ボーグバトル!そして一人の少年は『平穏な戦い』に身を投じる!
「キング・ケサル。一緒に行くよ」
「もはや人類は行き詰っている」
「私達は望む」
「美しい世界を創り上げることを」
「〇〇人が到来することを」
「彼らの力によって、新しい人類世界を・・・」
「人類の暴政を打倒せよ!」
「世界は〇〇世界のもの!」
リンチェンは暗い室内で目を覚ます。自分の部屋だった。
「夢・・・だったか」
全身は汗まみれだった。
「リンチェン・・・、大丈夫?」
フェイトが心配そうに尋ねた。
「・・・大丈夫です」
リンチェンは頭まで布団をかぶった。
「・・・やっぱり何かが引っかかる」
「どうしたのだリンチェン。もしかしてEMOのことか?」
「EMO?」
「ああ、我が勝手に考えた略称だ。お前が総帥を務めてる組織の」
「ああ、あれですか・・・」
朝の教室にはさわやかな空気が流れていた。
「いえ、あれの目的がわからないんです」
「・・・お前、仮にもEMOの総帥だろ?
「我々E〇Oは必ず勝利を・・・」
「・・・まさか」
「どうしたのだ?」
「我々は〇体文明が四百年後に到来することを知っている」
「待ってください・・・。もしかして」
「・・・もしかして?」
「Earth Trisolaris Organization、それが私の母が総帥を務める組織です」
「・・・地球三体組織」
「母を止めてください」
「人類の暴政を打倒せよ!」
「世界は三体世界のもの!」
「・・・そういうことでしたか!」
「なに!どういうことだ?」
「適当に考えてください!」
そう言ってリンチェンは窓からジャンプして、空の彼方に消えた。
「むう、リンチェンの考えたことか。うーむ・・・」
「リンチェン君は何を思いついたのかな」
「中国チャンピオンのリンチェンが考えたこと・・・」
神山やすずか、そして他のボーガーたちは必死に考えた。
(・・・こいつら何をやってるんだ)
それ以外の者の総意だった。
タンヌ・千葉。地球ミッドチルダ組織本部所在地。
「レイラさん、もしかして地球を売り渡そうとしていませんか?」
「・・・さすがは総帥。私達の目的を察しましたか」
「やっぱり・・・」
「そうです。・・・少し昔話をしましょう」
中東、とある変わり者の転生者がイングソック党の野望を打ち砕くために村を去った後、村は平和を維持していた。あの転生者が暴れてくれたおかげといえる。
そんな村にある男が訪れる。名をマイク・エヴァンズといった。彼もまた転生者であったが、他の転生者とは事情が違ったようだった。
「おそらく、僕は人造昆虫カブトボーグ V×Vというアニメの世界から来たようだ」
事実、彼は魔法少女リリカルなのはの知識を全くと言っていいほど持ち合わせていなかった。
「・・・なるほど、僕の世界はそういう風に思われていたのか」
レイラはあの転生者から聞いた話をエヴァンズに伝えた。
「だが、この世界も酷いありさまだ。神とやらは物語の維持に必死なのかもしれない」
『神』、レイラは思いついた。『神』に会ったら何か打開策を教えてもらえるかもしれないと。
「・・・ふむ、やってみる価値はあると思います」
そう言って、彼はボーグを投げた。時空に穴が開いた。
「おや、誰かな?」
紫色の髪、日本人のような顔、少年のような見た目。それが神だった。
「・・・そりゃ本当かい?でも僕は権限を奪われてるからな・・・。そうだ!リンチェン君に相談してみなよ!」
神はリンチェンを紹介した。彼の人生に関しても。
その後、レイラはエヴァンズにとある計画を提案した。
「・・・それはいいアイデアかもしれない」
それは売国ともいえる行為だった。だが、方法はこれが一番といえた。
「・・・前世で僕も似たようなことをしていた。失敗したけど、以前のノウハウを活かせるかもしれない」
「ミッドチルダ、地球を遥かに超越した文明。その文明に地球を統治してもらう。それが私達、地球ミッドチルダ組織の目的です。少なくとも、物語にかかわらない場所は統治されるでしょう。主人公たちの知らぬ間に」
「・・・そんなの成功するわけがない」
「そうですよね。でも方法はこれしかないんです。でも、これが成功したら・・・」
「そういう意味じゃない。僕は前世で彼の関わった団体と戦ったことがある。その団体の目的は君たちのそれと同じだ。でも失敗に終わった。いや、元から失敗だった。彼らがすがった文明は残酷なものだったんだ」
「ですが、ミッドチルダ文明は主人公が行き着く世界で・・・」
「完璧な文明なんて存在しない」
「・・・私達を止めるつもりですか」
「・・・さようなら」
リンチェンは外に出ようとする。レイラが腕をつかんで止める。
「・・・あなただけなんです。世界を変えることができ、違う物語の出自であるからこそ、魔法少女リリカルなのはの影響力を受けないあなただけなんです」
「・・・僕に求めるのはそれだけなのか?」
「いいえ」
レイラは腕をさらに強くつかむ。
「あなたが、リンチェン、あなた自身が必要なんです」
リンチェンはレイラの目を見て、はっきりと理解した。もはや彼女の世界にはリンチェンしか光が存在しないのだと。
「・・・エヴァンズはどこにいる」
「最も物語に近い場所といえるでしょう」
レイラはリンチェンの腕を離した。
「・・・僕は君を止めるつもりだ」
「それはできません。貴方もわかっているはずです」
「・・・さようなら」
リンチェンの姿が消える。
レイラの言う通りだった。リンチェンは彼女を、地球ミッドチルダ組織の行動を阻止することができそうになかった。海鳴に帰る途中に、何度も心が冷えていく感覚に襲われてしまった。それを何とかするために指宿、湯布院、草津、箱根と寄り道したが、心が冷えていく感覚は無くならなかった。ついにはウィーンに無意識に立ち寄っていた。
なんとか海鳴に帰ることができたが、意識は朦朧としていた。だから、ピンク色の魔力弾が飛んでくるのにも気づけなかった。それは顔に直撃した。
「・・・無駄な攻撃しちゃったの。・・・フェイトちゃん、お話聞かせてほしいの」
「・・・なのは」
「フェイト、そいつの口車に乗るな!リンチェンを平然と攻撃するような奴だぞ!」
なのは、フェイト、アルフの三人がリンチェンの目の前にいた。
「・・・あれ、僕はいつの間に海鳴に?」
「リンチェン、あんた数日間もどこに行ってたんだい!?」
「す、数日も・・・?確か指宿や湯布院に行ったことまでは覚えてるけど」
そうこうしているうちに、また戦闘が始まったようだ。だが、それはすぐに終わる。
「そこまでだ。戦闘を終了しろ。時空管理局執務官クロノ・ハラオウンだ。話を聞かせてもらおう」
黒衣の少年が空中に現れる。フェイトは攻撃を間髪入れずに加える。少年は砂ぼこりに覆われるが何ともないようだった。
「フェイト、逃げるよ」
「・・・うん」
二人は逃げ出した。
「すいません艦長、魔導士のほうの片方は逃がしてしまいました。・・・ええ、わかりました。君たち、少し話を聞かせてもらうぞ。・・・もちろん、そこのボーガーも」
明らかになのはとフェレットに比べ、態度が変わっていた。
「・・・ええ、わかりました」
クロノという少年に連れられたのはアースラという船だった。
「・・・なんだか自然選択みたいだな」
リンチェンは前世の時に見学した船の印象を思い出した。
「・・・ボーガーが何か変なことを言ってるの」
「なのは、君はボーガーに恨みでも?」
なのはと見覚えのない少年が話していた。
「・・・」
クロノという少年は何故かリンチェンを睨んでいた。
そうこうしているうちに艦長のもとに連れられた。部屋に入ると日本風の部屋が広がっていた。艦長と思わしき女性がお茶をたてている。なぜかミルクとか砂糖を入れていたが。
「なんと酷い緑茶だ」
ついリンチェンは口に出してしまった。クロノから恐ろしいオーラが放たれる。
「落ち着きなさいクロノ。ボーガーとはそういうものよ」
いつの間にか自然選択に似た船に乗せられてしまったリンチェンに何が待ち受けるのか・・・!
続く
次回予告!
時空管理局!次元世界の平和を守る組織!
リンチェンはその組織の戦艦、アースラである出会いをする!
次回カブトボーグ・リリカルヴィクトリー、再会!1379号監視員!
熱き闘志にチャージ・イン!