ヤマト2202 防衛軍戦記   作:化猫

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2-2 地下都市に潜め

まだ赤茶けた大地だった時に地表偽装ドックの一つへと固定されたヤマトは地球が青さを取り戻す過程で海の底へと沈んで行った。無論、地下都市から人の出入りもあるため、最低限人が特別な装備をつけず活動できる環境とされていたが。

 

ヤマトの再艤装が決まった折、海底の偽装ドックは大きく様変わりを見せた。

ガミラス戦役初期の海底アーコロジー計画による研究成果を流用しガラスのドームで覆われたそれはあたかもスノーボールを彷彿とさせるものだった。

 

しかし現在ヤマトの砲撃により天井部分が破損、応急的に周辺を囲い海面を下げることで対応しているものの割れたガラス瓶の如く哀れなものとなっている。

 

場所が場所のため一般人やテロリストの侵入は困難であり、現状警備は手薄を通り越してザルと言える。しかし数百名の人員をドックに集めるとなると話は変わる。空からは衛星が監視しており、海からは警備艇が監視を行なっている。残る地下は戦時中に張り巡らされた地下通路と現在封鎖している地下都市を組み合わせれば辿り着くことこそ可能だが、それも少人数であった場合の話であり、大所帯の移動を行えばその振動から察知されるだろう。

 

地下ドックへヤマトクルー達を人知れず運ぶ。言葉にすればこれだけのことであるが、無論容易いことでは無い。ヤマト帰還時に生還し尚且つ今回の反乱に与してくれるものは数として見ればそう多くはない。しかしそれでも数百人規模であり、その痕跡を隠すのは困難と言える。

 

こうなってくると取れる手は一つだけだ。ヤマトを動かし後からクルーと合流を図ると言うものである。

こうなって来るとヤマトが再艤装されたのが旧偽装ドックであったのは作為的なものであったのかもしれない。

 

少なくとも船体ブロック輸送用の昇降エレベーターは拡張され現在も使用可能な状態だ。

それ以降旧地下都市及び地下軍港内部で移動できるかどうかは未知数だが、不可能ではないだろう。

 

最大の問題は地下での電力確保だ。ヤマトの起動電源はもとより、移動用の電気機関車に使用する電力も確保しなければならない。これらは今も避難などに使う可能性の為確保されている供給ラインから電力を確保することができるが、それを行なった場合自体が察知される可能性が一段上がる。

 

またクルーたちの集合場所も問題だ。

 

旧地下都市内は増設に次ぐ増設により迷宮もかくやというほどである。

各々に任せて地下ドックへ集合させれば遭難して最悪は死に至る。

 

解決の糸口は徳川さんが持ってきてくれた。

 

「こいつを使いましょう」

 

旧地下都市の工業区画に隣接した宇宙船埠頭。そこにはガミラス戦前から新造艦に置き換えられるまで第一線で活躍した船たちが眠っている場所だった。

今はもう運び出され伽藍堂となってしまった埠頭の中に、唯一赤色の戦艦が残っていた。

 

国連宇宙軍戦艦キリシマ

 

内惑星戦争とガミラス戦争を生き抜いた戦艦は、しかし忘れ去られるように放置されていた。

他の艦はみなスクラップになったり再利用がなされているのに対してキリシマはその戦歴から解体するのが惜しいとして残されていた。

 

しかし改装を行うほどのものでもなく、さりとてモスボールとして保管する価値もない。

何も決められることはなく、いつの間にか忘れ去られた。

その事を口惜しく思う有志によってキリシマは整備され続けた。今も現役時と変わらない能力を発揮することができる。

 

「何かしらの監視はあるはずですから、それを撒くのに使いましょう。格納庫に船で乗りつけてそのまま潜って仕舞えば行き先はわかりません」

 

そう言いつつ装甲を撫でる徳川機関長の手は優しかった。

 

港からキリシマまで船の手配は南部が志願してくれた。

 

残る問題は電力だけだ。

 

地下都市の発電設備を動かすことができれば上層部に気づかれることはないだろう。

しかし動態保存されている旧式核反応炉や核融合炉は即応性に欠く。

 

電源車をかき集めることができればそれも叶うかもしれないがその動きだけで露見するだろう。

 

「一つご提案があるんですがよろしいですか?」

 

そう声をかけてきたのは榎本甲帆長だった。

 

「地下ドックてのは今はもうほとんど使っておりませんがガミラスの戦訓ってことで最低限、すぐに使用可能な状態で封鎖してあるんですよ。こんな風に」

 

そういいながら恐らくは防水布だろうシートを剥がしドックの一角に隠されたコンソールを露にする。

 

「このすぐにってのが曲者でそれこそ今艦隊が地下ドックに入港しても整備から補給から最低限可能なわけです。むろん波動エンジンの再起動すら可能なように、ね」

 

何やら手早く装置を動かしたと思うと閉まっていた防護隔壁が一斉に開き始める。隔離された空間の中には整備機材やローダー車、各社試験機材そしてその中心で一際大きくまた稼働し続けている

 

波動エンジン…!

 

「まぁ非常動力の一つですな、旧地下都市に存在するすべてのドックにこいつが配備されてます。これがあれば電気機関車程度なら楽々ですよ、艦長代理殿」

 

全てのピースがここに揃った




以下読まなくても良い解説

ドックと地下都市

海底ドックは旧偽装ドックを改装して建築されておりコスモリバースシステムを使用し終わったヤマトは運用可能なドックの都合もあり搬入、再整備が行われる運びに。
旧地下都市と直通のEVはそのまま旧地下工廠を経由し他の地下ドックへ移動可能な線路とそこを走る船体輸送専門の貨物列車に搭載できたりします。

キリシマ
修理部品等は金剛改型等からの流用、ペンキ代が足りず全身錆さびだったり。

地下ドックの波動エンジン
まぁ大規模停電等の対策がメインだったり、普段は触れないよう壊れないよう専門の兵以外知らないし装甲隔壁内で安置されてます。
榎本さんは担当兵員ではありませんが知ってました。

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