インフィニット・ストラトス -Record of ATX-   作:No.20_Blaz

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かなり間がありましたが久しぶりの更新です。
そろそろ事態は収拾に向うと思います(オイ)

後、しばらく此方となのはは更新をストップさせてISGSは出来れば。
IS×MGSはもう少し結果を見てプロローグを投稿します。


Record.24

Record.24 「リアルアンサー」

 

 

 

 

= IS学園 =

 

 

「・・・ヴァルシオン?」

 

疑問の声が虚の口から発される。

彼女達の前に現れたのはかつてビアン・ゾルダークが設計したヴァルシオンだったのだ。

ヴァルシオンはその見た目と釣り合い、高い能力を持っているのが特徴で更には新技術を積極的に取り入れ、高いポテンシャルを揺るぎ無い物にしている。

また、裏ではこのヴァルシオンの量産型が開発され、新技術であるEOTを取り外しているがそれによって高い量産性を確保。

高性能でありながら高い量産性を誇ると言う正に『究極ロボ』の名を欲しいままにした機体なのである。

 

しかし、全てはまた知られていない事。勿論ヴァルシオンと言う存在自体もだ。

 

ヨンはそれを思いだすと、取り合えずという事ではあるが、簡潔にヴァルシオンの説明を言った。

 

 

「・・・現在、表に出ているISとは比べ物にならないISが世界中で極秘裏に研究・開発をされていると聞いたことがあります。その中の一つが・・・あのヴァルシオンです」

 

「極秘裏となると・・・あまり良い話では無いようね」

 

「でも、だからこそ性能は恐らく私達の物以上・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「・・・見つけた・・・更識・・・楯無・・・!」

 

 

 

「あら。どうやら私をご指名みたいね」

 

ヴァルシオンからの通常回線から、楯無の名が口にされる。

その声からしてどうやら相手は楯無に良い感情を持っていないらしい。

対して楯無は余裕な表情で見てはいたが、話し声は明るくもなく暗くも無い、トーンの少し低い声だった。

不適とも言えるその笑みに、本音を除く面々は冷や汗を流していた。

 

その中、虚だけはもう一つの事に気になっている事があった。

ヴァルシオンを駆る相手の声。それが何故か彼女の頭の中で引っかかっていたのだ。

『どこかで聞いたことが・・・』と思っていたが中々記憶の中から呼び出せない。

もしかしたら一度だけしか会っていなかったが、声が印象的だったからか?

一つの想定を頭の隅に置き、虚は再び目の前の出来事に集中した。

 

 

「・・・。」

 

「あのヴァルシオン・・・一体・・・」

 

 

 

 

 

《ヴンッ!》

 

 

 

ヴァルシオンの四目のカメラアイが光り、その巨体を動かし始めた。

しかし、その機動性はスタートダッシュだと言うのにその巨体に似合わぬスピードで彼女達に向かい始めたのだ。

 

「っ・・・!」

 

「全機避けて!!」

 

 

楯無を除く全員が回避すると、楯無は自機の装備であるランスを瞬時に召喚。

自分を囮にヴァルシオンを受け止め様としていたのだ。

それを好機と見て、ヴァルシオンも得物である実体剣『ディバインアーム』を持ち、楯無に切りかかった。

大剣であるディバインアームを楯無はランス一本で受け止め、二人はそのままこう着状態に持ち込まれた。

 

 

「っ・・・見た目だけにパワーもあるようね・・・」

 

「ククククク・・・何時までその強がりを言っていられる・・・!」

 

余裕の表情で言う楯無だが、実際は苦しい状況だ。ヴァルシオンのパワーに僅かではあるが押されており、それを受け止めているだけで精一杯。これ以上相手が出力を上げれば、確実に押し負けるといった事だった。

しかし。このままと言う訳も無い。

 

 

「それは此方の台詞よ」

 

「何っ・・・!」

 

刹那。ヴァルシオンの背部に幾つもの攻撃が着弾する。

ヴァルシオンの操縦者は背部のダメージチェックと何があったのかを確認する。その隙を見て楯無はヴァルシオンから離れ、ランスに装備されていたガトリングガンで追撃を防いだ。

立て続けの攻撃にヴァルシオンの操縦者も苛立っており、背部をモニターでの確認を諦め、その場から飛行して距離をとった。

 

「ちっ・・・取り巻き共か・・・」

 

 

ヴァルシオンの背部だった場所からは虚達が銃火器で攻撃を続けており、積極的に機体に当てていた。その証拠にシールドエネルギーは減少していたが、ヴァルシオンの装甲の前では損害は軽微であった。

ちまちまとした銃撃に苛立ち、舌打ちをした後、彼女はディバインアームを持って降下する。しかし、その標的は楯無ではなく、虚達だったのには彼女の進行方向が僅かにズレ始めた時に気づいたのだ。

 

「私じゃない!?」

 

「先ずは・・・雑魚から消す!!」

 

 

「雑魚って私達の事!?」

 

「マズッ・・・避けて!!」

 

ヨンの叫びの数秒後。ヴァルシオンはディバインアームを構え、楯無の妹である簪に襲い掛かった。その凶暴な姿に簪は口を開けたまま突っ立っていた。あまりのインパクトに思考が停止してしまったのだ。

 

「っ・・・簪!?」

 

「あの子、何を・・・!」

 

足が竦んで動けない。単純な理由だが、其処まで頭が回らず、楯無は急ぎスラスターを吹かして簪の許に向う。そして、その簪に襲おうとするヴァルシオンに虚はマシンガンで照準を合わせるが、思わずトリガーを離してしまう。

 

(っ・・・今撃てば、確実に彼女にも・・・)

 

自分の腕を過信できない虚はトリガーを引くのをためらっていた。

その所為で簪を落としてしまうかもしれないからだ。彼女も学園に居るだけあって射撃の腕はあるが、それは自慢出来るほどではない。自分だからこそ知っている自身のステータスに虚はトリガーを引くのを躊躇してしまっていたのだ。

 

 

怯える簪に対し、ヴァルシオンは容赦なく振り下ろそうとしている。

このままでは直撃を食らうのは確実だ。次第に楯無の顔にも汗がにじみ始め、彼女の通った跡には光りに反射して飛び散っているのが解った。

 

 

「死ね・・・!」

 

「ッ!!」

 

 

我を取り戻した時。それは既にディバインアームが振り下ろさせた瞬間その時だった。

今から防御をしても防げない。回避しても間に合わない。

 

簪は、その一瞬で全ての選択肢をはじき出し、無駄だと言う結果を自分で自分に突きつけたのだった。

 

 

 

 

 

 

だが、不思議と痛みは感じなかった。

感じる前に死んだからか?そう思っていた彼女だったが、痛みの無さに違和感を感じていると、その原因が解った。

 

「っ・・・!」

 

「ヨッ・・・!?」

 

装甲の一部が剥がれた程度だった。ヨンが簪を庇い、攻撃を回避したのだ。

我を取り戻した簪はいつの間にか居た彼女に驚き、同時に安否を気遣った。

庇ったヨンの方は痛みのある表情をしていたが、身体に直接的なダメージは至ってないようだ。

 

 

「大丈夫!?」

 

「う、うん・・・」

 

 

 

「ちっ・・・!」

 

攻撃を外し舌打ちをするが、直ぐに後方からの気配に気づき、回避する。

後ろからは虚がシールドミサイルを放ち、本音がスプリットを発射していたのだ。

ディバインアームでミサイルを切り裂き、左腕の武装シールドから砲撃を放とうとするが、直ぐに逆サイドから楯無がランスを構えて突進してくる。

 

「自ら来るか!」

 

「・・・」

 

直ぐに左のシールドで攻撃を防御、鍔迫り合いに持ち込もうと考えていた楯無だが、ヴァルシオンは背部の羽から数発のミサイルを発射する。

それは、直ぐ様に煙を撒き散らし、同時に電波障害を起こしたのだ。

 

「チャフスモーク!」

 

『この濃度・・・気をつけ』

 

チャフの影響で通信に大きなノイズが入り、一時的に使えなくなってしまい、しかも濃度と範囲が広く、五人の姿は直ぐに自分の目の近くしか見えなくなってしまった。

 

「この濃度・・・何処から来るか分からないから、気をつけて」

 

「うん・・・」

 

 

 

刹那。簪は僅かに漏れた殺気に気づき、直ぐに左に目を向ける。

其処には一回りほど大きいヴァルシオンの巨体が二人の直ぐ其処にまで接近してきていたのだ。

一瞬の出来事に僅かに反応が遅れた簪とヨンだが、直ぐに薙刀の『夢現』と、ロシュセイバーを持ち、ヴァルシオンに反撃を行っていた。

 

対しヴァルシオンもディバインアームで対応。二人の剣を一度に受け止めるが、それは一瞬の事だった。

彼女は始めから鍔迫り合いにする気は無く、簪に近づければ勝ったのと同義だったのだ。

 

「貰ったぞ!」

 

「な・・・!?」

 

風圧と圧力が加わった左手が簪の喉許を掴む。其処からブースターを吹かし、その場から一気に離脱する。風圧と圧力に圧され、ヨンはセイバーを手放すと体勢を崩してしまい、ヴァルシオンの離脱を許してしまった。

 

(始めから簪が狙い!?まさか!!)

 

 

煙の中からヴァルシオンは簪と共に出てくる。

後は煙が晴れるか、彼女が出てくるか。其れを待つだけだったが、直ぐに結果は現れた。

 

「来たか」

 

煙の中から楯無がヴァルシオンを追撃せんと現れたのだ。

その彼女を見て、ヴァルシオンの操縦者は不敵な笑みを浮かべ、ディバインアームを簪の心臓の前に突きつけたのだ。

 

「っ・・・!!」

 

「おっと。動くな。動けば・・・こいつの命は無いぞ」

 

人質に取られた簪を見て楯無は目を大きく見開く。

一瞬にして優勢から劣勢に立たされ、しかも自分の妹を人質に取られてしまったのだ。

目を疑いたくなる現実に、彼女は唯そうするしか出来なかった。

 

「さて。こうなっては、どうするか・・・分かっているよな?」

 

「・・・。」

 

「うっ・・・」

 

 

「直ぐに手持ちの武器を捨て、武装解除しろ。さもなければ・・・」

 

「・・・・・・」

 

(駄目・・・お姉ちゃん・・・!)

 

風前の灯の中、それでも簪は自分の身よりも姉の身を案じていた。

その言葉が届いたのか、両者は一歩も行動に転せず、優劣も、表情も分からなかった。

もし、このまま続いたらと思う簪ではあるが、そんな事は無い。

いずれはヴァルシオンの操縦者が自分に何らかの事をする筈だ。

 

 

 

 

 

だが。先に行動を起こしたのは、姉の楯無であった。

 

 

手に持って居たランスを突き出し、照準をヴァルシオンと簪に合わせたのだ。

正気か、と一瞬疑うヴァルシオンの操縦者だが、どうやらそうではないらしい。

 

 

 

 

 

楯無は持って居たランスの手の力を抜き、ランスを離したのだから。

 

 

 

 

「・・・・・・!」

 

「・・・・・・」

 

 

「これで・・・いいかしら」

 

「そんな・・・!」

 

 

思わず声を漏らしてしまった簪。今の姉ならと信じていたのに、何処か裏切られた感覚が彼女の中にはあったのだ。

其れを見てヴァルシオンの操縦者は狂気の笑みを浮かべる。

あまりにも嬉しく、可笑しい為についには笑い出し、そして喜んだのだ。

 

「くっ・・・ククククク・・・ハハハハハハハ・・・!所詮はお前も・・・唯の女と、唯の姉と言う事か!」

 

「っ・・・!」

 

「そう・・・かもね」

 

 

「ククククク・・・さぁ・・・これで終わりだ!!」

 

そして、ディバインアームを構え、笑いながら楯無に向かって行った。

人質はもう用済みだ。後で幾らでも倒せる。

慢心と勝利の確信に溺れ、彼女は接近した。

 

 

 

 

 

 

 

 

直ぐ横の上から向ってくる一人の援軍を知らずに。

 

 

 

「随分な余裕だな」

 

「・・・へ?」

 

 

 

刹那。ヴァルシオンの顔に目掛けて千冬が鉄拳を入れる。

真っ直ぐに拳は彼女の頬に直撃し、一直線に楯無に向っていた彼女は一瞬にして横に逸らされ、地面に叩きつけられたのだった。

 

あまりの突然の事に驚く更識姉妹。だが、一番驚いていたのは妹のほうだった。

 

 

(ぐ・・・グーパンチだけで、アレを・・・)

 

 

 

「チッ。矢張り打鉄では無理があったか」

 

「・・・ってそうじゃなかった・・・どうして先生がココに・・・」

 

「・・・それは私が教師だからだ」

 

(・・・なんちゅー力説・・・)

 

 

千冬の無理すぎる力説に楯無は呆れていた。一方の本人は鉄拳を入れた右腕の打鉄の装甲を見て軽く舌打ちし吹き飛ばしたヴァルシオンの方に目を向けた。

吹き飛ばされた方は未だに何が起こったのか認識出来ておらず、地面に激突した時の状態のままであった。

 

 

「?・・・??・・・!?」

 

 

「興奮状態で周りが見えていなかったか。腕はあるようだが・・・それだけだな」

 

 

「何・・・どうして・・・どうやって・・・」

 

「貴様。どうやらこの部隊の主力の一つらしいな。それで良く一翼が担える・・・いや。お前らだからか」

 

「・・・貴様・・・どうして・・・足止めの部隊は・・・」

 

「ああ。あいつ等か。片したよ。」

 

ココに千冬が居る事自体が彼女にとって驚くべき事だった。

彼女達は今ならまだ足止めに出した部隊が足止めをして居る筈なのだ。

それを彼女は僅かな言葉で片付けたのだ。

 

アレだけの数をたった一人と一機で全て片付けたというのか。

 

信じられない事実を目の前に、彼女は何も口に出来なかった。

 

 

「間も無く伊豆や各地からもココへと向う援軍が集まる筈だ。お前達の優勢はここまでだな」

 

「う・・・嘘・・・嘘よ・・・そんな・・・私が・・・」

 

すると、先ほどの鉄拳で一部が破損したのか、ヴァルシオンの頭部の一部が壊れ、カメラアイ等が崩れ落ちていった。

其処から見える顔に千冬と楯無は眉を顰めた。

彼女は、二人が知る顔だったからだ。

 

「お前、確か一昨年に強制退学させられた・・・」

 

「・・・貴方、簪ちゃんを虐めていた・・・」

 

「っ・・・!」

 

 

簪も彼女達の台詞でようやくヴァルシオンの操縦者の事を思い出した。

二年前に楯無の実力に嫉妬していた女尊男卑主義の自己中心者。

楯無が上位であることに不満を持ち、彼女の妹である簪を狙って弱みを漬け込もうとしたのだ。

しかし、結局は失敗。彼女は其れまでにも数々の問題を起こす者だった為、強制退学を言い渡されたのだ。

 

 

「思い出したか・・・そうよ。アンタのせいでアタシは・・・上に立つべきアタシが・・・あんな惨めな事を・・・!」

 

「それで復讐を誓った・・・子供らしすぎるな」

 

「それの何が悪い・・・!!アタシは、そんな奴の下になる気なんて・・・!!」

 

「・・・支離滅裂だな。自分の欲と恨みが混ざって見分けが付かんくなったか」

 

「の様ですわね。判断はお任せします。」

 

「いいのか?相手は少なからずお前と縁があるのだぞ」

 

「だから・・・なんでしょうか?」

 

 

不適な笑みをする楯無に千冬はため息を吐く。

あんなやり難い相手をどうしろと。せめて倒すのが情けか。と思っていたが、どうするかと千冬も迷うのだった。

 

が。彼女達の反応を見て、とうとう彼女の怒りの限界点を突破したのだった。

 

 

「き、貴様等・・・このアタシを・・・この・・・この!!」

 

「・・・!」

 

『気ぃつけろよ千冬。相手の成りはアレでもヴァルシオンだ。何してくるか分かったモンじゃねぇぞ』

 

「分かっている。お前はそっちに集中しろイルム。」

 

 

 

余裕の冷静さを見せる千冬だったが、相手がヴァルシオンと言う事で気は抜けなかった。

寧ろ、今の状態では何をしでかすか分からない。

彼女は先ほどよりも強く警戒していたのだ。

一方で楯無の方に簪がより、その近くに虚達もようやく集まってくる。

 

それが合図となったのか。ヴァルシオンに異変が起こり始める。

 

いや。操縦者の方か。

 

 

 

「フ・・・フフフフフ・・・アハハハハハハ・・・」

 

 

 

「・・・!」

 

「な・・・何?」

 

「まさか・・・あの機体!」

 

 

 

「ゲイむ・シすテム・・・スタン・バイ・・・!!」

 

 

そのワードを聞き、千冬は背筋を凍らせる。

そのシステムには聞き覚えがある。最悪のシステムの名だ。

 

常人ではまず耐える事はできないシステム。

今彼女のあの状態で使えばどうなるのか。

 

「まさか・・・あのシステムが!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!」

 

 

刹那。狂気の笑いと共に彼女は突進してくる。

向ってくる相手に虚と本音は攻撃を用意し、簪は荷電粒子砲を用意する。

だが、その直前に千冬が大声で攻撃をやめさせる。

 

「ッ!!全員攻撃中止!!回避しろ!!」

 

「っ!?」

 

「うえっ・・・」

 

「え・・・!?」

 

機械の様な動きをせずにまるで人や鳥の様な滑らかな動きをしながらヴァルシオンは接近する。

それを千冬は唯一人で専用刀一本で応戦しようとしていた。

彼女の行動に虚は驚き、思わず彼女を呼び捨ての様な言い方で呼んでしまう。

 

「っ・・・貴方一体何を!?」

 

「黙って見ていろ!!」

 

 

大声を張り上げた千冬は専用刀一本でヴァルシオンのディバインアームと競り合う。

千冬は両腕で刀を持っているのに対し、相手は右手一本で受け止める。

ISの出力の差ではない。それだけではない何かが加わっていたのだ。

 

 

「ドケェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ!!!!!」

 

「くっ・・・!」

 

其処から左腕の武装シールドにエネルギーを集束させる。エネルギー砲撃を放つ気だ。

だが、今の千冬では回避は到底出来ない。受け止めているだけで精一杯なのだ。

剣を受け流すという考えもあるが、力加減の状態でそれをやれば確実に此方がやられる。

正に打つ手無しの状態だ。

 

 

自分が危機だというのに、その時の千冬は冷静さを辛うじて保っていた。

それは、彼女が今思い出した事と関係があったのだ。

 

 

 

 

 

 

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「ゲイム・システムの特徴?」

 

「そうだ。あの一件で・・・あんな物があると知ってしまったんだ。もしまたあんなのが現れたら対応も出来ん。だから・・・」

 

「特徴を聞いて、攻略のヒントにする」

 

「・・・そうだ」

 

「・・・・・・ゲイム・システムは外部から強制的に動作を適応させるシステム。その為、使用時には機体のスペックをフルに扱う事ができるわ。」

 

「・・・。」

 

「そして、当然其れに伴う代償も存在する。それは、ゲイム・システムの負荷が全て脳に掛かると言う事。つまり、使用した者はほぼ絶対に廃人となる。加えて、もしその時に限ってコンバット・ハイ等になっていたら・・・」

 

「・・・どうなる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「確実に死にいたる・・・つまり、死ぬわ」

 

 

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その言葉は正しかった。

その答えが、今千冬の前に現れていたのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

= アイドネウス島 =

 

時を同じくして、アイドネウス島。

其処には一隻の小型船が着陸しており、搭乗者はどこかに行っていた。

その何処かとは、たった一つである。

 

 

 

「・・・始めましてか。」

 

「・・・はい。お会いできて光栄です。ビアン・ゾルダーク」

 

白銀の髪をなびかせ、一人の虚ろな目の少女を連れたエアストが、ビアンの許を訪れていたのだ。

共に居るのはビアンの愛犬とマドカだけ。他には誰も居なかった。

相手は仮にも反政府組織の人物だというのに、ビアンは冷静な態度で彼女と話しており、エアストもその器の大きさに驚きはしていたが、決して動じず、変わらない冷静な態度を貫いていた。

 

そして、ビアンは話を切り出す為、手に持って居たワイングラスを直ぐ近くに置き、椅子に深くもたれ掛かった。

 

「・・・私の許に来た。と言う事は・・・何を知りに来た」

 

「全てです。貴方の組織の事。この世界の事。あいつ等の事。そして・・・」

 

「見えない影の事・・・か」

 

「・・・!」

 

 

「いいだろう。その為に君はココに来たのだからな。話してあげよう。全てを」

 

 

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