「あの、多分なんだけど、僕がその……罰の民っていう人達の関係者ってこと、なんだよね?」
弱々しい口調への憤りを吐き出すように、真夜が溜め息をつく。
「一応は聞いてたみたいね……まあ、つまりは、そういうことよ。そこ、理解してもらってないと、賢人さんも話しにくいだろうし安心したわ」
真夜の声が途切れると、賢人が引き継いで話し始める。
「突然のことで現実味はないだろうけど、そういうことなんだ。それで、罰の民っていうのは先祖代々、昨夜の怪物への対処を生業にしている一族でね」
「闇……骸……とかいう?」
「そうだ。そして、こちらと彼女は、長の命令で、この町に来た。そこで、俊君、君を見付けたんだ」
賢人は胸に手を当て、隣に座る真夜を掌を流して示す。つまりは、偶然たったのだろうか、と脳裏を掠めたが、浮かんだ疑問を賢人の声が覆ってしまう。
「ちなみに、偶然なんかじゃないよ。闇骸っていうのは、人間の感情と魂を喰らって生きている。なかでも、罰の民の血族は美味しいらしいから、いずれは君を見付けることになっていた。まあ、ここまで時間が掛かるとは思わなかったけど……」
賢人が薄い笑顔を張り付ける。俊は、どうにも、気まずさを誤魔化しているみたいで、あまり、良い気はしなかった。前のめりになると、ベッドのスプリングが軋む音が、やけに耳に入る。
「なら、その闇骸が僕を襲ったのは、魂を食べようとしていたってことですよね?その場合、僕は……」
「勿論、死んでいたよ」
当たり前の出来事かのように、表情一つ変えず賢人が言った。途端に、あの怪物を身近に感じる。振り上げられた怪腕、恐怖を煽る面、脳裏を過った光景に、血の気か引いていく。
「話しを続けようか。闇骸、その存在が表に出たのは、平安時代の後期、今から八百年以上前のことでね、俊君は芦屋道満という名前を聞いたことはあるかい?」
俊は、首を振る。
「なら、安倍晴明という名前は?」
「聞いたことはあります。確か、陰陽師の人でしたよね?」
「そう、さっきの芦屋道満という人物は、安倍晴明と並ぶと謳われた陰陽師の一人なんだ。安倍晴明に術を見破られて都から出されてしまったんだけど、その時、都から追い出された芦屋道満に同行した高弟に久我貞光っていう人物がいたんだ」
聞き慣れない単語に、俊が眉を寄せると、賢人が、ああ、と短く頷く。
「高弟、というのは、お弟子さんの中でも高い能力を持っている人のことだよ。この芦屋道満は、安倍晴明とは違って宮廷ではなく、民間の陰陽師でね、お弟子さんについて資料は残されていないから、こちらも一人しか把握できていない」
そうなると、なんとなく話しの筋が見えてきそうだ。
間違えてあげてました
教えてくださり、ありがとうございました!