インフィニット・ストラトス -Record of ATX-   作:No.20_Blaz

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久しぶりの更新です。今回は学園に残った面々などか主体です。


Record.22

Record.22 「影の女達」

 

 

 

伊豆のある静岡から学園の人工島までは車でも半日は掛かる。

しかし、現在千冬・イルム両名は壱式の飛行形態『ウィングガスト』に乗っている。

現存の航空機よりも足があるので数時間でたどり着けるのだ。

そのお陰で二人は現在、ようやくその中間まで来ていた。

 

 

「何時到着だ。」

 

『良くて一時間あるか無いか。悪けりゃ・・・二時間ってトコだな。』

 

「悪くなったら貴様を堕す。」

 

『んな殺生な!?』

 

千冬の無茶振りにイルムは突っ込みを入れる。しかし、其処に追撃の部隊が後ろと前の両側から表れ、二人に挟撃を掛けてきたのだ。

ヘリとリオン等が多い事からどうやら伊豆に現れた部隊とは別の部隊らしい。

 

「ッ!」

 

「新手!?」

 

「いや、恐らくは伏兵だ。その証拠にあいつ等は近くの市街地など中からも現れた。」

 

「侵攻前に俺達が現れたから作戦変更って訳か。」

 

「恐らくな。イルム、前の連中だけでも片付けるぞ。」

 

「解ってるっつーの!」

 

先手を打たせまいとイルムが前面に居る敵にウィングガストの装備である『ビッグ・ミサイル』を発射する。リオン部隊は其れを回避しチャフ等も使用して攻撃を避けていた。

だが、それは牽制で本命は壱式のビームで『ダブルオメガビーム』が本命だ。

先頭部から二つのビームが放たれ、それがリオンに当たる。

ビッグ・ミサイルに気をとられ回避が出来なかったのだ。

 

その前方の彼らを援護しようと後方の部隊が攻撃を始める。後方には四機ほどだがラファールが居ており、彼女達がマシンガンで壱式のブースターを仕掛けていた。

 

「ちっ!後ろにはISかよ!!」

 

「面倒だ!」

 

『ってオイ!!』

 

時間が無い。千冬は焦りを承知で後ろに居るラファール達に向かい反撃に出る。

相手が四機ほどなので弾幕も其処まで濃くはない。出来るだけ最小限の動きで銃撃を回避し、一気に彼女達との距離を詰める。

 

「ッ・・・!?」

 

「弾幕を越えてきた!?」

 

「ま、まだだ!シールドミサイルで牽制を・・・」

 

 

「遅い!」

 

素早く距離を詰め、専用刀で一機に対し止らぬ速さで攻撃を仕掛ける。

周りからすれば一撃の攻撃に見えるが、実際は二回の攻撃を的確に叩き込んでいたのだ。

刀の扱いを熟知している千冬だからこそ出来る芸当でもあると言う事だ。

 

「借りるぞ。」

 

「えっ!?」

 

更に、撃破したラファールのシールドミサイルを奪い取り、其れを使って他三機へと発射する。敵三機はそれをチャフとマシンガンを使って回避。同じくシールドミサイルで反撃をするのだが、ミサイルが突如千冬の周囲で爆破し、周りには煙が舞い始めたのだ。

 

「っ・・・チャフスモーク!狙いは壱式か!」

 

 

「の様だなッ!?」

 

前方のヘリの部隊を撃破していた壱式の上に三機のラファールが着地する。

荒っぽく着地したので壱式に振動が走り、イルムはコックピットで操縦桿を強く持ち衝撃に耐えていた。壱式でも流石に衝撃は走る。しかも三機一斉にとなると衝撃が一度に走るので突然の事に誰でも驚く筈だ。

 

「くそっ・・・何とかしてくれ千冬ッ!」

 

「解ってる!!」

 

ココで足を失うわけには行かない。スモークを突破し千冬は壱式の許に戻ろうとする。

だが其処にヘリ部隊が乱入し、千冬の前を遮ったのだ。邪魔な障害に千冬は舌打ちし、刀を振るい、ヘリのプロペラ部を切り裂いていった。

 

「くそっ!」

 

「んなろっ!!」

 

飛び乗ったラファールを振り落とす為、イルムはウィングガストを変形させてグルンガストに戻そうとする。しかし、それをリオン部隊が攻撃して変形を強制中止させたのだ。

 

「ッ・・・変形させない気かよ!」

 

その隙を突き、ラファール三機がウィングガストのブースターに近づく。シールドミサイルとグレネードランチャーを取り出し、それの集中砲火で破壊する気だ。

 

「こうなったら・・・スパイラル・・・!」

 

 

「ッ!今だ!コイツのブースターを・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「悪いが・・・定員オーバーだ!」

 

グレネードを放とうとしたラファール達に千冬が蹴りと刀で無理矢理吹き飛ばす。

更に奪ったシールドミサイルをラファールの一機に投げて前を見えないようにする。

即席の目くらましとして使いシールド諸共、刀でラファールを切り裂いたのだ。

 

「がっ・・・!」

 

「くっ・・・奴に攻撃を!」

 

「了解ッ!」

 

すかさず残った二機がマシンガンとシールドミサイル、そしてグレネードランチャーで攻撃する。二機落とされても余り動じず、冷静に対応していたが所々で焦りが見える所もあった。それが今だ。

 

千冬はM950マシンガンで牽制とミサイルの迎撃をしつつ壱式の許に戻る。

そろそろ相手に時間を掛ける気は無いと思う頃だ。

 

「イルムッ!!」

 

「おうよッ!!」

 

彼女の合図にイルムは壱式の前面にエネルギーフィールドを集めていく。バリアを張って突破する気かと思われていたが、そんな甘いものではない。

壱式はブースターを吹かし機体スピードを最大にする。

そしてバレルロールと共にそのまま敵部隊が居る前面に突進していったのだ。

 

「スパイラル・アタックッ!!」

 

 

壱式の巨体は似合わぬスピードと共に前面のリオン等に向って突進していった。

エネルギーフィールド共に突進をするので迎撃は皆無。突進を避けようとリオンやヘリは回避するがエネルギーフィールドの余波に巻き込まれ、大破や中破、ロストが続出した。

リオンは機体の大半が吹き飛ばされると海や森、ビルなどに叩きつけられる。

正直テロリストよりタチが悪いのではないのかと思うほどだが、この際だ。と二人が心の底で吐き捨て、脇目も振らずに突破していった。

 

 

「っ・・・前面の部隊が!」

 

「くそ!援護射撃だ、奴等を向わせるな!!」

 

『隊長!本隊がIS学園に制圧部隊を突入させる事に成功しました!』

 

「そうか!よし、このままや奴等の足を止めるぞ!!」

 

 

学園の制圧。

人工島であるIS学園は過去の事件の教訓で新型ISの支給や学園全体を覆えるほどの巨大シールドを展開出来る様になっている。今や学園は鉄壁の要塞と言っても過言ではなかっただろう。

それを制圧された?

通信を傍受していたイルムは無言の汗を額に流していた。

 

「オイオイ・・・一体どういう・・・」

 

『どうした、イルム。』

 

「・・・。」

 

まだ彼女は聞いてなかったのか。イルムは彼女と決めた通信の周波数で通信を行った。

今は急ぐと共にありのままの事実を告げるべきだ。

 

『千冬、今連中の通信がモロだったから聞けたが・・・学園に連中の本隊が入ったらしい。』

 

「ッ・・・・・・!?」

 

『話じゃインスペクター事件とかで相当防衛機能を改修してたって聞いたが・・・どうやらアイツらの頭の方が一枚上手だったらしいな。』

 

「のようだな。恐らく何らかの方法で学園に入ったんだろうな。」

 

『取り合えず話は後回しだ。壱式に乗ってさっさと行くぞ!』

 

「ああ。」

 

 

壱式に飛び乗り、千冬は再び学園の方向へと向かい急ぐ。

後方から挟撃の後ろの部隊が絶えない攻撃をしているが、壱式の速度からそろそろ突き放せるだろう。

適度なマシンガンでの牽制をしつつ千冬は壱式に掴まり、遠のく敵を見ていた。

 

しかし。何故学園にこうもアッサリと侵入された?

全体的に警備のシステムも強化され安全性は今まで以上の物だった。それをこうもアッサリと破られるのは彼女も疑問だった。

今現在で学園の侵入を許した理由は幾つか考えられる。

 

敵が以前の無人ISの様な大火力でシールドを破壊したか。

シールドを通過する兵器か何かでシールドを無視して内部から開けたか。

それとも正面からか。一番バカらしい考えではあるが。

それらともう一つ。考えたくない理由が彼女の頭の中にはあった。

 

『内通者』。

 

つまり、学園内に内通者が居てその人物がシールド発生装置のブレーカーを落としたり破壊したりしてパスさせた。

最も現実味があるのはコレか最初の大火力で開けたかだ。

しかし一体誰が?誰が内通をしていたのだ?

晴れない疑問が千冬の中に残っていた。

其処にイルムが一応の確認で彼女に質問を投げた。

 

『千冬。学園に防衛システムの他に自己防衛の機能は何がある?』

 

「・・・学園そのものを消せる大型の光学迷彩。それと新たに支給された新型IS・・・光学迷彩は遠くからでは効果的だが近距離では効果は薄く使用時間は三時間が限界だ。それに教師部隊に支給された新型も数はタカが知れてる。其処までの戦力の埋め合わせにはならんだろう・・・」

 

 

「となると、教師のお姉さま方を信じるしかねぇって事か・・・」

 

『学園の教師は私の様に過去にISと何らかの関係があったか代表候補レベルの者達ばかりだ。量はともかく質は問題ない。』

 

「つー事は・・・」

 

『時間次第では持ちこたえているが・・・果たして・・・』

 

学園の生徒や真那を心配し、千冬は壱式に掴まり、イルムは生徒達の安否を気遣って壱式の操縦桿を強く握っていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

- IS学園 生徒会長室 -

 

学園では生徒達が避難をして教師はISを纏い、テロ部隊と交戦を始めていた。

新型を交えた教師部隊はラファールを主体としていたテロ部隊を相手取りはしていたがリオンには苦戦を強いられていた。

その学園の中。生徒達が避難している中、生徒会室では四人の人影があった。

 

生徒会メンバーで会長の更識楯無。その彼女の妹の更識簪。

生徒会の書記ではあるが肩書きだけの布仏本音。そして本音の友人となったヨンの四人。

 

彼女達は生徒会室でバラバラの席に座り戦いが行われている外とは代わってのんびりと呆けていたのだ。しかし実際呆けているのは本音と楯無の二人だけ簪とヨンは心配そうな顔でソワソワと身体を震わせていたのだ。

 

 

「大丈夫よ。この部屋は特別製で防弾などが優れているから。ちょっとやそっとの攻撃じゃビクともしないわ。」

 

「核兵器は駄目だけどねー」

 

不定期に来る振動を足に感じ楯無と本音の態度と台詞から二人の不安さは少しずつ確実に増していた。なのに彼女達はどうしてあそこまで平然とした態度なのだ。

本音はマイペースで解る。だが楯無はどうだ。幾ら腹の底が読めないからと言っても、この状況で焦りの一つも見せないのはどうだろうか。

 

 

「・・・。」

 

不安な目をしながらヨンは簪の方を見る。簪の目は穏やかではなかった。

姉の言葉でしびれを切らす一歩手前まで簪の顔は引きつっていたのだ。

流石にこの状況でその台詞は無責任なのでは?今にも喰らい付きそうな目で後姿の楯無を見つめヨンはそれを必死に抑えろとアイコンタクトで言うしか出来なかった。

 

(か、簪落ち着いて・・・!)

 

(・・・・・・。)

 

其処に生徒会室のドアが開き、其処から誰かが入ってくる。

眼鏡を掛け、ヘアバンドで髪を止め、三つ編みの髪をしている少女。

その外見から事実を聞かされると絶対誰もが信じられないと言って声を上げるほどの人物だ。

 

「生徒達の避難は完了。教師も全員出払いました、お嬢様。」

 

「ご苦労様。流石虚ね。」

 

布仏虚。そう。本音の姉妹で彼女の姉だ。

性格と見た目から逆の位置に居る二人。何故こうなったのかは誰も知らないが昔からこうだったらしい。

その虚は何処かの潜入蛇の様にダンボールに隠れ生徒達の避難状況や教師が全員で払ったのを確認し今し方戻ってきたのだ。

 

「で・・・会長達は避難しなくても・・・」

 

「あ。それは大丈夫・・・って言うか避難しない。」

 

「・・・は?」

 

その彼女が戻って報告をして自分が心配した事を素直に打ち明けると、その打ち明けた相手はバットでフルスイングのホームランの如く軽く言い返したのだ。

それには虚自身も目を丸くしてそれした言葉が出なかった。

 

「私達はこのまま別の場所に行くわ。」

 

「ち、ちょっと本気ですか!?」

 

「ええ。だって・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正直私は教師部隊を余り信用していないし。」

 

「・・・・・・!」

 

楯無はそう言って振り返り、明るい口調とは違い冷静な何か恐ろしい表情で笑っていたのだ。誰だってその発言と態度、そして雰囲気に驚く。

余りにも冷静な態度に簪も一度は動揺していたが直ぐに我を取り戻して楯無を見つめた。

彼女は椅子から立ち、部屋を出ようとしていた。

そこで虚は楯無が何をしようとしているのか解った。

 

「ってまさか・・・私達が戦うと言う気ですか!?」

 

「あら、それ意外何かある?」

 

「そうは言いますけど、私達でどうとも・・・そもそも私IS今無いですよ!?」

 

「・・・・・・。ジェバナさん。」

 

「はっ・・・ハイ。」

 

「ISの保管庫にISは残ってたかしら?」

 

 

「えっと・・・ラファール2ndが一機、確か見た感じでは整備と用意は・・・」

 

「っ・・・ヨンッ!」

 

「あ!!」

 

簪の呼び声にヨンは反応し、思わずやってしまったと後悔していた。

其れを聞き楯無は軽く笑い部屋を出るためにドアを開ける。

本音はその後ろに付き、虚は頭を抱え、ヨンは顔をひく付かせていた。

 

「結構。じゃ格納庫で機体を取って行きましょうか。」

 

「っ・・・待って!!」

 

「・・・・・・。」

 

そこで簪はとうとう痺れを切らし楯無に喰いかかった。

楯無は彼女の怒声に同時もせず「何か用か?」と言う顔で振り向いたのだ。

 

「本気で言ってるの、姉さん!?相手はテロリスト。一歩間違えれば死ぬのよ!?」

 

「・・・・・・。」

 

「それを平然と「ハイ、そうですか行きましょう」って言うバカがこの中に居る!!?」

 

「居るよー「(ヨ)黙ってて!」うにゅぅ・・・・・・」

 

簪の言葉はこの状況では当然だ。相手は人殺しになれているテロ部隊。幾ら自分達がISを使えるからといってそんな事は自殺行為の他に何でもない。しかも自分達は事実ただの高校生だ。最悪のケースとなれば自分達の身の保障が無いのは確実である。

それを今からしようと言う楯無の考えは間違っている。簪は残る全てを目で語っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが。それは誰もがわかっていた事だ。

 

 

「・・・簪。貴方何言ってるの。」

 

「・・・え?」

 

「私は一度も『テロリストと戦う』とは一言も言ってないわよ?」

 

「「えっ!?」」

 

 

楯無の言葉にヨンも虚も驚く。では一体何故?

今居るのはテロ部隊だ。それで無いとすれば一体誰と戦うのだ。

三人はわからない答えを考えつつ唖然とした顔をしていたが楯無は其れを見て笑いドアの向こうに足を踏んだのだ。

 

「来なさい。ISを装着して外に出たら話してあげる。」

 

「・・・えっ・・・って言うか私と本音も機体が・・・」

 

「バカ仰い。ゲシュペンストとヒュッケバインMk-Ⅱ。本音が持ってるって言ってたわよ?」

 

「・・・・・・!」

 

 

(まぁ・・・それ以上の『何か』を・・・隠しているのでしょ?ヨン・ジェバナ。)

 

(良かった・・・『私の機体』はまだバレてないみたい・・・)

 

 

 

 

 

流れるまま流されるまま。五人はそう言ってIS格納庫にあるラファール2ndを虚に取らせると各自ISを纏って、戦域から離れた場所に移動した。

 

楯無が使うのは霧纏の淑女(ミステリアス・レイディ)。第三世代機の中で彼女が自身で作ったフルスクラッチの機体だ。装甲も薄く肌の露出も他の機体よりも多いが機動性は群を抜いている。

楯無の妹の簪は打鉄の後継機である打鉄弐式。白式の開発で此方の開発が遅れそれをとある伝手を使い自力でロールアウトまでこぎつけた機体だ。自作の荷電粒子砲やミサイルなどもあり火力は打鉄よりも充実している。

本音は以前マオ社のデモンストレーションで『イルムから』譲られたゲシュペンストMk-Ⅱを使用。火器は貰った時のままだがかなり充実はた火器をふんだんに格納している。

ヨンも本音と同様でヒュッケバインMk-Ⅱの量産機仕様を使う。しかし、此方は火器を入れ替わりをしており、ヨンに合った武装を格納している。

そして虚の借りたラファール2ndは基本的には既存の機体と大差はないが学園用はかなり充実した火器を内臓している。

 

 

「・・・さて。それじゃあそろそろ話しましょうか。」

 

その五人が戦域、つまり現在テロ部隊と教師達が戦っている場所から離れた場所に集まり、楯無が事の説明をと振り向いた。流石にISをとなると事が事なので簪も神経質になる。

その彼女を知ってか知らずか、楯無は変わらずの喋り方でこうなった事の説明をし始めた。

 

「これは私の・・・と言うか私が考えた仮説。けど現実味が高いからこうしてISを持ち出した。」

 

「現実味・・・つまり起こるかもしれない仮説と言う事ですか?」

 

「そう。私だって最初は大人しく避難するか教師そっちのけでテロ部隊を倒そうかって思ってたわ。けど・・・」

 

「・・・。」

 

 

 

 

「変だと思わない?この学園、つまり人工島を落とす為に一極集中なんて。」

 

「・・・一体どういう・・・」

 

「人工島であるこの学園は最近大型のシールド発生装置が増設されたわ。それを内部にスパイか誰かを送ってそれでシールドを開ける。別に変なことでもないわ。この学園を制圧するって話だからね。」

 

「た、確かに・・・」

 

「けど。その後に・・・どうして彼らは一極に集中して侵攻したの?」

 

 

現在の戦況はテロ部隊と教師がアリーナの上空で交戦をしている。そう。アリーナ上空だけでだ。

戦力はまだ余裕があるらしく、後方にある敵潜水母艦から時折援軍が発進している。

なら、一極集中ではなく拡散したり挟み撃ちにしたりと戦法は幾らでもある。

なのに敵は一極集中と言う戦法を使った。相手の錬度が低いのかと思われるがスパイだったり囮作戦だったりと今までこの様な作戦をしたと言う報告はない。

 

「ここまで周到な事をやっといてお粗末な攻撃方法。そしてこの一極集中。

 

 

 

 

明らかに変じゃないかしら?」

 

 

 

 

「まさか・・・テロリストが何かをしようとしている・・・?」

 

「・・・その何かは・・・解らないけど。」

 

腕を組んで楯無は冷静な態度で虚の言葉に返答する。

楯無も陣形などは疑問に思っていたが具体的に何になるかは解らない。

それが何か嫌な予感がするのでこうして来た。嫌な予感、恐らくそれは今から起きるかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チリッ・・・

 

 

「っ・・・・・・」

 

その直後。簪の頭に突如小さな頭痛が走る。其れと同時に姉である楯無にも小さな頭痛が走るが其処まで痛みを感じた表情ではなかった。だが簪は今まで感じたことの無い頭の痛みに思わず頭を抱えた。其れを見た楯無は睨むような目つきで簪を見ていた。

 

(何・・・頭痛?)

 

(この感じ・・・けどあの子も?)

 

姉妹揃ってか、と思う楯無だったが正直それを嬉しく思えばいいのか悲しく思えばいいのかわからなかった。その理由は今は彼女だけしか知らない事で誰にも知る必要が無いと思っていたからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

刹那。突如アリーナとは逆側の方向から水しぶきと共に強大な音が鳴り響いた。

 

「っ・・・!?」

 

「海面・・・敵!?」

 

「熱源は一つ。だがこれは一体・・・!?」

 

ヨンと虚は海の中から何かが現れたと言い、他の三人も警戒を強めた。

確かに水しぶきが上がるところに何かの影があったのだ。

大きさは大体人間サイズ。しかし、一回り大きい。しかもシルエットは今まで見た事のない形だ。

 

「何アレ・・・IS・・・?」

 

「にしては・・・ラウラ並みに大きくないか?」

 

「・・・。」

 

 

(あの形・・・まさか!?)

 

 

 

 

 

水しぶきが落ちていくと、ISの姿が見え始める。

 

青いボディに羽の様なものが背中についている。左腕には盾の様なものも付けられており肩の突起などはその機体の恐ろしさを見せる。そして武器は剣が一本。恐らく得物だ。

其れを見て四人は一体誰だ。何なんだあのISはと思っていた。

しかしヨンは其れ姿を見て確信した。その姿は見た事があったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・アレは・・・・・・ヴァルシオン・・・!」

 

 

究極ロボと呼ばれる機体。そのIS版が彼女達の前に姿を現した。

ISの一部である頭部のバイザーの四つのカメラアイが光り、操縦者は対峙する彼女達を見て不適な笑みを浮かべ笑っていたのだ。

 

 

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