サボり癖のある指揮官の話   作:鰯くん

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基地逃走騒動

「はい?基地から脱け出して欲しい?」

 「はい、そうですね」

 カリーナから耳を疑う事を言い出したので聞き返してしまった。

 どうやら聞き間違いでは無いらしい。

 「なんでそうなった?」

 「前に言っていたじゃないですか指揮官様。『基地から脱け出したい』って」

 いや確かに言ったけども!

 でもそれを真に受けないで欲しい。

 あれか?俺もしかしてお払い箱的な奴じゃないのこれ。

 ちょっと悲しくなってしょんぼりしていると、それを見ていたカリーナが慰めるように話しかけてきた。

 さながら子供をあやす母のようだ。

 「違いますよ指揮官様、今回は訓練なんです」

 「訓練?」

 「はい、この任務は人形に拒まれる事なく基地を脱出し1週間指定されたポイントで待機して貰います」

 「またなんでそんな……」

 正直に言うとほぼ無理だろう。

 自分で言うのもアレだがそこそここの基地にいる人形優秀だ。

 「指揮官様側としてももしもの時においての訓練になりますし一石二鳥ではありませんか!」

 最初は断ろうとした……本当だよ?

 きっと待機ってことは何もすること無いだろう。

 あったとしてもいつもよりやることは格段に減るはず。

 1週間楽できるとか別に考えてないからね?

 いやー寂しいなぁ1週間も基地に入れないなんて。

 でも任務もとい訓練なら仕方がない。

 「わかった。その任務、引き受けるよ」

 「準備が出来たら教えてください!指揮官様が開始したのち、『指揮官が執務室から逃走した』と放送致しますので」

 なんかこれ不味くない?大丈夫?

 小さくない不安が頭を過る。

 「そのあと、もし指揮官様が基地から抜け出した場合、外に出たこともお伝えいたします」

 「わかった。じゃあ準備してくるよ」

 ※

 部屋に戻ると、最低限の荷物を手に持ちカリーナの通信機に連絡を入れる。

 『準備は出来ましたか?指揮官様』

 「ああ、一様準備は出来たけど……」

 『では通信機をお切りになると始まるので、頑張ってくださいね!』

 ドクン、ドクンと心臓が強く波打つ。

 これを切ったら1週間殆んど何もしなくて良い切符が手にはいる。

 成功率はほぼ0%──でもやるしかない。

 麗しの1週間の為に!

 通信機を耳から取り外すと覚悟を決めて電源を切った。

 

 通信機を切って数分後、アナウンスが流れ始めた。

 『現在、グリフィンの指揮官が基地から逃走しました!皆さん、指揮官様を捕まえて下さい』

 これが流れたと言うことはもう皆動き出したということだろう。

 それを証拠に外から足音が聞こえ来る。

 それから直ぐに執務室の扉が大きな音を立てて開いた。

 「指揮官!!」

 部屋に入ってきたのはROだった。

 手元にはこれから提出しようとしていたのだろう書類がある。

 切羽詰まった余裕のない表情で書類を机の上に置くと辺りを探し始めた。

 「指揮官!どこですか!?」

 机子の下やらを必死に探しているのを見ていると罪悪感が滲むようにして心を蝕んでくる。

 正直直ぐにでもROの前に出ていきたい。

 でもすまないRO、1週間の為だ!

 終わったら全力で謝るし償うから許してくれ。

 自室から廊下へと出ようとドアを開けようとしたその時、聞こえる筈のない音が部屋に響く。

 カチャッとロックが外れる音が聞こえたのだ。

 自室から廊下に繋がるドアは解除したときに響くからロックをしていない。

 だから聞こえる筈がないんだ。

 でも確かにカチャッと聞こえた。

 これは聞き間違いなんかじゃない。

 聞こえるとしたらそれは執務室に繋がる───。

 「指揮官ですよね?」

 「……ん?」

 後ろを振り替えると、そこには。

 「基地から逃走したのではないのですか?」

 彼女はこちらへと駆け足で向かってくる。

 「──そこで止まってくれRO」

 捕まったら1週間が無くなっちゃうからとか色々あるが、一つ。

 これだけは聞いておかなくてはいけない。

 「どうやって部屋に入った?」

 これだけはハッキリとさせなくてはならない。

 これはプライバシーに関わる死活問題だ。

 いつもはふくかんにカードキーを渡す制度にしているから問題ないんだが、今回ROには渡していない。

 RO自身でこの部屋のドアを開けたのだ。

 これはいけない。

 「いや……あははは……」

 答えとして帰ってきたのは愛想笑いだった。

 これもう黒だろ。

 「すまないRO!これも1週間の為だ!」

 「え、1週間?ちょっと待ってください指揮官!」

 後ろから聞こえるROの制止を求める声を聞かずに自室から飛び出した。

 

「なんでROが部屋に入って来れたんだ?」

 誰も居ないかを確認しながら廊下を進んでいく。

 すると、前から誰かの声が聞こえた。

 「指揮官~隠れてないで早く出てきてよ~!出てきて一緒に遊ぼうよ指揮官~」

 咄嗟に適当な物陰に隠れる。

 あー……、どうしようこれ。

 前から来てるのSOP Ⅱだこれ。

 捕まったらどうなるかわからないぞ。

 でもなんで俺がまだ基地から出てないことを知っている?

 ……そうか!ROが情報を共有したんだ!

 焦る心境とは裏腹に足音と声はどんどん近づいてくる。

 ハキハキとした子供の様な声が悪魔の様だ。

 今隠れている所にもきっとあの子は来る。

 そしたらもう最後だ。

 もう直ぐそこまで来ている。

 ──終わった。

 諦めて下を向いた時、後ろから誰かに手を引っ張られた。

 「指揮官……こっちです」

 「うおっ!?」

そのまま後ろへと倒れるようにして何処かへと連れていかれた。

 『あれ?指揮官の声が聞こえたはずなんだけどなぁ』 

  さっきまで聞こえたSOP Ⅱの声が今はもう微かにしか聞こえない。

 しばらくすると物置小屋見たいな場所に連れてこられた。

 てっきりカリーナの元かと思った。

 部屋は薄暗く、まだあまり視界が良くない。

 「助かったよ、ありがとう」

 段々と目が暗さになれてきて辺りが見え始めた。

 手元から上に視線を上げるとピンク色の髪が見える。

 特徴的なアクセサリーで結んでいるハーフポニーテール。

 バイオレットの瞳。

 「なんで君がこんなことを」

 「指揮官がSOP Ⅱに追われている様でしたので、少し強引でしたがここまで逃げてきました」

 「AR15は聞いていないのか?俺が今どんな状況なのかを」

 少し警戒しながらAR15を見る。

 彼女は優秀だ。

 だからこれも罠かもしれない。

 でもその言葉を聞いたAR15は少し悲しそうな表情になった気がした。

  「勿論知っていますよ。ですが安心してください。私は指揮官の味方です」

 「え?」

 AR15はゆっくりと前に歩く。

 「指揮官が今、グリフィンで追われているのは知っています。でも、あなたが私達を助けてくれた様に今度は私があなたを助けます。それに──」

 彼女の腕が首へと回される。

 AR15は抱き締めると、耳元で囁いた。

 「それに言ったばずです。どんな姿になっても私はあなたに認めて欲しいだけだと」

 腕を解いて肩に手を置くと、柔らかい笑みをこちらに向ける。

 「たとえどんな状況になっても私はあなたの味方です。指揮官」

 「───はッ」

 出そうになった声を押し殺す。

 目が熱い。

 AR15を抱き締める。

 何処かに行ってしまわないように強く。

 「あり……がとう……」

 彼女は何も言わずに背中に手を回してくれた。

 それが受け入れられた様で凄く嬉しかった。

 

 

 ※

 「グリフィンの基地から逃走する任務ですか……」

 「ああ、そうなんだ」

 倉庫の片隅で、事情を話した。

 AR15はもっと壮大な話だと思っていたらしく、あきれた目でこちらを見つめてくる。

 「それは私に言っても良いのでしょうか?」

 「それはわからない。でも」

 「でも?」

 「俺は君を信じると決めたから、だから全部話した。これでもし君が俺を騙して捕まっても、後悔しない」

 「いえ、私も同行します」

 「良いのか?M4達は」

 「AR小隊は私が居なくなった位で駄目になる部隊ではありません。それに、M4達はきっと血眼になって指揮官を探してますよ」

 それは良いことなのだろうか。

 AR15が立ち上がる。

 こちらも立ち上がる為に膝を立てると、手を差しのべてきた。

 「ちょっと長居しすぎたかも知れません。早く基地から逃げましょう、指揮官」

 その言葉に頷いて、AR15の手を掴んで立ち上がる。

 「そうだな、行こう」

 倉庫のドアが開く。

 するとAR15が最初に廊下に出ていく。

 誰も居ない事を確認すると続けて廊下へと出た。

 

 ※

 

 やはりAR15は優秀だ。

 先程から誰にも合わない。

 声は聞こえるから近くに居るんだろうけど、誰1人としてまだ見つかっていない。

 あともう少しで出口だ。

 ヘリポートへと繋がる道に出られる。

少し駆け足で出口に繋がる道を進んでいると、ふと何者かの気配がした。

 「待ってくれAR15。誰か居るぞ、この先に」

 「はい、そうですね……私も同感です」

 出口に繋がる、もう出口が見えて居るが、速度を少しずつ下げていく。

 すると、やはり誰かが居たらしい。

手前の通路から2人の戦術人形が姿を表した。

 「こんにちは指揮官。でもここまでよ」

 「ここから先へは行かせない」

 目の前の2人は手に持っている銃のチャージングハンドルを引く。

 きっと今ので弾が装填された。

 「AK-12とAN-94か……」

 1人でも強いエリート人形が2人も。

 しかも電子戦のプロと戦闘のプロだ。

 真っ向からだと勝つことは難しい。

 搦め手を使うしかない。

 でもどうしたらあの2人を抜くことが出来る?

 どちらにせよここを抜けない限り外に出ることは出来ないしきっと説得も出来ない。

 AK-12は俺達を助けるよりも、どうこの場面を切り抜けるかの方に興味の天秤を傾けている。

 AN-94はAK-12の言葉や言動が第一だ。

あんまり使うのは気が進まないけど、アレしか無いよなぁ。

 制服のボタンを外して胸ポケットを漁る。

 ……あった。

 「指揮官、どうするの?私達を退けないと基地からは出られないわよ?」

 「AK-12……」

 楽しそうに生き生きとした表情のAK-12と困った表情のAN-94が対象的だ。

 「AR15、少し頼みたい事がある」

 「はい?なんですか?」

 「ちょっと失礼…」

 2人に聞かれないように耳元で話す。

 「あっ……そ、そうですね。わかりました」

 AR15は頬を赤くしながら頷くと、正面の2人を捉える。

 チャンスは一度きり。

 俺はさっきポケットから取り出した───発煙手榴弾を前に投げる。

 地面に着くと共に煙で前が見えなくなる。

 それからAR15が前に向かって走り出す。

 それに、少し間隔をあけて続く。

 だが、その右側に人影が見えた。

 紫色の光が線を引いている。

 深度演算モード…。

 「そんな目眩まし、私には通用しないわよ」

 AK-12から腕が伸びる。

 そしていつも着ている制服の背中を掴んだ。

 だが、そこに人の重みは無い。

 「……!?」

 その掴んだ制服の下からAR15が勝ち誇った笑みをAK-12に向ける。

 「残念ね、その制服を着ているのは私よAK-12」

 その言葉でAK-12は理解したのだろう。

 だけどもう遅い。

 さっきとは逆の立ち位置になった2人を見る。

 すぐ後ろにはヘリポートに繋がる扉がある。

 「そう言うことね指揮官。確かにこれなら『1度だけ、私達に通用する』わ」

 「でも、中々に良いものだろ?」

 「そうね…まんまと引っ掛かったわ」

 最初のチャージングハンドルを引いたのは脅しだった。

 そもそもAK-12は銃を使う気無い。

 AN-94は誤射を恐れて撃ってこない。

 こんな狭い通路で満足に発砲出来るのはハンドガン位だろう。

 だからきっと彼女は捕まえてくると考えた。

 更に言うなら圧倒的な力の差を見せる為に背後に回って背中を掴むと。

 最初が1番のかけだったのだ。

 もし、そこでボタンを外しているのを怪しまれて警戒されていたらきっとダメだっただろう。

 そして、その制服をAR15に被せて前に行かせる。

 流石にあの『目』にはサーマルの様な昨日は付いていないだろうからあの煙の中だと『形』を捉えるのが精一杯なはず。

 後は制服を捕まれた時にスルッと持っていかれるから、その隙に向こうまで走る。

 ただ、やっぱり制服を掴んでAR15を見た時のAK-12が全て理解したのが怖かった。

 でももうこれで終わりだ。

 背中にあるドアを開ける。

 最後まで何があるかわからないから背中を見せずに後ろ歩きでドアを通る。

 すると、背中に何か柔らかい物が当たる感触がした。

 そして胸部に腕が伸びて前で交わる。

 「ん?」

 「ここから先へは行かせませんよ、指揮官」

 回された腕を見てみると指のところが空いたグローブに捲ってある黄色いジャケット。

 そして、背中に当たる柔らかく大きい何か。

 これだけで分かってしまう自分が気持ち悪い。

 顔が見えないから出来るだけ後ろに振り向いて話しかける。

 「何故ここにROが?」

 「カメラですよ」

 「カメラ?」

 「指揮官達が歩いている姿がカメラに映っていたんです」

 あっ、そうだよROも電子戦できる子だった。

 「RO、指揮官から離れて」

 前に居るAR15がこちらへと向かってくる。

 なんだろう、そこはかとなく黒いオーラが出ているようにも見えてるような。

 我に帰って組んである腕を剥がそうにもびくともしない。

 「ちょっと離してくれRO、頼むから」

 「ダメです、離したら指揮官は行ってしまいますから」

 もう離さないと言わんばかりに強く抱き締める力を強くする。

 すると、その腕にまた別の腕が伸びてROの手首を掴んだ。

 「聞こえなかった?その手を離して」

 「AR15……」

 だからなんでギスギスしてるの?

 君達同じ部隊のメンバーだよね?

 あとRO、もうちょっと力を弱めてくれません?

 指揮官が指揮/官になっちゃうから。

 「指揮官?大丈夫ですか?顔色があまり良くないですけど」

 「…大丈夫そうに見える?」

 「RO!本当に離さないと指揮官が死んじゃうわよ」

 「え?ああ、すいません指揮官…」

 ROがはっと腕を解いたその瞬間。

 今度はAR15が腕を引っ張り目的地へと走り出した。

 

 

 ※

 久し振りの執務室の扉を開ける。

 すると、既に部屋にいたカリーナがいつもの明るい声で出迎えてくれた。

 「お帰りなさいませ!指揮官様!!…指揮官様?」

 「……もうやらない」

 カリーナは俺の様子を見て頭を傾けた。

 きっと、その瞳にはげっそりとした死にかけの姿が写っているだろう。

 「どうかしました?」

 「散々な目に合ったよ…ホントに」

 「と言いますと?」

 カリーナが興味津々に聞いてくる。

 「今から話すから落ち着いて…」

 

 ※

 

 「何だかんだあっという間だったなぁ」

 「そうですね、指揮官」

 指定されたポイントから基地へ向かって歩いて暫く、俺達が出てきたヘリポートへと続くドアが見えてきた。

 ドアを通って基地へと入る。

 特に何もなくすんなりと入れた。

 カリーナとかが色々やってくれたのだろうか?

 てっきり基地に帰ったら皆に捕まったりして収集つかなくなるかと思っていた。

 でも実際は誰もおらず、基地の執務室へと繋がる廊下を歩いている。

 ヘリポートのドアから執務室へと繋がる通路は構造上そこまで近くない。

 ちょっと遠回りする必要がある。

 その道のりをAR15と会話しながら歩いていると、前から誰かの喋り声が聞こえてきた。

 久し振りのAR15以外の声に嬉しくなりつつも誰だろうと考えながら進んでいく。

 先ほどよりも声がハッキリと聞こえてきた。

 「SOP Ⅱ!廊下でかけっこして収集遊ぶのは止めなさい!」

 ……この声は。

 AR15と顔を見合わせる。

 すると、彼女は何とも言えない微妙な表情をしていた。

 きっとこちらも同じ表情をしているだろう。

「ROもそんな固いこと言わないで遊ぼうよ~!」

 「ちょっと待ちなさいったらバカSOP!!」

 ボフっと走っていたSOP Ⅱが正面からぶつかってきた。

 「ん?……指揮官?……指揮官だ!お帰り!AR15も!」

 「ただいま…」

 そこへ駆けつけるようにしてROがSOP Ⅱを追いかけて走ってきた。

 「やっと、止まって…指揮官?」

 「た、ただいま」

 いつも一緒に居る相手でも、1週間も顔を合わせて居ないと何を言って言いかわからなくて畏まってしまう。

 「はぁ……そう言う任務なら先に言って下さいよ。そしたら別に止めるなんて事しませんでしたよ」

 「ごめん、必死で…」

 「何もありませんでしたか?」

 呆れたようにため息をつくも、心配してくれる姿に頭が上がらない。

「特に何も無かったわよ」

 「なんでAR15がそれを知って?…あ」

 何かを思い出したかの様にはっとした表情をする。

 「そうですよ、なんでAR15が着いて行ったんですか!」

 「別に、指揮官1人より2人の方が安心でしょ?」

 「そう言う問題では…なんか2人近くありませんか?」

 「え?」

 「そう?」

 別にそうと思わないんだが…。

 それにこの道はそこまで広く無いから幾らか近くなるのは仕方ないと思うんだけど。

 だからAR15の腕がこちらの腕に当たるのは何も問題が無いと思うんだ。

 「いや問題大アリですから!SOP Ⅱも早く離れて」

 ROはAR15との間に入って間隔を作るとぶつかったまま抱きついているSOP Ⅱを引っ張って剥がそうとする。

 だが、SOP Ⅱからは離す気配がみじんも無く、引っ張る度に体がちぎれそうになる。

 「ちょっと、それじゃあ死んじゃうから」

 流石に見かねたAR15が2人を止めに入る。

 抱きつくSOP Ⅱにそれを剥がそうとするRO。

 2人を止めに入るとAR15ともう状況は混沌と化していた。

 身体を大きく揺さぶられて過ぎてちょっと気持ち悪くなってきた…。

 もう駄目だと達観し始めた時、後ろから足音が聞こえた。

 「あら、何か楽しそうな事になってるわね?」

 最悪だ…よりによってなんで。

 「AK-12、出来れば見てないで助けて欲しいんだけど」

 「そうね。助けたいのもやまやまだけど、ちょっとこれは無理ね」

「勘弁してくれ…」

 前ではAR15とROが軽い口論みたいな事を繰り広げ、SOP Ⅱは依然として抱きついたまま。

 さらにそこへAK-12が投下されてしまった。

 「…仕方ないわね、なら私が助けてあげるわ」

 「頼む……」

 AK-12はこちらへ不敵に笑うと最初にSOP Ⅱの元へと向かい、耳元で何かを喋る。

 その次はAR15、ROと同じように回っていった。

 いったいAK-12は何を吹き込んだんだ?

 すると皆が大人しくなっていった。

 何が起きたかは分からないがこれで自由に動ける。

「ありがとうAK-12、今度何か奢るよ」

 AK-12はもっと意地悪な性格かと思っていたからちょっと見直してしまった。

 「いいわよ、別に。その代わり、これは借りにしておくわ」

 「わかった。助かったよ」

 AK-12へと感謝の言葉を告げて執務室へと向かった。

 ※

「って感じかな」

 「でも妙ですね、なんで皆が引いてくれたんでしょう」

 カリーナが不思議そうに呟いた瞬間、執務室のドアが大きな音を立てて開いた。

 「指揮官、遊ぼうよ~!」

 「ちょっとSOP Ⅱ!」

 さっきの続きかSOP ⅡがROと一緒に執務室へと入ってきた。

 「SOP Ⅱ、ちょっとこれからやらなきゃいけない事があるからごめんな?」

 「そっかー、なら仕方ない、約束はまた今度だね!」

 はて、約束?

 SOP Ⅱと遊ぶ約束なんてしただろうか?

 「どうしたの指揮官。AK-12がさっき言ってたよ?『指揮官が今度ドップリ遊ぼう』って」

 ここでようやく気がついた。

 AK-12に嵌められたと言うことに。

 「そ、そうか、また今度遊ぼうな?」

 「うん、約束だよ~!じゃあね指揮官!」

 SOP Ⅱは笑顔で執務室を出ていった。

 カリーナの方を見ると苦笑いしていた。

ここで1つ気になった事がある。

 ROとAR15には何と行ったんだろうか。

 すると今度はSOP Ⅱを追いかけてきたROが耳元に顔を寄せてきた。

 「埋め合わせ、期待してますから」

 !?

 ビックリして振り向くと、ROは横を向いていて表情を窺うことが出来ない。

 でも、少し見えている頬と耳が赤くなっているのを見て僅かながらに照れているのはわかった。

 恥ずかしいなら普通に言えば良いのに…なんて言うのは無粋だろう。

 何だかんだ気がついたらいつもの日常に戻っているのを感じて、自分の口角が少し上がっているがわかった。

 

 

 

 さて、埋め合わせはどうしようか。

  

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

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