaz
Record.19 「防衛戦、そして」
ストーク級戦艦『フリカムイ』ブリッジ・・・
フリカムイのブリッジでは各地に潜伏している彼女達の仲間から同時にテロ部隊が攻撃を始めたと言う報を聞いており、それを静観していた。
元より彼等に恩を売る気は無いと言い切っていたエアスト。
その心は今も変わらず、こうして唯傍観し、目的地に向かっていた。
「テロ部隊、世界各地で連邦の主要基地に同時襲撃を始めたようです。」
「・・・おおよそ予想はしていましたが・・・・思っていたより早かったですね。」
「・・・だが、私達には関係ない。このまま進路を南へ。」
「了解です。」
「・・・・・・・・。」
「っ!隊長。デュノア・カンパニーから通信が入っていますが・・・どうします?」
「どうやら・・・此方が不参加と言うのがバレたようですね。」
「・・・・・・丁度いい。繋げ。」
「は・・・はい!」
通信兵が回線を開くと、其処にはやや不満の顔をしているスーツ姿の男が映った。
以前彼女に命令した男と同一人物だ。
回線が開いたと同時に男は溜まっていた鬱憤を晴らすようにしてエアストに暴言をぶちまけたのだ。
『貴様!!何故ラングレーを襲撃していない!!第一何処に居るのだ!!』
「・・・・・さぁな。何処にいるかも教えんし、何故行かないかも話す気は無い。」
『何っ!?貴様・・・・テロリスト如きが我が社に逆らうか!!』
「・・・・逆らうも何も。我等は貴様等に受けた恩は無い。無論、そちらも借りも何も無いだろ?」
『・・・・・・・・!』
「テロリストが全て金や名誉や宗教の為に動くと思ったら大間違いだ。その気になれば・・・私達は貴様等を潰す。」
『なっ・・・・・!?』
「貴様等の様な金と地位しか興味の無い連中が。我等を下すだと?
片腹痛いよ。坊主が。」
北米、ラングレー基地、IS関連区画・・・
その頃。ラングレー基地では所属するIS部隊が順次発進していた。
目的は接近する敵部隊の殲滅と基地の防衛。
当然、ラウラとシャルの二人も駆り出される。
二人も出撃する部隊に紛れその性能差で少しずつ前に躍り出ていた。
「で。敵の種類は一体なんじゃらほい?」
『確認されているだけでもリオンタイプや旧型のラファール。他旧式のISが目立つが・・・』
「・・・何か問題が?」
『ああ。何処からくすねたんだか、敵さんの旗艦はライノセラス級戦艦だ。その随伴にリオン二小隊と指揮官らしきISが一機。』
「・・・・矢張り規模としては可笑しいですね。」
『ああ。こりゃどっかの企業が手引きしているだろうな。』
「・・・・・・・。」
「シャル。考えるのは後だ。」
「・・・・分かってる。それに大よその検討もついてるし。」
「・・・・・・。」
どうやらシャルもこれが義母の行っている事だと言うのは検討がついていたらしい。
しかし、それを今聞く気は無い。あまり時間を掛けたくないからだ。
加えて、前方では既にリオン部隊との交戦が始まっている。
ここはもう既に戦いの場なのだから。
「相手は重武装型のラファールとリオンを主力とした混成部隊。テロリストといって侮るな。」
「分かってますって。」
「よし。行くぞ。」
二人を先頭に後方から追っていたラファールの部隊も武器のロックを外していく。
前線では既にリオンの部隊が攻防を続けていた。
いよいよ戦いだ。
ラウラはオクスタンカノンを。シャルはオクスタンランチャーのロックを外し、向かってくる敵のラファールをロックする。
「先制攻撃を仕掛ける。いいな。」
「はいよ。」
ラウラの合図で二人はラファールに対し攻撃を始める。
その攻撃は前線に居た敵のラファールに掠り、前線に居たラファールは向かってくるラウラ達に気づく。
そして、その反撃として、シールドミサイルのロックを外してミサイルを撃つ。
「全機散開!その後各自応戦せよ!!」
『『『『『了解ッ!!!』』』』』
友軍機の中にはマシンガンで撃破したり、チャフでかく乱させたりとしてミサイルを破壊、または回避する。
そして、友軍機と敵機が交わり、IS同士の混戦となる。
マシンガンの弾が飛び、ミサイルが爆発する。
それによって落とされる友軍機と敵機たち。
その中をシャルはランチャーを回転させ、オクスタンランチャーを駆使して敵を落としていく。
「つまらない物ですか、どうぞー♪」
「ミサイルポット、アクティブ。」
更にはラウラの機体のレイブンユニットからミサイルを発射する。
ミサイルの弾幕に数機の敵ラファールが撃破される。
シャルのランチャーでスラスターに当たり、更に撃ち落される。
「がっ!!」
「っ!!ラングレーの特殊ISだ!各機警戒しろ!!」
「了解!!黒い奴は火力と防御、白いのは機動性と射程が特化している!それぞれの対策を使って追い込め!!」
『ッ!パース1からアサルト1st!敵の動きが変だ。多分やつらは・・・・!!』
「・・・・・・!」
テロ部隊・ライノセラス級戦艦『ザベル』・・・
「何。あの黒いのと白いISが出てきたのか!」
「ええ。ですが、例の量産試作機が居ませんね。」
ライノセラスのブリッジでは黒く、ボサボサの髪のやせ細った男が指揮を執っていた。
彼等のモニターにはレーダーと共に味方のラファールが撃破されているのと、それを撃破するラウラとシャルが映っていた。
「・・・・・もしや・・・・敵は頭数が少ないのか・・・・・」
アリスが居ない事に気づいた敵の司令官はその顔で不適に笑みを浮かべた。
絶好の機会と読んだのだ。恐らくはアリスが何かのトラブルで不在の状態。
相手は特殊型ではあるが二機だけ。
作戦通りに行けば・・・
「・・・・・勝てる・・・この戦い・・・・勝てるぞ!!
ラファール全機と指揮官に伝達!敵の特殊型ISに『あの作戦』で早期殲滅せよ!!」
「ハッ!!」
「・・・聞こえたな。全ISユニットは敵特殊ISに『あの作戦』で戦え。あれでなら確実に倒せる。」
『『『『『了解ッ!!』』』』』
テロ部隊のISの指揮官は他の味方にも、その『あの作戦』を使ってラウラ達を倒すように伝える。そして、自身も動き出し、二人の相手をしに向かったのだ。
「黒い奴には『鉄の雨』。白い奴には『追跡者』だ。」
「了解!Aチームは私と黒い奴。Bチームは白い奴を叩け!」
(っ・・・・この動き・・・・・矢張り何か・・・!)
カシャッ!
「クラスター用意完了。奴の足を止めろ!!」
刹那。二人に対しそれぞれの攻撃が始まる。
ラウラにはバズーカを装備してそれを打ち込む。
最初は唯の散弾かと思っていたラウラではあったが、突如開かれた中身を見て緊急回避を行うが、回避が間に合わずに被弾してしまったのだ。
「ぐっ!?」
しかし、身体に大した衝撃はフィードバックされない。
何の攻撃かと思っていたが、それは機体の状態を見て直ぐに分かった。
『機体前面装甲にレベルBの損傷。各所装甲値減少。』
「クラスターAP弾・・・・!」
『ちょっ・・・それって大丈夫なの!?』
「問題ない・・・・・・・・!」
クラスターAP弾とは、弾丸又はミサイルの正式名称で、『アーマーブレイカー』とも呼ばれている。
その主な能力は敵にダメージを与えると言うよりも、装甲にダメージを与えるといったもので機体の防御力を減少させる物なのだ。
その為、大したダメージは無いのだが、代わりに広範囲で確実に当たるという命中性がある。
そして、その武装は特機やラウラのシュバルツの様な機体には特に有効な攻撃でもある。
「此方の情報が漏れている・・・・・いや、見た目からの判断か・・・」
『こりゃいよいよマズイね・・・・急いで敵をたおさ・・・・』
「Bチーム。発射!」
『『了解ッ!!』』
シャルの方ではクラスターとは違い、小型のミサイル群が大量に発射された。
しかもどうやらホーミングタイプらしく、そのミサイルは回避しようとしてもずっと追撃して来たのだ。
「うわ!?」
『シャル!?』
「こっちはホーミングミサイルですかっ!!」
しかし、彼女は対策はしっかりとしており、チャフをばら撒いて攻撃を回避したのだ。
後はこれを撒いた場所でミサイルが爆破されるだけ。
の筈だったが、ミサイルに少しの異変を感じていた。
バシャッ
「・・・・・・マジ?」
それは、ミサイルの中から更に小型のミサイルが何百と詰められており、それが一気にシャルに向かって飛んでいったのだ。
ホーミングミサイルの中に更に分裂ミサイルが入っていた。
誰も予想できなかったこの攻撃に、必死に回避するシャルだったが、全弾は回避できず、数発受けてしまったのだ。
「いたたっ!?」
『シールドエネルギー40減少。』
「うわ・・・・・何か嫌味なダメージ・・・・」
「・・・・・入ったか?」
「・・・数発だが・・・入ったな。」
「よし。フェイズ2だ。一気に追い込むぞ。」
「分かった。」
「アーマーブレイカーで此方の装甲を削る気か・・・!」
五連チェーンガンを掃射しつつ、相手の動きを見て呟くラウラ。
ココまで大した攻撃は来なかったが、どうにも距離を取っていると言うのは目に見えていた。
間合いも読まれているのだろう。
そして・・・
「第二射。行くぞ。」
「分かった。」
「・・・・来るか。」
次の攻撃が始まる。
マシンガンで牽制しつつ、確実にアーマーブレイカーを打つ込むつもりだ。
ならば、その為に。相手を落とす為に、多少の無茶をするだけだ。
「アーマーブレイカー、発射ッ!!」
刹那。アーマーブレイカーが再び放たれる。
それをチェーンガンで迎撃・牽制するラウラ。
だが、流石にバズーカの弾に当てるというからだろうか、思うように当たらず、数発程度しか当たらなかったのだ。
「来るッ・・・・!」
残ったアーマーブレイカーを無理に迎撃しようとせずに防御態勢で守りを固める。
そして、残ったアーマーブレイカーは全て彼女の頭の上へと落ちていったのだ。
「着弾確認ッ!今度こそ!」
「・・・・よし。このまま気を抜かずにアイツを倒すぞ。」
しかし。彼女達の今の状態を慢心とも、油断とも言う。
ゴウッ!!
刹那。彼女達の『前に』、ラウラの機体がいつの間にか飛んでいた。
肩部のクレイモアポットは既に開放されており、照準は戦っていた二人に向けられている。
その僅かな出来事に戦っていた二人は未だに気づけていなかった。
そして。
「・・・・・・え・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・嘘・・・・・」
「全弾持って行け。」
一方でシャルの方は現在劣勢に立ちつつあった。
それは、大型のミサイル二本が彼女が追跡していたからだ。
マニューバーを駆使して必死に回避するシャル。
しかし、それでもミサイルは追って来ていたのだ。
「嘘ぉ?!どうして追ってくるの!?」
「よし。作戦通りだ。」
「発信機がこうも役立つとは・・・」
「まるで・・・僕に発信機でも付けられてる・・・・ってまさか・・・・・」
そう。此方ではシャルに対し発信機が付けられていたのだ。
但し、一般的な機械の発信機ではなく、液体状の、それもマイクロレベルの物だ。
それを機体の何処かに付着させられ、ミサイルが追ってきているのだ。
(・・・・・と言う事は・・・・発信機だから電波か赤外線・・・)
試しにもう一度チャフを撒くか。だが、それで回避しきれるとは思っていない。
ならばどうするか。そんな時、彼女のモニターに一つのプログラムデータが映った。
一体誰のかと思ってよく確認すると、それはアリスが作成したプログラムだったのだ。
「っ・・・・アリスちゃんの?」
そういえばとそのデータを見てシャルはある日の記憶を思い出した。
それはまだラングレーに居た時の事。機体のオーバーホール時にアリスがいざと言う時にといってプログラムを組み上げていたのだ。
他にも色々とプログラムを組み込んでいたようだが、思い出している時間はない。
シャルはホログラムディスプレイのキーを叩き、瞬時に設定を行う。
「・・・プログラム設定・・・・効果範囲セット完了・・・・・『対赤外・電波プログラム』実行!」
実行キーを押し、後は彼女が作ったプログラムに頼るしかない。
ミサイルとの距離が近く、撃ち落しても恐らくは自身にも爆風でのダメージが来るはずだ。
「よし。残りの二発も・・・・・・!」
その時だ。
先に発射した二発が軌道を逸らして爆発したのだ。
何が起こったかと思い、驚く彼女達。
どうやらプログラムは成功したらしい。
「なっ・・・・!?」
「軌道が逸れた・・・・・ジャミングだと!?」
「よし・・・・・!」
機体をバック中で反転させ、ランチャーを構える。
後は、唖然としている彼女達に
「ゴメンね。落としちまって。」
撃ち込むだけだ。
それと同時にラウラの所では新たに指揮官が襲い掛かってくる。
彼女の攻撃をプラズマ手刀で防御する。
だが、彼女の駆る機体を見て、ラウラは目を細めた。
それは今までテロ部隊が使用してきたラファールとは似て非なるものだったからだ。
「・・・・新型か。」
「ラファールがベースの新型・・・・ってところかな?」
「・・・・流石に気づかれるか。」
機体のデザインとしてはラファールに寄った見た目をしている。
しかし、胸部に追加の装甲が付けられていたり、ウィングの様な羽がついていたりとかなり異なる部分が多く見られる。
何よりも、右腕部に固定武装の機関砲が見えていたのだ。
「デュノア・カンパニーが開発した新型、試させてもらうぞ。」
「シャル。アイツの相手は私がする。お前は敵の旗艦を。」
「あいあいさー・・・・その代わり・・・」
「分かっている。多少の無茶は承知の上だ。」
(多少で済めばいいんだけどねー・・・)
指揮官機の相手をラウラに任し、シャルは敵の旗艦を叩きに向かう。
其れを見て指揮官は舌打ちをするが、チェーンガンの攻撃にはきっちりと反応して回避していた。
周りでは既に大半の戦力が削がれている。
長くは時間を掛けられないようだ。
(・・・元より新型頼りの電撃作戦。そろそろ限界か。だが。貴様だけは落とさせて貰うぞ。)
(相手は新型。手札はまだ出し切っていない。出方を見るよりも、此方から引っ張り出すしかないか。)
直ぐにオクスタンカノンを取り出し、それを持つ。
其れを見て相手も動き出し、持って居た機体同様の新型のマシンガンを使い、牽制し始めた。
形状からして新型マシンガンは実物の銃のP90を元にしているらしい。
「っ・・・・・当ててくるか・・・・」
「装甲を削っているのに・・・あそこまで丈夫なんて・・・・」
確実に当ててくる指揮官にラウラは対ししチェーンガンで牽制する。
一発一発のダメージが余り無いのか、機体のシールドエネルギーは余り削られていない。
しかし、それでも確実に当てられているので確実にシールドエネルギーが削られる。
対し、銃撃をする指揮官はアルトの装甲の厚さに少し驚いていた。
アーマーブレイカーを何十発と喰らってものに、それでも硬い防御にだ。
(此方にもアーマーブレイカーはある。隙を見て打ち込むか・・・)
ラウラはカノンで距離を取る。対し、指揮官はそれを回避して隙を窺う。
カノンをしまい、チェーンガンで攻撃しようとした時。
それを隙と見て指揮官は動き出す。
「ブースト・・・・!」
「来るか・・・!」
脚部に装備されていた小型のグレネードが発射される。
どうやら中身はスタンだったらしく、ラウラはそれによって目を奪われた。
その隙に指揮官はブーストで一気に距離を詰めたのだ。
「スタン・・・!」
「今だ!」
指揮官の機体のミサイルシールドの先端部から数発のミサイルが頭を出す。
そして、そのまま指揮官はラウラに向かって突進したのだ。
直ぐに視界を取り戻したラウラは迫り来る相手にクレイモアで対応しようとした。
が。
「これで・・・・!」
「ッ!!あれは・・・・!!」
至近距離でラウラにミサイルが打ち込まれる。
しかし、それはミサイルではなく、アーマーブレイカーであった。
至近距離からのアーマーブレイカーでは当然回避しきれる筈も無い。
どうやら発射前に外の装甲をパージさせたらしい。
「がっ・・・・!!」
この距離でのアーマーブレイカー。
異常な程の装甲ダメージとシールドエネルギーの減少にラウラは焦った。
反撃をしようとクレイモアを発射しようとするが、機体の至る所からきしみの音が響いたのだ。
「っ・・・・!?」
「どうやら効果はあったようだな。」
「どうなって・・・・っ!?」
『機体全体の装甲にレベルAのダメージ。肩部・脚部・左腕部等に深刻なダメージ。』
機体の至る所ではきしみの音が響く。
更に、ダメージチェックのモニターにはほぼ全域にダメージが与えられていたのだ。
ギリギリ動けるのは、後ろのスラスターと右腕部が僅かに。クレイモアはハッチを開けようとすると恐らく崩れ落ちるかもしれないのだ。
「ちっ・・・・・・」
「流石に至近距離ではダメージがあったようだな。このまま銃撃を受けたら・・・・どうなるでしょうね?」
「・・・・・・・・。」
「さて。アッサリとしたけど、これで終わりとしましょうか?」
P90を構える指揮官。各所にヒビが出来たラウラの機体に今の攻撃では唯では済まないだろう。
なら、戦いに容赦は無いので、容赦なく放つのだ。
「ッ・・・・!!」
機体の各所に弾丸が弾かれる。
シールドエネルギーの減少は前よりも増えたが、それでもまだまだ余裕がある位だ。
しかし、どうやって反撃するのか。
機体はほぼ大破。武装も一部は使えるが恐らく途中で崩れるか暴発するだろう。
完全に窮地に立たされたラウラだが、それでもまだ諦めていなかった。
「・・・・・やれるか?いや・・・・・・やるか・・・・・!」
「っ・・・・・まだ平気なの!?」
「スラスター全開・・・機体の一部の機能を停止。・・・・行くぞ・・・!」
左腕をぶら下げてスラスターを全開にし、指揮官に向かっていき始める。
ラウラの突進に驚く指揮官、だが、それでも慌てずシールドミサイルを構える。
其処に残っていた二発のミサイルを放つ気だ。
それもそのミサイルは対艦ミサイルで、今の状態で喰らえば、絶対防御でも助かるかどうかは分からないのだ。
「くっ・・・・!?」
ロックを外し、思わずミサイルを放ってしまった指揮官。
これでは自分も巻き添えは確実だと思い、スラスターを吹かして後退し始めた。
そのままミサイルを撃破せずに突進するラウラ。
指揮官からすれば正気の沙汰とは思えない行動だった。
対艦ミサイルに何もせずに向かうなんて事をすれば確実に機体は大破し、自身も重傷が幸運だろう。
「それなのに・・・・どうして!?」
「・・・・・・・・・!」
刹那。ミサイルがラウラの近くで爆発した。
僅かにたじろぐ指揮官だったが、その爆煙を見て喜びを感じていた。
味方のフォローがあったとはいえ、彼女を倒したのだ。
ゆっくりと着地し、爆煙を見て相手が倒れたかと確認する。
念の為に銃とシールドは構えてもおく。
常に最悪のケースを考えるのだ。
「・・・・・・やったか?」
ヴィーヴィー!!
「っ!!まさか・・・・・!!」
刹那。彼女に向かって爆煙の中からラウラが飛び出る。
しかし、機体の各所の装甲は脱落。左肩のクレイモアポットも半壊していたのだ。
だが、スラスターと右腕部は無事でまだ突進してきていたのだ。
「嘘ッ!?対艦ミサイルなのよ!?」
何故彼女が助かったのか。
それは、彼女に当たらず、武器に当たったからだ。
(オクスタンカノン脱落。左クレイモアポットも半壊したか。だが、スラスターとステークが無事なら・・・・!)
そう。装備であるオクスタンカノンを盾にしたのだ。
そのお陰でカノンは使い物にならなくなったが、それでもカノンだけで済んだと言う事で、後は前進するだけだ。
「っ・・・・このっ・・・」
「トマホークッ!!」
残った武装の小型ミサイルを放つ。
それを牽制に使い、相手の足を止めるのだ。
回避して逃げるのではと思われるが、距離と心理状況からそんな冷静さは多分相手はもう持ち合わせてないだろう。
「ひっ・・・・!?」
その予想通り、マシンガンで迎撃する指揮官。
ミサイルの一本が爆発し、その隙にその場から離れようとしたのだ。が。
既にラウラが彼女の前に姿を見せており、ステークを構えていたのだった。
「撃ち抜く。」
そして。その頃、イギリスでもテロ部隊の襲撃が始まっており、此方でも戦いが始まろうとしていたのだった。