ヤマト2202 防衛軍戦記   作:化猫

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2-4 地下ドックの攻防

「隊長、現地でヤマトクルー島大介三等宙佐がこちらに接触してきました」

 

その言葉に一瞬心拍数が上がる。島大介はヤマトのブリッジクルーの中で唯一動向が判明していた男だ。

その男が一体なぜ。

 

「クルーたちの説得を手伝うといってきています。どうします?後送しますか?」

 

いくらかの逡巡ののち動向を認めることにする。こちらは一人でも人手が必要であるし説得を行う人間も一人で多ければいい。彼らがそれで諦めてくれたら万々歳だ。

 

インカムマイクで藤堂長官にのみ報告を送る。

 

少々熱に充てられ気味の芹沢作戦部長にこの報告をすれば恐らく拘禁を命じるだろう。それでは意味がない。

 

そもそも故島大吾一佐の件で島大介三佐に対し冷静に行動できるかわからない。それは自分も同じなのだろうが…

 

短く了承を得て三佐にはこちらの制服を着てもらう。少なくとも顔を隠してもらわなければ、彼の存在が露見しかねないだろう。

 

一方で探索開始からすでに1時間以上が経過してきた。

早々に手詰まり感が満ちてきた。そう遠くにはいないはずの戦艦一隻を見つけられないのだ。焦りもあるだろう。焦燥感が募る中、一人のオペレーターが上申してきた。

 

部隊が地下に降りた時点では未だ微かな振動が残っていたものの探索を開始した段階でその振動が消えたという。この事を勘案をするとそヤマトはそこまで遠くには逃げていないだろう。

 

そこで旧国連軍の回線を使用しヤマトに交信を呼びかけ逆探知で炙り出すというのだ。

 

面白い案であったし藤堂長官が乗り気であったため採用された。

 

「地球防衛軍国防長官、藤堂平九郎である」

 

その一言が始まりの合図だ。

 

通信波とともに探知を開始する。向こうが受信するだけでは逆探知はできない。ゆえに彼らが返信することに賭けるのだ。

 

そして我々はその賭けに勝った。古代二佐は交信に応じた。20世紀の時代ならいざ知らず、今の技術で使用している周波数がわかっている逆探知など一瞬で終わってしまう。実際の時間は数秒にも満たないだろう。

 

逆探知が終わり、部隊が偽装ドックへ流れ込む。警戒に反しトラップの類はなく、陸戦隊が出迎えることもなかった。

 

数ペアに分かれクリアリングを行なっていく。各通路を制圧しヤマトの包囲を完成させる。

 

少し前の探索と打って変わり非常に手慣れた動作で警務隊の面々は進んでいく。

 

惜しむらくは探索の為散らばった部隊が集結するのに時間がかかっていることだろう。

 

とはいえ空中待機させていた本隊は無事に展開を完了しているから問題は少ないと言える。

 

「時間だな。総員ヤマト制圧準備! 長官、ヤマトに最終勧告を」

 

すこし紅潮した面持ちで毅然と言い放ったのは芹沢作戦部長だ。

対して藤堂長官は能面の様な顔を動かしモニターを睨む。

 

「君たちの返答を聞こう」

 

繋がった通信に出てきた古代二佐は前二名とは対照的に晴々とした顔をしている。

何がそこまで彼を駆り立てるのか、少なくとも私にはわからない。

いま我々が感じている苦悩を彼は感じてはいないのだろう。そして迷いも。

 

「我々は行かねばなりません。たとえ一時不義理を働くとしても成すことを成さねばならないのです。長官、我々は行きます。それが答えです」

 

そう言い切り通信が切られる。

交渉は決裂だ。

 

「状況開始」

 

短く符号だけを告げる。

 

隊員達は一切の気のゆるみもなく前進を再開する。ドック内の遮蔽物などを使い確かな足取りでヤマトへ近づいていく。

 

時を同じくして別動隊が管制室へ向かう。ドック内のすべてがそこで操作できるのだ。おそらく隔壁や注水の操作もそこからオーバーライドされているのだろう。ゆえに制御系を奪いヤマトと切り離す。

 

警戒をしながら歩みを進める姿が隊員の装備しているカメラから伝わる。しかし作業員すらおらず無人の管制室はあっさり我々の手に落ちた。

 

これで彼らは袋の鼠となったはず。

 

ヤマトが籠城を選択したとしてその時外部から歩兵が突入できる個所は限られている。すでに天井部分にはラぺリング装備が終わった部隊が待機している。ドック最下層の部隊が陽動を行っている隙に甲板を制圧して仕舞えばチェックメイトだ。

 

突入の指示を出そうと一呼吸置いたその時、ヤマトの対空砲が包囲中の部隊員を指して指向し始める。未だ天井の部隊には気づかれてはいないだろうが、さて。

 

慌てて退避を始める隊員達。少なくとも死角となる艦の真下まで進めば俯角の問題で撃たれることはないだろう。

 

脅しだろうと彼らは武器を取ってしまった。これでもはや我々は引くことができなくなってしまった。

なりふりは構っていられないだろう。

稼働状態の戦闘艦と歩兵部隊ではスケールが違いすぎるのだから。

 

ドック下面に居た隊員の待避が終わろうかと言う時、爆炎が当たりを包み込んだ。

 

紅蓮に輝く炎はコンクリートを打ち砕き側面の注水口を大きくひしゃげさせ轟々とした海水を呼び込む。

 

もし包囲を続けていたら爆発の巻き添えになっていたかもしれない。

とはいえ今が危機的状況でないとはとても言えないだろう。

 

無理やりな注水を行なっている為、本来水に沈まないはずの通路まで浸水が始まっている。猶予はない、急ぎ部隊に撤収を命令する。事ここに至り我々警務隊で対処可能な範囲を飛び越えてしまったのだ。

 

それ以前から荷が勝ちすぎた気もするが。

 

本来の注水速度を大幅に上回る速度で水が増えていく。艦内に入るためハッチをこじ開ける時間は確実にないだろう。それまでに潜水装備のない隊員は溺れてしまう。

 

これでは島三佐を使った説得も不可能か。

 

撤収を指示するもラぺリング部隊から一名周りの静止を振り切り降下していく。他の隊員が続くわけでもなく何をしているのかと芹沢作戦部長が目で訴えている。

 

無線で聞き出そうかという矢先

 

「隊長、すいません島三佐を取り逃がしました。今艦上に降下したのは彼です」

 

馬鹿野郎が

 

「構わず撤収せよ、今もたついていたら貴様らも水の下に沈むことになるぞ」

 

彼一人なら易々と艦内に潜り込めるだろう。であるならば死ぬことはない。この後攻撃衛星の砲火で蒸発することとなっても。

 

問題ない事を芹沢作戦部長に告げ事態を見やる。

 

満水まで半分といったところで今度はハッチに変化が起きる。先ほどと同じく爆発によって小さな穴が穿たれる。それもいくつも。

 

急激に流入する水圧によって大きくひしゃげ華が開くように基部を残したままハッチは大口を開けた。

これほどの流水が来れば普通船が流されドックの壁にぶつかるところだろう。

これが宇宙戦艦相手出なければ。

 

機関は等に始動済みだったのだろうヤマトを中心に目に見えて水の流れが緩やかになっている。重力制御を応用しているのだ。

 

もはやここまでくるとお見事としか言いようがない。

 

悠々とドックから逃げ出すヤマトをしり目に見送ることしかできないでいた。




以下読まなくていい解説

島君勝手に現場に連れ出してええん?
一応作戦の総指揮は藤堂長官がとってますのでそこの許可があれば可能です。

島大吾一佐の件
近藤勇雄は生前の島一佐と交流(高校時の先輩と後輩)があった設定です、多分死に設定ですネ

ヤマトの行動
まぁそら鎮圧部隊が来ることを事前に予測していれば最低限用意はしてます。

島君ついていかないのでは?
星名君に説得されました。

感想お待ちしております。

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