サボり癖のある指揮官の話   作:鰯くん

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こんにちは、鰯です!
いつも読んで頂きありがとうございます!
コメント嬉しいです\(^o^)/

何気にグリフィンって母性がある人形多いと思うんですよね
今回はRO635の子供verの話なんです。
よろしくお願いします!

ついでに言うと、現時点ではPART1と言う扱いで後1話か2話ぐらいを予定しています。




子供騒動

───どうしたものか。

 

事の発端は何時ものように執務室へと続く廊下を歩いている時の事。

目の前の光景を前にして出てきた言葉だった。

 

「指揮官!おやつください!」

 

トテトテと頼りない足取りで小学生くらいの小さな子どもが1人、一生懸命歩いて両手を広げている。

幼さが残るその姿が実に微笑ましい。

だがその容姿は明らかに見覚えがある見た目をしていた。

肩に垂れているおさげ、色が左右で違う瞳。

それでも彼女と疑うにはサイズがあまりにも違うため、無理やり脳内で否定をしてからしゃがみ、目線をその子に合わせた。

 

「ごめんね、お兄さんお菓子持って無いんだよ」

 

左右で色が違うオッドアイの瞳を見ながらガッカリするかなぁ、なんて考えていたら落胆するのでは無く。

目の前の子どもは予想の斜め上の返しをしてきた。

 

「何言ってるの指揮官。お菓子なら部屋の引出しにあるでしょ!頂戴!」

 

……なんで知っているんだ?

咄嗟に自室の部屋が頭に浮かぶ。

しかもあるのは執務室では無くて机にある引き出しだ。

その引き出しを開けると中に板チョコレートが入っている。

別に隠している訳では無いがあれにはお酒が入っているからこの子にはあげる事は出来ない。

そうでなくても誰も知られていないはずだ。

FNCなんかにバレたものなら一瞬で消滅してしまうから自分で食べるために誰にも言っていない。

だからバレるなんてあり得ないのに。

じゃあ何でこの子はそれを知っている?

そう思った途端、急に背筋がゾッと寒くなって立ち上がった。

そんな俺を知ってか知らずか目の前の少女はニコニコと笑顔でこちらをずっと見上げている。

そして少し間を開けたあと、再び口を開いた。

 

「お菓子頂戴!」

 

やだこの子怖い!

だからなんでこの女の子俺の部屋にお菓子あるの知ってるの?

両肩に垂れているお下げを揺らしながら笑顔で近づいてくる。

逃げるように後退り顔を若干引き釣らせながら、現状の何処に抜け道があるのかを探す。

純粋な子ども程恐ろしい物は無い。

その留まる事を知らない好奇心は何処まででも追いかけてくるのだ。

 

「いや~そんなところには無いと思うなぁ」

 

結構苦しいがあくまでもお菓子は無いと伝える。

すると今度は純粋無垢な笑顔を振り撒いている女の子はその表情とは裏腹にとんでもない爆弾を投下してきた。

 

「もしかして部屋の家具の変えたの?じゃあタンスの引き出しにある本もベッドの下にある写真も動かしちゃった?」

 

前回クローゼットでバレたから今度はタンスの引き出しを2重底にして本を隠していた。

写真はベッドのしたにあるケースに入っている。

物の配置までが全て合っている事がわかるともう何度目かわからない寒さが背筋に伝わる。

黄色いジャケットに、ベージュのブラウスを着た女の子はそう言うと体にしがみついてきた。

気分はさならがら問い詰めに合う犯人のようだ。

 

「なら指揮官が部屋に入れてくれるまで私ここから動かない!」

 

グリグリと頭をシャツに押し付ける。

それだけ見ているとまるで親に甘えている娘に見えて微笑ましいが、なんか腹部に当たる吐息が危ない予感がするのは気のせいだろうか。

顔の当たる部分が妙に暖かい。

 

「……えへへ」

 

…………。

 

どうしようやっぱり凄く怖いよこの子。

早く執務室に戻りたいんだけど。

てかこの子あれだろ。

もうこの見た目からして小さい──。

 

「指揮官っ!」

 

突然廊下奥から大きな声と共に足音が聞こえてきた。

それも大分急いでいるのか足音がうるさい。

近くまで来ると速度が緩やかになり、目の前に来ると息を上げながら訊ねてきた。

 

「すいません指揮官!なんかこう……小さい私みたいなのを見掛けませんでしたか?」

 

下を向くと先程と変わらず女の子が頭を押し付けている。

ROの肩を軽く叩いて下を見るように合図を送ると、最初はえ?とキョトンとした表情だったが少女を見た途端頭を抱えてしゃがみこんだ。

 

「ああ……間に合わなかった……」

 

小さい女の子は満足したのか頭を止めると、また見上げる形でこちらに視線を向ける。

ちょっとシャツが湿っている気がするのはあまり気にしない方がいいだろう。

 

「さあ指揮官!おやつを取りに行きましょう!」

 

もうこれは部屋まで案内しないと諦めないだろう。

ガクリと肩を落として項垂れていると、次は復帰したROがその子の目線に合わせて肩を軽く掴むと優しく話始める。

 

「良いですか。あんまり指揮官を困らせてしまうと嫌われてしまいますよ?」

 

見た目が酷似しているせいで端から見たらまるで駄々をこねた娘を諭すお母さんだ。

それを見て1人で和んでいた矢先、ROの話を聞くと目尻に涙を貯めて顔を横に振った。

 

「嫌、嫌われたくない……グスッ」

「あ、あれ?」

 

思っていた反応と違ったのか今度はROの表情がやってしまったと表情が固まっている。

 

そんな事を気にせず再び女の子はこちらに振り替えるとさっきよりも強い力で抱きついてきた。

 

「嫌、ごめんなさい指揮官。良い子にするから嫌いにならないで!」

 

決壊した目尻からは涙がこぼれ頬に一筋の線が引かれる。

そして再びシャツに顔を押し付けて、今度はスリスリと涙を拭くように顔を左右に動かす。

……何か何にも悪いことしてないのにすんごい罪悪感に駆られる。

ROはというと子どもをどう泣き止ませるか、どう剥がすか等、一度に処理できるキャパを越えて若干パニックに陥っていた。

流石に見ていられなくなり、現在進行形でアワアワして手が出せないでいるROに声をかける。

 

「取りあえず、色々聞きたい事もあるからこの子を落ち着かせよう」

「はい……」

 

涙目で頷くと、女の子の頭に優しく手を置いて、しゃがんだ。

 

「指揮官から少し離れませんか?指揮官も困ってますから」

「困ってるの?」

 

悲しげな表情で見上げる少女。

お願いだからそんなつぶらな瞳で見ないで欲しい。

負けちゃうから、何も言えないから!

 

「べ、別に迷惑じゃない、よ?」

 

ぎこちない笑顔で答える。

 

「指揮官!? 」

「無理だRO。俺はあれには勝てない」

 

あの目を見てしまうともう勝つことは出来ない……。

 

「何燃え尽きてるんですか!立って、立ち上がってください指揮官!」

 

突然の裏切り行為に仰天するRO。

そして俺が駄目だと分かると諦めずに自分で剥がす行動に移った。

 

「ほらっ……そろそろ離れなさい!」

 

一体何が彼女をそこまで駆り立てるのだろうか。

少女の肩を掴んでグッと強く引っ張る。

 

「いーやー!!嫌!!」

 

それに抵抗して絶対に動かないと言わんばかりに腕の力を強めた。

力一杯に引っ張るROとそれに耐えるために掴まる力を強くするとどうなる。

大体は耐えられなくなって手を離すか、もしくはその掴んである支えが折れるか。

そう、力強く引っ張られるのにはその支えの部分に負荷が掛かり、支柱の許容量を越えると折れてしまう恐れがあるのだ。

つまりそれがどういうことを意味するか。

 

「まって死ぬ!!真っ二つになっちゃうから!!」

 

腹部に今までで感じた事もないとてつもない力が加わる。

2人の力が腹部に掛かり今にも折れてしまいそうだ。

必死に声をかけるも2人の耳には入らない。

 

「まって!!ストップ!!───あっ」

 

そこから10分程経過してやっと離れてくれたが、その時にはもうとっくに俺の腰は限界を迎えていた……。

 

 

隣に歩いている少女は棒付きの飴を口から取り出すとこちらへ顔を向けた。

 

「ありがとう指揮官!」

「どうも致しまして。美味しい?」

「美味しい!」

 

流石にお酒が入ったチョコを渡す事は出来ないので、売店で適当にお菓子を買って渡した。

なんで最初からこれが思い付かなかったのだろうか。

今は俺の隣で手を繋ぎながら楽しそうに飴を舐めている。

まだそんなに時間が経っていないのにどっと疲れが出てくるは何故だろうか。

いやわかってはいるんだけど急展開過ぎて処理が追い付かない。

取りあえず今は執務室に向かうために廊下を歩いている最中である。

 

「なあRO。この子は誰なんだ?」

 

もう聞くまでも無いが一様確認を取る為に聞いた。

 

「ああ……その、分かっているかと思いますが、小さい私です」

 

気まずそうに話すRO。

彼女はトラブルを起こす側では無いからきっと巻き込まれたんだろう。振り回されているところが簡単に想像できる。

 

「何があった?」

「実験だったんですよ。AR小隊だと私が1番やり易いと言われて仕方なく……」

 

そしたら子どもが出来ちゃったと。

いやどんな話だよ。

リトルROじゃなくてリアルな方に近い子供が出来ちゃってるよこれ。

いつも?なら人格まで子どもになる事は無かったのに今手を繋いでるのは年相応の反応を返してくる。

そこでふと、この絵面がそこそこにヤバい事に気が付いた。

 

「RO。これはちょっと、いや大分面倒な事になりそう」

「?何がですか?」

 

彼女はこの危機的状況が分かっていないらしくキョトンとしている。

 

「これ端から見たら親子だそ」

「お、親子?……あっ」

 

この状況の危ういさに気が付いたのかROの顔がボンッと赤くなった。

 

「わ、私は人形ですから子供は出来ませんしそもそも指揮官とはそこまで進展していないでしょう!?男女の交際はもっと健全なものであるべきです!こんなの早すぎます……」

 

マシンガンの如く早口で捲し立てた後、しゃがんで顔を両手で隠す。

よく見ると耳までリンゴのように真っ赤になっていた。

相当恥ずかしかったのか、顔を隠したまま全く動かない。

 

「いやいや落ち着いて。そう見られるかもしれないってだけだから」

 

そう伝えると、指の隙間からオレンジ色の瞳が覗く。

 

「……そうですね。なら、他の皆に見つからない内に移動してしまいましょう」

 

彼女は立ち上がると小さい自分の手を取る。

 

「皆に見つからない内にここから逃げましょう」

「うん、行く!」

 

小さいROは返事をすると飴を口に入れて空いてる手でこちらの手を掴んだ。

その光景に気を取られていると、2人のROに声を掛けられた。

 

「指揮官、どうかしましたか?早くいきましょう」

「指揮官行こう!」

「そうだな、でも焦りすぎて転ばないように気を付けて歩くように」

「ラジャー!」

 

元気な返事にROと顔を合わせて笑顔になった。

 

3人で手を繋い繋ぎながら廊下を歩く。

状況がさらに悪くなった気がしてならないが、2人の笑っている姿を見ているとそれがどうでも良く思えてくる。

ああ言っていた自分が1番この状況に毒されているのかも知れない。

まだあどけない少女と優しく微笑む彼女を見る。

胸が暖かくなるのを感じながら執務室へと続く道を2人の歩幅を意識しながらゆっくりと歩いた。

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