注これはシャンフロ二次です。
暴楽を書こうとしたら前置きのほうが長くなりました。
ネタとアホで出来てます。

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あなたを右側です

「姉さん…」

私は神棚に飾られた笑顔の姉の写真に手を合わせる。

いつもは楽しかった事今日買った物などを報告するのだが今日は違った。

「ごめんなさい…私あんなに約束したのに…」

私は苦悶の表情を浮かべ犯した罪を懺悔する。

 

 

 

「ナマモノ、それも彼女持ちのクラスメイトで受けの妄想してしまいました…!」

 

 

 

以前姉(今は上京して有名BL漫画家の元でアシスタントをしている)はこう言っていた。

「ナマモノは“魔”を呼ぶ…覚悟無く手を出してはならない。」と。実際姉がナマモノを読んでいる所は見た事が無かったし神棚(姉が帰郷したときに読む用のベストセレクションソリッドブック。私にも開放されている。)にもナマモノはない。そして私も姉の教えを固く守っていたはずなのに。

陽務楽郎。彼が全てを狂わせた。

朝のどこか寝不足な表情とかクラスメイトをからかっている姿に右側の素質を感じてしまったと気づいた時にはもう遅く手が勝手に某イラスト小説投稿サイトの新規投稿をクリックしようとしていた。

そしてその手を無理矢理マウスから引き剥がした所で冒頭のシーンに戻るというわけである。

とはいってもとめようにもやめられないとまらないのが萌えというもの。写真の姉に報告した2時間後具体的には登校して陽務くんを見た時には妄想が頭を支配していた。

(うーんやはりちょい寝不足の陽務くんは最高だわ…。)

しかし彼何で寝不足なんだろう。彼女だと噂の斎賀さんもたまに(彼女は文武両道才色兼備なので本当にたまに)あくびをしていたりするので二人で電話とかしてるのかもしれない。(斎賀さんの家はすごく格の高い家らしいので夜遅くまで彼氏といるというのはまああり得ないだろう)

しかし私は例えそうであっても妄想せざるを得ないのである。すまない斎賀さん、投稿するときには痕跡はちゃんと消すから。オリジナルとして投稿するから。

さて今日も寝不足の陽務くんの表情から事後、そして最中の妄想をするぞと考えた時ふと気づく。

 

そういえば陽務くんの嬌声をあげさせている相手決めてなかったな?

 

オーマイゴッデス!なんという失態!

貴様それでも道を歩む者なのか!?首を出せ!

心の中で私を罵倒する声が響く。

そう右側を妄想するならば左側も妄想せよとは世の理。

BLのLとはただ性欲を意味するLibidoではない、Loveの略である。すなわち相手がいるのだ。

しかしどうしよう?私は女の子が左側もOK派だけど玲さんはなあ…確かに才色兼備でにこやかで高嶺の花だけどなんか違うと私の直感が告げてるし現実と無理に寄せると不気味の谷に落ちる、その奥にあるのは狼の骨ばかりだって姉さんも言ってたしなあ…。

同じ理由でクラスメイトも却下。いつもからかわれている彼は結構いいとこまでいったけど最後のピースが嵌まらない。この谷を超えなければカプまでの道は出来ない。

「うーんこれは詰みか…?いやナマモノと名前がつくからには先人達がいたはず…その意見を仰ごう。」

私は某掲示板をクリックしてナマモノ系が無いか探してみる。しかしそこには予想外の光景が広がっていた。

「あれ?なぜ全部魚臣慧が右って結論になってるんだろう…?」

芸能人系ナマモノのほぼ全てが右魚臣慧スレ、通称魔境と化した事は知っていたが自分と同じような者、すなわち身近な相手(友人、家族、業の深い者では恋人)を右にしようとしていた者達も最終的には魔境に飲み込まれていた。最初は荒らしかと思ったが個性的な性癖と口調のコテハンが理解したという感じで右魚臣慧とスレのナマモノを語っているのを見るにどうやら“閃き”を得てしまうらしい。

それほどまでに強烈な魔境とは一体なんなのか。

私は好奇心から覗きこんでしまった。

 

66:名無しは左側を探索します

なぜ慧きゅんはここまで右側なのだろう

67:名無しは左側を探索します

右側なのは宇宙の真理やぞ?疑うのか?

68:名無しは左側を探索します

いや疑わないけど理由を知りたくなるのが人類のサガじゃん?今地球に私達は立ってるけどそれを何故かと調べて言った結果今の哲学や科学があるわけで

69:名無しは左側を探索します

地球×慧きゅん…?閃いた、ちょっと抜ける

70:名無しは左側を探索します

いってらー報告よろ

71:名無しは左側を探索します

この世界にはあらゆる物にセーメ値がある。基準のセーメ値は1だ。これより高いと左側、低いと右側になる。

そして慧きゅんのセーメ値は限りなくゼロに近い。これは世界のあらゆる物よりも低い、世界に空いた穴のようなものだ。よって慧きゅん以外の全ては慧きゅんの左側になる、というのはいかがだろうか

72:名無しは左側を探索します

つまり行き着く先は魚臣慧…?

73:名無しは左側を探索します

顎のごとき右慧魔境…?

74:名無しは左側を探索します

いや異説を唱えたい、慧きゅんという存在そのものが…

 

うん何が書いてあるのか1ミリも分からない。しかし深淵を覗きこんだならば深淵もまた私を覗いていたらしい。私の脳内をじわりと魚臣慧は右側であるという概念が浸食しようとしていた。

(ヤバい、私が推すのは陽務くんの右側であって他の左側になってる陽務くんじゃないんだ!!)

私はとっさに深夜のネットサーフィンのお供に置いておいたライオットブラッド(トゥナイト)をひっつかみ勢いよく飲み干した。

ゴクッゴクッ

頭が冴えていく。魔境からの侵略が引いていくのを感じる。

やはりライオットブラッドってすごい。改めて私は思った。一日3本飲むとなんかヤバいらしいがもう12時回ってるからこれが1本目、問題ない。しかし頭が冴えすぎた気もする。明日寝不足になるかもしれな…

その時オリュンポスの神託級の閃きが体を駆け巡った。

ライオットブラッド×陽務くん…イケるのでは?

魔境によって無機物×ナマモノはベストマッチであるという気づきを得た。そしてライオットブラッド、これは頭を活性化させ虜にさせ最終的に堕とす、すなわち究極の魔性攻めである。そしてそこに陽務くんを組み合わせる…おいちい!

よし早速取りかからなければ、そして投稿しなければ…今なら何万文字でもいける気がする!

万能感、またの名を深夜テンションで文字を爆速で打ちこんでいく。あっという間に陽務くんことHくんがライオットブラッドに蝕まれていく小説が書き上がり私は満足感のまま意識を飛ばした。

 

 

 

夢を見た。

白い空間にポツリと陽務くんがいる。彼の周りをどぎつい色がついた液体がぐるりと取り囲んでいた。

彼は液体を睨めつける。

「まだ合法堕ちするつもりはないからな。」

液体はブクブクと気泡を発した。まるで彼を嗤うかのように。いや嗤っている。ククッとテノールが空間に響く。

「いや君は堕ちるとも。もう君は我々の手中におさまっているのだからね。」

そう言うと液体、いやライオットブラッドが動いた。

バシャリと陽務くんの全身がライオットブラッドの水球に漬けられる。気泡がくすぐったいのか逃げだそうとしているのか彼は体をよじるが特に変化は見られない…いや違う。胸や腰を気泡がかする度に彼は身じろぎをしそれがだんだん大きくなり表情が恍惚へと変わっていく。

「くっ…」

「暴徒の魂は君の事が気に入ったみたいだね…もっと中まで入りたがっているよ…さあ芯まで染まるんだ…」

そうしてライオットブラッドは粘度を高め蛇のように陽務くんの体を絡め取り服を剥ぎ上下の口内を犯そうと…

 

というところで目が覚めた。R-18を私が見たこと無いから想像が出来なかったようだ。年齢制限は守るべしというのが我が家の掟なので。ただ最後頭巾を被った人影がいて「効果実証ありがとうございます…」みたいな事言った気がするのは気のせいだろうか

 

 

 

この夢を見てしばらく後に姉さんから電話がかかってきた。どうやら姉さんがメインイラストレーターで企業とのコラボが突然決まったらしい。

「いやまさか私指名で企業コラボとか思っても見なかったわ!しかも大企業!」

「よかったね。ところでどことのコラボなの?」

「ガトリングドラム社よ!ライオットブラッドの擬人化ですって!しかも性格の設定がめちゃくちゃ細かいの!まるでそんな人が本当にいるみたい!」

「へぇー…とりあえずCMとかになったら見とくよ。」

…夢の中で暴徒の魂とか言ってたな。まさか本当にいたりするのかな…なんてね?

 

 



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