ソードアート・オンライン 〜幻想を紡ぎし者〜   作:☆さくらもち♪

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久々の投稿となります!
不定期更新なので気長に見ていただければと。


プロローグ

2022年、人類は新たなる世界を切り開いた。

現実世界とは異なる()()()()と呼ばれる世界を。

仮想世界を作り出した天才物理学者『茅場晶彦』。

彼は『私だけではこれは成し遂げられなかっただろう』とインタビューで答えた。

聞く人が聞けば多種多様に聞き取れる意味合いを残した。

 

曰く、茅場晶彦の開発チームの事だ

 

曰く、茅場晶彦の出資者だ

 

曰く、茅場晶彦ともう一人の天才だ

 

謎は謎を呼んだ。

茅場晶彦はその答えを告げることはなく、仮想世界を利用した世界初のVRMMORPGを開発する。

その名も『ソードアート・オンライン』。

先行テストとして抽選1000名にそのゲームを購入する権利を得れた人々は言った。

 

「本物の世界だった」

 

「仮想世界とは思えない」

 

「とても素晴らしい作品だ」

 

その評判からソードアート・オンラインを求めるゲーマーが続出。

開発会社としては、新たに9000個を販売する予定との事。

 

…………

 

…………

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

テレビの電源が落ちる。

1人の少年がリモコンで電源を切ったからだろう。

 

「何処も一緒」

 

少年がネットやテレビ、新聞を見ても殆どが仮想世界についての記事ばかり。

1度は楽しめてもそれがずっと続けばつまらなくなるだろう。

現に少年はそれらに対する興味は一切失っており、テレビを切ったあとは自室へと戻って行った。

 

「あと……何日」

 

死人のように表情が無い少年がずっと待っているのは先程のVRMMORPGで賑わっていたソードアート・オンラインの正式サービス開始日。

 

「早く3日、経たないかな」

 

ぽふっとベッドに倒れ込むとまるで死んでいるかのように眠りについた。

 

 

 

 

 

少年が目を覚ますと日の光が窓から差し込む。

日付を見れば1日経っていた。

 

「ん……」

 

本来であれば学生として学校に向かっている時間帯になり始めていた。

しかし少年にはそれは叶わない。

 

『姉ちゃん、行ってきまーす!』

 

「……少し顔見せたのが、いいかな」

 

隣から聞こえた元気な声を聞いて、外に出ても寒くない程度の格好をすると玄関へと向かう。

その途中で来客を知らせる呼び鈴も鳴っていた。

誰が来たのかも確認せずに玄関の扉を開く。

 

「あっ……!」

 

「……入ったら」

 

「うん!」

 

扉の向こうにいたのは可愛らしい黒髪の少女。

しっかりと手を入れられているのか髪も肌も綺麗で、中学生とは思えない美貌の持ち主だった。

 

「お邪魔するね?天音」

 

「ん、どうぞ」

 

少女を家へと招きながらも今の時刻を見る。

まだ朝の6時半で、ここから少女が通う中学なら1時間ほどは余裕があった。

 

「んへへ〜、久々に会えた〜」

 

「別に……久々ってぐらいでも」

 

「ボクにとっては久々だよ!」

 

「大袈裟だね」

 

天音と呼ばれた少年に会えたことが余程嬉しいのか、少女は幸せそうなオーラを放つ。

少女の名は『紺野 木綿季』。

天音の隣である紺野家の次女であり、幼馴染だった。

 

「んむ……」

 

最初の元気と打って変わって、話していると少し眠そうにしていた。

 

「ほら、おいで」

 

天音は自分の膝をポンポンと叩くと、木綿季はそれに釣られるように頭を乗せる。

 

「30分だけ」

 

「うん……」

 

「おやすみ」

 

天音とて分かっていた。

木綿季が天音を独りにさせないよう出来る限りここに来ていることを。

しかし学校では人気者でよく友達と一緒の姿を見れば天音という人間は汚点になってしまうだろう。

だからこそ天音は学校に行かない。

幸いなことに天音の能力を買ってくれた人物から時折仕事なども貰えていた為にこうして生きていた。

 

「ありがとう」

 

天音にとって木綿季は特別だと自覚するのは遅くはなかった。

そもそも好いていない男の家に来るわけもない為にある程度は好かれてるとは理解出来ていた。

しかしそれを告げる事は無い。

 

「僕は悪い子だよ、木綿季」

 

眠っている木綿季の頭を撫でつけながら時間を見ればもうすぐこの場を出なければならなくなっていた。

 

「木綿季、起きて」

 

「ん〜……」

 

「学校遅れるよ」

 

身体を揺すると段々と目が覚めてきたのかとろんとした目が焦点を合わせていく。

 

「おはよう」

 

「うん!おはよう」

 

「行っておいで」

 

「行ってきます!」

 

ぱぱっと身だしなみも整えた彼女は天音に手を振ると家を出ていった。

そしてそれが木綿季にとっては()()とも言える長い期間だった。

 

 


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