サボり癖のある指揮官の話   作:鰯くん

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誓約騒動

「指揮官様~!!」

 執務室の扉が勢い良く開いた。

 俺は咄嗟に資料の上に置いて読んでいる雑誌を机の下に隠す。

 「どうしたカリーナ。今は就業時間だぞ?あと部屋に入るときはせめてゆっくり開くんだ」

 「す、すいません。じゃなくて!!」

 カリーナが目の前まで来て机を両手でバシバシと叩いた。

 「何時になったらショップで物を買ってくれるんですか!?前々から買う買うと言っているのに何も買ってないじゃないですか!!」

 「いやだって買うもん無いし……資材は後方支援で足りてるし比較的ここそんなに忙しいところでも無いから快速とかの類いも要らんしなぁ」

 「そんなぁ、私のボーナスが」

 あからさまにガッカリとした態度を取る。

 「はぁ……そもそも必要ないものは買わないこれ鉄則。だからこんなところでいじけてないでさっさと戻れ」

 「はぁ…わかりましたわ」

 カリーナが諦めて扉へ向かう。

 よし、いいぞ。

 俺はテーブルの下にある本を取り出す準備をする。

 戻れとか言ったけど実はもう今やるの終わってるのね書類。

 安心して雑誌を取りだそうと手を付けるその時、ふとカリーナがこちらに振り替える。

 「指揮官様が就業時間中に雑誌読んでた事、ROさんに言っときますね?」

 バレてた!?

 「そうそう!!実は凄く欲しいの合ったんだよね!!カリーナ様ちょっとお待ちになって!!」

 「うひひひ。今日は何をお買いになられますか?指揮官様」

 本当にカリーナは商売上手だと思う。

 俺の財布が……。

 ※

 「それで何でこれを買ったんだよ俺……」

 手には小さな小箱が握られている。

 そう、何故か俺は指輪を買ってしまった。

 「とは言っても他の資材とかに回しちゃうと勿体無い気がなぁ」

 これは自室に閉まっておこうと思いポケットにしまう。

 「さて、雑誌の続きを……」

 「指揮官?ちゃんと仕事はしてますか?」

 「ふぁっ!!RO扉を開けるときはノックをしろ!!」

 今週の副官であるROが部屋にいきなり入ってきた。

 ここでは一週間ごとに副官が変わる。

 慌てて雑誌を机の下にしまう。

 「ノックをすると指揮官は雑誌を隠すじゃないですか」

 ジト目でこちらを見つめてくる。

 「そんな目で見るなよ。惚れるぞ?良いのか?」

 「えっ!?ほ、惚れ……」

 ボッと音が出るように顔が赤くなった。

 目線はあちこちに逃げていて見てて面白いし可愛い、相変わらずチョロいな。

 「そ、そんな事言われたって誤魔化されませんから!!監……雑誌見てたこと分かってるんですから!!」

 「おいまて、今なんと言った」

 しまった!!とでも言いたげそうな表情でバツが悪そうに目線が泳いでいる。

 確信犯だなこいつ!!

 「さ、さぁ見ていた本を出しなさい!!」

 「俺こそ騙されんぞ今監視っつたろ」

 「言ってません。雑誌見てたことは分かってると言いました」

 「嘘つけ言ってたから。どこにあるんだカメラ!!」

 立ち上がり辺りを見回す。

 その時だった。

ポケットから何かを落とした。

 そしてなんの不幸か中身が出てしまう。

 「あっ待つんだ。それは」

 それをROが拾った。

 その瞳には小さなリングが映っている。

 「し、指揮官。これは……」

 「あー、その」

 「だ、誰に渡すんですか?」

 えっいや居ないよ今。

 だって自分で言うのも何だけど結構俺クソ野郎なのは自覚してるからある時を境に開き直った。

 「居たら苦労しないよ……そもそも俺はそこまでモテない。強いて言うなら戦果かな?」

 そしたらAR-15ぐらいだな。

 前に銃を撃ちながら『この感覚だけが私を安心させられる』とか言ってたし。

 報告書をしに来たときにボソッと言ったら顔真っ赤になってプルプルと肩を揺らしていた。

 あの時AK-12の気持ちが少しわかった気がする。

 いじりがいがある子って可愛いよね、あと楽しい。

 「そ、そうですか?指揮官はカッコいいと思いますよ?」

 ROがモゾモゾしながら言う。

 何がとは言わないけど大きなそれが両腕によって強調されている。

 「そういう慰めの褒め言葉とか要らんから、悲しいだけだから」

 「……そんな事ありませんよ」

 ボソッとROが何かを言ったが良く聞こえなかった。

 「ん?何か言った?」

 「いえ、何も言ってません。書類も終わっている様ですね、お疲れ様です。指揮官」

 「お、おう」

 「では、私は訓練に行くので失礼します」

 そのままROは部屋から出ていった。

 「何をしたかったんだ?あいつ。てか副官勝手に帰るなよ……まあ業務は一応終わってたからいいけど」

 雑誌を机の下から取り出した。

 ※

 (私は知っいるんですよ?指揮官がいざと言う時カッコいいって事)

 ※

 雑誌を読んでいるが中々内容が入ってこない……。

 指輪どうしよ、このまま持っていてもなぁ。

 「一旦自室に戻ろうか……いやでも」

 「指揮官は居るかしら?」

 何故、何事も無いよう入ってくるんだAK-12……。

 「どうした?何かあったのか?」

 「いえ?何も無いわよ?」

 ならどうして来たんだよ……。

 「強いて言うなら暇になったからかしら?」

 「結構な頻度でくるよね君」

 「来ちゃいけないかしら?」

 「いやそう言うことじゃないけどさ……はぁ、ソファ座って。コーヒー淹れるから」

 「ありがとう、わかったわ」

 棚からインスタントのコーヒーを取り出す。

 今度は落とさないようにポケットを確認する。

 「うん?コソコソ何してるの、指揮官?」

 「いや、なんでも無い。インスタントで良い?」

 「問題無いわ」

 コーヒーカップを2つ机に運び横に座った。

 「そう言えば、君達が来て少し経ったけど、ここはどう?」

 「私は特に不便は無いわね、指揮も悪くないし」

 「なら良かったよ。AN-94はどうしてる?」

 「今は部屋に居ると思うけど」

 「そうじゃなくて、ここに来てからの様子の方だよ」

 「彼女も別に不満は言ってなかったかしら?」

 「あーでも、強いて言うなら」

 「ん?」

 「暇なのよね。何か面白いこととか無いかしら」

 それさっきも言ったよね。

 てかここに来ても何も変わらんぞ。

 ゲームの類いは自室にあるし。

 「そんなんだからAR-15に毛嫌いされてるのでは?」

 「そんな事無いと思いたいわね~。同じ部隊の仲間なんだから」

 「いやこの前の無線で噛みついてただろ……」

 「あの子反応が面白いのよね、だからついからかっちゃうの」

 「程ほどにしとけ?本当に撃たれるぞ?俺なんて爆破されたんだから」

 「ふふっ、肝に命じておくわね。まあ人形だから肝は無いんだけど」

 「はいはい、おもしろいおもしろい」

 「そう言えばなんだけど」

 「ん?」

 「さっきからポケットに何を隠しているの?」

 「ぶっ!!」

 コーヒー吹いちゃった。

  指輪バレた!?箱出してないのに?

 「い、いや?何を言ってるんだ?」

 顔を見るとAK-12の瞼が上がって普段は閉じている瞳が露になる。

 彼女が目を開いているのが珍しい。

 だが油断してはならない、深度演算している証拠だ。

 吸い込まれそうな感覚に陥りそうになり咄嗟に目を反らす、が両手で顔を押さえられ無理やり顔を正面に持ってこさせられた。

 「正々堂々と見なさいよ。お互い、もう慣れたでしょ?」

 「いや、なんか恥ずかしくて……」

 威圧感半端ねーよそんなにガン見されたらそりゃ照れるわ。

 良く見ると顔立ち綺麗だなぁ。

 ……目は怖いけど。

 「可愛い反応するのね、指揮官。それと……」

 少しづつ、ゆっくりと、顔が近付いてくる。

  「この小箱は何かしら?」

 「へ??」

 気が付くとAK-12の手には指輪が入っている小箱が握られている。

 「指揮官もすみにはおけないわね~。もう相手は決まっているの?」

 「いや?決めてないよ、だいいち、俺から貰っても嬉しく無いだろ?」

 「そうかしら?私なら喜んで受けとるけど……」

 「え?」

 今なんと?

 「ん?」

 どさくさに紛れて今告白されなかった?てか俺がした?

 「え?良いの?」

 「別に良いわよ?でも良いの?私でも」

 「まあだってこのままだと誰にも渡せないからな。宝の持ち腐れってやつになるだろうし」

 「なら、私が貰っても良いわね」

 「う、うん」

 トントン拍子に話が進んで行っているから頭が追い付かん。

 「あーでも待って」

 「お、おう」

 「AN-94も一緒で良いかしら?」

 「そっちが良いならいいけども」

 「なら決まりね、早速AN-94に言ってくるわ」

 そう言うとAK-12は部屋を出ていった。

 「え?なに俺AK-12とAN-94の二人と誓約するの?」

 てかこれ嵌められた?

 頭を抱えながら混乱しているとまた扉が開く。

 てかノックをしろノックを。

 「指揮官?お仕事は……何やってるんですか……」

 M1ガーランドが呆れた表情で部屋に入って来る。

 「なぁガーランド。相談があるんだが」

 「相談ですか?」

 「ああ、初期から一緒にいるお前にしか相談出来ないんだ」

 「…わかりました。一体どうしたんですか?」

 「俺近い内にAK-12とAN-94の二人と誓約する事になった」

 「……え?」

 ガーランドは驚いた表情のまま固まってしまった。

 いつもは姉のような感じで諭すような物言いの彼女だからこんな反応するとは思わなかった。

 「どした?おーい」

 フリーズしているガーランドの前で手を振っても中々反応しない。

 「す、すいません。少しボーッとしていました」

 「いや、大丈夫なら良いんだが」

 「これ報告書です。失礼しますね!!」

 報告書を机に置くとそそくさと部屋を出てしまった。

 「相談……」

 ※

 「ROー!!ROは居るかー!!」

 「はい、どうしました指揮官……」

 大声で呼びつけたところまたもや呆れた表情でこちらに向かってくる。

 ここの基地での俺の尊厳とかそこら辺どうなってるんだろ。

 「いや相談があってさ」

 「相談?何かありました?」

 「AK-12とAN-94誓約する事になった」

 「はぁ……えっ!?」

 「いやぁまさか俺と誓約してくれる奴が居るなんて嬉しくてさ」

 「そうですか……」

 心なしか落ち込んでいるように見える。

 「どうした?」

 「その……こういう事言うのも難ですが、私では駄目でしょうか?」

 「え?」

 「私では……駄目でしょうか」

 だんだんと声が弱々しくなっていき、赤い顔で見上げてくる。

 「いや、駄目と言うことは無いけどさ、一様曲がりなりにもここを納めている指揮官だし、そんなにポンポン誓約するのはちょっと」

 「そ、そんなぁ……」

 膝からガクリと崩れていき四つん這いになった。

 「それにあの二人にはお世話になってるし」

 「私も!!私も頑張ってます、何か報われたって良いじゃないですか!」

 周りがざわざわしだした。

 「と、取り敢えず周りの目もあるから。取り敢えず立とう?」

 「何ですか!!姉妹丼ですか!!」

 「やめんか!!姉妹丼とか言うんじゃありません!!」

 「……いつも私の胸見てましたよね?」

 「うっ」

 「知ってるんですからね?」

 「あーその、すいません」

 「申し訳ないと思うなら誓約してください」

 「これ脅迫だよね?君そんな性格だったっけ?」

 もっとこう……ウブな生徒会長的な感じかと思ってた。

 「いいじゃないですか!!指輪の一つぐらい」

 「いや、俺そんなクズになりたくないです」

 「なんでそう言う時だけ変に律儀なんですか!?」

 「いや、周りの目とか怖いし」

 「私のおっぱい見てましたよね?」

 「ほんっとすんません」

 土下座の姿勢で謝る。

 でも仕方なくない?

 男なら目行っちゃうよ?

 行かないなら男でない。

 「私、指揮官に汚されていたんですね…これセクハラですよ?」

 「やめて!!声下げて!!」

 「なら誓約してください」

 「強引だな!どうしたの本当に!?」

 何時もは『恥ずかしいです、やめて下さい!』とか言ってるのに。

 これじゃ立場が逆だ、メンタルモデルに何かあったのだろうか?

 「今強引にならないと取り返しがつかないと思ってるからですよ!?」

 あー。

 「あっ、今思ったのですが条件はクリアしているんですか?」

 「条件なんてあるの?」

 「はい。ある数値が規定以上ではいと誓約時にわたす指輪、もとい誓約のスティグマが正式に締結出来ないんですよ。拒否反応が出て正式締結出来ません」

 「そ、そうなの?」

 「はい、だからまずは調べないと行けませんね」

 「てかいきなりどうした」

 「はい?」

 「いや今さっきまで必死だったのにいきなり冷静になったから」

 「それは……」

 「少なくても私はその条件をとっくのとうにクリアしていますから」

 「そ、そうなの?」

 「はい、伊達に長い間一緒に仕事してません」

 「そんなもんか……?」

 「はい、どうですか?私と誓約したくなりましたか?」

 「いや?全く?」

 「なんでですか!?今のは『はい』とかプロポーズするところですよね!?」

 「まあ、そもそもさ」

 「そもそもなんですか!?」

 「多分今回渡す指輪はタイミング的にもいずれ意味が出てくるからさ。多分AK-12もそれをわかった上での承諾だろうし」

 「タイミング?なんの事です?」

 「俺個人としては二人に明確な共通点をあげたかったというか。ほら、姉の方は自分に対してストイックで過小評価してるから、なんか消えちゃいそうなぐらい脆く見えちゃってさ。ただのお節介かもしれないけど」

 「…いや違うな、この指輪には個々の性能を高める効果があるらしい」

 小箱から指輪を取り出す。

「だから別にあの二人が俺を好きだとかでする誓約とかでは無くて、性能を底上げして自信をつけさせる事とかが目的なんだって俺は考えてる」

 「だから、AK-12は『喜んで貰う』とは言ったけど『好きよ?』とかの明確な好意の言葉は言ってないから」

 「それにROとの関係はそんな指輪一つぐらいじゃ変わらないぐらいには堅いと俺は考えてるから」

 「なっ!」

 「それは渡すタイミングが遅かれ早かれ変わらない。そうだろ?」

 「……なんか言いくるめられている気がしますがそうですね。安心しました。でもそう言う思わせ振りな言動や行動は控えた方が良いですよ?」

 執務室へ向かおうとする足を止めてROへ振り替える。

 「ん?どうしました?」

 そしてROにそっと触れるだけのキスをした。

 少し顔を離してROを見るとされるとは思っていなかったのか口をあわあわとさせている。

 顔も耳まで真っ赤で林檎の様だ。

 するといつも持っているメガホンスピーカーを口元に持っていく。

 涙が目尻に浮かんでいる瞳と目が合った。

 「お……」

 「お?」

 「お前の罪を数えろーー!!」

 至近距離で聞こえた少し震えている彼女の声は俺の鼓膜を大破させた。

 

  

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 




───────────────  あとがき的な物  ※書いてみるとあれ?こういう時あの子なんて言うんだろ?とかいっぱいあった。 キャラごとの特徴掴みながら二次創作書けてる人って本当に凄いって思った。 読んでて違和感無いもん。 言葉使いって思ったより把握するの大変。 行動はもっと大変。  恐らく読んでて「ん?」となるところがあると思うし自分でも読み返したら「おかしくね?」ってなる所が後からでると思うからその都度、修正入れます。                               
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